前回からの変化

前回(2026-10-02)との比較。この1週間(10/2〜10/8)は、前回「発効予定」として伝えた制度の新たな動きは確認できず、運賃は国慶節の需要減で下落が続き、円は157〜158円台で小幅な動きとなった。

変わったこと(変化・新規)

  • ドル円は前回の157円台半ば(10/1)から、10/2の米雇用統計後に156円96銭まで下げ、10/7の東京で158円51銭まで上昇した後、10/8のNY終盤に157円台半ばへ戻った。週の値幅はおよそ1円50銭で、前回(約1円)よりやや広がった(みんかぶFX、みんかぶFX)
  • WCIは前回の4,434ドルから4,351ドル(2%低下)へ下がった。上海発ロサンゼルス向けは7,835ドルから7,624ドル(3%低下)、上海発ニューヨーク向けは10,428ドルから10,220ドル(2%低下)となった(Drewry)
  • BDIは前回の3,140ポイント(10/1)から、10/6に3,002ポイントへ下がり、8月下旬以来の低水準となった(Hellenic Shipping News)
  • 米中貿易委員会が、関税を引き下げる検討対象の品目リストを発表した。米国が輸入する中国製品が77品目、中国が輸入する米国製品が1,600品目超である(ジェトロ)
  • EUの通商担当委員が10/8から北京で協議に入った。10/15の欧州理事会に概要合意案を示す構えである(CGTN)

昨日と同じこと(継続)

  • Drewryは国慶節の工場休業で貨物量が減り、運賃が下がる流れを前回の見通しどおりとしている。上海発ジェノバ向けは3,696ドルとほぼ横ばいである
  • 中国の海関総署・商務部による新規の一次公告は、今週も確認できなかった。「今週は該当なし」が6週連続となる
  • 対中7.5%追加関税(通商法301条)の正式な布告も、今週は確認できなかった
  • 日本の経産省・税関による輸出入関連の新しい政省令・通達は、今週も確認できなかった

要因の連続性

  • 継続要因: 国慶節の工場休業による荷動きの減少が運賃を押し下げる構図は、前回から続いている。日米の金利差と原油高が円安を支える構図も同じである
  • 新規要因: ホルムズ海峡でのタンカー攻撃の再燃と原油の急伸(ブレント103.92ドル)が、燃料費や運賃の先行きに新たな不確実性を加えた。米30年債入札と米イラン発言を受けた米長期金利の低下が、10/8のドル円を押し下げた(TradingEconomics: Brent oil)
  • 解消した要因: 前回の焦点だった「医薬品232条の15%枠の適用」「EU鉄鋼の溶解・鋳造国証明の開始」は、いずれも発効済みで、今週新たな混乱の報告は確認できなかった

今週の概観

この1週間は、制度面の大きな発効日がない週だった。米中は貿易委員会の検討リストが明らかになったが、関税率や時期は未定である。EUと中国は北京で協議を始めた。為替は157〜158円台の狭い範囲で動き、運賃は国慶節の需要減で3週連続の低下となった。一方、原油は急伸しており、燃料サーチャージを通じた運賃への波及が来週以降の確認事項になる。輸入側には運賃低下と円安の一服が追い風だが、輸出側には円建て手取りの伸び悩みが続いた。

為替とヘッジ環境

通貨ペア 週内の動き 前回末比 主因
ドル円 156円96銭(10/2安値)→158円51銭(10/7高値)→157円台半ば(10/8NY終盤) ほぼ横ばい 米雇用統計の下振れ、原油高、米長期金利の低下
ユーロ円 176円99銭(10/8NY終盤) 確認できず 東京で売りが優勢

取得時点は2026-10-09早朝(日本時間)で、為替は随時更新される。10/8は東京時間に158円51銭を付けた後に157円台へ下げ、NY終盤は米30年債入札の需要を受けた利回り低下と、トランプ大統領のイラン攻撃見送り発言でさらに下落した。ドル円の日々の値動きはfxカテゴリを参照。ドル指数・人民元の週間値は確かなデータを確認できなかった(みんかぶFX)。

輸入側・輸出側への影響: ドル円が157円台前半から158円台半ばで推移したことは、輸入者にとってはドル建て仕入れコストが高止まりすることを意味する。一方、輸出者にとっては円建ての手取りが前回に近い水準を保った。158円台半ばの上値の重さで、円安の一段の進行は一服した。

ヘッジ環境: 週の値幅はおよそ1円50銭で、前回(約1円)より広がった。160円を超えると介入警戒が強まるとの指摘が市場にあるが、実施の事実は確認できていない(みんかぶFX)。フォワードポイントの数値は今回確認できておらず、ヘッジの時期についての断定的な推奨は行わない。

翌週の材料カレンダー: 10/14の米9月CPI、10/15の欧州理事会、10月のFOMC(10/27〜28)と日銀会合(10/29〜30)。

物流コストと航路

指数 値 前週比 取得時点(更新頻度) 対象
WCI(Drewry) 4,351ドル/40ft -2% 2026-10-08(週次) グローバル主要12航路
WCI 上海発ロッテルダム 3,337ドル/40ft -2% 2026-10-08(週次) 上海〜ロッテルダム
WCI 上海発ジェノバ 3,696ドル/40ft 横ばい 2026-10-08(週次) 上海〜ジェノバ
WCI 上海発ロサンゼルス 7,624ドル/40ft -3% 2026-10-08(週次) 上海〜ロサンゼルス
WCI 上海発ニューヨーク 10,220ドル/40ft -2% 2026-10-08(週次) 上海〜ニューヨーク
BDI 3,002ポイント 3,140ポイント(10/1)から約4.4%低下 2026-10-06(日次) 主要バルク航路

Drewryの総合WCIは4,351ドル/40ftと前週から2%下がり、国慶節で需要が弱まったことが背景とされる。来週は北米航路、アジア欧州航路とも横ばいの見通しである。抜港(船会社が運航を取りやめること)は、来週は太平洋航路で4便(今週は11便)、アジア欧州航路で6便(今週は5便)が発表されている(Drewry)。BDIは10/6に3,002ポイントと、8月下旬以来の低水準になった。10/8の値は確認できなかった(Hellenic Shipping News)。SCFIとTAC Index(航空貨物)は今週分の信頼できるデータを確認できなかった。

航路・港湾の状況: 紅海・スエズ、パナマ運河、主要港の混雑について、今週の新しい変更は確認できなかった。燃料面では、ホルムズ海峡で1週間にタンカー9隻が攻撃を受けたと伝わり、ブレント原油が103.92ドルに上がった。バンカー価格(船舶燃料)や燃油サーチャージの改定は、数週間のタイムラグで船会社の告知に出ることがあり、来週以降に確認が必要になる(推測)。輸入側にとっては、運賃低下が追い風だが燃料費の上振れは逆風になる。輸出側も同様である。

主要国の貿易ルール変更

米国

米中貿易委員会、関税引き下げの検討対象リストを公表(検討中・発効日未定)

ジェトロによると、米中貿易委員会(米国側はベッセント財務長官とグリア通商代表、中国側は何立峰副首相)が関税引き下げを検討する品目リストを発表した。

  • 対象品目: 米国が輸入する中国製品は玩具、家庭用品、小型家電など77品目。中国が輸入する米国製品は農林水産物・食品を中心に、丸太・木材製品、化粧品、医療機器など1,600品目超。HSコードは今回確認できず、品目名のみ
  • 税率・数値: 具体的な関税率は未公表。グリア氏は「中国向け米国輸出の約30%で市場アクセスを改善する」と述べた
  • 発効日: 未定。優遇措置は各国の国内法の手続きに従って決まる。リストの見直しは年1回を超える頻度では行わない
  • 影響: 輸入側(日本を含む)には間接的で、米中の貿易環境が安定する材料になる。日本企業の対中・対米の競合品目で影響が出るかは、リストの詳細確認が必要(ジェトロ)

発表日はジェトロの記事で2026年9月27日とされ、今週の前の動きだが、前回レポートでは扱っていなかったため、今回の確認事項として載せる。ほかの新たな関税・輸出管理・制裁の措置は、今週は一次情報で確認できなかった(今週は該当なし)。医薬品232条の15%枠など、発効済みの措置は前回のとおりである。

EU

EUの通商担当委員(シェフチョビッチ氏)が10/8から北京で王文濤商務部長と協議に入った。議題はEUの対中貿易赤字(1日あたり10億ユーロ)、中国製EVの輸入、レアアースなど重要鉱物の輸出規制の緩和で、10/15の欧州理事会に概要合意案を示す構えである(協議中で、結果は出ていない。CGTN)。鉄鋼の溶解・鋳造国証明(10/1開始)は前回のとおりで、CBAMやEUDRなどの新しい運用変更は今週確認できなかった(今週は該当なし)。

中国

今週(10/2〜10/8)も、海関総署・商務部による新規の一次公告は確認できず、「今週は該当なし」とする(6週連続)。レアアース関連の輸出管理強化の停止期間は、従来2026年11月10日までとされており、EUとの協議の結果が影響するかは、公式文書で確認できていない。

日本側の制度・通関実務

  • アルゼンチン産牛肉の輸入拡大: 日本政府は、パタゴニア地域以外の北部地域産の牛肉の輸入を新たに認めた(2026年9月30日付)。口蹄疫ウイルスを不活化する熟成処理と脱骨処理を、日本政府が指定する食肉処理施設で行った製品に限る。パタゴニア地域産は2018年から認可済みで、条件はない。日本政府が現地調査で衛生条件を満たす施設を指定する手続きが必要で、輸入開始時期は記事に書かれていない。輸入側には調達先の選択肢が広がる(ジェトロ)
  • シリア向け経済制裁の一部解除: 外務省は、シリアの16社・団体に対する資産凍結などの措置を解除した(金融、石油・エネルギー、通信などの復興部門が中心)。59の個人と15団体への措置は維持される。具体的な発効日は記事に記載がなく、外務省の発表は9月29日である。シリア向けの取引を検討する輸出入業者は、対象の企業・団体名を外務省の一次資料で確認する必要がある(ジェトロ)
  • 経済産業省・税関の通達: 今週、輸出令・外為令の改正や新たな通達は確認できなかった(継続)

需要と貿易統計

今週、財務省の貿易統計や主要相手国の貿易統計について、今回の調査で確認できた新しい発表はなかった。例年、中国の9月の貿易統計は10月中旬に公表される(日付は未確認)。需要の先行指標としては、WCIとBDIの低下が、国慶節の影響による荷動きの鈍さを示している。

来週までに確認すべきこと

  • 米中貿易委員会の検討リスト(米国向け77品目、中国向け1,600品目超)に、自社の取扱品目が含まれるか。含まれる場合の関税率と時期の公表を注視する。
  • 10/15の欧州理事会に向けて、EUと中国の協議でレアアースの輸出管理や関税の合意案が出るか。出た場合の部品・素材の調達への影響。
  • 原油の急伸(ブレント103.92ドル)が、燃油サーチャージやバンカー価格の改定告知にどう反映されるか。見積りの有効期限が燃料価格に連動していないか。
  • 国慶節明けの荷動きの戻りと、抜港(来週は太平洋4便、アジア欧州6便)がWCIの下落を止めるか。
  • 10/14の米9月CPIの発表前後のドル円と、日米当局の為替発言。ヘッジ方針は自社の判断で、断定的な推奨はしない。