前回からの変化

前回(2026-10-06)との比較である。前回レポートは10月5日の値を扱い、本レポートは10月6日の値を扱う。

変わったこと(変化・新規)

  • 金は前回の4,135ドル前後から、10月6日は4,164ドル前後(約0.6%高)へ反発した。前回割り込んだ4,200ドルの大台は回復していない(TradingEconomics: Gold、Kitco: Gold Price Today)
  • 銀は前回の61.05ドルから61.36ドル(0.49%高)、天然ガスは3.08ドルから3.12ドル(1.67%高)、小麦は6.915ドルから約7.05ドル(1.77%高)へ上昇した(TradingEconomics: Silver、TradingEconomics: Natural gas、TradingEconomics: Wheat)
  • ブレントは前回の100.15ドルから101.17ドル(0.85%高)へ上昇した。WTIは前回の89.20ドルから、出典により87.99ドルから89.97ドルまでばらつく(TradingEconomics: Brent oil、TradingEconomics: Crude Oil)
  • 原油に、イランがホルムズ海峡でタンカーへの攻撃を強めたとの報道と、フーシ派のミサイルをサウジ主導の連合が迎撃したとの報道が加わった

昨日と同じこと(継続)

  • 米長期金利の高止まりとドル高(18か月ぶりの高水準近辺)が、金・銀の上値を抑えている構図は続いている(TradingEconomics: Silver)
  • G7の1億バレルの備蓄放出が原油の重しとなり、中東の緊張が下支えとなる綱引きは前回どおりである
  • 天然ガスは、記録的な米国産出と堅いLNG輸出が併存する構図が続く

要因の連続性

  • 継続要因: 高い米長期金利とドル高が貴金属の重し、G7の備蓄放出が原油の重し、中東の緊張が原油の支え、記録的な産出が天然ガスの重しとなっている。小麦では黒海情勢への警戒が前回に続く支えである
  • 新規要因: 金・銀には、10月の米利上げ確率が約20%へ低下した(12月は約70%)ことが支えとして加わった。原油にはサウジの東西パイプラインが日量580万バレルの能力を回復したとの発表が重しとして、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃の報道が支えとして加わった。天然ガスには、直近の週間在庫積み増しが640億立方フィートと5年平均の800億立方フィートを下回った点が加わった
  • 解消した要因: 前回の金の重しだった原油高によるインフレ懸念は、ブレントが前日比で下落した局面もあり、やや後退した。ほかに前回から後退した要因は確認できなかった

価格サマリー

商品 価格(2026年10月6日) 騰落率(前日比)
金(スポット) 1オンス約4,164ドル 約0.6%高
銀 1オンス61.36ドル 0.49%高
WTI原油 1バレル87.99〜89.97ドル 出典により不一致
ブレント原油 1バレル101.17ドル 0.85%高
天然ガス(Henry Hub) 1MMBtu 3.12ドル 1.67%高

小麦は1ブッシェル約7.05ドル(1.77%高)。値はいずれもTradingEconomicsとKitco: Gold Price Todayの10月6日の取引中の表示値で、確定終値ではない。WTIは同日に89.97ドル(0.57%高、TradingEconomics: Crude Oil)と87.99ドル(1.61%安)の2つの値が確認でき、取得時点の違いとみられる。BrentもFortune: Current price of oil as of October 6, 2026は朝時点で101.43ドル(前日比4.13%安)としており、出典間で数ドルずれる。

商品別動向

金・銀

TradingEconomics: Goldによると、金は4,164ドル前後と0.59パーセント上昇した。10月の米利上げ確率が約20パーセントへ後退したことが、強いドルと高い米長期金利の圧力を相殺した。月間では5.46パーセント安で、年初来高値の5,608ドルからはなお大きく下にある。

銀はTradingEconomics: Silverによると61.36ドルへ0.49パーセント上昇した。月間では7.23パーセント安で、1月の過去最高値121.64ドルの約半分の水準にある。

原油

TradingEconomics: Brent oilによると、ブレントは101.17ドルで、月間では4.13パーセント高である。サウジの東西パイプラインが日量580万バレルの能力を回復したことと、G7の1億バレル備蓄放出が重しとなる一方、イランによるホルムズ海峡でのタンカー攻撃強化の報道が支えとなった。

WTIはTradingEconomics: Crude Oilによると、一時87ドル近辺の安値をつけた後に反発し、89.97ドルとなった。月間では3.32パーセント安である。

天然ガス

TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.12ドルへ1.67パーセント上昇し、月間では6.90パーセント高である。10月中旬の低めの気温予報、9月に日量179億立方フィートだったLNG輸出、欧州・アジアの在庫積み増しが支えである。直近の週間在庫積み増しは640億立方フィートで5年平均を下回った。一方で記録的な日量1,133億立方フィートの生産が上値を抑える。

農産物

TradingEconomics: Wheatによると、小麦は1ブッシェル約7.05ドルへ1.77パーセント上昇した。9月30日につけた1年超ぶりの安値からの戻りが続く。ロシア・ウクライナ戦争の激化懸念から、黒海経由の穀物輸送がさらに乱れるとの警戒が材料である。月間では3.53パーセント安だが、前年比では39.02パーセント高である。

急変動の特集

特集なし。10月6日の主要商品は、いずれも1日で3パーセントを超える変動に届かなかった。前回フォローした原油は、ブレントが朝時点の出典では4.13パーセント安、別の出典では0.85パーセント高と、取得時点で方向が分かれた。

強気派 vs 弱気派

金(弱気): 貴金属アナリストのHeraeusは、先週の金の下落は高い債券利回りなどのマクロ要因が、金を主要なテクニカル上の支持線の下へ押し下げた結果だと述べた。債券利回りは5.3パーセント、原油高も重しとされる(Kitco: Latest News)。

金(強気): 元ファンドマネージャーのJim Rickards氏は、米国は40兆ドルの債務をインフレで目減りさせるとし、金はそれに対抗する手段だと主張した。World Gold Councilによると、中央銀行は8月に金を純39トン買い増し、中国・ウズベキスタン・ポーランドが主導した(Kitco: Latest News)。

原油(強気): 発言者付きの新たな強気の見解は確認できなかった。強気材料としては、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃の報道があり、湾岸発の海上運賃が1バレルあたり約33ドルまで上昇したとの分析もある(TradingEconomics: Brent oil)。

原油(弱気): 発言者付きの弱気の見解は確認できなかった。弱気材料は、サウジの東西パイプラインの能力回復とG7の備蓄放出である(TradingEconomics: Crude Oil)。

銀・天然ガス・農産物: 本日確認できた発言者付きの強気・弱気の見解はない。

地政学・物価関連ニュース

イランがホルムズ海峡でタンカーへの攻撃を強めたとの報道があり、サウジ主導の連合はフーシ派のミサイルを迎撃した。海上運賃の高騰と合わせ、原油高が続けばガソリンや軽油を通じて物価を押し上げる経路になる(TradingEconomics: Brent oil)。

黒海では、戦争の激化懸念から小麦が上昇した。小麦高は製粉・食品価格へ波及する可能性がある(TradingEconomics: Wheat)。

テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)

金: 前回の報道では4,250ドル付近が抵抗帯、4,000ドル付近が次の支持とされた。今回の4,164ドルは両者の間にある。Heraeusは、先週の下落で主要なテクニカル上の支持線を割り込んだと指摘している(Kitco: Latest News)。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。

銀: 61.36ドルは、前回挙げた60.30ドルの下値の目安の上にある。移動平均線とRSIの当日値は確認できなかった。

原油(WTI): 一時87ドル近辺まで下げてから反発した。前回挙げた50日移動平均線(87.03ドル)付近が下値の目安とされる水準である。RSIの当日値は確認できなかった。断定的な売買判断ではない。

天然ガス: 3.12ドルは、前回挙げた200日移動平均線(2.841ドル前後)から引き続き離れている。RSIの当日値は確認できなかった。

小麦: 約7.05ドルは、8月28日の高値7.67ドルを下回る。9月30日の1年超ぶり安値からの戻り局面にある。移動平均線とRSIの数値は確認できなかった。