前回からの変化

前回(2026-11-03、前日)との比較である。前回は、トランプ米大統領が攻撃再開を急がない姿勢を見せ、中間選挙の前には攻撃しないと述べたと伝えられていた。今回は、その流れが揺らいだ。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は「選挙前には攻撃しない」と報じられていたが、米軍は2日、イラン南部のケシュム島を攻撃した。米側は、イランが米軍の資産に地対空ミサイルを使ったことへの防衛的な対応だと説明している(報道ベース。CNBC、WBUR)。
  • イランは、ホルムズ海峡を2日で再開できるとしていた前回の姿勢に加えて、米側が自国の条件に「完全かつ明確に」応えるまで全面再開はしないという立場を、治安高官が示した(報道ベース。Al Jazeera)。
  • ウクライナ協議の日程が具体化した。前回は「11月にも」「10日以降」だったが、今回は10日から11日にアブダビで開かれる予定と報じられた(Just Security)。

昨日と同じこと(継続)

  • カタールの仲介による米国とイランの協議は続いている。イランの交渉責任者とアラグチ外相は2日にドーハでカタールの首相と会談し、ホルムズ海峡と濃縮ウランの扱いを話し合った(The Financial Express)。
  • バンス副大統領は、トランプ氏と自分は交渉による解決に「かなり良い感触」を持っていると述べ、外交の道は閉じていない(CNBC)。
  • 米中間選挙は3日に投票される。東京市場は3日が休場で、4日に再開する点も前回と同じである。

要因の連続性

  • 継続要因: 中東情勢が原油価格と各国の政治を揺らす構図。協議と軍事行動が並行して進む二正面の状態も前回と同じ。
  • 新規要因: 米軍の攻撃と、イランが反撃を警告したこと。前回は「攻撃再開を急がない」が主な材料だったが、実際の軍事行動が加わった。
  • 解消した要因: 前回「後退した」とした、選挙前の攻撃への懸念は再び強まった(米側は防衛的措置としている)。

今日の要点

地域 出来事 日本への影響 段階
中東 米軍がケシュム島を攻撃。イランは反撃を警告 原油・LNGの調達、海峡の通航 報道ベース
米国 3日に中間選挙。日本時間4日午後から開票 円相場、通商政策、対イラン政策 投票済み・開票中
欧州 ウクライナ協議が10〜11日にアブダビで開催予定 対ロ制裁、エネルギー市場 日程の報道
欧州 日独首脳会談で経済安保・AIの協力を確認 重要鉱物の調達、EV優遇策への影響 発表済み

米国

中間選挙: 3日に下院の全435議席と上院の約3分の1が改選される。結果で、トランプ政権の残り2年間に議会がどこまで協力するかが決まる(Khaleej Times)。このレポートの作成時点では、投票が終わっておらず結果は出ていない。前回レポートでは、最終の世論調査で民主党が優位とされていた。

日本への影響: 議会の構成が変わると、対イラン政策や関税、予算の運びが変わりうる。日本時間の4日午後から結果が出始める見通しで、円相場や株式の反応は、東京市場が再開する4日以降になる。

欧州

ウクライナ和平協議: 米国・ロシア・ウクライナの3者協議は、10日から11日にアブダビで開かれる予定と報じられた。ゼレンスキー大統領は、この協議を首脳級の協議に向けた準備の場と位置づけている。ロシア大統領の外交顧問は、プーチン大統領が10日以降の再開に「原則として」同意したと述べていた(Just Security、Euronews)。一方、ロシア軍の爆撃で支援物資の配布所の29人以上が死亡したと報じられ、ウクライナはロシアの製油所をドローンで攻撃した。戦況の分析は別カテゴリの担当である。

日本への影響: 協議が進めば、対ロ制裁とエネルギー市場の見通しが変わる。攻撃が続くと、制裁の継続とエネルギー価格の不安定が続く。

日独首脳会談: 高市首相とドイツのメルツ首相は10月28日に東京で会談し、共同声明と、先端技術・経済安全保障に関する2つの共同宣言を出した。官民で約30の協力覚書を交わし、AIの分野でハイレベル対話をつくることと、重要鉱物の供給網を強化することで合意した(首相官邸)。EUが検討する、日本製を除くEV優遇策について、メルツ氏が会談後の発表で触れなかったと報じられている(報道ベース)。

日本への影響: 日独の協力で重要鉱物の調達先が広がる可能性がある一方、EVの優遇策をめぐる日本側の懸念は、この会談では解消が確認できていない。

アジア・オセアニア

中国・台湾・朝鮮半島、インド、東南アジア、豪州について、日本に直接影響する新たな動きは、今回の調査では確認できなかった。前回報じた日台の貿易協定の協議に、新しい進展は見つからなかった。

中東・アフリカ・中南米

米国のイラン攻撃と協議: 米軍は2日、ホルムズ海峡に近いケシュム島を攻撃した。同島は、対艦ミサイルや機雷、ドローンを地下に配備しているとされる。米側は防衛的な対応だと説明した。イランは強く反撃すると警告し、条件を満たさなければホルムズ海峡は再開しないとしている。双方は合意からまだ遠いとされる。トランプ大統領は、イランが核兵器を持つことを決して許さないと述べた。同時に、バンス副大統領は交渉による解決への期待を示した(いずれも報道ベース。CNBC、Al Jazeera)。なお、トランプ大統領とネタニヤフ首相は直近の1週間で少なくとも3回電話で話し、ネタニヤフ氏は側近に、イランをめぐる判断への自国の影響力は小さいと漏らしたと伝えられている(報道ベース。The Financial Express)。

日本への影響: 日本は原油とLNGの多くを中東に頼っており、海峡の再開が遅れると供給不安とエネルギー価格の上昇につながる。前回、協議への期待で下落した原油が、今回の攻撃でどう動いたかは、確認できた範囲では特定できなかった。

イエメン: フーシ派の部隊が、政府の拠点アデンから約80キロの地点(50マイル)まで進んだと報じられ、2015年の内戦開始以降で最も近い(Just Security)。

日本への影響: 紅海周辺の航路が不安定になると、日本の海運や保険料に影響する可能性がある(筆者の整理)。

国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き

英国のバーンハム首相が英連邦首脳会議に出席するなど、国際会議の動きはあったが、日本への影響を書ける新規の動きは確認できなかった。日本を名指しした海外の発言や措置も、今回の調査では確認できなかった。

今後数日の注目日程

  • 11月4日(水): 米中間選挙の開票が日本時間の午後から進む見通し。東京市場が再開
  • 11月5日(木): BOEの政策金利発表
  • 11月6日(金): 米国の10月雇用統計
  • 11月7日(土): ニュージーランドの総選挙
  • 11月8〜11日: ベトナムのトー・ラム書記長が来日(日本政府の発表による)
  • 11月10〜11日: 米国・ロシア・ウクライナの協議がアブダビで開催の予定(報道)
  • やや先の予定: 11月18〜19日にAPEC(深圳)、12月14〜15日にG20首脳会議(マイアミ)