前回からの変化
前回(2026-11-05、前日)との比較である。前回は4日(水)の動きを扱い、今回は5日(木)の動きを扱う。価格は出典の表示値で、取得時刻が出典ごとに異なるため、前回値との差と出典の前日比は一致しない場合がある。
変わったこと(変化・新規)
- 金は4,063.93ドルから、TradingEconomicsの表示で4,096.12ドル(0.88%高)、Kitcoの表示で4,119.50ドル(1.49%高)へ続伸した。日中は4,146.63ドルと10月20日以来の高値をつけた(Kitco: 金が4,100ドル超え)
- WTI原油は88.72ドルから90.76ドル(2.99%高)、ブレントは95.18ドルから98.55ドル(4.15%高)へ、4営業日ぶりに反発した(TradingEconomics: Crude Oil)
- 銅は6.38ドルから6.18ドル(3.41%安)へ下げ、一時は6.30ドルを割って7月17日以来の安値をつけた。前回は横ばいだったので、一転して急落した(TradingEconomics: Copper)
- 銀は52.24ドルから、TradingEconomicsの表示で51.92ドル(0.65%安)、Kitcoの表示で52.39ドル(0.56%高)と、出典により方向が分かれた
昨日と同じこと(継続)
- 12月8〜9日の米連邦公開市場委員会での0.25%利上げの確率は約80%で、前回(約80%)から変わらず、金・銀の上値を抑える材料として残っている(Kitco)
- 天然ガスは2.94ドル(0.49%安)で、前回の2.95ドルからほぼ横ばい。暖かい天候が暖房需要を抑える構図は続く(TradingEconomics: Natural Gas)
- 小麦は599.25セント(0.13%高)と、前回の599.25セントのまま横ばいだった(TradingEconomics: Commodities)
要因の連続性
- 継続要因: 民主党の中間選挙勝利によるドル安と米長期金利の低下が、前回に続き金の支えとなっている。米イラン協議による緊張の緩和も原油の重しとして継続している
- 新規要因: 米国の7〜9月期の単位労働コストが0.7%減、生産性が3.6%増と、物価への懸念が和らいだこと。原油の反発では、ペルシャ湾での船舶事故の報道と、急落後の戻り。銅では、データセンター規制への懸念とテキサス州次期知事の建設一時停止の要求
- 解消した要因: 前回の原油急落を主導した「トランプ大統領の追加攻撃なし」発言の新鮮さは薄れ、5日は売りが一巡した
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年11月5日) | 騰落率(前日比) | 前回値(11月4日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス4,096.12ドル | 0.88%高 | 4,063.93ドル |
| 銀 | 1オンス51.92ドル | 0.65%安 | 52.24ドル |
| WTI原油 | 1バレル90.76ドル | 2.99%高 | 88.72ドル |
| ブレント原油 | 1バレル98.55ドル | 4.15%高 | 95.18ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.94ドル | 0.49%安 | 2.95ドル |
価格はTradingEconomics: Commoditiesの日本時間6日朝の表示値で、限月は確認できておらず、確定した終値かどうかも確認できなかった。Kitcoが日中に伝えた値は、金が4,119.50ドル(1.49%高)、銀が52.39ドル(0.56%高)で、取得時刻の差により表示値とは異なる。銅は1ポンド6.18ドル(3.41%安)、小麦は1ブッシェル599.25セント(0.13%高)、トウモロコシは440.75セント(0.79%安)、大豆は1,180セント(1.11%安)である。
商品別動向
金・銀
Kitcoによると、金は4,119.50ドル(1.49%高)で、日中は4,146.63ドルと10月20日以来の高値をつけた。米10年債利回りは約4.89%と6ベーシスポイント(0.06%)低下し、ドルも軟調だった。7〜9月期の非農業部門の生産性は年率3.6%増(4〜6月期は2.1%増)、単位労働コストは0.7%減(同1.9%増)で、物価への懸念を和らげた。一方、週間の新規失業保険申請件数は18万9千件と予想の19万6千件を下回り、労働市場の底堅さが上値を抑えた(Kitco)。
TradingEconomicsは、民主党の勝利が財政赤字を拡大する法案の可能性を下げ、ドルと金利を押し下げたこと、原油が100ドルを下回りインフレ懸念が和らいだことを金の上昇理由に挙げた(TradingEconomics: Gold)。銀は出典により小幅な上下に分かれ、方向感に乏しかった。
原油
TradingEconomicsによると、WTIは約90.5ドルへ戻し、4営業日ぶりに上昇した。前日に8%超下落した反動に加え、湾岸の原油輸出が戦前の水準へ近づく一方で輸送費は高止まりしており、ペルシャ湾で複数の船舶事故が報じられた。民主党の議席増が米イランの外交解決への期待を高めたという見方も残る(TradingEconomics: Crude Oil)。
天然ガス
天然ガスは2.94ドル(0.49%安)だった。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で、貯蔵量の増加が770億立方フィートと予想の810億立方フィートを下回り、3営業日続伸していたが、5日は小幅安となった。11月中旬まで暖かい天候が続き暖房需要を抑えること、米国の天然ガス生産が10月の日量1,134億立方フィートから11月は1,112億立方フィートに減っていることが材料である。LNG(液化天然ガス)の輸出向け流量は184億立方フィートから182億立方フィートへ減ったが、世界の需要は強い(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物
小麦は599.25セント(0.13%高)、トウモロコシは440.75セント(0.79%安)、大豆は1,180セント(1.11%安)だった。いずれも当日の個別の材料を伝える出典は確認できなかった(TradingEconomics: Commodities)。
急変動の特集
銅が3.41%安 データセンター規制への懸念が直撃
前回までは横ばいだった銅が、5日に6.38ドルから6.18ドルへ3.41%下げた。9月の史上最高値6.80ドルからは約9%低い水準で、前年同期比ではなお24.8%高い。
- 何が起きたか: 銅は一時6.30ドルを割り込み、7月17日以来の安値をつけた。半導体のETF(上場投資信託)は12%超下げたと伝えられた
- なぜ動いたか: 民主党が議会を制し、データセンターへの規制強化が進むとの見方が強まった。テキサス州の次期知事は新規のデータセンター建設の即時一時停止を求めた。データセンターは銅の需要を押し上げてきたため、将来の需要への疑念につながった(TradingEconomics: Copper)
- 生活・産業への波及: 銅は電線や家電、建設に使う素材で、下落が続けば電気設備のコストは下がる方向に働く(一般論)。ただしAI関連の投資が鈍れば、電力網や電線の工事の遅れにもつながりうる。今回の出典では、国内の価格への新しい影響を示すデータは確認できなかった
前回特集した原油は、前日の急落から2.99%反発した。ただし88ドル台の安値圏から出ておらず、緊張の緩和は織り込み途上である。
強気派 vs 弱気派
調査したのはKitcoの3本の記事とTradingEconomicsで、Bloomberg、Reuters、CNBCなどは今回確認できなかったため、3サイトの要件には届かなかった。前回取り上げたシュナイダー氏の弱気論は、5日付の出典には再掲がなかった。
金・銀
- 強気: テッド・オークリー氏(オックスボウ・アドバイザーズ創業者)は、マイクロソフトやグーグルがAIインフラのために大きな借り入れをしており、収益を圧迫しかねないと指摘した。2027年の最初の7〜9か月は景気が弱くなり、年央までに利下げが入って金に有利になるとみて、金の現物は持ち続け、鉱山株は減らすべきだと述べた(Kitco)
- 強気(長期): 世界銀行は、金が2026年に平均4,600ドル、2027年に4,250ドル、2028年に4,000ドルと下がっても、歴史的な平均を大きく上回る水準が続くと予測した。地政学の不確実性や中央銀行の購入が上振れ要因だとする(Kitco)
- 弱気(銀): 同じ世界銀行は、銀は2026年の70ドルから2027年に62ドル、2028年に58ドルへ下がると予測した。高値が太陽光パネルなどの工業用の需要を抑えるためとしている(同上)。なお、4日付の出典(前回)では、シュナイダー氏(マーケットゲージ)が金の下値目標を3,500ドルとしていた
原油ほか
- 氏名付きの強気・弱気の見解は、5日付の出典では確認できなかった。TradingEconomicsの原油の予測は、前回と同様に足元より高い水準である(TradingEconomics: Crude Oil)
地政学・物価関連ニュース
米国とイランの協議は引き続き仲介国を介して進むが、ペルシャ湾では複数の船舶事故が報じられ、緊張は残る。湾岸の原油輸出は戦前の水準へ近づいているが、輸送費は高止まりしている(TradingEconomics: Crude Oil)。
物価面では、生産性の上昇と単位労働コストの低下が賃金面からのインフレ懸念を和らげた。6日(金)には米国の10月の雇用統計と、ミシガン大学の消費者信頼感指数の発表が控え、12月の利上げの判断材料として注目されている(Kitco)。原油が90ドル前後で推移する間は、ガソリンや電気料金への上昇圧力は残る(一般論)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
50日・200日の移動平均線とRSI、投機筋の建玉の詳細は、今回の出典では確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金について、Kitcoは上値のめどを4,146ドルと4,212ドル、下値の支えを4,075ドルと3,989ドルとした。4,119ドルは、日中高値の4,146ドルに近く、その手前で上昇が止まりやすいとされる水準にある。銀は上値のめどが53.07〜54.45ドルと56.36ドル、下値の支えが51.24ドルと50.03ドルで、52.39ドルは両者のあいだに位置する。支持線と抵抗線は、価格が反発しやすい、または止まりやすいと市場参加者が意識する水準を指す(Kitco)。
原油・天然ガス・小麦・銅の当日のテクニカル指標は確認できなかった。銅は一時6.30ドルを割って7月以来の安値をつけたが、これは直近の安値を更新した動きであり、今後の戻りの強さを見る目安になる(TradingEconomics: Copper)。

