前回からの変化
前回(2026-11-04、前日)との比較である。前回は3日(火)の動きを扱い、今回は4日(水)の動きを扱う。価格は出典の表示値で、取得時刻が出典ごとに異なるため、前回値との差と出典の前日比は一致しない場合がある。
変わったこと(変化・新規)
- 前回、米中間選挙を控えて小幅安だった金は、民主党が上下両院を制したことでドルが約1か月ぶりの安値まで下がり、3,920.89ドルから4,063.93ドルへ(前日比3.36%高。日次の上げ幅は8月中旬以来の大きさ)急伸した(TradingEconomics: Gold)
- 銀は49.65ドルから52.24ドルへ(4.92%高)と、前回の下落を取り戻した(TradingEconomics: Silver)
- WTI原油は96.66ドルから88.72ドルへ(7.67%安)、ブレントは104.41ドルから95.18ドルへ(8.13%安)と、前回の横ばいから一転して急落した。トランプ大統領が「当面、追加攻撃の予定はない」と述べたことなどで、緊張が緩んだ(TradingEconomics: Crude Oil)
- 前回は米軍のゲシュム島攻撃で外交への期待が後退していたが、4日はカタールとパキスタンの仲介が強まり、中東の原油輸出が持ち直した(同上)
昨日と同じこと(継続)
- 12月の米利上げ観測が金・銀の戻りを抑える構図は継続している。確率はKitcoで約80%、TradingEconomicsで約79%と、前回(Kitcoで約83%)から大きくは変わらない(Kitco)
- 銅は6.38ドル前後で、前回に続き横ばいだった。AI関連の評価への懸念が重しである点は変わらない(TradingEconomics: Copper)
- 天然ガスは2.90ドルから2.95ドル(1.98%高)と、弱い地合いのなかで小幅に戻した(TradingEconomics: Natural Gas)
- 小麦は599.25セント(0.08%安)で、前回の598.75セントからほぼ横ばいだった(TradingEconomics: Wheat)
要因の連続性
- 継続要因: 12月の米利上げ観測が実質金利を押し上げ、貴金属の上値を抑える点。中東情勢(米イラン協議)が原油の水準を左右する点
- 新規要因: 民主党の上下両院制覇によるドル安と米長期金利の低下。トランプ大統領の「追加攻撃の予定なし」発言と、中東の原油輸出の回復
- 解消した要因: 米中間選挙の結果待ちという不確実性。前回、原油の下支えとなっていたゲシュム島攻撃による外交期待の後退は、4日はトランプ大統領の発言で和らいだ
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年11月4日) | 騰落率(前日比) | 前回値(11月3日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス4,063.93ドル | 3.36%高 | 3,920.89ドル |
| 銀 | 1オンス52.24ドル | 4.92%高 | 49.65ドル |
| WTI原油 | 1バレル88.72ドル | 7.67%安 | 96.66ドル |
| ブレント原油 | 1バレル95.18ドル | 8.13%安 | 104.41ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.95ドル | 1.98%高 | 2.90ドル |
価格はTradingEconomicsの日本時間5日朝の表示値で、限月は確認できておらず、確定した終値かどうかも確認できなかった。同日の早い時間にKitcoが伝えた値は、金が4,041.30ドル(2.85%高)、銀が51.91ドル(4.50%高)、WTIが約95.25ドル、ブレントが約102.95ドルで、その後の原油安で表示値とは異なる。銅は1ポンド6.38ドル(0.06%高)、小麦は1ブッシェル599.25セント(0.08%安)、トウモロコシは446セント(0.73%高)、大豆は1,194セント(0.77%安)である。
商品別動向
金・銀
Kitcoの朝の報告では、金は4,041.30ドル(2.85%高)、銀は51.91ドル(4.50%高)で、米ドル指数は約101.3と1か月ぶりの安値まで下がった。民主党が上院と下院の両方の多数を握ったことで、米10年債利回りは約4.93%と小幅に低下した(Kitco)。
その後、TradingEconomicsの表示では、金は4,063.93ドル(3.36%高)、銀は52.24ドル(4.92%高)となった。同社は、ドル安と長期金利の低下、米イランの緊張による安全資産需要が上昇の理由とみている。ただし金は月間で1.85%安、銀は14.44%安にとどまり、前回までの下落の大半は戻していない(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver)。
原油
WTIは88.72ドルと、約1か月ぶりの安値まで下がった。トランプ大統領が当面の追加攻撃の予定はないと述べ、カタールとパキスタンが仲介を強めた。ただし、協議は「合意からほど遠い」と伝えられている。中東の原油輸出が持ち直し、地域の供給が7月以来初めて近い将来の需要を上回ったことも重しである。一方、米国の原油在庫は週に86万5千バレル減り、5週連続の減少だった(出典の週次統計の種別は確認できなかった)(TradingEconomics: Crude Oil)。
天然ガス
米国の天然ガスは2.95ドル(1.98%高)だった。生産の減少が支えで、11月18日にかけて米国の大半で平年より高い気温が予想されて暖房需要が伸びにくいことと、LNG(液化天然ガス)の輸出向けの流量が10月の日量184億立方フィートから11月は177億立方フィートに減ったことが重しである。月間では3.64%安である(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物・銅
小麦は599.25セント(0.08%安)で、16週間ぶりの安値からの小さな戻りの局面にある。中国が米国産の軟質赤冬小麦に関心を示したと伝えられたが、世界の生産量が史上2番目の高さと見込まれ、ロシアとウクライナの和平協議で黒海の穀物貿易の改善期待もあり、上値は重い。月間では13.43%安である(TradingEconomics: Wheat)。
銅は6.39ドル(0.06%高)でほぼ横ばいだった。ただし4日には一時6.30ドルを割り、3か月ぶりの安値をつけた。AIの評価への懸念と、FRBの利上げ観測が重しで、チリの生産が第3四半期に20年ぶりの低さになったことが支えである(TradingEconomics: Copper)。
急変動の特集
原油が8%近く急落 緊張の緩和と供給の回復が同時に重なる
前回までの特集のとおり、原油は2日にも7%超下げていた。4日は再び、WTIが96.66ドルから88.72ドルへ7.67%、ブレントが104.41ドルから95.18ドルへ8.13%下がった。2日の急落では、外交への期待が材料だった。
- 何が起きたか: WTIは約1か月ぶりの安値になった。Kitcoの朝の時点では約95ドルで、その後に下げ幅が広がった(表示値の取得時刻は異なる)
- なぜ動いたか: トランプ大統領が追加攻撃の予定はないと述べたこと、カタールとパキスタンの仲介、中東の原油輸出の回復。民主党の勝利でトランプ政権の外交や軍事行動が制約されるとの見方が背景にあるとされるが、因果関係は出典で明示されていない(TradingEconomics: Crude Oil)
- 生活・産業への波及: 原油が下がればガソリンや電気料金への上昇圧力がやや和らぐ(一般論)。ただし4日時点でも、原油は前年同期より約49%高い水準にある。今回の出典では、国内のガソリン価格への新しい影響を示すデータは確認できなかった
金・銀も3%超(銀は5%近く)動いたが、動きの中心は金融面(ドルと金利)であり、本項では原油を主に扱う。
強気派 vs 弱気派
調査したのはKitcoの2本の記事とTradingEconomicsで、Bloomberg、Reuters、CNBCなどは今回確認できなかったため、3サイトの要件には届かなかった。
金・銀
- 強気: クリストファー・ベッキオ氏(テイスティライブ)は、民主党の上下両院制覇でデータセンター建設が減速し、企業の投資が落ち込めば、FRBは利上げを見送らざるを得ず、実質金利が下がるとして、2027年第1四半期にかけて金に有利な環境になりうると述べた。ジェン・ボーデン氏(ボーデン・キャピタル)は、どの政党が政権を握っても米国の財政悪化は続き、最終的に金融緩和に向かうと見て、金を長期の守りの手段とみた。クリス・ウェストン氏(ペッパーストーン)は、ドル安と実質金利の低下で金の買い手に好環境だと述べた(Kitco)
- 弱気: ミシェル・シュナイダー氏(マーケットゲージ)は、金の「安全資産への逃避先」としての役割は崩れ、投資家は米国債へ向かっているとして、支持線は3,940ドル、下値の目標は3,500ドルまで下がりうるとの見方を示した(同上)
原油
- 氏名付きの強気・弱気の見解は、4日付の出典では確認できなかった。TradingEconomicsの予測は、10〜12月期末が1バレル107.39ドル、12か月後が124.79ドルと、足元より高い水準である(TradingEconomics: Crude Oil)
銀、天然ガス、農産物、銅の氏名付きの見方も、今回の出典では確認できなかった。
地政学・物価関連ニュース
米国とイランの協議は、カタールとパキスタンの仲介で進むが、「合意からほど遠い」状態が続く。トランプ大統領は当面の追加攻撃の予定はないと述べた。ホルムズ海峡の緊張は高い水準にある(Kitco、TradingEconomics: Crude Oil)。
物価面では、米国の10月のADP雇用統計が8万6千人増、求人件数が752万3千件(前月719万件)だった。コアPCE物価指数は前年比3.1%で、12月の利上げ観測を支えている。6日(金)には雇用統計が控え、FRBの判断材料として注目されている。原油安は、ガソリンや電気料金などエネルギー関連の物価を押し下げる方向に働く(一般論)(Kitco)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
50日・200日の移動平均線とRSI、投機筋の建玉の詳細は、今回の出典では確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金: Kitcoは、上値のめどを4,068.17ドル、下値の支えを3,975.31ドル、その下を3,871.24ドルとした。4日の4,041ドル(Kitco時点)は、上値のめどのすぐ下にある。支持線と抵抗線は、価格が反発しやすい、または止まりやすいと市場参加者が意識する水準を指す。銀: 上値のめどは52.849ドル、下値の支えは51.103ドル、その下は48.787ドルで、51.91ドルは支えと上値のあいだにある(Kitco)。
原油・天然ガス・小麦: 当日のテクニカル指標は確認できなかった。TradingEconomicsの予測では、天然ガスは10〜12月期末に3.02ドル、小麦は612.87セントである(TradingEconomics: Natural Gas、TradingEconomics: Wheat)。

