前回からの変化
前回(2026-10-22、前日)との比較である。
変わったこと(変化・新規)
- 前回はイランのアラグチ外相が「米国に交渉の意思がない」と批判した段階だったが、今回は米国側から軍事行動の再開をほのめかす発言が出て、緊張が一段高まった。トランプ氏は「徹底的に叩いた」と述べ、さらに攻撃する可能性を示した(Al Jazeera)
- 革命防衛隊は、米国が機雷の敷かれた水路を商船に通らせ続けるなら、中東の米軍施設を標的にすると警告した。イランはホルムズ海峡で商船7隻が被害を受けたと主張する一方、トランプ氏は海峡の原油輸送は戦前の水準を超えたと述べた。双方の主張は食い違っている(同上、Newscord)
- 仲介の動きが加わった。パキスタンのアシム・ムニール陸軍参謀長が21日にテヘランを訪れ、アラグチ外相は、パキスタンとカタールを通じた間接協議が続いていると述べた。トランプ氏は米・イランの協議を否定している(Al Jazeera、Outlook India)
昨日と同じこと(継続)
- イランが海峡再開と引き換えに求める条件(封鎖の解除、制裁の緩和、凍結資産の返還、敵対行為の停止)は前回と変わらず、公に確認された合意はない
- 前回触れたブラジル大統領選の決選投票(25日)、国連総会のキューバ禁輸解除決議の採決(27〜28日ごろ)、FOMC(27〜28日)、日銀会合(29〜30日)、米中間選挙(11月3日)の日程は変わらない
要因の連続性
- 継続要因: ホルムズ海峡の混乱による原油・燃料の供給不安。ブレント原油は111ドル超から112ドル台へ上昇した(Outlook India、Kitco)
- 新規要因: 米国の軍事行動再開の示唆と、ウラン保持を巡る溝の固定化。ペンタゴンが空母打撃群を追加で展開すると報じられた。ロシア制裁免除の大統領令も、エネルギー市場の不透明感に加わった
- 解消した要因: なし。前回見えた「悲観の強まり」は、軍事的な緊張へ移った
今日の要点
| 地域 | 出来事 | 日本への影響 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 中東 | 米大統領が追加攻撃を示唆、革命防衛隊が警告 | 原油・LNG調達と円相場 | 緊張の高まり |
| 中東 | イランがウラン国外搬出を拒否 | 交渉の長期化と供給不安 | 協議停滞 |
| 米国・ロシア | ロシア制裁法の適用免除(17日) | エネルギー市場の不透明感 | 大統領令で実施済み |
| 欧州 | フランスの政局不安が為替に波及 | ユーロ・円相場 | 市場の反応のみ確認 |
米国
ロシア制裁の適用免除: トランプ大統領は17日(金)、新たな法律に基づいてロシアに課される予定だった関税や制裁を免除する大統領令に署名した。対象は、ロシア産品への最大500%の関税、ロシア産の原油・天然ガスの上位5輸入国への最大100%の関税、ロシア国営銀行と取引する外国銀行への制裁などで、発効の2日前だった。ホワイトハウスは、制裁を今執行すれば和平交渉の努力を妨げると説明した。民主党のシューマー上院院内総務は「プーチン氏への最高の誕生日プレゼント」と批判し、共和党でもマコネル氏らが反対した。ゼレンスキー大統領は「ロシアだけが得をする」と述べた(ABC News)。
日本への影響: 同記事に、日本への直接の影響は記載されていない。ロシア産エネルギーへの制裁が当面かからないことは、世界の原油・ガスの供給面では緩和材料になりうるが、中東の混乱が価格を押し上げている状況に変わりはない(筆者の整理)。
アジア・オセアニア
新しい動きは、今回の出典では確認できなかった。
中東・アフリカ・中南米
イランと米国: トランプ大統領は22日、ホワイトハウスで記者団に「徹底的に叩いたが、もう少しやるかもしれない」と語り、再攻撃を示唆した。別の報道では、トランプ氏は米・イランの協議を否定しつつ、「もうすぐ終わる」とも述べたという。イラン革命防衛隊は、機雷の敷かれた水路を通る船を米国が誘導し続けるなら、中東の米軍施設を標的にすると警告した。イランは商船7隻が海峡で被害を受けたと発表した。一方、トランプ氏は、海峡を通る原油輸送が戦前の水準を超えたと主張しており、国際エネルギー機関(IEA)の9月分の推計(湾岸の原油輸出は戦前の約75パーセント)とは食い違う(Al Jazeera、Outlook India)。
核問題と仲介: イランの治安責任者は「濃縮ウランは1グラムも国外へ出さない」と述べたが、国際的な監督の下で濃度を下げる(希釈する)可能性には含みを持たせた。米政権は核計画の完全な解体を求めているが、バンス副大統領は、濃縮能力の「意味のある」縮小でよい可能性を示した。仲介案は、6月の覚書への復帰、イランとオマーンの通航の取り決めの承認、海上封鎖の解除、制裁の緩和、凍結資産の返還といった、イラン側の条件を軸に信頼の構築を図る内容と報じられている。米議会の中間選挙(11月3日)後に再び攻撃が起きる危険が高いとの見方もある(Al Jazeera)。
日本への影響: 軍事的な緊張の高まりで原油が上がれば、日本のガソリン・電気・ガス料金や貿易収支に負担がかかる。海峡の通航が不安定なままだと、日本が中東から輸入する原油とLNGの調達コストは高止まりしやすい。株式市場では、原油高が日本株の成長期待を弱めるとの指摘が出ている(日本株の報道。筆者の整理)。
欧州
フランスの政局不安がユーロの売り材料になったと、為替市場で報じられた。具体的な政治の動きは、今回の出典では確認できなかった。日本への影響: ユーロ円の変動を通じて、輸出企業の業績や海外資産の円換算額に影響しうる(詳細はfxを参照)。
国際機関・多国間の動きと、日本を名指しした動き
日本を名指しした発言や措置は、今回の出典では確認できなかった。
今後数日の注目日程
- 23〜24日: イランを巡る米国・イラン・仲介国の動き。追加攻撃の有無とホルムズ海峡の通航が焦点(具体的な会合日程は確認できず)
- 25日(日): ブラジル大統領選の決選投票
- 27〜28日: 米FOMC。同じころ国連総会でキューバ禁輸解除決議の採決の見通し
- 29〜30日: 日銀会合
- 11月3日: 米中間選挙

