前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 上海総合指数が反落から反発に転換: 前回(9/2)-0.97%→本日(9/3)+0.02%(3,941.39pt→3,942.09pt)、CSI300も前回-1.38%→本日+0.10%(4,547.96pt→4,552.58pt)とプラス圏を回復した。ただし上げ幅はごくわずかで、財経新聞は「上値の重い展開」と伝えた。
  • ハンセン指数は前回-0.07%→本日-0.39%(25,311.21pt→25,213.31pt)と下げ幅が拡大し、8月14日以来およそ3週間ぶりの安値を更新。ハンセンテック指数も前回-0.74%→本日-1.08%(4,517.16pt→4,468.48pt)と下げ幅が拡大した。前回は本土・香港とも下落方向が一致していたが、本日は本土が反発・香港が続落と方向が分かれた(前回未確認の新規展開)。
  • 新規材料として、8月の主要都市の中古住宅販売動向が明らかになり、北京は前年比6カ月連続プラス、上海は直近5年で最高、深センは前月比12%増となるなど回復の兆しが報じられ、内房股(不動産関連銘柄)の逆行高につながった(新浪財経、前回未確認の新規トピック)。
  • 中国8月RatingDog(旧財新)サービス業PMIが51.4(7月50.4から上昇)と発表され、市場予想50.6を上回った(華爾街見聞)。前回、財新系サービス業PMIの確定値は確認できていなかった新規情報。
  • 香港メインボードの売買代金は1,993億香港ドルとおよそ4カ月ぶりの低水準にとどまり、様子見ムードの強まりが新たに確認された。

昨日と同じこと(継続)

  • 米イランの軍事的緊張・原油相場の高止まりを背景とした地政学リスクは3日連続で意識され、本日もトランプ米大統領の発言が重荷になったと報じられた。
  • 香港ハンセン指数の続落トレンド(本日で4日続落)は継続。
  • 恒大地産の破産清算手続き(8月21日受理、債権届出は2026年11月21日締切)は進行中で、新たな進捗の発表はなし。
  • 人民銀行のLPRは据え置きが継続(次回改定は9月22日予定)。
  • 8月28日公表の住宅ローン・プレセール融資制度改革の影響は続いている。

要因の連続性

  • 継続要因: 中東情勢の緊迫(原油高・地政学リスク)は本土市場ではやや和らいだものの、香港市場では引き続き主要な下落要因として作用した。8月28日の不動産融資制度改革も背景要因として継続している。
  • 新規要因: 8月の中古住宅販売の回復データが不動産株の追い風として新たに加わり、RatingDogサービス業PMIの予想超えも景気下支え期待を補強する材料として加わった。
  • 解消した要因: 前回本土市場で目立った深セン成分・創業板を中心とした全面安・幅広いリスク回避売りは本日は一服し、海運・包装印刷・液冷サーバー・貴金属などの個別物色に取って代わられた。

1. 市況サマリー

指数 終値 前日比
上海総合指数 3,942.09pt +0.02%
CSI300(滬深300) 4,552.58pt +0.10%
香港ハンセン指数 25,213.31pt -0.39%
ハンセンテック指数 4,468.48pt -1.08%

出典: 財経新聞(本土)、財経新聞(香港)、Investing.com(CSI300)、Investing.com(ハンセンテック)

2. 指数別動向

本土(上海・CSI300)

上海総合指数は前日比0.02%高(+0.70pt)の3,942.09と3日ぶりに反発したものの、上げ幅はごくわずかにとどまった。CSI300は0.10%高の4,552.58、深セン成分指数は0.10%高、創業板指数は0.01%高とほぼ横ばいで、科創総合指数は0.01%安とまちまちの動きだった。売買代金は1.76兆元で前日から323億元縮小し、2営業日連続で2兆元を下回った。値下がり銘柄は3,500超と数の上ではなお下落優勢だった。海運(海通発展がストップ高、中遠海能・招商輪船が5%超高)、包装印刷(華源控股・嘉美包装・金富科技がストップ高)、液冷サーバー関連(思泉新材・艾華集団がストップ高)、培育鑽石・貴金属・証券が買われた一方、銀行株(農業銀行・中国銀行が2%超安)、農業(新賽股份がストップ安)、メディア・教育・エネルギー設備関連が売られた。新浪財経は、景気対策への期待が相場を支える一方、直近まで上昇基調にあった大手銀行株への利益確定売りが上値を抑えたと伝えた。

香港(ハンセン・ハンセンテック)

香港ハンセン指数は前日比0.39%安(-97.90pt)の25,213.31と4日続落し、8月14日以来およそ3週間ぶりの安値を更新した。中国企業指数(旧H株指数)も0.77%安の8,385.24と3日続落。ハンセンテック指数は1.08%安の4,468.48で、下げ幅は前日(9月2日、-0.74%)から拡大した。香港メインボードの売買代金は1,993億香港ドルと、およそ4カ月ぶりの少なさにとどまった。通信関連(经纬天地-5.5%、中播数据-4.7%、中国電信-2.7%)、石炭(凱順控股-14.4%)が下落した一方、内房股(不動産関連銘柄、融信中国が7%超高)、金・貴金属関連(龍資源+18.1%、潼関黄金+9.2%)、農業関連(亜洲果業+17.2%)が逆行高した。テック株は小米(シャオミ)・アリババ・網易(ネットイース)・快手(クワイショウ)がそろって2%超下落するなど幅広い下落となった。新浪財経は、米イランの攻撃応酬が続くなかで原油相場が高止まりし、トランプ米大統領の発言も重荷になったと伝えた。なお、米国市場の取引を踏まえたハンセン指数ADR参考値(智通財経調べ)は香港引け値より0.78%高い25,508.02で推移しており、翌営業日の値動きを占う材料として注目される。

本土(上海+0.02%・CSI300+0.10%)は3日ぶりに反発した一方、香港(ハンセン-0.39%・ハンセンテック-1.08%)は続落し、方向性が分かれた。前回(9/2)は本土・香港とも下落方向が一致していたが、本日は本土で中古住宅市況の回復期待や銀行株への利益確定売りの一巡が支えとなった一方、香港はテック株中心の幅広い下落が続き、中東情勢という共通の重荷への感応度に差が出た形となった。 出典: 財経新聞(本土)、財経新聞(香港)

3. 当局・政策の動き

  • 人民銀行(PBOC): ローンプライムレート(LPR)は8月20日公表分(1年3.0%・5年超3.5%)から変更なく、15カ月連続据え置きが続いている(次回改定は9月22日予定)。本日新たな金融政策の発表は確認できなかった。決定済みの現状維持。
  • 不動産政策の効果とみられる動き: 8月28日公表の住宅ローン最長期間延長(30年→40年)・プレセール(予約販売)住宅向け融資の実行タイミング後ろ倒しという制度改革を受け、8月の主要都市で中古住宅販売が上向く兆しがあったと報じられた(北京は前年比6カ月連続プラス、上海は直近5年で最高、深センは前月比12%増)。単月の統計であり、制度改革の効果が定着したかは今後の推移を見る必要がある。
  • 国務院・証監会: 本日新たな景気対策・財政出動・証券制度の発表は確認できなかった。 出典: 新浪財経(港股)、財経新聞(本土)

4. 経済指標

中国8月のRatingDog(旧財新)サービス業PMIは51.4(前月50.4から上昇)となり、市場予想50.6を上回った。総合産出指数は7月の50.8から52.1に上昇し、新規受注は44カ月連続の拡大、雇用は4カ月連続の拡大と2023年以来最長の増加期間となった。投入コストは18カ月連続で上昇したものの、サービス価格の上昇は3カ月連続にとどまり、いずれも上昇幅は緩やかだったと華爾街見聞は伝えた。一方、既報の通り国家統計局の非製造業PMI(8月分)は49.0(サービス業の活動指数は49.3)であり、公式統計と民間統計(RatingDog)の乖離は本日も継続している。国家統計局の製造業PMI・RatingDog製造業PMI(いずれも8月分、51.5で9カ月連続拡大圏)についても新たな動きは確認できなかった。9月3日時点で新たな月次経済指標の発表は確認できなかった。

5. 不動産・地方債務

8月の主要都市の中古住宅販売動向が公表され、北京は前年比6カ月連続のプラス、上海は直近5年で最高、深センは前月比12%増となるなど回復の兆しが報じられた(新浪財経)。8月28日公表の住宅ローン・プレセール融資制度改革の効果が統計に表れ始めたとの見方もあるが、単月の統計であり基調転換と断定するには時期尚早である。恒大地産(恒大集団の不動産子会社)の破産清算は8月21日に広州市中級人民法院が正式受理しており、債権者は2026年11月21日までに「e破通」システムを通じて債権届出を行う必要がある。本日新たな進捗の発表は確認できなかった。

6. 米中関係と注目銘柄

米中間の半導体輸出規制・関税を巡る新たな決定は、本日時点で確認できなかった(現状の措置が継続)。

  • テンセント: 米国市場の取引を踏まえたADR参考値(智通財経調べ)は香港引け値より0.38%高い439.856香港ドルで推移し、他の主要銘柄が軟調ななかでも底堅さを見せた。
  • アリババ・小米(シャオミ)・網易(ネットイース)・快手(クワイショウ): 香港市場でいずれも2%超下落し、テック株が幅広く下落する展開となった。中東情勢を受けたリスク回避のなか、直近の株価上昇局面に対する利益確定売りが出やすい地合いが背景にあるとみられる。 出典: 智通ADR統計(Investing.com)、新浪財経(港股)

7. 強気派 vs 弱気派

強気派(バリュエーション・政策効果重視)

  • ゴールドマン・サックスは2026・2027年の中国株について年率15〜20%の上昇を予想し、A株・H株のオーバーウェイト(高配分)継続を提言している。企業収益は2026年14%・2027年12%の増益を見込み、AI応用・「走出去(海外進出)」・「反内巻(過当競争是正)」を成長ドライバーに挙げる。
  • 8月の主要都市の中古住宅販売回復や、RatingDogサービス業PMIの予想超えは、当局の内需下支え策が効果を出し始めているとの見方を後押しする材料として市場で意識された。

弱気派(地政学・地合いリスク重視)

  • 財経新聞・新浪財経は、9月3日の香港市場について中東情勢を巡る不透明感が重しとなり、米イランの攻撃応酬継続による原油高止まりとトランプ米大統領の発言が投資家心理を圧迫したと伝えた。
  • テック株(小米・アリババ・網易・快手など)の幅広い下落は、直近の株価上昇局面に対する利益確定売りが出やすい地合いが続いていることを示すとの見方がある。
  • 香港の売買代金がおよそ4カ月ぶりの低水準に落ち込んだことは、方向感を欠く様子見ムードの強まりを示唆する。

バリュエーション論(ゴールドマンらの増益予想・政策効果を根拠とした強気論)と、地政学・地合いリスク論(中東情勢の長期化、テック株の利益確定売り)は、引き続き分けて捉える必要がある。

8. テクニカル分析

上海総合指数は、50日移動平均(単純)3,937.33・200日移動平均(単純)3,894.79に対し、終値3,942.09はいずれの移動平均線も上回る水準で推移しており、中期的な上昇トレンドの範囲内にあるとされる。14日RSIは45.36程度でニュートラル(中立)の範囲。ピボットポイント(クラシック方式)ではサポート1が3,931.82、レジスタンス1が3,959.75と算出されている。 ハンセン指数は、50日移動平均(単純)25,433.90・200日移動平均(単純)25,555.43に対し、終値25,213.31はいずれの移動平均線も下回る水準で推移しており、テクニカル指標の集計では「売り」優勢とされる。14日RSIは44.43程度で、投資判断の目安としては「売り」寄りの水準とされる。ピボットポイントではサポート1が25,155.84、レジスタンス1が25,262.34と算出されている。 南向資金(香港ストックコネクト経由)・AH株プレミアム指数の9月3日単日の確定値は、本日は確度の高い出典をもって確認できなかったため、次回改めて確認する。前回(9月2日)時点では、CATL(寧徳時代)のH株がA株に対して2割超のディスカウントとなるなど、値がさ・グロース株中心にH株がA株より割安な銘柄が見られていた。 出典: Investing.com(上海総合テクニカル)、Investing.com(ハンセン指数テクニカル)

9. 本日の注目点

  • 9月22日に予定される次回LPR改定に向けた人民銀行の金融政策スタンス。
  • 8月の中古住宅販売回復の兆しが、9月以降も統計として定着するか(8月28日の住宅ローン・プレセール融資制度改革の効果検証)。
  • 恒大地産の破産清算手続き(2026年11月21日の債権届出期限に向けた進捗)。
  • 中東情勢(米イラン軍事的緊張)の長期化が、原油高・地政学リスクを通じて中国株、とくに香港市場に与える影響の継続性。
  • 香港のテック株(小米・アリババ・網易・快手など)の下落一巡・反発のタイミング。米国市場を踏まえたハンセン指数ADR参考値が香港引け値を上回っていた点も参考材料。
  • 本レポート作成時点で、9月4日固有の決算発表・政策会合の確定情報は確認できなかった。