前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- ウォラーFRB理事が9月3日、ワシントンでのロイター主催「NEXT Newsmaker」インタビューで、9月11日発表の8月CPIなど今後の物価統計が引き続きディスインフレを示せば、9月15〜16日FOMCでの政策金利(年3.50〜3.75%)据え置きを支持すると発言した。3か月コアインフレ率が2月の4.76%から7月の3.05%へ改善したことを「相当な改善」「速いペースは心強い」と評価する一方、インフレが高止まりすれば利上げも支持し得るとした。前回まで「タカ派一色」だった9月利上げ観測に、初めて明確なハト派寄りの一次情報が加わった。 出典: Investing.com
- 市場が織り込む9月FOMCでの利上げ確率は、ウォラー発言前の60%台半ば〜60%台後半から、発言後はほぼ5割まで低下した。米10年債利回りも一時4.75%まで低下(前日比-4bp程度)し、S&P500・ナスダック総合・NYダウがそろって1%超上昇するなど、株式市場は好感した。 出典: The Motley Fool
- ドル円は9月2日NY引けの158円22銭から、9月3日NY引けの155円30銭へさらに2円92銭下落した。東京市場では日中に158円94銭まで上昇する場面もあったが、午後に157円54銭まで反落し、NY市場でも下げが継続した。ウォラー発言による日米金利差縮小観測が、前日からの円高の流れに拍車をかけた。 出典: 財経新聞
- 日銀の9月17〜18日会合における0.25%利上げの織り込みは、OIS市場で9月2日時点の計算上「わずかに100%を超える」水準まで切り上がった(前回の87〜90%からさらに上昇)。高田審議委員の発言や米政府高官の対日圧力報道を受け、一部海外勢は0.5%の大幅利上げの可能性も部分的に織り込み始めているが、日銀が0.5%利上げを行ったのは1990年が最後であり、実現性は低いとの見方が多い。 出典: NRI(木内登英)、みんかぶ
- 30年利付国債(第91回、9月3日入札)の結果は、応募額1兆7,281億円・募入決定額4,562億円で応札倍率3.79倍、平均落札利回り4.079%・最低落札利回り4.100%(テール0.021%)だった。前回レポートで「本日実施」としていた入札のフォロー。 出典: 財務省
- 米ISM非製造業(サービス)景況指数(8月、9月3日発表)は55.4と、市場予想54.3・7月54.1をいずれも上回り、26か月連続の拡大圏を維持した。一方、雇用指数は47.8で2か月連続の縮小圏にとどまった。 出典: FXStreet
- 米新規失業保険申請件数(8月29日終了週)は20.6万件で、市場予想20.5万件をわずかに上回った。 出典: FXStreet
昨日と同じこと(継続)
- 日銀高田審議委員の「機動的な連続利上げもあり得る」というタカ派スタンスそのものへの市場の注目は継続している。
- ECBの9月10日会合での25bp利上げはほぼ確実視された状態が続いている。
- ハイイールド(HY)スプレッドは2.65%前後のタイトな水準を維持し、信用不安の兆候は引き続き確認できない。
- 独10年債(Bund)は前回報告した3.3%台後半の高水準が続いているとみられる(本日時点で更新を裏付ける一次データは確認できず)。
要因の連続性
- 継続要因: 日銀の利上げペース加速観測、日本の財政悪化懸念(いずれもJGB高利回り要因として継続)。中東情勢の地政学リスク(継続、原油の下支え要因)。
- 新規要因: ウォラーFRB理事のハト派寄り発言(9月FOMC利上げ観測を後退させる新規材料)。日銀の0.5%大幅利上げを一部で織り込み始める動き(実現性は低いとの見方が多いが新規の思惑材料)。
- 解消した要因: 前回、ウィリアムズNY連銀総裁の発言でいったん頭打ちとなった9月FOMC利上げ観測は、ウォラー理事の発言でさらに明確に後退し、「タカ派一色」だった観測が反転しつつある。
1. 金利サマリー
| 年限・指標 | 水準 | 前日比 | 取得時点 |
|---|---|---|---|
| 米2年債利回り | 4%台前半とみられる | 正確な前日比は確認できず | 2026-09-03 NY市場 |
| 米10年債利回り | 4.75%程度 | -4bp程度 | 2026-09-03 NY市場(日中) |
| JGB10年債利回り | 2.965% | -4.5bp程度 | 2026-09-03 東京市場引け |
| 独10年債(Bund) | 3.3%台後半とみられる | 更新データ未確認 | — |
| ドル円 | 155.30円(NY引け) | 前日比2円92銭の円高・ドル安 | 2026-09-03 NY市場引け |
米10年債利回りの低下により、米2年10年スプレッドは前回のプラス42bp前後からやや縮小したとみられるが、正確な値は確認できていない。逆イールドは引き続き解消した状態。 出典: The Motley Fool、Trading Economics(JGB)、財経新聞(ドル円)
2. 中央銀行の動き
FRB
- ウォラー理事は9月3日、ワシントンでのロイター主催イベントで、8月CPI(9月11日発表)など今後2週間の物価統計がディスインフレの継続を示せば、9月15〜16日FOMCでの政策金利据え置きを支持すると述べた。インフレが高止まりすれば利上げ支持もあり得るとし、次回会合の判断材料を明確にした。 出典: Investing.com
- この発言を受け、市場が織り込む9月利上げ確率は60%台半ば〜後半からほぼ5割まで低下した。米10年債利回りは一時4.75%まで低下し、株式市場は主要3指数がそろって1%超上昇して反応した。 出典: The Motley Fool
- ISM非製造業景況指数(8月)は55.4と市場予想を上回り、サービス業の拡大が続いていることを示したが、雇用指数は47.8と2か月連続で縮小圏にとどまった。新規失業保険申請件数(8月29日終了週)も20.6万件と、市場予想をわずかに上回った。 出典: FXStreet、FXStreet
日銀
- 日銀の9月17〜18日会合における0.25%利上げ(政策金利1.00%→1.25%)の織り込みは、OIS市場で9月2日時点の計算上わずかに100%を超える水準まで切り上がり、前回の87〜90%からさらに上昇した。 出典: NRI(木内登英)
- 高田審議委員の「利上げ幅はあらかじめ決まっていない」「連続利上げもあり得る」との発言や、米政府高官による対日圧力の報道を背景に、一部海外勢が0.5%の大幅利上げの可能性を部分的に織り込み始めた。ただし日銀が0.5%利上げを実施したのは1990年が最後であり、実現性は低いとの見方が優勢。 出典: みんかぶ
ECB / BOE
- ECBの9月10日会合での25bp利上げはほぼ確実視された状態が継続しており、前回からの大きな変化は確認されていない。
- BOEについては、前回報告した次回会合(9月17日予定)から変わる新たな発言・動きは本日確認できなかった。
3. 経済指標
- 米ISM非製造業(サービス)景況指数(8月、9月3日発表)は55.4で、市場予想54.3・7月54.1をいずれも上回った。新規受注指数は60.9(前月比+3.7pt)と強含んだ一方、雇用指数は47.8で2か月連続の縮小圏だった。 出典: FXStreet
- 米新規失業保険申請件数(8月29日終了週)は20.6万件で、市場予想20.5万件をわずかに上回った。 出典: FXStreet
- 発表直後の反応: 強めのISMにもかかわらず、ウォラー理事のハト派寄り発言が優勢となり、米長期金利は低下・株式市場は反発した(S&P500+1.06%、ナスダック総合+1.40%、NYダウ+1.18%)。 出典: The Motley Fool
4. 為替
- ドル円は9月3日、東京市場で158円94銭まで上昇する場面もあったが午後に157円54銭まで反落し、NY市場では156円11銭から155円30銭まで一段安となって引けた。前日(158円22銭)からは2円92銭の円高・ドル安。ユーロドルは1.1608ドルから1.1641ドルへ、ポンドドルも1.3490ドルから1.3548ドルへ上昇し、ドル・スイスフランは0.8096フランから0.8052フランへ下落するなど、全面的なドル安となった。 出典: 財経新聞
- 日米金利差(米10年債4.75% 対 JGB10年債2.965%)は理論上なお大幅なドル高要因だが、ウォラー理事のハト派寄り発言による9月利上げ観測後退と、日銀の9月利上げがOIS市場でほぼ完全に織り込まれたことが重なり、金利差の方向とは逆にドル安・円高が加速した。為替介入に関する当局の新たな発言は本日確認できなかった。
5. 債券需給
- 30年利付国債(第91回、9月3日入札)の結果は、応募額1兆7,281億円・募入決定額4,562億円で応札倍率3.79倍、平均落札利回り4.079%・最低落札利回り4.100%(テール0.021%)だった。前回レポートで予告していた入札のフォロー。 出典: 財務省
- 米国債(3・10・30年)入札については、前回レポートで「9月8〜10日に実施見込み」とした点のフォローに当たる新規の一次情報は本日確認できなかった。
- クレジット市場: ハイイールド(HY)スプレッドはおよそ2.65%(265bp)前後で、引き続き歴史的にタイトな水準を維持している。信用不安を示す明確な兆候は現時点で確認できない。
6. 他資産への波及
ウォラー理事のハト派寄り発言を受けた米長期金利の低下は、株式市場ではS&P500・ナスダック総合・NYダウの3指数そろっての1%超上昇という形で波及し、金融サービス・消費関連など景気敏感セクターへの物色が目立った。為替では日銀の利上げ観測との組み合わせでドル安・円高が加速し、金(ゴールド)は金利低下・ドル安を追い風に上昇して底堅さを見せている。暗号資産(ビットコイン)も、金利低下・ドル安という同じ地合いの恩恵を受けて上昇する場面があったとの報道があり、金利を起点とした「ドル安連鎖」がこの日の各資産に共通する背骨となった。 出典: The Motley Fool
7. 今夜の注目イベント
- 9月4日(日本時間夜21時30分予定): 8月分雇用統計の発表が予定されている。市場予想は非農業部門雇用者数+5.3万人程度、失業率4.1%で横ばい、平均時給は前月比+0.2%程度の見通し。9月15〜16日FOMCの判断を左右する今週最大のイベントとして、前回に続き最重要視される。 出典: CNBC
- 9月11日発表予定の8月CPIは、ウォラー理事が自身の9月FOMCでの判断材料として名指しした指標であり、今後の注目度が一段と高まった。 出典: Investing.com
- ECB(9月10日)・BOE(9月17日)・日銀(9月17〜18日)の各会合も、今後の金利観を左右する材料として引き続き注視する。
- 中東(イラン・ホルムズ海峡)情勢: 緊迫化の継続・拡大の有無が、原油価格やドルの安全資産需要を通じて金利・為替に波及する可能性がある。
