前回からの変化
前回(2026-10-27、前日)との比較である。前回は10月26日の値、今回は10月27日の値である。価格はTradingEconomicsの表示値で、取得時刻と限月は確認できていない。確定終値でないものを含む。騰落率は出典の前日比をそのまま載せたため、前回値との差とは一致しない。
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回の4,017.04ドルから4,060.08ドルへ(43.04ドル高、1.07%高)上昇した。原油安でインフレ懸念がやや和らいだことが材料とされる(TradingEconomics: Gold)
- 米天然ガスは前回の2.6113ドルから2.7307ドルへ(0.12ドル高、4.6%高)と、前回の弱い値動きから一転して急伸した。前回は1.09%安だった(TradingEconomics: Natural Gas)
- 銅は前回の6.5086ドルから6.6310ドルへ上昇した。TradingEconomicsは、AI関連の投資熱が再び高まったことを背景に挙げている(TradingEconomics: Copper)
- 前回の特集だった砂糖は、19.10セントから19.20セントへ0.52%高と小反発にとどまった。前日の5.63%安からの急な戻りはない(TradingEconomics: Sugar)
昨日と同じこと(継続)
- 12月の米利上げ観測は約80%と高い水準が続き、金の上値を抑える構図は前回と同じである。FRBは27〜28日の会合で据え置くとみられている(TradingEconomics: Gold)
- 原油は前回に続いて下落した。WTIは101.26ドルから100.20ドルへ(1.06ドル安)、ブレントは115.27ドルから114.17ドルへ(1.10ドル安)となった(TradingEconomics: Crude Oil)
- 小麦は前回の615.50セントから611.00セントへ(4.50セント安)下げ、7月以来の安値圏が続いている(TradingEconomics: Wheat)
要因の連続性
- 継続要因: 米利上げ観測が金の重しとして働いている。中東の緊張緩和への期待が原油の下落要因として働き、ロシア・ウクライナの外交が小麦の下落要因として働くのも前回と同じである
- 新規要因: 金には、原油安に加えて米消費者信頼感指数の上昇(91.7)が下支えとして加わった(Kitco)。天然ガスには、EQTによるレンジ・リソーシズの買収発表(26日)という材料が出たが、価格上昇との関係は出典で確認できていない
- 解消した要因: 前回の「原油高による利上げ警戒」は、原油の続落でさらに和らいだ。ただしフーシ派によるサウジアラビアの石油施設への攻撃の報道もあり、供給不安は残る
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月27日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月26日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス4,060.08ドル | 1.08%高 | 4,017.04ドル |
| 銀 | 1オンス54.413ドル | 0.84%高 | 53.971ドル |
| WTI原油 | 1バレル100.20ドル | 1.53%安 | 101.26ドル |
| ブレント原油 | 1バレル114.17ドル | 1.42%安 | 115.27ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.7307ドル | 4.95%高 | 2.6113ドル |
小麦は1ブッシェル611.00セント(0.81%安)、トウモロコシは450.00セント(1.10%安)、大豆は1,229.75セント(0.93%安)、銅は1ポンド6.6310ドル(1.89%高)である。週間の騰落は、金が1.57%安、銀が6.13%安、小麦が5.01%安だった。表示値はTradingEconomicsで、取得時刻と限月は確認できていない(TradingEconomics: Commodities)。
商品別動向
金・銀
金は4,060ドルに反発した。TradingEconomicsによると、原油安でFRBの会合を前にインフレ懸念が和らいだ一方、ドル高と米長期金利の高止まりが上値を抑えている。月間では1.33%安である。市場は12月の利上げを約80%織り込む(TradingEconomics: Gold)。USAGoldによると、同日の現物金は4,026.55ドル(0.24%高)で、2026年の高値5,598.58ドルを28%下回り、直近1年の安値3,942.52ドルの2%上にある(USAGold)。
銀は54.413ドルで0.84%高、11か月ぶりの安値圏から戻した。月間では10.25%安で、金に比べて下げが大きい(TradingEconomics: Silver)。
原油
WTIは100.20ドルで1.53%安、ブレントは114.17ドルで1.42%安だった。TradingEconomicsによると、イランの最高指導者が「戦争でも平和でもない」状態の終結を呼びかけ、サウジアラビア、パキスタン、トルコの当局者がイランの指導部と会談した。一方で、サウジ主導の連合がフーシ派の無人機とミサイルを迎撃し続けており、ヒズボラによるレバノンでの再度の紛争への準備も供給不安として残る。米国は製油所の混乱に対応して、戦略石油備蓄から最大40万バレルを放出する(TradingEconomics: Crude Oil)。
OilPrice.comの見出しでは、サウジアラビアの9月の原油生産が日量800万バレルに増え、フーシ派がサウジの東西パイプラインを攻撃したと主張し、ラスタヌラ輸出拠点の近くで火災が起きたという(OilPrice.com)。
天然ガス
米国の天然ガスは2.7307ドルで4.95%高となった。ただし月間では12.08%安、週間では7.84%安で、最近は2.53ドルまで下げて2年ぶりの安値を付けていた。TradingEconomicsの解説は、気温が11月9日まで平年を上回る予報で、スーパー・エルニーニョによる暖冬への期待が暖房需要を抑えていることを挙げている。本土48州の生産は日量1,133億立方フィート、LNG輸出向けの流入は10月に日量183億立方フィートで、下値を支えている。急伸の理由は、同ページに書かれていない(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物
小麦は611.00セントで0.81%安、週間では5.01%安、月間では11.29%安となった。米国、ロシア、ウクライナの和平交渉が地政学的な上乗せ分を縮めている。ロシアはバルト海の港からの出荷を増やし、豪州とアルゼンチンの収穫が増える。ウクライナは冬小麦の作付けが18%減ると見込む一方、黒海では攻撃による混乱が続く。トウモロコシは1.10%安、大豆は0.93%安だった(TradingEconomics: Wheat、TradingEconomics: Commodities)。
急変動の特集
米天然ガスが1日で4.95%高
- 何が起きたか: 天然ガスは2.7307ドルへ4.95%上昇し、目安の3%を超えた。前日は1.09%安で、2年ぶりの安値2.53ドルからの戻りの局面にある。月間ではなお12%安である(TradingEconomics: Commodities)
- なぜ動いたか: TradingEconomicsのページには上昇の理由が書かれていない。同ページが挙げる価格の背景は、暖冬予報による需要の弱さと、LNG輸出向けの強い流入による下支えである。26日にはEQTが全株式交換でレンジ・リソーシズを買収すると発表した(統合後の企業価値は500億ドル超、生産量は日量90億立方フィート超のガス換算)。ただし、この発表が当日の価格を動かしたかは、確認できた出典からは分からない(TradingEconomics: Natural Gas、EQT 8-K)
- 生活・産業への波及: 米国のガス価格は電力や暖房の費用に影響する。日本では液化天然ガス(LNG)の輸入価格は米国のガス価格とは別の指標で決まるため、直接の波及は限られる(一般論)
前回特集した砂糖のその後は、0.52%高の19.20セントと小反発にとどまり、週間では6.43%安のままである。同じ日にコーヒーが2.23%安、カカオが1.33%高、プラチナが0.18%安で、いずれも特集の目安には届かない(TradingEconomics: Commodities)。
強気派 vs 弱気派
調査したのはKitco、USAGold、OilPrice.com、TradingEconomicsの4サイトである。名前の付いたアナリストの見方が確認できたのは、金についてのKitcoのみだった。
金
- 強気寄り: ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのアカーシュ・ドーシ氏(金戦略責任者)は、2027年1〜3月期に4,750〜5,500ドルとなる基本シナリオの確率を70%から60%に下げた。一方で、2027年6月までに5,000ドルに届く可能性は残るとする。根拠は、金連動ETFに7〜9月期に117億ドルが流入したことと、スタグフレーション(景気停滞と物価高の併存)への備えの需要である(Kitco)
- 短期は弱気、中期は強気: スタンダードチャータードのスキ・クーパー氏(商品調査責任者)は、「高い原油が物価の懸念を保つ限り、金はここで下値を固める必要がある」と述べた。3,886ドルを割ると調整が深まるとし、投機筋は8週続けてポジションを減らしている。2026年10〜12月期の目標は4,650ドル、2027年1〜3月期は4,850ドルである(Kitco)
- 参考: TradingEconomicsの機械的な予測は、金が2026年末に3,922.74ドル、12か月後に3,630.11ドルと弱気の水準を示す。特定の発言者の相場観ではない
原油・その他
- 名前の付いた強気派・弱気派の原油見通しは、今回の出典では確認できなかった。TradingEconomicsの予測モデルはWTIを2026年末に106.90ドル、12か月後に123.86ドルとする。これも特定の発言者の相場観ではない
- 前回挙げたニューモントやソシエテ・ジェネラルの見方は、今回は再確認できていない。ブル・ベアの顔ぶれは前回から入れ替わった
地政学・物価関連ニュース
イランの最高指導者が緊張の終結を呼びかけ、サウジアラビアなどの当局者が会談したことが、原油の下落要因となった。ただしフーシ派のサウジ施設への攻撃の主張や、ヒズボラの動きもあり、供給不安は解消していない。インドが輸入する原油の指標が1バレル123ドルと2012年以来の高さになったとOilPrice.comが伝えており、輸入国の負担は重い(TradingEconomics: Crude Oil、OilPrice.com)。
ロシア、ウクライナ、米国の和平交渉は、黒海の穀物貿易の再開期待につながり、小麦を押し下げている(TradingEconomics: Wheat)。
物価への波及は、原油が100ドル台にある間は、日本でもガソリンや電気料金の高止まりにつながる(一般論)。FRBの会合の結果と、12月の利上げ観測が焦点である。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
移動平均線とRSIの当日値、投機筋のポジションの詳細は、今回の出典の多くで確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金: スタンダードチャータードは、3,886ドルを重要な下値の目安(サポート)に挙げた。この水準を割ると、調整が深まる可能性があるとされる。心理的な節目の4,000ドルは回復して保っており、USAGoldが伝える直近1年の安値3,942.52ドルが次の目安である。ステート・ストリートの記事は、50日移動平均線を約4,322ドル、200日移動平均線を約4,539ドルとしている(基準日は記事から確認できず)。現在の4,060ドルはどちらも下にあり、中期の下降基調にあるといえる。クーパー氏は、市場は売られすぎに近づき、投機筋の売りも8週続いたため、短期的な買い戻しの余地があるとみている(Kitco、Kitco、USAGold)。
銀: 2026年の高値121.67ドルの56%下で、直近1年の安値53.01ドルの1.5%上にある。金と銀の価格比は74.8倍に広がっており、銀が相対的に割安な位置とも読める(USAGold)。
天然ガス: 2.53ドルで2年ぶりの安値を付けたあと、2.73ドルに戻した。2.53ドル近辺が下値の目安として意識される(TradingEconomics: Natural Gas)。小麦は7月以来の安値圏にある。原油は当日のテクニカル指標を確認できなかった。

