前回からの変化

前回(2026-11-04、前日)との比較である。前回は「次の注目決算」として、4日の商社4社とNTT、3日引け後のAMDを挙げていた。今回はその結果をフォローする。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回、結果を「確認できなかった」としたAMDは、調整後EPSが2.09ドルと予想を上回り、時間外で上昇した。前回の主役だったアップル、パランティアが「好決算でも売られた」のと対照的に、AMDは決算後に買われた(Investing.com: AMD)
  • 前回予告した日本の商社決算が出た。三菱商事は通期予想を1兆1000億円から1兆2000億円へ上げ、1兆円の自社株買いを加えて、通常取引で7.88%高の5,148円になった(Investing.com: 三菱商事)
  • 好決算でも株価が下がる局面が続いた前回と違い、三菱商事は株主還元の大きな上積みで株価が反応した。商社4社で上昇したのは三菱商事だけで、三井物産は通期予想を引き上げたが下落した(総合商社の決算比較2026)

昨日と同じこと(継続)

  • 通期見通しの上方修正が相次ぐ流れは続いている。前回はアップルを除く多くの企業で上方修正が目立ち、今回も商社と製薬に代わってAMDが強いガイダンスを示した
  • AI投資が決算の軸である点も続いている。AMDではデータセンター向けが売上の64%を占めた(Investing.com: AMD)

要因の連続性

  • 継続要因: AI向け需要の強さと、期待との差による株価反応。前回のパランティアに続き、AMDも期待の高い水準で決算を迎えた
  • 新規要因: LNG(液化天然ガス)などエネルギー事業の好調と円安・資源価格高が、商社の上方修正の要因に加わった。米中間選挙の結果が為替に与える影響を、伊藤忠が据え置きの理由に挙げた
  • 解消した要因: 前回の焦点だった「AMDと商社の結果待ち」は一巡した。NTTの結果は今回の出典で確認できていない

本日のハイライト

数字は各社の発表または報道ベースである。AMDのEPSは調整後(non-GAAP)。

企業 期 主な数字 見通し 株価反応
三菱商事 FY2027年3月期 上期(4〜9月) 純利益6,196億円(74.2%増) 通期純利益1兆2,000億円へ上方修正 通常取引7.88%高(5,148円)
三井物産 同上 詳細は未確認 通期純利益1兆500億円へ上方修正 通常取引0.4%安
伊藤忠商事 同上 詳細は未確認 通期予想は据え置き 確認できず
AMD FY2026 第3四半期(7〜9月) 売上高133.8億ドル(45%増)、EPS 2.09ドル 10〜12月の売上高約170億ドル(±3%) 時間外で約7.5%高(520.40ドル)

AMDのコンセンサスは、Investing.comの記載で売上高130.6億ドル、EPS 1.94ドル。ほかの報道では130.9億ドル、1.95ドルとされており、出所により数字が異なる。

個別決算

三菱商事 — FY2027年3月期 上期(2026年4〜9月)

数字: 中間純利益は6,196億円で、前年同期比74.2%増だった。エネルギー部門と電力ソリューション部門が牽引したと報じられている(Investing.com: 三菱商事)。

見通し: 通期の連結純利益予想を1兆1,000億円から1兆2,000億円へ上げた。上方修正は約9%で、4期ぶりの過去最高益更新となる見通しである。LNG事業の好調が主因とされる(株探、ABC系列 KSB)。

株主還元: 4億2,000万株、上限1兆円の自社株買いと消却を同時に発表した。総還元性向は121%に達するとの試算が示されている(総合商社の決算比較2026)。

株価反応: 通常取引は前日比7.88%高の5,148円で、発表前の5営業日のもみ合いから急伸した。Investing.comは、日中の一時点で3.9%高の4,957円と伝えており、時点により数字が異なる(Investing.com: 三菱商事)。決算内容に加えて、大型の自社株買いが評価されたとの見方が示されている。

三井物産・伊藤忠商事・丸紅 — 同期

三井物産は通期純利益予想を1兆500億円へ引き上げた。要因は円安と資源価格の上昇とされる。丸紅と住友商事も資源事業が牽引して通期見通しを上方修正した。伊藤忠商事は足元の業績が堅調ながら、米中間選挙の結果が為替に与える影響と、見通しにくい中東情勢を理由に、通期予想を据え置いた(ABC系列 KSB)。

株価は、発表後の最初の終値で上昇したのは三菱商事だけで、三井物産は0.4%安、配当予想を引き上げた丸紅と住友商事は下落したと報じられた。臨時利益を除いた実力ベースでは、丸紅の伸びが45%と三菱商事に次ぐとの分析もある(総合商社の決算比較2026、マネックス証券)。

AMD — FY2026 第3四半期(2026年7〜9月)

数字: 売上高は133億8,000万ドルで45%増、調整後EPSは2.09ドルだった。営業利益は39億ドル(75%増)、粗利率は56%(1.9ポイント上昇)、営業利益率は29%である。セグメント別では、データセンターが85億ドル(97%増、売上の64%)、クライアント・ゲームが37億ドル(8%減。ゲームは約40%減)、組み込みが11億ドル(29%増)だった(Investing.com: AMD)。

見通し: 10〜12月の売上高を約170億ドル(±3%)とした。前年同期比で約66%増にあたる。2027年も80%超の売上成長を見込み、サーバー向けは倍増するとしている(同上)。

株価反応: 3日の通常取引で3.65%高の483.90ドルとなったあと、時間外取引では7.54%高の520.40ドルまで上昇した(Yahoo Finance)。

経営陣が語ったこと

  • AMDのリサ・スーCEOは、「第3四半期は当社史上最大かつ最も収益性の高い四半期だった」と説明した。次世代製品のVenice(EPYCプロセッサー)とMI450(GPU)の立ち上げを進めているとした(Investing.com: AMD)
  • 伊藤忠商事は、通期予想を据え置く理由として、米中間選挙後の為替の動きと、中東情勢の見通しにくさを挙げた(ABC系列 KSB)
  • 三菱商事は、第1四半期の時点で第2四半期の上方修正の可能性を示唆していた(Investing.com: 三菱商事)

業界トレンド

  • AI向けデータセンター需要が半導体の業績を押し上げている。AMDはデータセンターが売上の6割超に達し、一方でゲームはメモリ不足などで約4割減った。前回のアップルでのメモリ調達コスト上昇の話と並べると、AIへの設備投資が、他の用途の部品供給に影響する構図が見える
  • 商社は資源・エネルギー価格と円安が追い風になった。エネルギー事業の好調が上方修正の主因だが、増益の約半分は資源価格と為替の追い風によるもので、実力ベースの成長は会社ごとに差がある(総合商社の決算比較2026)
  • 株主還元の規模が株価反応を分けた。総還元性向121%の三菱商事だけが上昇し、他社は下落した。数字が良くても、期待を超える材料がなければ売られる構図は米国と同じである

決算シーズンの進捗

S&P500の発表済み社数やEPS成長率など、集計機関の最新の数字は、今回の取得では確認できなかった。

次の注目決算

日付は特記しない限り日本時間で、報道ベースである。

  • 5日(木): 国内ではアステラス製薬、エムスリー、川崎汽船が予定されている。前回レポートによると、トヨタ自動車、任天堂、日本製鉄、花王の発表も5日にある。米国では、4日の引け後にクアルコムとアームの決算が予定されている(マネックス証券)
  • 6日(金): 三菱重工業、三井不動産(前回レポート記載)
  • 4日の米国では、前回のとおりマクドナルドとウーバーも予定されていたが、結果は今回の出典では確認できなかった。NTTの決算内容も確認できていない