前回からの変化

前回(2026-11-01、前日)との比較である。前回は、結果が確認できなかったG20外相会合や、米国とイランの仲介の動きが中心だった。今回は、会合の結果とOPEC+の決定、中間選挙の直前情勢が加わった。1日は日曜日で、ニュースは限られていた。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は成果が未確認だったG20外相会合の結果が出た。共同声明は採択されず、議長国の米国のルビオ国務長官が議長声明を出した。恒例の集合写真も、参加をめぐる意見の違いで中止された(AP(KSAT))
  • 前回は予定だったOPEC+の会合が開かれ、有志7か国が12月の生産目標を据え置いた(CNBC)
  • 中間選挙の直前の世論調査が出た。民主党が共和党を51.5%対43.1%でリードしている(RealClearPollingの平均。Al Jazeera)
  • ルビオ氏が、ウクライナの和平合意は2027年春より前には難しいとの見方を示した(Kyiv Post)

昨日と同じこと(継続)

  • 米国とイランの仲介外交は続いている。カタールは30〜31日にテヘランで協議し、イランは完全な停戦が先だと主張している。最高指導者は軍に「地理的に限定されない」反撃を準備するよう命じた(Al Jazeera)
  • 生活費と燃料高が各国の政治の争点になっている構図は前回から続く。米国では、関税とイラン情勢が物価に響いているとの分析が出ている(Al Jazeera、同上)

要因の連続性

  • 継続要因: 中東情勢による原油高と、生活費の問題が米国と欧州の政治を揺らしている点は、前回と同じである
  • 新規要因: G20が合意に至らなかったことで、米国主催の多国間の枠組みの機能低下が見えた。11月18〜19日に深圳で開かれるAPECで、プーチン大統領、トランプ大統領、習近平国家主席の3者会談が模索されている
  • 解消した要因: OPEC+の会合が開かれるかどうかという不確実性は、据え置きの決定で解消した

今日の要点

地域 出来事 日本への影響 段階
国際機関 G20外相会合が共同声明なしで閉幕 茂木外相が出席し、日米豪印の外相会合も開催 閉幕(議長声明)
米国 3日に中間選挙。民主党が下院で優位と報道 円相場と通商政策に影響。東京市場は3日休場 投票は3日
中東 米国とイランの仲介が続くが、対立は解けず 原油・LNGの調達とホルムズ海峡の通航 協議中
産油国 OPEC+有志7か国が12月の生産目標を据え置き ガソリンなどエネルギー価格 決定済み
ウクライナ ルビオ氏が和平合意は2027年春以降と発言 対ロ制裁とエネルギー市場 発言(観測)

米国

中間選挙: 3日に投開票される。RealClearPollingの平均では、民主党が共和党を51.5%対43.1%でリードしている。下院は民主党が優位で、過半数に必要な純増は3議席とされる。上院は民主党が4議席の純増を要し、アナリストは「下院の多数派は民主党とかなり自信を持って言えるが、上院は不透明」と述べた。トランプ大統領は不人気で、関税とイランをめぐる戦争による物価高が争点とされる(Al Jazeera)。これらは世論調査と予測にもとづく見方で、結果ではない。

日本への影響: 議会の構成が変わると、対イラン政策や関税・予算の運びが変わりうる。円相場や日本株は、結果が出るまで材料に反応しやすい。東京市場は3日が文化の日で休場のため、反応は4日以降になる(筆者の整理)。

欧州

欧州の新しい政治・経済の動きで、日本への影響を書けるものは、今回の出典では確認できなかった。前回報じたフランスとドイツの生活費抗議は、新しい続報を確認できていない。

アジア・オセアニア

日中関係とAPEC: 高市政権の発足から1年が経ち、日中関係の冷え込みが続いている。きっかけは、2025年11月に高市首相が、台湾有事は日本の「存立危機事態」になりうると国会で答弁したことで、中国は撤回を求めている。中国は日本への渡航の自粛を呼びかけ、2026年には軍民両用品の輸出管理を強めた。レアアースなど重要鉱物の供給不安も、日本企業にとって無視できない。注目されるのは、11月18〜19日に深圳で開かれるAPECで、高市首相と習近平国家主席が会談するかどうかである。報道では3つの筋書きが示され、限定的な安定、安全保障面の緊張の継続、台湾海峡や南シナ海をめぐる悪化が挙げられている(デイリースポーツ)。日中首脳会談の予定は、確認できなかった。

日本への影響: 中国向けの輸出や現地の拠点、レアアースなどの調達に直結する。会談の有無が、対中リスクの見通しを左右する。

中東・アフリカ・中南米

米国とイランの仲介: カタールが30〜31日にテヘランで協議した。バンス副大統領の書簡は、核の約束と国際査察官の受け入れに触れたと伝えられている。イランは、ホルムズ海峡を数日で再開する代わりに、6月の覚書への復帰を求めている。条件として、米国の海上封鎖の解除、石油制裁の適用除外の撤回、イスラエルのレバノンからの撤退を含む地域の停戦を挙げた。海峡の通航は、戦争前の約7割にとどまっているという。最高指導者のモジタバ・ハメネイ師は、攻撃を受ければ「地理的に限定されない」即時の反撃をするよう軍に求めた。アラグチ外相は「レッドラインは過去のものだ」と述べた(報道ベース。Al Jazeera)。

産油国の動き(OPEC+): サウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、アルジェリア、カザフスタン、オマーンの7か国は、1日のオンライン会合で、12月の生産目標を9月の水準のまま据え置いた。7か国の目標は合計で日量約3100万バレルで、9〜11月から変わらない。21か国の全体会合は29日で、2027年の枠が議題になる。アナリストは「2027年の判断は極めて難しい」とみる(CNBC、The National)。

日本への影響: 日本は原油・LNGの多くを中東に依存しており、ホルムズ海峡の通航と産油国の生産方針が、ガソリンや電気・ガス料金に響く。

国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き

G20外相会合(アトランタ、30〜31日): 米国は議長国として主催した。ウクライナ戦争とイラン情勢をめぐる対立で、共同声明は採択されず、議長声明を出す形になった。恒例の集合写真は、参加をめぐる意見の違いで中止された。日本の茂木敏充外相、インドのジャイシャンカル外相、豪州のウォン外相が、ルビオ氏と日米豪印(クアッド)の外相会合を開いた(AP(KSAT))。

ウクライナ和平の見通し: ルビオ国務長官は、プーチン大統領が2027年春より前に交渉による和平に同意するとは思わないと述べ、戦争の核心は「ロシアが軍事的には取れず、ウクライナが手放したくない」ドンバス地方だと語った。ウクライナのNATO加盟は近い将来には非現実的との見方も示した。G20首脳会議は12月14〜15日にマイアミで開かれ、プーチン氏に招待状が出されたが、ルビオ氏はその出席に懐疑的である。トランプ氏は、ゼレンスキー大統領の招待について「問題ない」と答えた。クレムリンは、プーチン氏の出席は、11月18〜19日に深圳で想定される米中ロの3者会談の結果しだいと示した。トランプ氏は、この3者会談にまだ同意していないと、米政府高官は述べている(Kyiv Post、Pravda(WSJ))。

ISW(戦争研究所)は31日付の分析で、ロシアとウクライナが占領下のヘルソン州で、人道目的の作戦を成功させ、27日からの限定停戦を両軍がおおむね守っていると評価した。一方で、クレムリンは和平交渉の停滞をウクライナの長距離攻撃のせいにしていると指摘している(Kyiv Post: ISW)。

日本への影響: G20の機能低下は、日本が重視する多国間の枠組みでの合意形成が難しくなっていることを示す。ウクライナ和平が長引けば、対ロ制裁の継続とエネルギー市場の不安定が続く。日本を名指しした海外の発言や措置は、確認できた範囲では見当たらない。

今後数日の注目日程

  • 11月2日(月): 米ISM製造業景況指数、アップルの決算。米国が冬時間に移った
  • 11月3日(火): 米中間選挙。東京市場は文化の日で休場。RBAの政策金利発表もある
  • 11月5日(木): BOEの政策金利発表。6日(金)は米国の10月雇用統計と、植田日銀総裁の講演
  • 11月7日(土): ニュージーランドの総選挙
  • やや先の予定: 11月18〜19日にAPEC(深圳)、29日にOPEC+の全加盟国会合、12月14〜15日にG20首脳会議(マイアミ)