前回からの変化
前回(2026-11-02、前日)との比較である。前回はG20外相会合の結果、OPEC+の据え置き、中間選挙の直前情勢が中心だった。今回は、その続報と、日本の産業に直結する欧州・アジアの動きが加わった。
変わったこと(変化・新規)
- 前回、カタールが仲介し、イランが停戦を先に求めていた構図に、米イスラエルの足並みの乱れが加わった。トランプ氏とネタニヤフ氏が1日未明までに電話し、攻撃再開の時期をめぐって意見が分かれたと報じられた(Axios、Times of Israel)
- 前回はなかった、日本の産業に直結する動きが出た。EVの優遇策から日本製を除く独仏合意への日本政府の対応と、日台の貿易協定の報道である
- 中間選挙の直前の情勢は、前回の世論調査の平均から、最終のニューヨーク・タイムズ/シエナの調査へ進んだ。民主党は接戦の上院7議席すべてでリードしていると報じられた(Forbes)
昨日と同じこと(継続)
- カタールの仲介によるイランとの協議は、2日で3日連続になった。米国とイランの直接交渉を取り戻す合意を探っている(Times of Israel)
- 中間選挙は3日に投開票される。民主党が下院で優位とみられる点は前回から変わらない
要因の連続性
- 継続要因: 中東情勢が原油価格と各国の政治を揺らす構図。生活費の高騰が米国の選挙の争点になっている点も変わらない
- 新規要因: トランプ氏が「それほど急いでいない」と述べ、交渉を見極める姿勢を示した。2日の原油の急落につながった。EUの産業政策が日本企業に直接及ぶ段階に入った
- 解消した要因: 前回あった「中間選挙前に攻撃が再開されるのではないか」という懸念は、トランプ氏が3日の投票前には攻撃しないと述べたため、いったん後退した(ただし選挙後の攻撃は否定されていない)(Radarcell)
今日の要点
| 地域 | 出来事 | 日本への影響 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 中東 | トランプ氏とネタニヤフ氏が攻撃再開の時期で不一致 | 原油・LNGの調達とホルムズ海峡の通航 | 報道ベース |
| 欧州 | 日本製を除くEVの優遇策の修正が難航 | トヨタ、ホンダ、日産、スズキなどの欧州での販売 | EU内で審議中 |
| アジア | 日本と台湾が年内の包括的な貿易協定をめざす | 経済安全保障、半導体の供給網、対中関係 | 交渉中(報道) |
| 米国 | 3日に中間選挙。最終の世論調査で民主優位 | 円相場、通商政策、対イラン政策 | 投票は3日 |
米国
中間選挙: 3日に投開票される。フォーブスによると、ニューヨーク・タイムズ/シエナの最後の調査で、民主党は接戦の上院7議席すべてでリードし、ミシガン州では2桁の差だった。民主党が下院の過半数を握る可能性が高い一方、上院の行方ははっきりしない。予測市場のカルシでは、民主党が下院を取る確率は93.9パーセントとされる(2日時点。市場の予想であり結果ではない)(Forbes)。
日本への影響: 議会の構成が変わると、対イラン政策や関税・予算の運びが変わりうる。結果は日本時間4日の午後に判明する見込みで、東京市場は3日が文化の日で休場のため、市場の反応は4日以降になる。
欧州
EUの電気自動車(EV)優遇策と日本車: ドイツとフランスは10月16日、EUが検討するEV優遇策で合意した。補助金や税の優遇を受ける条件に、EU域内での組み立てと一定割合の欧州製部品の使用を求める内容で、日本などで作られた車は対象外になる。ハイブリッド車も対象とされる。年内にも欧州議会で採決される見通しと報じられている(日本経済新聞)。
高市早苗首相は28日、ドイツのメルツ首相との会談で、日本製を除く案に強い懸念を伝え、修正を求めた。日本経済新聞は、独仏の足並みがそろい、EUの交渉上の立場も固まっているため、修正の壁は高いとみている(日本経済新聞: 修正の壁高く)。最終的な採決の時期は、確認できた範囲では特定できなかった。
日本への影響: 案がそのまま決まれば、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキなどの日本メーカーは、欧州での販売減が避けられないと報じられている。現地生産の拡大や、部品の調達先の見直しが、企業の対応として論点になる(筆者の整理)。
アジア・オセアニア
日台の貿易協定: 日本経済新聞(日経アジア)によると、日本と台湾は、年内に幅広い貿易協定に署名する可能性がある。台湾の頼清徳政権と、2023年に英国と台湾が結んだ「強化された貿易パートナーシップ」を手本にした協定を協議している。分野は、経済の強靱性とイノベーション、災害リスクの軽減(ドローンの活用を含む)、デジタル貿易、貿易の円滑化、持続可能性の5つである。台湾の林佳龍外交部長は、前向きな姿勢を示した。日台の協力はすでに約100の取り決めがあり、半導体の投資も大きい(Taipei Times)。報道ベースで、署名の日付は決まっていない。中国の公式の反応は、記事では確認できなかった。
日中関係: 高市首相と習近平国家主席の会談は、18〜19日の深圳でのAPECで実現するかが焦点だが、日本側が求めた首脳会談を北京が断り、代わりに李強首相との会談を示したと、韓国紙が伝えている(10月上旬の報道で、その後の進展は確認できていない。The Kyunghyang Shinmun)。日台の協定は、北京の反発を招く可能性がある。
日本への影響: 半導体など重要な供給網の安定に直結する一方、台湾との関係を深めることで、日中関係の冷え込みが一段と深まるおそれがある(筆者の整理)。
中東・アフリカ・中南米
米国のイラン政策: アクシオスなどによると、トランプ氏は1日の電話で、ネタニヤフ氏と、イランとの交渉をめぐる次の動きを率直に話し合った。ネタニヤフ氏は、3日の中間選挙の直後に攻撃を再開するよう求めたが、トランプ氏は交渉の行方を見守る姿勢で、「それほど急いでいない」「交渉はうまく進んでいる」と記者団に述べたと報じられた。トランプ氏は、交渉の再開と、選挙後の大規模な作戦の再開に備える準備の、二つの道を並行して進めているとされる。2日には、カタールの仲介者がイランの当局者と3日連続で会い、ホルムズ海峡を再開する「2日間の案」などを詰めているという(いずれも報道ベース。Axios、Times of Israel、Radarcell)。
日本への影響: 日本は原油・LNGの多くを中東に依存しており、2日にWTI原油が7パーセント超下落したのも、この交渉への期待が背景にある。選挙後に攻撃が再開されれば、再び供給不安が強まる可能性がある。為替・株・原油の反応は、それぞれfx、us_stock、commodityを参照。
国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き
ウクライナの和平協議: ゼレンスキー大統領は10月25日、ウクライナ、ロシア、米国の3者協議を11月に開くと明らかにした。プーチン大統領は11月10日以降の再開に「原則として」同意したとされる。クレムリン側は、戦争後のロシアとウクライナの安全保障の仕組みづくりが議題だと説明した。前回のルビオ国務長官の「合意は2027年春以降」との見方とあわせ、早期の合意は難しいとの見方が強い(Euronews)。
日本への影響: 協議が進めば、対ロ制裁とエネルギー市場の見通しに影響する。長引けば、制裁の継続とエネルギー価格の不安定が続く。
日本を名指しした海外の発言や措置のうち、2日に新しく確認できたものは、上のEUのEV優遇策と日台の協定の報道に限られる。
今後数日の注目日程
- 11月3日(火): 米中間選挙の投開票。東京市場は文化の日で休場。RBAの政策金利発表もある
- 11月4日(水): 東京市場が再開。米国の中間選挙の結果が日本時間の午後に判明する見込み。米国債入札、ADP雇用統計
- 11月5日(木): BOEの政策金利発表。6日(金)は米国の10月雇用統計と、植田日銀総裁の講演
- 11月7日(土): ニュージーランドの総選挙
- 11月10日以降: ウクライナ、ロシア、米国の3者協議が再開される見通し
- やや先の予定: 11月18〜19日にAPEC(深圳)、29日にOPEC+の全加盟国会合、12月14〜15日にG20首脳会議(マイアミ)

