前回からの変化
前回(2026-10-09)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前のレポートである。前回「確認事項」とした10月15日の欧州理事会は始まり、EUと中国の協議結果は、ハイブリッド車の輸入上限として具体化した。
変わったこと(変化・新規)
- WCIは前回の4,351ドルから4,485ドル(+134ドル、+3%)へ上がり、3週連続の低下が止まった。上海発ロッテルダム向けは3,337ドルから3,522ドル(+6%)、ジェノバ向けは3,696ドルから3,945ドル(+7%)、ロサンゼルス向けは7,624ドルから7,884ドル(+3%)に上がった。ニューヨーク向けは10,220ドルから10,075ドル(約1%低下)だった(Drewry)
- BDIは10月12日に2,852ポイント(前日比65ポイント低下)となり、前回の3,002ポイント(10月6日)から約5%下がった(Hellenic Shipping News)
- ドル円は前回の157円台半ば(10月8日のNY終盤)から、14日の米CPI後に159円手前まで上昇し、15日は157円55銭まで下げて158円25銭で引けた。前週末比ではおよそ70銭の円安である(ザイFX!)
- EUと中国がハイブリッド車の輸入上限で合意した。上限は年35万台、12月1日から4年間で、2年目以降は毎年6パーセントずつ引き上げる。前回は「概要合意案を示す構え」の段階だった(Investinglive)
- 米財務省(OFAC)が10月9日、ロシア産ディーゼルの販売や輸入を2027年4月7日まで認める一般許可(ライセンス135)を出したと報じられた(GV Wire)
前回と同じこと(継続)
- 中国の海関総署・商務部による新規の一次公告は、確認できる範囲では今週も見つからなかった。「今週は該当なし」が7週連続となる
- 米中貿易委員会の関税引き下げ検討リスト(米国向け77品目、中国向け1,600品目超)について、税率や時期の新しい発表は確認できなかった
- 日本の経産省・税関による輸出入関連の新しい政省令・通達は、今週も確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 日米の金利差と中東情勢を背景とする原油高が、円安を支える構図は、前回に続いている。ドル円は159円手前で上値が重い点も同じである
- 新規要因: 米PPIの上振れ(前月比1.3パーセント上昇)にもかかわらず、米10年債利回りが5.15パーセント台から5.07パーセント台へ下がり、ドル円の上値を抑えた(みんかぶFX)。運賃では、国慶節後の荷動きの戻りで、アジア発欧州向けが上がった
- 解消した要因: 前回の運賃低下の主因だった国慶節の工場休業による荷動きの減少は、解消に向かっている
今週の概観
この1週間は、運賃が反発し、EUの対中姿勢が具体化した週だった。WCIは3週連続の低下から4,485ドルへ戻し、特にアジア発欧州向けが上がった。EUと中国はハイブリッド車の輸入上限で合意し、首脳会議は対中通商防衛の強化を議論している。為替は14日のCPI後に159円手前へ上昇した後、157円台半ばまで戻した。輸入側には運賃の再上昇と円安の高止まりが重く、輸出側には円建て手取りが高めに保たれる環境が続く。
為替とヘッジ環境
| 通貨ペア | 週内の動き | 前回末比 | 主因 |
|---|---|---|---|
| ドル円 | 14日に159円手前まで上昇、15日は157円55銭〜158円25銭 | 約70銭の円安(158円25銭) | 米CPI後の上昇、米長期金利の低下 |
| ユーロドル | 15日は1.1188〜1.1224ドル | 確認できず | ドル売りの戻り |
取得時点は2026-10-16早朝(日本時間)で、為替は随時更新される。15日は東京時間に157円台後半へ下げ、NY時間は米PPIが予想を上回って一時158円10銭台へ戻したが、小売売上高の鈍化や米国債への買いで再び157円台に下げ、その後買い戻された(みんかぶFX)。ドル円の日々の値動きはfxカテゴリを参照。ドル指数・人民元の週間値は、確かな数値を確認できなかった。
輸入側・輸出側への影響: ドル円が158円前後で高止まりすると、輸入者にとってはドル建て仕入れの円換算コストが重い状態が続く。一方、輸出者にとっては円建ての手取りが高めの水準で保たれる。159円手前で上値が重い点は、円安の一段の進行がいったん止まっていることを示すが、一時的な動きの可能性もある。
ヘッジ環境: 週の値幅はおよそ1円50銭の範囲で、前回と同程度だった。金利先物市場では、10月のFRBは据え置きとの見方が主流で、次の利上げ時期は12月が有力との声が出ている(市場の見方)(ザイFX!)。フォワードポイントの数値は確認できておらず、ヘッジの時期についての断定的な推奨は行わない。
翌週の材料カレンダー: 10月のFOMC(27〜28日)と日銀会合(29〜30日)が再来週に控える。来週(10月19〜23日)の為替を動かす主要な指標の予定は、今回確認できなかった。
物流コストと航路
| 指数 | 値 | 前週比 | 取得時点(更新頻度) | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| WCI(Drewry) | 4,485ドル/40ft | +3% | 2026-10-15(週次) | グローバル主要12航路 |
| WCI 上海発ロッテルダム | 3,522ドル/40ft | +6% | 2026-10-15(週次) | 上海〜ロッテルダム |
| WCI 上海発ジェノバ | 3,945ドル/40ft | +7% | 2026-10-15(週次) | 上海〜ジェノバ |
| WCI 上海発ロサンゼルス | 7,884ドル/40ft | +3% | 2026-10-15(週次) | 上海〜ロサンゼルス |
| WCI 上海発ニューヨーク | 10,075ドル/40ft | 約-1% | 2026-10-15(週次) | 上海〜ニューヨーク |
| BDI | 2,852ポイント | 前回(10/6)の3,002から約-5% | 2026-10-12(日次) | 主要バルク航路 |
Drewryの総合WCIは4,485ドル/40ftと前週から3%上がり、3週連続の低下が止まった。国慶節後に荷動きが戻り、特にアジア発欧州向けの運賃が上がったという。Drewryは、北米向けは米国の輸入需要が底堅く、船会社がアジア発欧州向けで4,500〜4,800ドル/40ftの運賃引き上げを試みているが、スエズ運河経由の輸送力が戻りつつあるため、通るかは不透明だと説明している。抜港(船会社が運航を取りやめること)は、来週は太平洋航路で6便(前回は4便)、アジア欧州航路で2便(前回は6便)が発表されている(Drewry)。BDIは10月12日に2,852ポイントと、前回よりさらに低下した。10月13日以降の値、SCFIとTAC Index(航空貨物)は、信頼できるデータを確認できなかった。
航路・港湾の状況: ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの対立は続いており、前回のブレント原油103.92ドルからの更新値は確認できなかった。バンカー価格(船舶燃料)や燃油サーチャージの改定は、数週間遅れで船会社の告知に出ることがある(推測)。紅海・スエズ、パナマ運河、主要港の混雑に、今週新しい変更は確認できなかった。輸入側にとっては、アジア発欧州向けの上昇が逆風、輸出側にとっては、欧州向けの輸送スペースの確保が課題になりうる。
主要国の貿易ルール変更
米国
ロシア産ディーゼルの制裁緩和(OFACの一般許可135。発行済み)
- 内容: 米財務省外国資産管理局(OFAC)が10月9日付で一般許可135を出し、ロシア産ディーゼルの販売、輸送、輸入を認めた。トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談で合意した、最大480万トンのディーゼルを供給する枠組みに基づく
- 対象品目: ロシア産ディーゼル(HSコードは今回確認できず、品目名のみ)
- 数値・期限: 許可の期限は2027年4月7日まで
- 影響: EUは制裁を維持する立場で反発している。輸入側(日本を含む)は、日本の外為法上の対ロシア措置が別に存在するため、米国の許可が日本の取引に直接及ぶとは限らず、適用の可否は専門家や当局への確認が必要。輸出側には直接の影響は確認できない(GV Wire)
発効が予定されている措置(議会調査局の一覧。9月30日時点の内容)
- ポリシリコンへの通商拡大法232条の関税(10〜15パーセント)は12月4日、木材への関税の引き上げは2027年1月1日、ドローン部品は2027年2月9日に発効する予定とされる。通商法301条に基づく10〜12.5パーセントの関税(60経済圏対象)は7月24日から発効済みである(CRS)
- 新たな関税・輸出管理の措置は、今週は一次情報で確認できなかった(今週は該当なし)。個別の品目への適用は、HSコードと原産地で結論が変わる
EU
中国製ハイブリッド車の輸入上限(合意済み・12月1日開始予定)
- 内容: 10月9日、EUのシェフチョビッチ通商担当委員が北京での協議後に発表した。WTOのルールに沿ったセーフガードとして、輸入を制限する
- 対象品目: ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車(HSコードは今回確認できず、品目名のみ)
- 数値・期間: 年35万台、12月1日から4年間、2年目以降は毎年6パーセントずつ引き上げる。中国側はレアアースと永久磁石の輸出許可の手続きを簡素化し続ける。合意は計16分野の作業項目を含み、次の本格交渉は3月に予定されている
- 影響: 輸出側(日本から欧州へ)は、中国車の流入が抑えられる点で競争環境に影響しうる。輸入側は、レアアース系の部材調達の手続きが緩む可能性がある(Investinglive、electrive)
首脳会議の対中通商防衛(協議中)
- EU首脳会議は15日から開かれ、マクロン大統領とメルツ首相の共同提案を軸に、欧州委員会へ通商防衛の新しい手段の提案を求める流れである(外交筋の話)。委員会の提案は年末までに示される見通しで、決定済みの措置ではない。炭素価格の仕組み(排出量取引制度やCBAM)をめぐっては首脳間で意見が割れた。EUの対中貿易赤字は9月に月間で過去最大の310億ユーロに達したという(EUobserver)
中国
今週(10月9日〜15日)も、海関総署・商務部による新規の一次公告は確認できず、「今週は該当なし」とする(7週連続)。EUとの合意でレアアース・永久磁石の輸出許可の簡素化が盛り込まれたが、日本向けの運用が変わるかは、公式文書で確認できていない。
日本側の制度・通関実務
今週、経済産業省・税関による輸出令・外為令の改正、税関の新しい通達や公告は、確認できる範囲では見つからなかった(継続)。財務省の貿易統計の最新の数値も、信頼できる出典で確認できなかった。
需要と貿易統計
中国の9月の輸出は前年同月比36.3パーセント増、1〜9月の貿易黒字は9,381億ドルと報じられた。報道ベースの数字で、海関総署の公式発表では確認できていない(U.S. News)。EU側の対中貿易赤字の拡大(9月に月間310億ユーロ)も、同じ流れを示す。需要の先行指標としては、WCIの反発が荷動きの戻りを、BDIの低下がバルク貨物の弱さを示している。
来週までに確認すべきこと
- 12月1日開始予定のEUのハイブリッド車の輸入上限について、欧州委員会の実施規則と対象範囲(HSコード、原産地の扱い)が出るか。欧州向けの自動車・部品の取引がある場合は、契約条件を確認する。
- 欧州委員会が年末までに示す通商防衛の提案で、対象になる品目と手段が何か。EU首脳会議の結論文書の内容を確認する。
- 運賃の見積りで、アジア発欧州向けの4,500〜4,800ドル/40ftの引き上げが通るか。10月22日(木)に公表される次回のWCIで確認する。見積りの有効期限が燃料価格に連動していないかも見る。
- 10月27〜28日のFOMCと29〜30日の日銀会合に向けたドル円の動きと、日米当局の為替発言。ヘッジ方針は自社の判断で、断定的な推奨はしない。
- OFACの一般許可135と、日本・EUの対ロシア措置の違い。ロシア産燃料に関わる取引がある場合は、専門家や当局に確認する。
