前回からの変化

前回(2026-11-05付、4日の取引)との比較である。今回は5日(木)の取引終了後の確定値を扱う。前回レポートの値は日本時間5時台の取得値で、今回逆算した4日終値(NYダウ5万3356.12ドル、ナスダック総合2万5736.52、S&P500 7,688.62)とは一部異なる。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回はそろって急伸した3指数が、そろって急落した。NYダウは5万3356ドルから5万1521ドルへ1,834.84ドル(3.44%)下落し、ナスダック総合は2万5737から2万4315へ1,421.52ポイント(5.52%)下落して調整局面(直近高値から10%以上の下落)に入った。S&P500は7,689から7,353.80へ334.82ポイント(4.35%)下落した(Yahoo Finance)
  • 前回上昇したアップルとマイクロソフトは反落した。マイクロソフトは約4%安だった。前回下落したエヌビディアは約9%安と下げが加速し、マイクロンは約18%安、AMDは約15%安となった(Yahoo Finance、Traders Agency)
  • VIXは前回の16.81から26.92へ急上昇した。原油は前回の約8%安から一転し、WTIは90.73ドルへ2.96%上昇した(Yahoo Finance)
  • 米10年債利回りは前回の4.888%から4.837%へ、0.051ポイント低下した

昨日と同じこと(継続)

  • AIデータセンター関連株への警戒は前回から続いており、今回はそれが相場全体に波及した形である
  • 米労働市場の底堅さを示す指標が続いた。新規失業保険申請件数は18万9千件で、1969年9月以来の低水準とされた(CNBC)

要因の連続性

  • 継続要因: 民主党が上下両院を制した中間選挙の結果。前回は安心感の買いにつながったが、今回はデータセンター規制への懸念として売り材料に転じた
  • 新規要因: サンダース上院議員が全国的なデータセンター建設の凍結を呼びかけたこと、ヘッジファンドの年末前の利益確定、ナスダックの200日移動平均線割れという需給・テクニカル面の悪化
  • 解消した要因: 選挙結果待ちの様子見ムードは前回で解消済みで、今回は再び出ていない。前回の下落要因だった原油安は、今回は反発した

市況サマリー

指数 終値 騰落率 前回終値(逆算)
S&P500 7,353.80 4.35%安 7,688.62
NASDAQ総合 24,315.00 5.52%安 25,736.52
NYダウ 51,521.28ドル 3.44%安 53,356.12ドル

ラッセル2000は2,726.87で4.55%安だった。ナスダック100は6.13%安と伝えられた(Yahoo Finance、Traders Agency)。CNBCは取引中の値としてダウ1,844ドル安(3.7%安)、ナスダック5.4%安と伝えており、確定値とは少し異なる。

指数別動向

S&P500

S&P500は7,353.80(334.82ポイント、4.35%安)で引け、2025年4月以来の下げ率とされた。11セクターすべてが下落し、情報技術が6.6%安と最大の下げだった。一般消費財は4.1%安、資本財は4.0%安だった(CNBC)。

ナスダック100

ナスダック100は6.13%安、直近1か月で14.51%下落したと伝えられた(Traders Agency)。ナスダック総合は5.52%安で調整局面入りした。フィラデルフィア半導体株指数は10%超下落した。エヌビディアは約9%安、ブロードコムは約9%安、クアルコムは約10%安、マイクロンは約18%安、インテルは約10%安となった。コアウィーブは約11%安、ネビウスとアイレンは約16%安だった。マグニフィセント7の時価総額の減少は合計で約9,000億ドルと伝えられた(Yahoo Finance、CNBC)。

NYダウ

NYダウは51,521.28ドル(1,834.84ドル、3.44%安)で引け、前日の選挙後の上昇分(1,568ドル)を上回って下げた。キャタピラーが約5%安、JPモルガンが約4%安、ボーイングとナイキが約3%安と、ハイテク以外の構成銘柄にも売りが広がった(CNBC)。

強気派 vs 弱気派

強気・建設的な見方:

  • AMDのリサ・スーCEOは、市場の反応は「少し近視眼的だ」と述べた(Yahoo Finance)
  • ヘニオン・アンド・ウォルシュのケビン・マーン氏は、変動の拡大は「驚くべきことではない」としつつ、荒い値動きが続くとの見方を示した。強気の確信というより、過度な悲観を戒める位置づけである(同上)
  • ヴァンダ・リサーチは、個人投資家の売りが2020年3月以来の規模に向かっているとして「総降伏」と表現した。極端な悲観は反発の前兆になりうるという逆張りの含みがある(同上、筆者の整理)

弱気・警戒の見方:

  • オーションのティム・ホランドCIOは、投資家は「中間選挙がAI設備投資サイクルに与える影響が見えるまで手を引いている」と述べた(CNBC)
  • トラストの資産運用部門のキース・ラーナーCIOは、「ゴムバンドが伸び切りつつある」と述べ、ハイテクの下げが相場全体に波及していると指摘した(同上)
  • ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏は、「この売りが悪化してから改善するのか、誰にも分からない」と述べた(Traders Agency)
  • 野村のチャーリー・マケリゴット氏は、個別銘柄の値動きは「異常だ」と述べた(Yahoo Finance)

いずれも相場観であり、事実ではない。強気派の主張は、今回の出典では明確な買い推奨を確認できなかった。

経済ニュース

新規失業保険申請件数は18万9千件(前週比6千件減)で、1969年9月以来の低水準と伝えられた。7〜9月期の労働生産性は3.6%上昇し、予想の2.9%を上回った。単位労働コストは0.7%低下した(CNBC)。10月の企業の人員削減発表は4万3,994人で、2023年以降で最少だった(Yahoo Finance)。

政策面では、民主党が上下両院を制したことで、AIデータセンターの建設への規制が強まるとの懸念が売りの中心になった。サンダース上院議員は4日夜に全国的なデータセンター建設の凍結を求め、「米国民は巨大テックの寡頭支配者が環境を壊し、雇用を奪い、人類の未来を脅かすことを望んでいない」と述べた(CNBC)。

個別銘柄では、テスラが9〜11%安、パランティアとクラウドストライクが10%超安だった。ダン・アイブス氏(ヨークビル)は、スペースXとテスラの合併計画は規制面で「はるかに厳しい道のり」になると指摘した(Yahoo Finance)。前回の注目だったアームとクアルコムの決算への反応は、今回の出典では個別には確認できなかった(クアルコムは約10%安)。

金利・為替が株に効いた分

米10年債利回りは4.837%(前日比0.057ポイント低下)だった。金利が低下してもグロース株の下げは止まらず、金利よりもAI関連の需給悪化が優勢だった(筆者の整理)。VIXは26.92へ10.31ポイント(約62%)上昇し、一時は28.09と3月31日以来の高水準をつけた(Yahoo Finance、CNBC)。

ドルは弱含んだと伝えられた。WTI原油は90.73ドルへ2.96%上昇し、ビットコインは約5.2%下落して7万6千ドル前後となった。ドル円・ドル指数と多国籍企業の業績への影響は、今回の出典では確認できなかった。詳細はfxを参照。

テクニカル分析(S&P500・ナスダック100・NYダウ)

ナスダックは200日移動平均線(過去200日の平均価格で、長期トレンドの目安とされる線)を割り込んだ。これは技術的な悪化の合図とされる(Yahoo Finance)。ナスダック総合は直近高値から10%以上下げ、調整局面の定義を満たした。VIXが26.92まで上がり、前回の16.81から市場の不安は大きく高まった。RSIや各指数の50日線の値は今回の出典では確認できなかった。S&P500が前回の目安だった7,530台を下回ったため、7,300台前半が当面の節目として意識されるとの見方もできるが、出典での言及はなく筆者の推測である。断定的な売買推奨ではない。

今夜の注目イベント

  • 6日(金)の日本時間夜: 10月の米雇用統計が発表される予定。econ_indicators で詳細を扱う(CNBC)
  • 今週の急落を受けて、雇用統計の結果と、AI関連株が下げ止まるかが焦点になる
  • 12月9日: FRBの金融政策会合が予定されている