前回からの変化
前回(2026-11-04、前日)との比較である。前回は3日のNYで158円77銭まで上昇し、4時台に158円75銭前後だった。今回は4日の動きを扱う。水準は日本時間5日朝の取得で、終値の確定値は確認できていない。
変わったこと(変化・新規)
- 前回の注目だった米中間選挙は、民主党が上下両院を制した。ドル円は東京時間に158円74銭から157円40銭まで約1円34銭下落し、前回の158円台後半から一時大きく売られた(ザイFX: 東京為替概況)
- ただしNYでは持ち直し、158円67銭を高値に158円16銭付近で引けた。前回の4時台の158円75銭前後から、およそ0.6円(0.4%)の円高・ドル安である(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)
- 前回の注目イベントだった米ADP雇用報告は+8.6万人で、予想の+6.7万人を上回った。ISM非製造業景況指数は54.5と、予想の54.8を下回った(財経新聞: 11月4日のNY為替概況)
- ユーロドルは前回の1.1175ドルから1.1213ドルへ、ポンドドルは1.3407ドルから1.3455ドルへ上昇した。ユーロ円は177円60銭前後でほぼ変わらなかった
昨日と同じこと(継続)
- ドル円は10月以降の156円台後半〜158円台のレンジ内にあり、9月24日高値の159円04銭は超えていない
- 12月の日銀の追加利上げ観測と日米の金利差のせめぎ合い、年内の米利上げ観測という構図は続く
- 為替介入や財務省・日銀の為替発言は、確認できた範囲では見当たらない
要因の連続性
- 継続要因: 米労働市場の底堅さ(JOLT求人件数に続くADP雇用統計の上振れ)が、年内の米利上げ観測を通じてドル買いを支える点は前回と同じである
- 新規要因: 米中間選挙で共和党が上下両院で過半数を割り込んだことによるドル売り。米イラン関係の緊張緩和期待による原油の急落と米長期金利の低下。ISM非製造業の予想割れ
- 解消した要因: 前回の焦点だった中間選挙の開票待ちは通過した。前回に目立った米長期金利の上昇によるドル買いは、4日は一転して低下に変わった
為替サマリー
| 通貨ペア | 4日の値幅 | 終盤の水準 | 前回(3日4時台) |
|---|---|---|---|
| ドル円 | 157円40銭〜158円74銭 | 158円16銭付近(NY) | 158円75銭前後 |
| ユーロドル | 1.1186〜1.1273ドル | 1.1213ドル | 1.1175ドル |
| ポンドドル | 1.3455〜1.3503ドル(NY時間) | 1.3455ドル | 1.3407ドル |
| ユーロ円 | 177円15銭〜178円48銭 | 177円60銭 | 177円60銭前後 |
値は日本時間5日朝に確認した4日の東京時間とNY時間のものである(ザイFX: 東京為替概況、財経新聞: 11月4日のNY為替概況)。ドル指数と人民元、韓国ウォンは、信頼できる数値を確認できなかった。
ドル円の動き
東京時間は、米中間選挙の開票で野党民主党の優勢が伝わり、ドルが売られた。正午時点は157円68銭で、前日安値の157円75銭を割り込み、157円54銭まで下げた。共和党の議席減で政権の財政拡張策が進みにくくなるとの見方から、米株先物が下落し、米長期金利も低下してドル売りにつながった。日経平均が大きく下げたことも円買いを後押しした(時事通信: 東京外為、みんかぶFX: 東京為替前場概況)。その後、ドル円は157円40銭まで下げたが、選挙結果がほぼ判明すると買い戻され、東京の引けは158円10〜20銭だった(ザイFX: 東京為替概況)。日経平均は6万2188円63銭(893円23銭安)で取引を終え、一時は6万円まで下げた。
NY時間は、米10月ADP雇用統計(民間企業の雇用者数の増減)が+8.6万人と予想の+6.7万人を上回り、9月の貿易赤字も予想の1079億ドルを下回る1050億ドルに縮んで、年内の米利上げを織り込む形でドル買いが優勢になった。ドル円は158円67銭まで上げた。その後、ISM非製造業景況指数(サービス業の景況感を示す指標)が54.5と予想の54.8を下回り、米国のイラン攻撃が強まるとの懸念が後退して原油が下げ、長期金利が低下したため、ドル売りが再び出て158円16銭付近で引けた(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)。5時台の米10年債利回りは4.888%(前日比0.074ポイント低下)、米2年債利回りは4.577%(同0.054ポイント低下)、日本の10年債利回りは2.809%(同0.039ポイント上昇)だった(みんかぶ: NY各市場 5時台)。日米の長期金利差が縮んだことは、円高方向の材料である(筆者の整理)。
円安・円高の影響は両面ある。円安は輸出企業の業績や海外資産の円換算額を押し上げる一方、輸入物価を通じて家計の負担を重くする。円高はその逆に働く(筆者の整理)。
その他の主要通貨
- ユーロ: ユーロドルは東京時間に1.1186ドルから1.1262ドルへ上昇し、NYで1.1273ドルまで上げたあと、1.1213ドルで引けた。ECBの12月利上げ観測は前日から続いている(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)。ユーロ円は178円48銭まで上げ、177円60銭に戻した
- ポンド: ポンドドルは1.3503ドルまで上げ、1.3455ドルで引けた。5日のBOEの政策金利発表が次の焦点である(財経新聞: 11月4日のNY為替概況)
- スイスフラン: ドルスイスフランは0.8186フラン付近だった(同上)
- 豪ドルとアジア通貨: 信頼できる数値を確認できなかった
当局の姿勢と介入
4日から5日朝の時点で、財務省・日銀による為替に関する発言や、介入の実施・認否は、確認できた範囲では見当たらない。前回レポートで触れた7月末の日米協調介入以降、新しい介入は確認できていない。
選挙結果について、トランプ大統領は「驚いた」と述べる一方、民主党との協力に前向きな姿勢を示したと伝えられた(みんかぶFX: 東京為替前場概況)。為替への直接の言及ではない。
6日には植田日銀総裁の講演が予定されており、12月の利上げについて新たな示唆が出るかが関心事である。
ポジションと相場観
4日分で氏名付きの円高派・円安派の主張は確認できなかった。報道の論調では、東京時間は「民主党優勢による金利低下と株安がドル売り・円買いを促した」との見方、NY時間は「米労働指標の強さが年内の利上げ観測を支えドルを下支えした」との見方が並んだ(ザイFX: 東京為替概況、ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)。いずれも相場観で、売買の推奨ではない。IMM通貨先物の新しい数字は確認できていない。
テクニカル分析(ドル円)
前回は200日移動平均線(過去200日の平均値で、長期のトレンドを測る目安)の158円60銭付近を試す動きだった。4日のNYの高値158円67銭は、この水準をわずかに上回った後、158円16銭付近まで押し戻された。節目を明確に超えて定着するには至らなかったと見られる(筆者の整理)。上値の目安は9月24日高値の159円04銭、下値の目安は4日東京時間の安値157円40銭である(ザイFX: 東京為替概況)。25日・75日線とRSIの最新値は、今回の出典では確認できなかった。
今夜の注目イベント
5日(木)以降の日本時間の主な予定は次のとおり。日付と時刻は前回レポートの出典と報道にもとづき、公式カレンダーでは未確認である(ザイFX: 11月3日のNY為替・原油概況)。
- 5日(木): BOEの政策金利発表(21時の予定)。米新規失業保険申請件数と非農業部門の労働生産性も発表される予定である
- 6日(金): 米国の10月雇用統計(22時30分の予定)と、植田日銀総裁の講演

