前回からの変化

変わったこと(変化・新規)

  • 地政学リスクによる全面安から一転して反発(新規): 前回(9月3日分、9月2日の取引)はイラン再空爆を受けビットコイン・イーサリアムなど暗号資産が全面安となったが、本日(9月3日の取引)はFRB理事のハト派発言も追い風となり反発した。ビットコインは朝方のおよそ7万7,300ドル圏から日中一時8万1,000ドル台まで上昇し、200日・50日EMA(指数移動平均線)を上回る強気の値動きとなった(Yahoo Finance、Cryptonomist)。
  • イーサリアムが2,400ドルの節目を回復(新規): 前回はおよそ2,370〜2,420ドル圏まで下落し2,400ドルを割り込んでいたが、本日はおよそ2,500ドル前後まで反発し(24時間+2.6%程度)、節目を回復した。
  • ソラナ・XRPが急反発(新規): 前回100ドルを割り込んでいたソラナ(SOL)は、本日およそ105ドルまで反発した(24時間+5.96%)。リップル(XRP)は24時間で9.4%急伸し、アルトコイン全体への資金流入が強まった(Hokanews、CoinGecko)。
  • DTCC経由のトークン化株式・国債の「本番」取引が判明(新規・社会実装): JPモルガン、ブラックロック、ゴールドマン・サックスなど50社超が参加するDTCC(米証券保管振替機関)のトークン化サービスで、7月から実際の本番取引(production trades)が始まっており、10月に商用フル稼働の予定であることが明らかになった(The Block)。
  • Bitfinex Securitiesがビットコイン財務会社連動のトークン化証券を上場(新規・社会実装): ストラテジー、メタプラネットなどの株式に連動するトークン化ノート5銘柄が9月1日から取引開始し、規制対象のトークン化証券取引所での流通は初とされる(crypto.news)。
  • TD Cowenがビットコイン年末目標を大幅下方修正(新規): 同社は年末目標を14万1,277ドルから9万7,500ドルへ引き下げた。もっとも9万7,500ドルは足元の水準からなお約25%の上昇余地を意味し、方向性としては強気を維持している(CryptoBriefing)。
  • SECが取次代理人(トランスファーエージェント)規則の40年ぶり見直しを提案(新規): ブロックチェーンをオンチェーン記録として認める内容を含み、トークン化証券への対応を意識した制度整備が進んでいることが判明した(CoinDesk)。
  • SECが24時間取引ラウンドテーブルの議題・パネリストを正式発表(続報): 前回時点では9月17日開催の予定のみだったが、本日ブラックロック、ナスダック、シタデル・セキュリティーズ、チャールズ・シュワブ、シティなどの参加者リストが確定したことが分かった(CoinDesk)。

昨日と同じこと(継続)

  • CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は、上院で9月15日に討論終結(クローチャー)の手続き採決が予定されたまま日程に変化はない。政府倫理・利益相反条項、法執行・不正資金対策(AML)条項、ステーブルコインの利回り・報酬の扱いという3つの論点で民主党との溝が埋まらず、成立の見通しは厳しいままである(CNBC)。
  • Injectiveのエクスプロイト疑惑、テザーのUSDT凍結を巡る提訴について、本日新たな続報は確認できなかった。
  • ビットコイン現物ETFの資金フロー(9月1日時点で2億3,646万ドルの純流出)について、本日新たな更新は確認できなかった。
  • 日本の金融庁による暗号資産の金商法移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。
  • 世界21金融機関によるドル建てステーブルコイン新会社設立(2027年上半期稼働目標)について、本日大きな進展の追加は確認できなかった。

要因の連続性

  • 継続要因: FRBの金融政策運営を巡る不透明感(9月の会合を控えた見方の対立)自体は解消しておらず、相場のボラティリティ要因として引き続き働いている。CLARITY法案の議会停滞も継続要因。
  • 新規要因: FRB理事のハト派発言が本日の反発の主因として新たに加わった。加えてDTCCのトークン化本番取引開始、Bitfinex Securitiesのトークン化証券上場、チャールズ・シュワブのアルトコイン取扱拡大観測が、実需・機関マネー流入を示す新規材料として加わった。
  • 解消した要因: 前回下落の主因だった米国のイラン再空爆への即時的な警戒(パニック的な売り)は、新たな軍事的エスカレーションの報道がない中で後退し、株式・原油相場と同様にリスクオン方向への揺り戻しにつながった。

価格サマリー

取得時点: 日本時間2026年9月4日未明(米国9月3日木曜の取引データに基づく。日中の値動きが大きく、時点により数値差がある)。

銘柄 価格(ドル建て) 24時間騰落率
ビットコイン(BTC) 朝方およそ7万7,300ドルから日中一時8万1,000ドル台まで上昇 およそ+4〜5%(算出時点により差あり)
イーサリアム(ETH) およそ2,500ドル前後 およそ+2.6%
ソラナ(SOL) およそ105ドル(100ドル台を回復) およそ+5.96%
リップル(XRP) 1.38ドルの7日移動平均線を上回る水準 およそ+9.4%

出典: Yahoo Finance、Cryptonomist、Hokanews、CoinGecko

銘柄別動向

ビットコイン(BTC)

木曜(9月3日)は朝方およそ7万7,310ドルで始まり前日比-0.1%とほぼ横ばいだったが、その後FRB理事のハト派的な発言を受けて買いが優勢となり、日中一時8万1,000ドル台まで上昇した。米国によるイラン目標への空爆自体は前回から続く警戒材料だが、新たなエスカレーション報道がなかったことも相場の落ち着きにつながった。テクニカル面では200日・50日EMA(指数移動平均線)を上回る強気の値動きとなっている一方、日足MACDのヒストグラムはマイナス圏で上昇モメンタムの鈍化を示唆している(Yahoo Finance、Cryptonomist)。

イーサリアム(ETH)

木曜の始値はおよそ2,391ドル(前日比-1.1%)とやや軟調にスタートしたが、ビットコインと同様に日中に切り返し、およそ2,500ドル前後まで上昇(24時間ベースでおよそ+2.6%)。前回割り込んでいた2,400ドルの節目を回復した形である(Yahoo Finance)。

その他アルトコイン

  • ソラナ(SOL): 前回100ドルを割り込んでいたが、本日はおよそ105ドルまで反発した(24時間+5.96%)。チャールズ・シュワブが自社の暗号資産取引プラットフォームにソラナ・アバランチ・チェーンリンクを追加すると発表して以降、機関マネーによる需要拡大への期待が続いている(CoinGecko)。
  • リップル(XRP): 24時間で9.4%急伸し、7日移動平均線(およそ1.38ドル)を上回る水準まで上昇した。RSI(14日)は58.68と、買われすぎとされる70には達していない。取引量も前日比+7.66%増加し、アルトコイン全体への資金シフトを示すCoinMarketCapのアルトコインシーズン指数も上昇した(Hokanews)。

出典: CoinGecko、Hokanews

強気派 vs 弱気派

強気派

  • TD Cowenのアナリスト、ランス・ヴィタンザ氏はビットコインの年末目標を14万1,277ドルから9万7,500ドルへ引き下げたが、これでも足元水準からおよそ25%の上昇余地を意味し、方向性としては強気を維持している(CryptoBriefing)。
  • テクニカル分析では、ビットコインが7万6,500〜7万7,000ドル圏で下げ止まった後8万ドルを回復し、8万1,000〜8万2,000ドル圏を継続的に上抜ければ強気シナリオが有力になるとの見方が示されている(Cryptonomist)。
  • 前回既報のスタンダードチャータード(ジェフ・ケンドリック氏、年末10万ドル)、ファンドストラット(トム・リー氏、20万〜25万ドル)、JPモルガン(15万〜17万ドル、ETF資金フロー回復が根拠)といった強気予想は、本日の反発局面でも修正の報道は確認できなかった(CoinGecko)。

出典: CryptoBriefing、Cryptonomist、CoinGecko

弱気派

  • シティグループは2026年の基本シナリオを8万2,000ドル、弱気シナリオを5万3,000ドルとする見方を据え置いている(ETF純流入をゼロと想定する保守的な前提、前回既報)(CoinGecko)。
  • 2026年入り後、主要な予想機関(シティ、スタンダードチャータード、バーンスタインなど)の目標は総じて年初来「弱気方向」に修正されてきたとの分析があり、TD Cowenの今回の下方修正もこの流れに沿う(CoinGecko、CryptoBriefing)。
  • テクニカル面では、日足MACDのヒストグラムがマイナス転換し上昇モメンタムの鈍化を示しているほか、一部の分析ではRSI(14日)がすでに買われすぎ圏に近い水準にあるとの指摘もあり、7万5,000ドル台を割り込めば弱気シナリオが現実味を帯びるとされる(Cryptonomist)。

出典: CoinGecko、CryptoBriefing、Cryptonomist

社会実装ニュース

  • DTCC経由でトークン化株式・国債の本番取引が進行中(本番運用): 米証券保管振替機関(DTCC)の「DTCトークナイゼーション・サービス」で、JPモルガン、ブラックロック、ゴールドマン・サックス、バンガードなど50社超が参加し、ラッセル1000構成銘柄や主要ETF、米国債のトークン化商品について7月から実際の本番取引(production trades、実証実験ではなく本稼働)が行われている。10月には商用フル稼働が予定されている(The Block)。
  • Bitfinex Securitiesがビットコイン財務会社連動のトークン化証券を実際に上場(本番運用): ストラテジー、メタプラネット、スウェーデンのH100グループ、フランスのキャピタルBといった上場ビットコイン財務会社の株式に連動するトークン化ノート5銘柄が、9月1日からビットコインのライトニングネットワーク系決済基盤「Liquid Network」上で実際に取引開始した。最低1ドルからの端株購入が可能で、規制対象のトークン化証券取引所での二次流通は初とされる(crypto.news)。
  • なお、フィリピンの大手銀行BPI(バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ)が、出稼ぎ労働者・フリーランサー向けの海外送金をステーブルコイン経由で受け取り、ペソに変換して着金させる実証実験を進めている案件は、本日新たな進展の確認はできなかった(実証段階、続報なし)。

法改正・規制ニュース

米国

CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)は、上院で9月15日に討論終結(クローチャー)の手続き採決が予定されたまま日程に変化はない。政府倫理・利益相反条項、法執行・不正資金対策(AML)条項、ステーブルコインの利回り・報酬の扱いという3つの論点で民主党側との溝が埋まらず、成立の可能性はかなり厳しいとの見方が強まっている(CNBC)。

一方でSECは、議会の停滞を尻目に独自の規則整備を進めている。9月1日には、登録された取次代理人(トランスファーエージェント)に関する規則について約40年ぶりとなる大幅な見直し案を提案した。ブロックチェーンを正式な取引記録として利用することを認める内容を含み、株主の氏名・住所に代えてデジタルウォレットアドレスなどの識別子を使えるようにするかどうかも論点となっている。コメント期間は60日間の予定である(CoinDesk)。

またSECは、9月17日に開催予定の「24時間取引に向けた準備」に関するラウンドテーブルの議題とパネリストを正式発表した。ブラックロック、ナスダック、ニューヨーク証券取引所、シタデル・セキュリティーズ、チャールズ・シュワブ、シティ、ジェーン・ストリート、ステート・ストリート、Cboe、DTCC、ロビンフッドなどが参加する予定である(CoinDesk)。

日本

前回既報の金融庁による暗号資産の金融商品取引法(金商法)移行に向けた制度整備について、本日新たな進展の確認はできなかった。

テクニカル分析

ビットコイン(BTC)

9月3日時点の分析では、価格は200日EMA(指数移動平均線、およそ7万2,100ドル)・50日EMA(およそ7万600ドル)・20日EMA(およそ7万5,000ドル)をいずれも上回っており、中期的な強気の値動き構造が続いているとされる。もっとも日足RSI(14日)は分析によって差があり、ある集計では66台で「強気だが買われすぎではない」水準、別の集計では73台まで上昇し「買われすぎ」に近いとの指摘もある。日足MACDのヒストグラムはマイナスに転じており、価格構造は強気を保ちつつも上昇の勢い自体は鈍化しているとの見方がある。上値では8万1,000〜8万2,000ドル圏の継続的な上抜けが強気シナリオの条件とされ、下値では7万6,500〜7万7,000ドルを割り込むと弱気シナリオが現実味を帯びるとされる。Fear&Greed指数(市場心理)は集計によって49〜65までばらつきがあり、中立からやや強気寄りの範囲にとどまっている(Cryptonomist)。

イーサリアム(ETH)

前回サポートとされていた2,400ドルを本日は回復し、2,500ドル前後まで上昇した。前回時点で意識されていたレジスタンス(2,555ドル)への接近を試す展開が引き続き注目される。具体的なRSI等の最新の技術指標について、本日確認できる出典は見つからなかった。

業界トピック

  • チャールズ・シュワブがソラナ・アバランチ・チェーンリンクの取扱いを拡大: 3,990万件のブローカレッジ口座と13兆ドル超の顧客資産を抱える米大手証券会社チャールズ・シュワブは、暗号資産取引プラットフォーム「Schwab Crypto」でビットコイン・イーサリアムに加え、ソラナ(SOL)・アバランチ(AVAX)・チェーンリンク(LINK)の取扱いを数か月以内に開始すると発表しており、本日のアルトコイン高の背景要因の一つとみられている(発表自体は8月27日、価格への影響が継続)。
  • TD Cowen、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の目標株価も下方修正: ビットコイン年末目標の引き下げに伴い、ビットコイン保有大手ストラテジーの目標株価を400ドルから260ドルへ引き下げた。買い推奨は維持しており、資本政策の見直し自体は「前向き」と評価している(CryptoBriefing)。
  • Injectiveのエクスプロイト疑惑、テザーのUSDT凍結を巡る訴訟(いずれも前回既報)について、本日新たな続報は確認できなかった。

出典: CryptoBriefing