前回からの変化
前回(2026-11-04付、3日の取引)との比較である。今回は4日(水)、米中間選挙の翌日の取引を扱う。本レポートの時点(日本時間5日6時)では取引終了の確定値は確認できず、日本時間5時台の値を使っている。S&P500は取得時刻が確認できていない取引中の値である。前回終値は、当日値と前日比から逆算した3日の確定値(NYダウ5万1786.72ドル、ナスダック総合2万5372.01、S&P500 7,568.92)で、前回レポートの値(取引終了の約30分前)とは少し異なる。
変わったこと(変化・新規)
- 前回は明暗が分かれた指数が、そろって上昇した。NYダウは前回の51,786.72ドルから53,355.21ドルへ1,568.49ドル(3.03%)上昇し、ナスダック総合は25,372.01から25,802.61へ430.60ポイント(1.70%)上昇した。S&P500は7,568.92から7,688.67へ119.75ポイント(1.58%)上昇した(みんかぶ: NY各市場 5時台、Yahoo Finance)
- 前回の注目だった米中間選挙は、民主党が上下両院を制した。選挙結果を受けて不透明感が後退し、相場は「選挙後の安心感による上昇」に転じた。トランプ大統領は結果を受け入れ、民主党との協力に前向きな姿勢を示したと伝えられた(Stock Titan、Yahoo Finance)
- 前回下落したアップルは6%前後上昇して上場来高値をつけ、時価総額が5兆ドルを超えた。マイクロソフトも6%前後上昇し、過去最高値をつけた。一方、前回反発した半導体株のエヌビディアは2%近く下落した(Yahoo Finance、Stock Titan)
- 米10年債利回りは前回の4.946%から4.888%へ、0.074ポイント低下した。前回は上昇していた(みんかぶ: NY各市場 5時台)
- 前回「解消した要因」とした原油の急落が再び起き、WTI原油は88.12ドルへ約8%下げた(みんかぶFX: NY原油概況)
昨日と同じこと(継続)
- AI投資とハイテクに対する警戒は形を変えて続いている。前回はアップルなどの決算失望が重しだったが、今回はAIデータセンター関連株が民主党優勢への警戒で売られた
- 米労働市場の底堅さを示す指標が続いた。ADP雇用統計は+8.6万人で、予想の+6.7万人を上回った(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)
要因の連続性
- 継続要因: AI関連投資の収益性への警戒。AIデータセンター関連株は前回の弱さに続いて下げた
- 新規要因: 中間選挙で上下両院が民主党になり、政治の不透明感が後退したこと。米イラン情勢の緊張緩和期待による原油の急落と米長期金利の低下
- 解消した要因: 選挙結果待ちの様子見ムードは解消した。前回の重しだったアップルの決算失望は、買い戻しで一転した
市況サマリー
| 指数 | 取得時点の値 | 騰落率 | 前回終値(逆算) |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,688.67 | 1.58%高 | 7,568.92 |
| NASDAQ総合 | 25,802.61 | 1.70%高 | 25,372.01 |
| NYダウ | 53,355.21ドル | 3.03%高 | 51,786.72ドル |
NASDAQ総合とNYダウは日本時間5日5時台の値(みんかぶ: NY各市場 5時台)。S&P500は取引中の値で、取得時刻は確認できていない(Yahoo Finance)。ナスダック100の値は確認できなかったため、ナスダック総合を記載する。取引終了後の確定値とは異なる可能性がある。
指数別動向
S&P500
S&P500は7,688.67(119.75ポイント、1.58%高)で推移した。消費財と通信のセクターが上昇を主導し、エネルギーのセクターは原油の急落で5%近く下げた。ヘルスケアでは保険会社と病院運営会社が上げ、メディケア関連のセンテンが12%超、HCAヘルスケアが10%超上昇した(Yahoo Finance、Stock Titan)。
ナスダック100
ナスダック総合は1.70%高の25,802.61だった。大型テックはまちまちで、アップルとマイクロソフト、アマゾンが6%前後から7%近く上げた一方、エヌビディアは約2%、テスラは約2.7%下落した。AIデータセンター関連のコアウィーブは約10%、ハット8は約22%それぞれ下げた(Stock Titan)。ナスダック100そのものの値は未確認。
NYダウ
NYダウは53,355.21ドル(1,568.49ドル、3.03%高)まで上昇した。Stock Titanは、2025年4月以来の1日の上昇幅だと伝えた。構成銘柄のアップルとマイクロソフトの大幅高が指数を押し上げた(Yahoo Finance、Stock Titan)。
強気派 vs 弱気派
強気・建設的な見方:
- エバコアISIのアミット・ダリヤナニ氏は、アップルについて、データセンター関連とは「異なる収益の牽引役」があり、議会がねじれる局面でも価格決定力とサービス事業の堅さが強みだと指摘した(Yahoo Finance)
- Yahoo Financeは、選挙結果で政治の不透明感が後退し、ねじれ議会を織り込んだ「選挙後の安心感による上昇」が起きたと伝えた(Yahoo Finance)
弱気・警戒の見方:
- キャピタル・ドットコムのダニエラ・ハソーン氏は、当初のリスク回避の売りが安心感の買いに変わったとしたうえで、「ハイテク株は結果への感応度が高く、民主党が議会を握ればAI投資への監視が強まる懸念がある」と述べた(Yahoo Finance)
- エヌビディアとマイクロン・テクノロジーなど半導体株は、データセンター向けの規制への懸念で下落したと伝えられた(Yahoo Finance)
いずれも相場観であり、事実ではない。
経済ニュース
10月のADP雇用統計(民間企業の雇用者数の増減)は+8.6万人で、予想の+6.7万人を上回った。10月のISM非製造業景況指数(サービス業の景況感を示す指標)は54.5で、予想の54.8を下回り、前月の54.9から低下した。9月の貿易赤字は1050億ドルで、予想の1079億ドルより小さかった(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)。
政策面では、中間選挙で民主党が上下両院で多数を握った。薬価や医療保険、再生可能エネルギーなどの政策の行方が意識され、ヘルスケアの保険会社や太陽光関連株は上昇した(Stock Titan)。ヴァンス副大統領がイラン戦争を共和党の敗因と指摘したことで、原油が売られたとも伝えられている。
個別銘柄では、語学学習アプリのデュオリンゴが25〜30%上昇し、CVSヘルスは2028年上期までに医療部門と薬局部門に分割する計画を示して11%超下げた。トランプ・メディアは約12〜24%下落した(報道で幅がある)(Yahoo Finance、Stock Titan)。前回の注目だったAMDの決算結果は、今回の出典では確認できなかった。
金利・為替が株に効いた分
米10年債利回りは5時台に4.888%(前日比0.074ポイント低下)、2年債利回りは4.577%(同0.054ポイント低下)だった。金利の低下は、将来の利益の価値を高めやすいグロース株には追い風になる(筆者の整理)。VIX(恐怖指数)は16.81と、約19%低下した(みんかぶ: NY各市場 5時台、Yahoo Finance)。
為替では、ドル円がNYで158円67銭まで上げたあと158円16銭付近で引けた。詳細はfxを参照(ザイFX: 11月4日のNY為替・原油概況)。WTI原油は88.12ドルへ約8%下落し、金は約3%上昇して4,068ドル前後、ビットコインは約2.9%上昇して8万ドル台となった(みんかぶFX: NY原油概況、みんかぶ: NY各市場 5時台)。ドル指数と多国籍企業の業績への影響は、今回の出典では確認できなかった。
テクニカル分析(S&P500・ナスダック100・NYダウ)
移動平均線やRSIの最新値は、今回の出典では確認できなかった。確認できたのは、VIXが16.81まで低下してリスク回避の度合いが和らいだことと、前回の下値の目安だったS&P500の7,530〜7,532を、今回の7,688.67が大きく上回っていることである。前回のフィラデルフィア半導体株指数は弱気相場(直近高値から20%以上の下落)入りしていたが、今回の出典では同指数の値は確認できなかった。断定的な売買推奨ではなく、引け後の確定値で確認する必要がある。
今夜の注目イベント
- 4日の取引終了後にはアーム、クアルコム、マッケソン、アップラビンの決算が発表され、5日の取引で反応が出る見通し(Stock Titan)
- 5日(木): 米新規失業保険申請件数と労働生産性が発表される予定。英国ではBOEの政策金利発表が予定されている
- 6日(金): 10月の米雇用統計が発表される予定
