前回からの変化
前回(2026-10-16)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前のレポートである。
変わったこと(変化・新規)
- WCIは前回の4,485ドルから4,585ドル(+100ドル、+2%)へ上がり、2週連続の上昇となった。上海発は、ロッテルダム向けが3,522ドルから3,632ドル(+3%)、ジェノバ向けが3,945ドルから4,152ドル(+5%)、ロサンゼルス向けが7,884ドルから8,007ドル(+2%)、ニューヨーク向けが10,075ドルから10,166ドル(+1%)となった(Drewry)
- BDIは前回の2,852ポイント(10月12日)から、22日は2,693ポイントとなった。16日には2,515ポイントまで10日連続で下げたが、22日は4日続伸して10月13日以来の高値となった(TradingEconomics)
- ドル円は前回末の158円25銭から22日のNY引けで156円79銭へ、約1円45銭の円高となった。前回は159円手前の高止まりだったが、FOMCの追加利上げ観測の後退と日経平均の急落で円が買われた(Fisco、ザイFX!)
- 中国の商務部と海関総署が、10月19日に建設機械の輸出管理と軍民両用品の通関審査の新手続きを発表した。前回まで7週連続で「該当なし」だった中国の項目が動いた(後述)
- 日本の9月貿易統計(速報)が21日に公表された(後述)
前回と同じこと(継続)
- 米国の追加関税の発効予定(ポリシリコンへの通商拡大法232条の関税は12月4日など)に、新しい変更は確認できなかった
- 日本の経産省・税関による新しい政省令・通達は、今週も確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 中東情勢を背景にした原油高と燃料費の上昇が、運賃と輸入コストを押し上げる構図。アジア発欧州向けの運賃引き上げの動きも続いた
- 新規要因: ドル円の円高転換(輸入側の円換算コストが軽くなる一方、輸出側の円手取りが減る)。中国の輸出管理の拡大。ロシア制裁法の適用免除(17日)
- 解消した要因: 国慶節後の荷動きの戻りという前回の運賃上昇要因は一巡し、今回は米国向けの底堅い需要が運賃を支えている。上海港の船待ち時間も97時間から38時間へ短縮した
今週の概観
運賃は2週連続で上昇し、WCIは15週ぶりの高値に戻した。為替は前週の158円台から156円台後半へ円高に転じた。中国は建設機械の輸出管理を新たに発表し、日本の輸出は半導体関連が牽引して13か月連続で増えた。輸入側には運賃の上昇と中国の輸出管理が、輸出側には円高による円建て手取りの目減りが、それぞれ逆風となる。
為替とヘッジ環境
| 通貨ペア | 週内の動き | 前回末比 | 主因 |
|---|---|---|---|
| ドル円 | 20日の高値158円60銭から22日の安値156円79銭へ | 約1円45銭の円高(156円79銭) | FOMC利上げ観測の後退、株安 |
| ユーロドル | 22日は1.1189〜1.1231ドル | 前回の1.1222ドルとほぼ同水準 | 仏政局不安、ドル売り |
取得時点は2026-10-23早朝(日本時間)で、為替は随時更新される。22日の東京時間は朝の158円25銭から午後に156円82銭まで下げ、NY時間は米新規失業保険申請件数の強さで157円35銭へ戻したあと、156円79銭まで下げた(Fisco、ザイFX!)。日々の値動きはfxを参照。ドル指数・人民元の週間値は、確かな数値を確認できなかった。
輸入側・輸出側への影響: ドル円が156円台後半へ下がると、輸入者にとってはドル建て仕入れの円換算コストが下がる。一方、輸出者にとっては円建ての手取りが減る。ただし、原油高や運賃の上昇が輸入コストを押し上げており、円高の恩恵が相殺される可能性がある。
ヘッジ環境: 週の値幅はおよそ1円80銭と、前回(約1円50銭)よりやや広がった。フォワードポイントの数値は確認できておらず、ヘッジの時期についての断定的な推奨は行わない。
翌週の材料カレンダー: 23日午前8時30分(日本時間)に日本の9月全国CPIが発表される。27〜28日にFOMC、29日にECB、29〜30日に日銀会合が控える。
物流コストと航路
| 指数 | 値 | 前週比 | 取得時点(更新頻度) | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| WCI(Drewry) | 4,585ドル/40ft | +2% | 2026-10-22(週次) | グローバル主要12航路 |
| WCI 上海発ロッテルダム | 3,632ドル/40ft | +3% | 2026-10-22(週次) | 上海〜ロッテルダム |
| WCI 上海発ジェノバ | 4,152ドル/40ft | +5% | 2026-10-22(週次) | 上海〜ジェノバ |
| WCI 上海発ロサンゼルス | 8,007ドル/40ft | +2% | 2026-10-22(週次) | 上海〜ロサンゼルス |
| WCI 上海発ニューヨーク | 10,166ドル/40ft | +1% | 2026-10-22(週次) | 上海〜ニューヨーク |
| BDI | 2,693ポイント | 前回(10/12)の2,852から約-6% | 2026-10-22(日次) | 主要バルク航路 |
DrewryのWCIは15週ぶりの高値で、2週連続の上昇となった。Drewryは、来週の抜港(船会社が運航を取りやめること)について、太平洋航路は今週の6便から2便に減る一方、アジア欧州航路は今週の2便から8便に増えると見ている。米国の輸入需要が底堅く、太平洋航路の運賃は安定するとの見方である。上海港の船待ち時間は、第38〜42週で97時間から38時間に短縮した。第42週にペルシャ湾へ入ったコンテナ船は2隻(前週5隻)にとどまり、スエズ運河の通航は週54隻から55隻へわずかに増えた(Drewry)。BDIは4日続伸で、ケープサイズ指数が1.5%、スープラマックス指数が1.1%上がり、パナマックス指数は2.4%下がった(TradingEconomics)。SCFIとTAC Index(航空貨物)は、信頼できるデータを確認できなかった。
航路・港湾の状況: ホルムズ海峡を通るコンテナ船が少ない状況が続いており、中東向けの輸送には遅れや追加費用が出うる。燃料価格は、ブレント原油が112ドル台と前回の水準から上がっており、燃油サーチャージの改定が遅れて出る可能性がある(推測)。輸入側にとっては、運賃と燃料費の上昇が逆風。輸出側にとっては、アジア欧州航路で来週に抜港が増えるため、スペースの確保が課題になりうる。
主要国の貿易ルール変更
米国
ロシア制裁法の適用免除(大統領令。17日署名)
- 内容: トランプ大統領は17日(金)、新しい法律(グラハム法)に基づきロシアに課される予定だった関税や制裁の適用を免除する大統領令に署名した。ホワイトハウスは、和平交渉を妨げないためと説明している
- 対象: ロシア産品への最大500%の関税、ロシア産の原油・天然ガスの上位5輸入国への最大100%の関税、ロシア国営銀行と取引する外国銀行への制裁など。HSコードは今回確認できず、品目名のみ
- 発効日: 本来の発効の2日前に免除された。免除の期限は今回の出典では確認できなかった
- 影響: 輸入側(エネルギーを扱う事業者)は、ロシア産燃料の取引に対する二次的な関税・制裁のリスクが当面和らぐ。日本の外為法上の対ロシア措置は別に存在するため、取引への適用の可否は専門家や当局への確認が必要。輸出側への直接の影響は確認できない(ABC News)
そのほかの関税・輸出管理の新しい措置は、今週は一次情報で確認できなかった(今週は該当なし)。前回挙げた12月4日(ポリシリコン)などの発効予定に変更の報道はない。
EU
中国製ハイブリッド車の輸入上限(進行中)
- 内容: 10月8〜9日にEUと中国が合意した、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の輸出を年35万台に抑える枠組みについて、欧州委員会は正式な調査(セーフガード)を通じて実施する準備をしており、暫定的な制限は早ければ12月に出る見通しと報じられている
- 数値・期間: 年35万台、4年間、年6%ずつ引き上げ。2027年1月に閣僚級のビデオ会議、3月に第3回の閣僚級会合が予定されている
- 影響: 輸出側(日本から欧州へ)は競争環境の変化、輸入側はレアアース関連の許可手続きの簡素化の可能性がある(HKTDC Research)
今週、EUのTARIC、CBAMなどに関する新しい一次公告は確認できなかった(それ以外は今週は該当なし)。
中国
建設機械(トンネル掘削機など)の輸出管理(公告済み・11月18日発効)
- 内容: 商務部と海関総署が10月19日、トンネル掘削機などを輸出管理の対象にすると発表した。輸出者は、軍民両用品の輸出管理に関する法令に従って許可を申請する必要がある。「国家の安全と利益を守るため」と説明されている
- 対象品目: 全断面トンネル掘削機、その専用部品、指定の歩行式ショベル、標高3,000メートル超の高地向け湿式吹付けコンクリート機など。HSコードは今回確認できず、品目名のみ。浚渫ポンプ、ドラッグヘッド、カッターヘッドなどの浚渫機器の管理も同日から見直され、11月18日から適用される
- 影響: 輸入側(日本の建設・インフラ関連の事業者)は、中国製の掘削機や関連部品の調達に許可手続きが加わる。輸出側への直接の影響は確認できない。適用の可否は個別の品目で判断が変わるため、専門家への確認が必要(GE Plus)
軍民両用品の通関審査の新手続き(即日発効)
- 内容: 商務部と海関総署が10月19日、軍民両用品の輸出に対する税関の審査手続きを改めた。税関から問い合わせを受けた輸出者は7営業日以内に書類を出し、税関は15営業日以内に判断するか技術的な鑑定を求め、商務部がさらに15営業日以内に結論を出す。審査中の貨物は止められる(例外あり)。2025年の旧規則に代わる(MLex)
- 影響: 輸入側は、中国から軍民両用品に当たる物品を調達する際、審査のため最長で約30営業日程度の遅れが出うる(筆者の整理)
日本側の制度・通関実務
今週、経済産業省・税関による輸出令・外為令の改正、税関の新しい通達や公告は、確認できる範囲では見つからなかった(継続)。
需要と貿易統計
財務省が21日に公表した9月の貿易統計(速報)では、輸出額は10兆9,723億円で前年同月比16.7%増(13か月連続の増加)、輸入額は11兆5,088億円で18.9%増(8か月連続の増加)、貿易収支は5,365億円の赤字(5か月連続)だった。報道によると、輸出の伸びと赤字幅はいずれも市場予想と食い違い、輸出は予想を下回り、赤字幅は予想を上回った。輸出は半導体等電子部品が49.4%増、半導体等製造装置が43.9%増、自動車が15.1%増で、輸入は原粗油が51.1%増、半導体等電子部品が51.4%増、液化天然ガスが39.2%増だった(LNEWS)。原油・LNGの輸入額の増加は、中東情勢による価格上昇の影響とみられる(筆者の整理)。需要の先行指標としては、WCIの上昇が荷動きの底堅さを、BDIの下落からの戻りが鉄鉱石など資源貨物の需給の改善を示す。
来週までに確認すべきこと
- 中国の建設機械・浚渫機器の輸出管理(11月18日発効)の対象範囲とHSコード。中国から掘削機や関連部品を調達する場合は、契約条件と納期への影響を確認し、許可の要否は専門家や当局に確認する
- 10月29日に公表される次回のWCIで、アジア欧州航路の運賃上昇が続くか。来週は抜港が8便に増える予定で、見積りの有効期限が燃料価格に連動していないかも見る
- 27〜28日のFOMC、29日のECB、29〜30日の日銀会合に向けたドル円の動きと、日米当局の為替発言。ヘッジ方針は自社の判断で、断定的な推奨はしない
- 欧州委員会によるハイブリッド車のセーフガード調査の開始と暫定措置の時期。欧州向けの自動車・部品の取引がある場合は、契約条件を確認する
- ロシア制裁法の免除期間と、日本・EUの対ロシア措置の違い。ロシア産燃料に関わる取引がある場合は、専門家や当局に確認する

