前回からの変化
前回(2026-10-27、前日)との比較である。前回は26日のベライゾンが中心で、27日以降の予定を「次の注目決算」に挙げていた。今回はその27日分の結果をフォローする。
変わったこと(変化・新規)
- 前回「次の注目決算」に挙げたボーイング、UPS、ビザ、コカ・コーラの結果が出た。株価は27日の通常取引でボーイングが188.31ドルから168.18ドルへ10.7%下落、UPSが100.32ドルから106.09ドルへ5.8%上昇した(Yahoo Finance: ボーイング、Yahoo Finance: UPS)
- 前回「結果は未確認」としたニューコアは、1株利益5.80ドルと確認できた。9月の事前見通し(5.55〜5.65ドル)を上回り、27日の株価は257.35ドルから270.79ドルへ5.2%上昇した(Nucor 8-K、Yahoo Finance: ニューコア)
- ファナックは27日の日経平均構成銘柄の決算予定に入っておらず、結果は引き続き確認できていない
昨日と同じこと(継続)
- 「通期見通しを上げても株価が下がる」構図は、前回のベライゾンに続いてコカ・コーラでも見られた
- 28日にアルファベットとマイクロソフトなどが決算を控える流れは変わらない(日程は後述)
- 決算シーズンの進捗を示す一次の集計(FactSetなど)は、今回も確認できていない
要因の連続性
- 継続要因: AI投資の収益性への注目。28日以降の大型テック決算が焦点という構図は前回と同じ
- 新規要因: ボーイングはコマーシャル機部門の損失と777X計画の費用計上、737の増産ペースが材料になった。コカ・コーラは北米の販売数量の伸び悩みが嫌気されたとみられる(いずれも報道ベースで、会社の説明ではない)
- 解消した要因: ニューコアの「結果が出るまで不明」という不確実性が解消した
本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 決算の主な数字 | 27日の株価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ボーイング | 2026年7〜9月期 | 売上高242億ドル(4%増)、コア1株損失0.34ドル | 10.7%安 | 通常取引の終値 |
| UPS | 2026年7〜9月期 | 売上高229億ドル(6.7%増)、調整後EPS 1.69ドル | 5.8%高 | 通期見通しを上方修正 |
| コカ・コーラ | 2026年7〜9月期 | 売上高134億ドル(7%増)、調整後EPS 0.91ドル | 1.6%安 | 見通しを3四半期連続で引き上げ |
| ビザ | 2026会計年度第4四半期(7〜9月期) | 純収益121億ドル(13%増)、非GAAP EPS 3.48ドル | 引け後の反応は未確認 | 27日引け後に発表 |
| ニューコア | 2026年7〜9月期 | 1株利益5.80ドル | 5.2%高 | 26日引け後に発表 |
株価は27日の通常取引の終値(ビザの終値は401.86ドルで、決算発表前の値)である。予想との差は、確認できたものだけを個別決算に書いた。
個別決算
ボーイング — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、売上高は242億ドルで前年同期比4%増、GAAPの1株損失は0.26ドル(前年同期は7.14ドルの損失)、コア(非GAAP)の1株損失は0.34ドル(同7.47ドルの損失)だった。営業利益率はGAAPで1.5%、コアで0.8%である。部門別では、商用機部門が売上高107億ドルで営業利益率マイナス6.5%、防衛・宇宙・セキュリティ部門が79億ドルで6.2%、サービス部門が56億ドルで18.3%だった。防衛部門には、HRLラボラトリーズの売却益2.52億ドルが含まれる(一過性要因)(Boeing 8-K)。
商用機の引き渡しは161機。営業キャッシュフローは15億ドル、フリーキャッシュフローは5億ドル(設備投資10億ドル)で、受注残高は過去最高の7,450億ドルとなった。現金・投資は207億ドル、連結債務は459億ドルである。
予想との差は、報道によってコア損失の予想値が異なる(Yahoo Financeの速報は0.20ドルの損失、別の報道は0.10ドル下回ったとする)。売上高は予想の約244億ドルをやや下回ったと伝えられている。Yahoo Financeは、商用機部門で供給網の費用増と777Xへの約7億ドルの費用計上があり、営業利益率が4〜6月期のマイナス2.7%から悪化したと伝えた(Yahoo Finance)。調査会社CFRAは、利益率の悪化が「回復の速さに不確実性をもたらす」と指摘した。
株価は27日の通常取引で、188.31ドルから168.18ドルへ10.7%下落した(安値は167.41ドル)。
UPS — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、売上高は229億ドルで前年同期比6.7%増、全部門が増収だった(米国内4.5%増、国際7.1%増、サプライチェーン18.2%増)。調整後(非GAAP)の営業利益は21億ドルで、営業利益率は9.0%。GAAPの1株利益は1.37ドル、調整後は1.69ドルだった(UPS 8-K)。予想は、予定表サイトの集計で調整後EPSが約1.65ドル、売上高が約221億ドルとされる(コンセンサスの出所は確認できていない)。
2026年通期の見通しは上方修正された。売上高は約926億ドル(従来912億ドル)、調整後の営業利益は約87.5億ドル、調整後EPSは約7.28ドル、調整後フリーキャッシュフローは約61億ドルである。10〜12月期は売上高約257億ドル、調整後営業利益約33億ドルを見込む。
株価は27日の通常取引で100.32ドルから106.09ドルへ5.8%上昇した。
コカ・コーラ — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、純収益は134億ドルで7%増、オーガニック(為替・買収売却除く)でも7%増。販売数量は5%増で、価格・商品構成は1%のプラスだった。調整後(コンパラブル)EPSは0.91ドルで11%増、営業利益率は32.9%と前年の31.9%から改善した。地域別の数量は、アジア太平洋が6%増、中南米が6%増、欧州・中東・アフリカが5%増で、北米は横ばいだった(Coca-Cola 8-K)。
Yahoo Financeによると、調整後EPS 0.91ドルは予想0.88ドル、売上高134億ドルは予想129億ドルを上回った。
2026年通期の見通しは引き上げられ、調整後EPSの伸びは11%以上(従来9〜10%)、フリーキャッシュフローは130億ドル以上(従来約124億ドル)とした。為替は収益に約1%、EPSに約3%の追い風とされる。株価は27日の通常取引で92.70ドルから91.18ドルへ1.6%下落した(Yahoo Finance)。Yahoo Financeは、北米の需要鈍化が懸念されたと伝えた。
ビザ — 2026会計年度第4四半期(7〜9月期)
27日の引け後に発表された。同社の8-Kによると、純収益は121億ドルで13%増、GAAPの1株利益は3.19ドル(22%増)、非GAAPは3.48ドル(17%増)だった。決済額は定額ドル換算で9%増、国をまたぐ決済額(欧州域内を除く)は14%増、処理件数は742億件(10%増)である。非GAAPの営業費用は12%増で、人件費とマーケティング費が押し上げた(Visa 8-K)。
2026会計年度通期の純収益は459億ドルで15%増。四半期配当は16%引き上げて1株0.78ドルとし、通期の自社株買いは205億ドルだった。BioCatchの買収(24億ドル)も発表した。2027会計年度の見通しは決算資料に記載がない。予想は予定表サイトで1株利益3.50ドル、売上高121億ドルとされ、非GAAPの3.48ドルは概ね予想並みである(出所・基準の違いに注意)。引け後の株価反応は確認できていない。
ニューコア — 2026年7〜9月期
26日の引け後に発表された。同社の8-Kによると、売上高は112.5億ドル、純利益は13.2億ドルで、1株利益は5.80ドル(前年同期2.63ドル)だった。部門別の利益は、鉄鋼製造が17.9億ドル、鉄鋼製品が4.65億ドル、原材料が1.05億ドル。鋼材の平均販売価格は1トンあたり1,493ドルで、4〜6月期より9%高い。稼働率は89%である。9か月間の株主還元は13.6億ドル、四半期配当は1株0.56ドルを宣言した。10〜12月期は、7〜9月期並みか小幅に増える見通しとしている(Nucor 8-K)。
株価は27日の通常取引で257.35ドルから270.79ドルへ5.2%上昇した。
経営陣が語ったこと
- ボーイングのケリー・オートバーグCEOは、737-7と737-10が連邦航空局(FAA)の型式証明の修正を取得したことを節目に挙げ、「安全と品質に集中し続ける」と述べた(Boeing 8-K)
- UPSのキャロル・トメCEOは、「第3四半期の結果は、プレミアム分野の成長とネットワーク効率の改善で、事業の基礎体力が強まっていることを示す」と説明した。Yahoo Financeは、年末商戦の需要が強いとの見方も伝えている(UPS 8-K)
- コカ・コーラのヘンリケ・ブラウンCEOは、「システム全体の勢いが続いており、引き上げた通期見通しに自信がある」と述べた(Coca-Cola 8-K)
- 電話会見の質疑の内容は、今回も確認できていない
業界トレンド
- 物流では、UPSがアマゾン向け荷物の縮小と網の再編を終え、1個あたりの収入の改善が利益率の上昇につながっている。通期見通しの上方修正が株価の上昇で受け止められた(筆者の整理)
- 飲料・消費財では、新興国と中南米で数量が伸びる一方、北米は横ばいだった。見通しを上げても、弱い地域があると株価は下がる例になった
- 航空機では、受注残が過去最高でも、供給網の費用と計画ごとの費用計上が利益を圧迫している。需要より生産の側が制約になっている構図である(筆者の整理)
- 鉄鋼では、販売価格の上昇が利益を押し上げている。ニューコアは10〜12月期も高水準が続くと見ている
決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み比率や上振れ比率について、FactSetなどの新しい集計は確認できなかった。Yahoo Financeの速報は、S&P500の7〜9月期の増益率を29.5%としているが、集計元は記事から確認できていない(Yahoo Finance)。27日にはSoFiが予想を上回り株価が13%超上がった一方、ワールプールは売上高が予想を下回るなど、結果は分かれた。
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間である。発表が寄り前か引け後かは、集計によって表記が異なるため、各社のIRで確認が必要である。

