前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- エヌビディアが、AIモデル共有プラットフォームを運営するハギングフェイスを約129億ドル(現金・株式)で買収すると正式発表した。ハギングフェイスは300万件のモデル・100万件のアプリケーション・1800万人超の開発者を抱え、エヌビディアにとっては昨年12月のグロック資産買収(200億ドル)に次ぐ規模の買収となる。ジェンスン・フアンCEOはオープンソース・オープンウェイトモデルの支援継続を約束した。株価は買収報道を受け日中一時4%超上昇する場面もあったが、正式発表後は伸び悩み小幅な反応にとどまった(NVIDIA Blog)。
- 米国株3指数は前回の反発(+0.5%前後)からさらに上昇が加速した。S&P500は7,666.60ドル→7,747.71ドル(+81.11、+1.06%)、ナスダック100は29,143.33→29,482.32(+338.99、+1.16%)、NYダウは53,061.95→53,686.11(+624.16、+1.18%)で引けた。ラッセル2000も+1.1%とアウトパフォームした(The Motley Fool)。
- 前回、決算後の時間外取引で3.56%下落したブロードコムは、本日の通常取引でもさらに2.75%下落し357.16ドルとなった。通期AI半導体目標の据え置きへの失望が2営業日連続で株価の重しとなっている(The Motley Fool)。
- スノーフレークが決算を発表し、売上高は前年比35%増の15.5億ドル(予想14.8億ドル)、調整後EPS0.62ドル(予想0.45ドル)といずれも大幅に上振れ、通期売上高見通しを約60.7億ドルに引き上げた。AIコーディングエージェント「CoCo」の採用拡大が成長を牽引し、株価は22%急伸した(新規)。
- FRBのウォラー理事が、8月のインフレ指標(9/11発表)で改善が続けば9月FOMCでの利上げを見送り現状維持を支持する考えを示した。前回のバー理事の利上げ支持発言とは対照的で、先週のウォーシュ議長の「インフレ改善は不十分」との発言とも異なるハト派寄りのトーンとなった(CNBC)。
- 長期金利は前回一時付けた4.818%(2023年11月以来の高水準)から4.75%前後へ低下し、ドル指数は99.5超から99.4近辺、5月以来の安値水準へ下落した。ドル円は前回の160円近辺から157円台まで急伸し、円が主要通貨の中で最も強い動きとなった(Bloomberg)。
- ISM非製造業(サービス)景況指数(8月分)は55.4%と、7月の54.1%から1.3ポイント改善した(前回「本日発表予定」としていたもの)。新規受注指数は60.9%(前月比+3.7pt)、企業活動指数は61.7%(同+2.6pt)と強含んだ一方、雇用指数は47.8%と2カ月連続の悪化となった(PR Newswire)。
- 新規失業保険申請件数は20.6万件(予想20.5万件、前週改定20.4万件)とわずかに増加したが、依然として歴史的低水準にとどまった(Washington Times)。
- 7月の貿易収支(財・サービス)は約890億ドルの赤字となり、6月の712億ドルの赤字から拡大したが、予想(900億ドル程度の赤字)よりは小幅にとどまった(新規)(Yahoo Finance)。
- テクニカル面で、S&P500・ナスダック100・NYダウの3指数がそろって50日線・200日線の両方を上回る配置に転じた。前回はナスダック100・NYダウが両線を下回るレンジだったため、地合いの好転を示すシグナルとなった。
- VIX(恐怖指数)は前回の15.20から14.32へ低下し(前回までの上昇から反転)、Fear & Greed指数もおおむね横ばいの33前後(恐怖)で推移した。
- 米国のトム・リー氏(ファンドストラト共同創業者)が、FRBが金利を据え置けば9月相場は「非常に強い」ものになり得るとの新たな強気見通しを示した(新規)(Yahoo Finance)。
- ゴールドマン・サックスが、S&P500が高値圏にある局面でのモメンタム急騰は、1998年半ば・1999年末・2015年半ば・2021年末のいずれも、その後数カ月間の軟調な株価推移につながったとの過去分析を示し、新たな警戒材料として提示した(ただし業績予想の上方修正を伴う点は過去局面と異なるとも付言している)(新規)(Investing.com)。
- 米軍がイラン沿岸に停泊中のイラン政府系タンカー2隻を無人機ミサイルで攻撃し、革命防衛隊(IRGC)関連の防空・レーダー・機雷敷設・対艦ミサイル関連拠点など約100カ所が攻撃を受けたと報じられた。ホルムズ海峡での緊張が新たな段階に入った(新規)。
昨日と同じこと(継続)
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI強気姿勢(テック株はなお15%の上値余地)は継続。
- ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ、テクニカルストラテジスト)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒姿勢は継続。
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン)の戦術的弱気(S&P500が高値から約10%調整するリスク)は継続。
- ホルムズ海峡での地政学リスク・原油高基調は継続(本日は米軍のタンカー攻撃という新展開が加わった)。
- 半導体関税拡大の検討(ノートパソコン・ゲーム機・データセンターサーバーへの対象拡大案)は進展の確認ができず、継続中。
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡の地政学リスクと原油高、AI関連設備投資への強い期待(決算シーズンの上振れ続き)、半導体関税拡大の検討はいずれも継続。
- 新規要因: (1) エヌビディアのハギングフェイス買収という新たな強気材料が加わった、(2) FRBウォラー理事のハト派発言による長期金利低下・ドル安が新たな支援材料となった、(3) 米軍によるイラン政府系タンカー攻撃という地政学的エスカレーションが新規に加わった、(4) ゴールドマン・サックスの「モメンタム急騰後の軟調」警鐘という新たな弱気材料が加わった。
- 解消した要因: 前回強まっていた「FRB高官がタカ派一辺倒」との見方は、ウォラー理事のハト派寄り発言により後退した。
1. 市況サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,747.71 | +81.11 | +1.06% |
| ナスダック100 | 29,482.32 | +338.99 | +1.16% |
| NYダウ | 53,686.11 | +624.16 | +1.18% |
(取得時点: 2026-09-03 米国市場引け。参考値としてナスダック総合指数は26,584.06(+367.30、+1.40%)、ラッセル2000は+1.1%。 出典: The Motley Fool)
2. 指数別動向
S&P500
7,747.71(+1.06%)で引け、2営業日連続の上昇となった。長期金利の低下を追い風に主要セクターが幅広く買われた一方、情報技術セクター(XLK)はソフトウェア・サービス株の軟調さから-1.5%となるなど、値がさのAI関連銘柄とそれ以外で明暗が分かれた。 出典: The Motley Fool
ナスダック100
29,482.32(+1.16%)。エヌビディアはハギングフェイス買収発表を受けて堅調に推移し、スノーフレークの決算急伸(+22%)も指数を押し上げた。半面、ブロードコムは決算後の下落が続き(-2.75%)、ソフトウェア株全般もさえない値動きだった。 出典: The Motley Fool
NYダウ
53,686.11(+1.18%、+624.16ドル)で引けた。エネルギー株や金融株の一角が上げをけん引し、ラッセル2000も+1.1%と小型株優位の物色が見られた。 出典: The Motley Fool
3. 強気派 vs 弱気派
強気派(ブル)
- トム・リー氏(ファンドストラト共同創業者): FRBが9月に金利を据え置けば、9月相場は「非常に強い」ものになり得ると指摘。S&P500の年末目標8,200ドルについても「低すぎるかもしれない」とし、堅調な企業業績見通しを根拠に挙げた(新規)(Yahoo Finance)。
- ダン・アイブス氏(ウェドブッシュ)のAI関連への強気姿勢(テック株はなお15%の上値余地)は継続。(継続)
弱気派(ベア)
- ゴールドマン・サックス(調査部): S&P500が高値圏にある局面でのモメンタム急騰は、1998年半ば・1999年末・2015年半ば・2021年末のいずれも、その後数カ月にわたる軟調な株価推移につながったとの過去分析を提示。ただし今回は業績予想(2026・2027年ともにEPS予想が年初来+8%)の上方修正を伴う点が過去局面と異なるとも付言した(新規)(Investing.com)。
- ポール・シアナ氏(バンク・オブ・アメリカ、テクニカルストラテジスト)の「マクロの逆風が強まっている」との警戒は継続。(継続)
- アンドリュー・タイラー氏(JPモルガン・チェース)の戦術的弱気(S&P500が高値から約10%下落し6,270近辺まで調整するリスク)は継続。(継続)
4. 経済ニュース
経済指標
- ISM非製造業(サービス)景況指数(8月分)は55.4%(7月54.1%から+1.3pt)。新規受注指数60.9%、企業活動指数61.7%と強含む一方、雇用指数は47.8%と2カ月連続で悪化した。 出典: PR Newswire
- 新規失業保険申請件数は20.6万件(予想20.5万件、前週改定20.4万件)。歴史的には引き続き低水準。 出典: Washington Times
- 7月の貿易収支(財・サービス)は約890億ドルの赤字(予想900億ドル程度の赤字、6月は712億ドルの赤字)で、赤字幅は拡大したが予想ほどではなかった。 出典: Yahoo Finance
政策
- FRBのウォラー理事が、8月分の消費者物価指数(9/11発表)でディスインフレの継続が確認できれば、9月FOMCでの金利据え置きを支持する考えを示した。先週のウォーシュ議長の利上げ含みの発言とは対照的なトーンとなった。 出典: CNBC
- 米軍がイラン沿岸のイラン政府系タンカー2隻を攻撃したと報じられ、ホルムズ海峡を巡る緊張が新たな段階に入った。トランプ大統領は追加攻撃があっても短期間にとどまるとの見方を示している。
注目された個別銘柄・決算
- エヌビディア: AIモデル共有プラットフォームのハギングフェイスを約129億ドルで買収すると発表。エヌビディアにとって過去2番目の規模の買収となる。 出典: NVIDIA Blog
- スノーフレーク: 売上高15.5億ドル(前年比+35%、予想14.8億ドル)、調整後EPS0.62ドル(予想0.45ドル)と大幅増収増益。通期売上高見通しを約60.7億ドルに引き上げ、株価は22%急伸した。 出典: The Motley Fool
- ブロードコム: 決算後の下落が2営業日連続となり、本日の通常取引でも2.75%下落し357.16ドルとなった。 出典: The Motley Fool
- ギットラボ: 四半期の非GAAP EPSが0.24ドルと予想を33%上回り、株価は10%上昇した。 出典: The Motley Fool
5. 金利・為替が株に効いた分
米長期金利(10年債利回り)は、FRBウォラー理事のハト派寄り発言を受けて前回の一時4.818%(2023年11月以来の高水準)から4.75%前後へ低下した。金利の低下がグロース株・大型テック株への買い戻しを支える一方、金融株にはやや逆風となる場面もあった。ドル指数(DXY)は99.5超から99.4近辺、5月以来の安値水準へ下落し、ドル円は前回の160円近辺から157円台まで急伸(円が主要通貨中で最も強い動き)。ドル安は米国の多国籍企業にとって海外収益をドル換算する際の目減りを抑える方向に働き、輸出関連銘柄への追い風として意識された。 出典: Bloomberg
6. テクニカル分析
S&P500
50日移動平均線(7,691.90前後)・200日移動平均線(7,663.74前後)をいずれも上回る配置となり、前回の「両線の間」のレンジから好転した。RSI(14日)は66.0とやや強含みで、買われ過ぎ入り口の水準に近づいている。目先の支持線は7,750ドル近辺、レジスタンスは7,756〜7,760ドル近辺が目安となる。 出典: Investing.com
ナスダック100
50日線(29,325.46前後)・200日線(29,217.30前後)をいずれも上回り、前回の「両線を下回る」展開から好転した。RSI(14日)は61.2で強含み。目先の支持線は29,500ドル近辺、レジスタンスは29,540ドル近辺が目安。 出典: Investing.com
NYダウ
50日線(53,320.41前後)・200日線(53,518.26前後)をいずれも上回り、こちらも前回の「両線を下回る」展開から好転した。RSI(14日)は68.9とやや過熱感のある水準。目先の支持線は53,660ドル近辺、レジスタンスは53,706ドル近辺が目安。 出典: Investing.com
センチメント指標(補助)
- VIX(恐怖指数): 14.32(前回15.20から低下)。緊張の高まりを受けたじわりとした上昇局面から反転した。
- Fear & Greed Index: 33前後(恐怖)。前回の35からおおむね横ばい。
7. 今夜の注目イベント
- 9/4(米国時間、日本時間今夜〜9/5未明): 8月分雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数は市場予想+5万〜6万人程度、失業率は4.1%で横ばいの見通し。7月分が前月比マイナス(-2.3万人)だったこともあり、9月FOMC(9/15〜16)での利上げ判断を左右する今週最大のイベントになる見通し。
- ホルムズ海峡情勢は、米軍によるイラン政府系タンカー攻撃を受けて緊張が新段階に入っており、追加の攻撃応酬・原油価格の動向を通じて相場を左右し得る継続的な注目材料。
- 9/7(月)は米国のレイバーデーで市場休場となるため、雇用統計への反応が持ち越される可能性がある点にも留意。

