前回からの変化

前回(2026-10-30)との比較である。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前のレポートである。

変わったこと(変化・新規)

  • WCIは前回の4,429ドルから4,389ドル(-40ドル、-1%)へ下がり、下落幅は前回の3%から縮んだ。上海発はニューヨーク向けが9,631ドルから9,303ドル(-3%)、ロッテルダム向けが3,686ドルから3,615ドル(-2%)へ下がった。ロサンゼルス向けは7,514ドルから7,539ドルでほぼ横ばい、ジェノバ向けは4,151ドルから4,166ドルで横ばいだった(Drewry)
  • BDIは前回(10/29)の2,712ポイントから、11月5日は2,740ポイントへ約1%上がった。ケープサイズ指数が2.3%上がって約1か月ぶりの高値の4,191ポイントとなり、パナマックス指数も3.3%上がった(TradingEconomics)
  • 日銀は10月30日の会合で政策金利を1.25%に据え置いたが、基調的なインフレ率が2%目標と概ね整合的と初めて判断し、植田総裁は12月利上げの可能性を示した。前回は会見の内容が焦点だったが、利上げ示唆が確認された(OANDA)
  • 11月3日の米中間選挙で民主党が大勝した。前回の予定だった選挙後の関税政策の変化は、専門家が「大きくは変わらない」と見ている(Semafor)
  • 米中の貿易休戦は、9月24日付の報道で期限が11月10日から2027年1月10日へ2か月延びたと伝えられている。前回は11月10日を期限として扱っており、前提が変わった(ただし報道時点でホワイトハウスは公式文書にしていなかった。Supply Chain Dive)

前回と同じこと(継続)

  • ドル円は157円台後半〜158円台前半の高止まりが続いている(前回末の157円88銭、今回のNY終盤は157円93銭)
  • 太平洋航路は需要が弱く、Drewryは来週も下げ圧力が残ると見ている。欧州航路は船会社の運賃引き上げ告知にもかかわらず横ばいの見通しである
  • 前回伝えたカナダ産自動車関連製品の関税見直し(10月30日発効)や、中国の建設機械・浚渫機器の輸出管理(11月18日発効)に、変更の報道は確認できなかった
  • 日本の経産省・税関による新しい政省令・通達は、今週も確認できなかった

要因の連続性

  • 継続要因: 太平洋航路の船腹に余裕があり、需要が弱いという構図が前回に続いている。上海港の混雑緩和も続き、船待ち時間は平均35時間に改善した。日米の金融政策の方向(日銀の利上げ観測と米利上げの織り込み)も前回に続いてドル円を支えている
  • 新規要因: 米中間選挙で民主党が大勝し、関税政策の見通しに不透明感が加わった。ホルムズ海峡では、米国のイラン攻撃を受けた状況が不透明になっているとDrewryが指摘している。NY株の急落でリスク回避の動きも出た
  • 解消した要因: 前回の焦点だった「日銀会合の結果待ち」は解消した。米中間選挙の結果が出たことで、選挙前の政策待ちも一服した

今週の概観

運賃は2週連続で小幅に下がり、WCIは4,389ドルとなった。太平洋航路は横ばい圏で、欧州航路はやや下げた。為替は前週末とほぼ同じ157円台後半で、日銀の12月利上げ示唆と米国の利上げ観測が綱引きをしている。米中間選挙後も、米国の関税政策は急には変わらないとの見方が多い。輸入側には運賃の下落が追い風だが、円安と原油高が逆風となる。輸出側には円安が追い風で、太平洋航路の需要の弱さが気がかりである。

為替とヘッジ環境

通貨ペア 週内の動き 前回末比 主因
ドル円 10/30に156円96銭まで下げ、11/5に158円50銭まで上昇 約5銭の円安(157円93銭) 日銀の利上げ示唆、米金利、NY株急落
ポンドドル 1.3455ドルから1.3481ドル(5日) 小幅上昇 英中銀の0.25%利上げ(4.00%)

取得時点は2026-11-06早朝(日本時間)で、為替は随時更新される。ドル円は5日、英中銀の利上げ後の米長期金利上昇で158円50銭まで上げたが、NY株の急落を受け157円93銭へ戻った(みんかぶFX、みんかぶFX: ポンド買い反応)。10月30日の日銀会合では政策金利を1.25%に据え置いたが、12月利上げの可能性が示された。米連邦準備制度理事会の12月利上げの織り込みは75%弱とされる(OANDA)。日々の値動きはfxを参照。ドル指数・人民元の週間値は、確かな数値を確認できなかった。

輸入側・輸出側への影響: ドル円が158円前後の高水準にあると、輸入者にとってはドル建て仕入れの円換算コストが高止まりする。一方、輸出者にとっては円建ての手取りが増える。ただし日銀の12月利上げが意識されると円高方向に振れる可能性があり、双方とも為替の振れ幅に注意が必要である。

ヘッジ環境: 確認できた範囲の値幅は156円96銭〜158円50銭の約1円54銭で、前回(約1円50銭)とほぼ同じである。フォワードポイントの数値は確認できておらず、ヘッジの時期についての断定的な推奨は行わない。

翌週の材料カレンダー: 6日夜の米10月雇用統計が直近の焦点である。12月には日銀会合と、8〜9日のFOMC(前回レポートの予定)が控える。

物流コストと航路

指数 値 前週比 取得時点(更新頻度) 対象
WCI(Drewry) 4,389ドル/40ft -1% 2026-11-05(週次) グローバル主要12航路
WCI 上海発ロサンゼルス 7,539ドル/40ft 変わらず 2026-11-05(週次) 上海〜ロサンゼルス
WCI 上海発ニューヨーク 9,303ドル/40ft -3% 2026-11-05(週次) 上海〜ニューヨーク
WCI 上海発ロッテルダム 3,615ドル/40ft -2% 2026-11-05(週次) 上海〜ロッテルダム
BDI 2,740ポイント 前回(10/29)の2,712から約+1% 2026-11-05(日次) 主要バルク航路

WCIは前年同週より124%高い。Drewryは、太平洋航路は輸送能力の実質的な増加と港湾混雑の緩和で、来週も下げ圧力がかかると見ている。アジア欧州航路は、船会社が運賃引き上げを進めているものの船腹に余裕があり、来週は横ばいの見通しである。来週の抜港(船会社が運航を取りやめること)は、太平洋航路が3便(前週は5便)、アジア欧州航路が5便(前週は8便)と見られる(Drewry)。BDIは大型船のケープサイズとパナマックスが押し上げ、小型のスープラマックスは0.6%下がった(TradingEconomics)。SCFIとTAC Index(航空貨物)は、信頼できるデータを確認できなかった。

航路・港湾の状況: スエズ運河の通航は前週の週62隻から53隻(両方向)に減ったが、アジア欧州航路の輸送能力の60%がスエズ運河経由に戻っている。ホルムズ海峡は、米国のイラン攻撃を受けて状況が不透明で、Drewryは欧州の港で船が集中する懸念も挙げている。上海港の船待ち時間は平均35時間に改善した。輸入側にとっては、太平洋航路の運賃下落は追い風だが、中東情勢による燃料費の変動は逆風になり得る。輸出側にとっては、欧州向けの船腹に余裕があり、スペースを確保しやすい見通しである(Drewry)。

主要国の貿易ルール変更

米国

米中間選挙後の関税政策の見通し(報道ベース。決定事項ではない)

  • 内容: 11月3日の中間選挙で民主党が大勝した。専門家は、関税は議会より大統領の権限が大きく、トランプ大統領は関税の使用を止めないだろうと見ている。韓国紙は、通商法301条を使った追加措置の可能性を伝えている。一方、インドでは、選挙の敗北が米印の貿易協定を早める可能性があるとの見方も出ている(Semafor、Seoul Economic Daily)
  • 対象・税率・発効日: 具体的な新しい措置は確認できておらず、品目名・HSコードも未確認
  • 影響: 輸入側・輸出側とも、先行きの関税の振れ幅に備える必要がある。「関税が下がる」と見込んだ契約や価格設定は、現時点では根拠が弱い

通商法301条の除外措置(二次情報)

  • 内容: 中国向け301条関税の除外措置(178品目)が、2026年11月9日の午後11時59分(米東部時間)まで延長されており、USTRが再延長しなければ失効するとされる。太陽光製造装置、機械部品、プラスチックフィルム、電気モーター、医療機器などが含まれる
  • 発効日・期限: 11月9日の失効が予定されている(再延長の有無は未確認)。一次資料(Federal Register、USTR)では確認できておらず、二次情報にとどまる
  • 影響: 輸入側(中国から対象品目を調達する事業者)は、失効した場合に追加関税が上乗せされる可能性がある。輸出側への直接の影響は限られる。適用の可否は専門家や税関への確認が必要(Gateway Lines)

そのほか、前回挙げた12月4日(ポリシリコン)などの発効予定に変更の報道は確認できなかった。

EU

今週は該当なし(確認できた範囲で、TARIC、CBAM、制裁パッケージなどに関する新しい一次公告は見つからなかった)。EUDRは2026年12月30日に大企業を中心に適用が始まる予定で、その手前の確認時期にあたる。

中国

今週は該当なし(新しい公告は確認できなかった)。レアアースなどの拡大した輸出管理の一時停止は、2025年11月の公告で2026年11月10日までとされていた。米中の貿易休戦が2027年1月10日まで延びたと報じられているが、レアアース管理の一時停止が同じ期限に延びたかどうかは、一次資料で確認できていない。延長や失効の扱いは、商務部の公告を確認する必要がある(Mining Technology、Supply Chain Dive)。

日本側の制度・通関実務

今週、経済産業省・税関による輸出令・外為令の改正、税関の新しい通達や公告は、確認できる範囲では見つからなかった(継続)。

来週までに確認すべきこと

  • 6日夜の米10月雇用統計と、その後の米金利・ドル円の反応。日銀の12月利上げの示唆と米利上げ観測のどちらが勝つかを見る。ヘッジ方針は自社の判断で、断定的な推奨はしない
  • 12日ごろに公表される次回のWCI。太平洋航路の運賃下落が続くか、欧州航路が船会社の引き上げで上がるかを確認する。見積りの有効期限が燃料価格に連動していないかも見る
  • 11月9日に失効するとされる通商法301条の除外措置(178品目)の再延長の有無。中国から対象品目を調達している場合は、USTRとCBPの公表を確認し、適用の可否は専門家や税関に確認する
  • 11月10日に期限とされていたレアアースなどの輸出管理の一時停止の扱い。商務部の公告で、2027年1月10日への延長が反映されたかを確認する。11月18日発効の建設機械・浚渫機器の輸出管理の対象範囲とHSコードもあわせて見る
  • 中間選挙後の米国の関税政策。通商法301条などの新しい措置の予告がないか、官報とUSTRの発表を確認する