前回からの変化
前回(2026-11-05、前日)との比較である。前回は、民主党が上下両院を制した直後で、市場は上昇していた。今回は、その市場の流れが反転した。
変わったこと(変化・新規)
- 米国株は前日の上昇から一転して急落した。ナスダックは4.8パーセント、エスアンドピー500は3.6パーセント、ダウ平均は2.8パーセント下げた。NVIDIAは8.2パーセント、マイクロンは約14パーセント下げた(Al Jazeera: AI stocks plunge)。
- 共和党内でイラン戦争の責任論が表に出た。ヴァンス副大統領は「負けた理由は戦争だ」と述べたと伝えられる(報道ベース。Al Jazeera: 同盟者が戦争から距離を置く)。
- 米司法省の公民権局長ディロン氏が辞任した。民主党の調査に備える動きとみられている(Al Jazeera: 公民権局長が辞任)。
- ウクライナ協議の日程が、前回の「11月前半」から「10日と11日、アブダビ」へ具体化した(報道ベース)。
- 新たに、イスラエルでは野党のアイゼンコット氏が67議席の支持を得る見通しとなった(Al Jazeera: イスラエル)。
昨日と同じこと(継続)
- 米国とイランの対立は続いている。イランは新たな攻撃への反撃が「地理的な制限なし」になると警告している(報道ベース)。
- ロシアとウクライナは、互いの施設への攻撃を続けている。
- 民主党が議会を握り、トランプ政権が議会から調査や法案阻止を受ける立場にある構図は、前回から続いている。
要因の連続性
- 継続要因: 中東の軍事的な緊張が、各国の政治と市場を揺らす構図は前回と同じである。
- 新規要因: 住民投票でデータセンターを制限する案が45件中39件で可決され、AI関連投資への政治的な逆風が加わった。前回の「政治の不確実さが和らいだ」という見方は、この点で後退した。
- 解消した要因: なし。
今日の要点
| 地域 | 出来事 | 日本への影響 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 米国株が急落、AI関連が主導 | 半導体株、円相場 | 5日の取引 |
| 米国 | 共和党内でイラン戦争批判 | 原油、中東情勢 | 発言(報道) |
| 欧州 | ウクライナ協議は10〜11日 | 対ロ制裁、エネルギー | 予定(報道) |
| 欧州 | G7外相会合がパリへ変更 | 日本の外交日程 | 会場変更 |
米国
市場の急落: 5日の米国市場は大きく下げた。ナスダックは4.8パーセント、エスアンドピー500は3.6パーセント、ダウ平均は2.8パーセントの下落である。AI関連株が主導し、データセンター事業者のコアウィーブは12パーセント超、ネビウスは17パーセント超下げた。住民投票では、AIデータセンターを制限する案が45件中39件で可決された。UBSの分析担当者は、2028年に計画されている米国のデータセンター増設の約3割が危うくなると警告した(Al Jazeera: AI stocks plunge)。
日本への影響: 日本の半導体関連株や、米国のAI投資に部材を納める企業の株価に波及する可能性がある(筆者の整理)。株価の動きそのものは日本株・米国株のカテゴリで扱う。
議会と政権: ヴァンス副大統領やクルーズ上院議員が、イラン戦争から距離を置く発言をしている。民主党のシューマー氏は、予算を握る議会の力で戦費を制限する意向を示した(いずれも報道ベース。Al Jazeera: 同盟者が戦争から距離を置く)。司法省の公民権局長ディロン氏は辞任した。後任は調査した範囲で確認できなかった(Al Jazeera: 公民権局長が辞任)。
日本への影響: 議会が戦費を絞れば、米国の対イラン政策が変わる可能性があり、原油とLNGの調達環境に関わる(筆者の整理)。
欧州
ウクライナ: 米国のメラニア・トランプ大統領夫人が、ロシアのドミトリエフ特使らとウクライナ議員団をホワイトハウスに招いた。ヘルソン州オレシキでの6日間の人道停戦が、延長されずに終わったと伝えられる。新たな米国仲介の協議は、10日と11日にアブダビで開かれる予定である(報道ベース。Al Jazeera: メラニア夫人の会合)。
日本への影響: 協議が進めば、対ロ制裁とエネルギー市場の見通しが変わりうる。決裂すれば、制裁の長期化と欧州のエネルギー不安が残る。
フランス: 物価高への抗議で約60万人が、全国約200か所のデモに参加した。G7外相会合の会場は、マルセイユからパリへ直前に変更された(報道ベース。Al Jazeera: フランスの抗議)。
日本への影響: G7外相会合に日本の外相が出席する場合、日程や警備に影響しうる。会合の議題は、調査した範囲で確認できなかった。
アジア・オセアニア
中国・台湾・朝鮮半島、インド、東南アジア、豪州について、日本に直接影響する新たな動きは、今回の調査では確認できなかった。なお、米国は5日、イランの石油取引を助けたとして、インドの個人・企業とトルコの企業を制裁した。インド側の企業が関わるため、インドを経由する取引を持つ日本企業は、取引先の確認が必要になる場面がありうる(筆者の整理。Al Jazeera: 米国がインド・トルコ企業を制裁)。
中東・アフリカ・中南米
イラン: 最高指導者ハメネイ師は、米国の選挙結果で敵対が終わるわけではないと警告した。イランの軍関係者は、米国の攻撃に基地を提供する湾岸諸国も標的になりうると述べ、アラブ首長国連邦とバーレーンの名を挙げたと伝えられる(いずれも報道ベース。Al Jazeera: ハメネイ師の警告)。米財務省は、イランの石油収入を断つ作戦を続けており、イランの物価上昇率は約90パーセントとしている。
日本への影響: 日本は原油とLNGの多くを中東に頼る。湾岸諸国が標的になりうるという警告は、調達と海運の不安材料である。ホルムズ海峡の最新の通航状況は、今回の調査では確認できなかった。
イスラエル: 先週の総選挙を受け、アラブ系政党がアイゼンコット氏を支持し、同氏は120議席中67議席の支持を得る見通しとなった。ネタニヤフ首相の陣営は53議席である。ヘルツォグ大統領が、組閣を任せる人物を選ぶ(報道ベース。Al Jazeera: イスラエル)。
日本への影響: 政権交代となれば、中東和平やガザをめぐる日本の外交の前提に影響しうるが、現時点で具体的な変化は示されていない。
シリアとサウジアラビア: シリアのシャラア大統領とサウジの皇太子が、防衛協力の協定に署名し、サウジは4億300万ドルの融資を決めた。紅海の航行の安全にも触れた(Al Jazeera: シリアとサウジ)。日本への直接の影響は小さいとみられるが、紅海航路の安定に関わる。
国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き
日本への影響を書ける国際機関の新規の動きや、日本を名指しした海外の発言・措置は、今回の調査では確認できなかった。英国中銀の政策金利の結果も、今回の調査では確認できなかった(中央銀行の決定は経済指標カテゴリの担当)。
今後数日の注目日程
- 11月6日(金): 米国の10月雇用統計(前回レポートの日程)
- 11月7日(土): ニュージーランドの総選挙(前回レポートの日程)
- 11月8〜11日: ベトナムのトー・ラム書記長が来日(前回レポートの日程)
- 11月10〜11日: 米国・ロシア・ウクライナの協議がアブダビで開催の予定(報道ベース)
- やや先の予定: 11月18〜19日にAPEC(深圳)、12月14〜15日にG20首脳会議(マイアミ)

