前回からの変化

前回(2026-10-27、前日)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回は投票日だったイスラエル総選挙は、27日夜の出口調査で、ネタニヤフ首相陣営が50議席、元軍参謀総長アイゼンコット氏を中心とする反首相陣営が52〜53議席、アラブ系政党が17〜18議席と伝えられた。どの陣営も過半数の61議席に届かない。ネタニヤフ氏のリクードは24議席前後で第1党を維持する見通しだが、前回の議会では首相陣営が68議席だったとされ、大きく減る(出口調査ベース。確定結果ではない。Axios、NBC News、共同通信)
  • ブラジルは、敗れたフラビオ・ボルソナロ氏が選挙裁判所に結果の無効を求める方針を示した。前回の「無効を求める意向」から、法的手続きに進む段階に移った。ルラ氏の得票率は約51.8%で、就任は2027年1月5日と伝えられた(前回は1月1日と記したが、今回の出典に合わせて訂正する。CBS News、Anadolu)
  • 中東では27日にイエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアにミサイルとドローンを発射し、サウジが迎撃した。死傷者は出ていない。同日、ロシアのプーチン大統領がモスクワでカタールの首長とイランのペゼシュキアン大統領を迎える天然ガス輸出国会議が開かれた(Gulf News)

昨日と同じこと(継続)

  • 米国とイランの公式な合意はなく、トランプ大統領は26日にも「取引をするか、決着をつけるか」を近く判断すると述べた。イラン側は封鎖解除が先との立場を崩していない(報道ベース。CNBC)
  • 中国共産党の五中全会は4日間の日程どおり進み、29日に閉幕する予定である(US News(Reuters))
  • 前回挙げた日程(FOMC、ECB、日銀会合、米中間選挙)に変更はない

要因の連続性

  • 継続要因: 米国の軍事行動再開の示唆とホルムズ海峡の供給不安。前回に続いて中東リスクの中心にある
  • 新規要因: イスラエルで政権の枠組みが定まらない可能性が出たことと、フーシ派によるサウジへの攻撃が加わった。中東の不確実性が増す方向の材料である
  • 解消した要因: 「イスラエル総選挙の投票待ち」は、出口調査の結果が出たことで一段落した(確定結果は今後)

今日の要点

地域 出来事 日本への影響 段階
中東 イスラエル総選挙、首相陣営が過半数割れの見通し 原油・中東情勢 出口調査
中東 米イラン交渉は進展なし、サウジにミサイル攻撃 原油・LNG調達 発言段階
中南米 敗れた側が選挙の無効を求める方針 資源・食料の調達 手続き前
アジア 中国の五中全会が続く 対中関係、日本企業 会議中

米国

対イラン政策: トランプ大統領は26日、イランと「取引をするのか、決着をつけるのか」を近く決めると述べた。「ホルムズ海峡を今は米国が管理している」とも主張している(報道ベース。CNBC)。

日本への影響: 攻撃が再開されれば原油とLNGの価格が上がり、ガソリンや電気・ガス料金に響く。合意に進めば供給不安は和らぎうる。

欧州

新しい決定は27日には確認できなかった。直近では、EU(欧州連合)が10月上旬に、ロシアの軍需産業に関わる個人・企業のうち約1,600件を対象にした過去最大の制裁対象リストを採択し、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は第22弾の制裁パッケージを準備していると述べている(EU理事会)。日本への影響: 日本も対ロシア制裁で歩調を合わせており、新たな制裁の対象に日本企業との取引先が含まれるかが論点になりうる(筆者の整理)。

アジア・オセアニア

中国の五中全会: 中国共産党の中央委員会第5回総会(五中全会)は26日から4日間の日程で開かれている。習近平総書記は「党の全面的で厳格な自己統治」に関する文書案を説明したとされ、2027年の党大会前の人事に向けた最後の大きな会合になりうるとの見方が出ている(報道ベース。US News(Reuters))。日本への影響: 党の統制強化の方針は、中国の経済運営や対外姿勢の読み手になる。日本と中国の関係は、高市首相の台湾に関する発言以降、緊張が続いており、会議後の対外発信が注目される(筆者の整理)。

中東・アフリカ・中南米

イスラエル総選挙: 27日に投票が行われ、出口調査では首相陣営が50議席、反首相陣営が52〜53議席、アラブ系政党が17〜18議席とされる。反首相陣営の中にはアラブ系政党の支持に頼る政権を拒む政党もあり、少数政権、大連立、再選挙のいずれもありうるとの見方が出ている(出口調査ベース。Axios)。日本への影響: 新政権の枠組みはガザとイランへの対応を左右し、原油価格と中東情勢を通じて日本のエネルギー調達に波及しうる。

イランと周辺国: イランの治安関係者が周辺国との協議を「非常によい」と評価した一方、イラン軍はホルムズ海峡の「完全な管理」を主張し、タンカーが機雷に接触したとの情報もある。サウジアラビアは27日、フーシ派のミサイルとドローンを迎撃した(Gulf News)。日本への影響: 日本は原油の大半を中東に頼っており、海峡の通航と保険料の動きが調達コストに直結する。日本関連船舶の被害は、今回の出典では確認できなかった。

ブラジル大統領選: ルラ大統領は約51.8%で4期目の当選を決め、票差は約440万票だった。敗れたフラビオ氏は、最高裁判事が投票時間を2時間延長したことを根拠に、選挙裁判所へ結果の無効を求める方針である。ルラ氏は就任を2027年1月5日に控える(報道ベース。CBS News)。日本への影響: 大豆・鉄鉱石・コーヒーなど、日本が輸入する資源や食料の供給元であり、政情の混乱が長引けば調達価格に波及しうる(筆者の整理)。

国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き

茂木敏充外相は27日、30〜31日に米国のアトランタで開かれるG20(主要20か国・地域)外相会合に出席し、日米豪印の枠組み「クアッド」の外相会合も開くと発表した。中東、ウクライナ、エネルギー安全保障が議題になる見通しである(NHK)。日本への影響: 日本が中東情勢とエネルギー供給で何を訴えるかが焦点になる。日本を名指しした海外の発言や措置は、確認できた範囲では見当たらない。

今後数日の注目日程

  • 28日(水): 米FOMCの結果(日本時間29日午前3時)、英国の秋季予算案。イスラエル総選挙の開票が進む
  • 29日(木): ECB理事会、米PCE物価指数・米GDP速報値。五中全会の閉幕予定
  • 30日(金): 日銀会合の結果。G20外相会合(31日まで)とクアッド外相会合
  • 11月3日: 米中間選挙
  • 随時: イスラエルの確定結果と連立協議、ブラジルの選挙裁判所の判断、米国のイランへの攻撃の有無、ホルムズ海峡の通航