前回からの変化
前回(2026-09-30)との比較(週報のため、比較対象は1週間前)
変わったこと(変化・新規)
- 米国Google広告テクノロジー訴訟で、前回「10月2日が最終判決案の提出期限」とした段階から、両当事者が実際に判決案を提出した段階へ進んだ。広告取引所AdXを競合に開放する期限は、司法省が6か月、グーグルが12か月を主張している(進展、PPC Land)。
- EUの子ども保護法案「KIDS Act」(9月17日提案)について、10月2日に意見募集が始まったと報じられた。前回レポートでは扱っていない新規トピックである(新規、Latham & Watkins)。
昨日と同じこと(継続)
- 日本では、公正取引委員会の10月の報道発表にテック企業を対象とした新規の勧告・命令は見当たらなかった(継続、3週連続)。
- 英CMAのMicrosoft業務用ソフトウェアに関するSMS調査は継続中で、今週の新たな決定は確認できなかった(継続)。
- FTC対アマゾンの独占訴訟は、予定どおり10月13日の公判開始に向かう段階にある(継続。Bloomberg Law)。
要因の連続性
- 継続要因: 米国で巨大テック企業への反トラスト追及が並行して進む流れ(Google・Amazon)。EUがデジタル規制の執行を維持する流れ。
- 新規要因: EUで子どもの保護と年齢確認が、DMA・DSAとは別の新法案という形で具体化したこと。
- 解消した要因: 前回の「最終判決案の提出期限(10月2日)」は、提出により一巡した。
今週の概観
今週(9月30日〜10月6日)は、EU・日本・英国で新規の制裁金決定や排除措置命令など確定的な動きは確認できなかった。目立ったのは米国のGoogle広告技術訴訟で、司法省とグーグルがそれぞれ最終判決案を提出し、実施期限や範囲などで対立点が浮き彫りになった。EUでは9月17日に提案された子ども保護法案KIDS Actの意見募集が10月2日に始まった。日本のテック企業向け措置は確認できなかったため、直近の予定を「今後の予定」に記す。なお一部の情報は二次的な報道にもとづくため、段階の記述は報道ベースである点に注意が必要である。
EU
欧州委員会は9月17日、「EU KIDS Act」(子どもが安心して使えるオンライン空間を目指す法案)を提案し、10月2日に意見募集が始まったと報じられている。報道によると、ソーシャルネットワークと動画共有サービスには、EUが認証した年齢確認手段による15歳未満の利用制限を求める。オンラインゲーム、AIコンパニオン(対話型AI)、アプリストアなどには、精度や個人情報保護の原則を満たす別の年齢確認手段を認め、18歳未満に対する安全設計の義務も課す。既存の利用者についても、施行後6か月以内に15歳以上かどうかの確認を求め、確認できないアカウントは停止する内容とされる。立法には欧州議会とEU理事会の合意が必要で、段階は「提案・意見募集」にとどまり、内容は今後大きく変わり得る。電子フロンティア財団(EFF)など市民団体からは、実効性やプライバシーへの懸念も出ている(段階: 提案。Latham & Watkins、DataGuidance)。
DMA(デジタル市場法)・DSA(デジタルサービス法)について、今週、新規の制裁金決定や正式調査開始の一次情報は確認できなかった(継続、3週連続)。
米国
米司法省とグーグルは10月2日、バージニア州東部地区連邦地裁のブリンケマ判事に、広告技術訴訟の最終判決案をそれぞれ提出した。9月に示された救済措置判断は、グーグルの広告取引所AdXの売却は命じず、6年間の監視人の設置と、AdXなどを競合に開放する行為的救済を命じるものだった。判決案の主な争点は4つある。第1に、AdXを競合の広告配信ツールやPrebid(オープンな広告取引の仕組み)につなぐ期限で、司法省は6か月、グーグルは12か月を主張している。第2に、対象範囲で、司法省は世界同時の適用を求め、グーグルは米国を先行させ海外は最大24か月とする案を示した。第3に、プライバシーを理由とする例外の書き方で、司法省は「回避する効果を持つ場合」、グーグルは「回避する意図で設計された場合」とする。第4に、監視人の権限で、司法省は質問権やソースコード検査を求め、グーグルは「合理的な支援」にとどめる案を示した。10月5日時点で判決は出ておらず、判事の判断時期も示されていない。グーグルは今回の提出内容について公の声明を出していない(段階: 判決案の提出・係争中。PPC Land、AdExchanger)。
FTCと各州によるアマゾンの独占訴訟は、ワシントン州西部地区連邦地裁で10月13日に公判が始まる予定とされている。今週新たな一次情報は確認できなかった(継続。Bloomberg Law)。
AI関連では、二次的な報道集約サイトが、FTCがAI企業への調査を開始したこと、上院の公聴会が開かれたことなどを伝えている。一次情報で裏付けられていないため、本レポートでは事実として扱わず、動向の把握にとどめる(OriginBrief)。
日本
公正取引委員会の10月の報道発表(下請法関連の指針更新、地域での独占禁止法教育など6件)を確認したところ、スマホソフトウェア競争促進法や独占禁止法にもとづくテック企業向けの新規の勧告・命令は見当たらなかった(段階: 該当なし。公正取引委員会)。
個人情報保護委員会、AI推進法にもとづく施策、AI事業者ガイドラインについても、今週時点で新たな一次情報は確認できなかった(継続)。
その他の国・地域
英CMAのMicrosoft業務用ソフトウェアを対象としたSMS(戦略的市場的地位)調査は継続中で、今週の新たな決定は確認できなかった。韓国・インド・中国についても、今週の主要な新規動向は確認できなかった。
今後の予定
- 2026年10月13日: FTC対アマゾンの独占訴訟の公判が開始される予定
- 2026年11月3日: 欧州委員会の「技術が著作権に与える影響」に関する意見募集の回答期限(前回既報)
- 2026年11月13日: 報道によると、EUのDSA制裁金算定ガイドラインの意見募集の期限
- 未定: ブリンケマ判事によるGoogle広告技術訴訟の最終判決(判決案の対立点を整理した後に判断される見込み)

