前回からの変化
前回(2026-10-06、前日)のレポートとの比較である。
変わったこと(変化・新規)
- 米国では、財務省のFinCENが2020年と2023年の暗号資産規制案2件を撤回した。前回までの「当局が新しい規則を整える」流れとは逆向きの、規制を取り下げる動きである(CoinDesk)
- CFTCの10月5日の発表は、前回「規則案の公表」としたが、本日確認した報道では「事前の意見募集(ANPR)」という初期段階とされている。確定した規則案ではなく、段階は前回の記述より手前である(The Coin Republic)
- 日本では、金融庁が9月30日に開いたフォーラムの内容を新たに扱う
- ビットコインは前回の8万5,790ドル前後から8万5,634ドル前後へ、イーサリアムは2,713ドル前後から2,699ドル前後へ、いずれも小幅に下落した
昨日と同じこと(継続)
- 米国で議会の立法を待たず、各当局が既存の権限で制度を整える流れが続いている(前回のCFTC・FRBに続き、本日もCFTCとFinCEN)
- ビットコインが8万2,000〜8万6,000ドル前後で推移する構図は継続している
- 前回の特集で扱ったOpen USDのような、ステーブルコインを軸にした新しい事業の形が続いている(本日は銀行側の対抗策であるトークン化預金を扱う)
要因の連続性
- 継続要因: 市場構造法案が議会で止まっているため、当局が自らの権限で規則を整えるという流れが、前回に続いて働いている
- 新規要因: 米政権の規制緩和方針を背景にした、過去の規制案の撤回が加わった。日本では官民のフォーラムを通じた制度点検が始まった
- 解消した要因: なし
市況ひとこと
ビットコインは8万5,634ドル前後で、24時間では0.4パーセント安だった(CoinDesk: Bitcoin price today)。イーサリアムは2,699ドル前後で、24時間では0.7パーセント安である(CoinDesk: Ethereum price today)。取得は10月7日朝(日本時間)である。どちらも大きな変動ではない。
社会実装・インフラへの採用
米大手行のトークン化預金ネットワーク(続報の位置づけ)
- 誰が・何を: JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどの大手銀行が、決済機関The Clearing Houseが運営する共有のトークン化預金ネットワークを2027年前半に始める計画である。トークン化預金とは、銀行預金そのものをブロックチェーン上のデジタルトークンとして表したものを指す(PYMNTS)
- 段階: 構想・提携発表(2026年6月に発表。本日は前日〜実行時点の新規発表ではなく、特集の前提として再掲)。ブロックチェーンの技術提供者は、この報道の時点では未選定とされていた
- 技術・トークンの使い方: 預金トークンは銀行の預金と同じ扱いで、暗号資産ではなく銀行システム内に資金がとどまる。詳細は下の特集で扱う
日本の決済インフラ
- 日本銀行は2026年内に、日銀当座預金をオンチェーンで扱えるようにするための論点と道筋の検討状況を取りまとめる予定である。段階は検討中で、実装時期は示されていない(CoinChoice)
- 3メガバンクの円建てステーブルコインは、2026年度中の実取引開始が予定されていると報じられている(同記事)。段階は本番運用の準備中である
各国の法改正・規制
米国
- FinCENの撤回: 米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は10月5日、2020年12月に提案された規則案と、2023年の規則案の計2件を撤回した。2020年案は、銀行や暗号資産取引所に対し、利用者が自分で管理するウォレット(アンホステッドウォレット)との間で1万ドルを超える送金があった場合に、報告と本人情報の収集を求める内容だった。24時間内の合算も対象だった。2023年案は、取引を混ぜて追跡しにくくする「ミキサー」を介する取引に追加の報告を求めるものだった。いずれも発効しておらず、FinCENは規制緩和の方針と「目的に合った」暗号資産ルールづくりを理由としている(CoinDesk、Crypto Times)。影響を受けるのは、取引所・銀行と、自己管理ウォレットを使う利用者である
- CFTCの規則制定: 米商品先物取引委員会(CFTC)は10月5日、レバレッジや証拠金を使う暗号資産取引について「Regulation CTX」と「Regulation CAM」の規則制定手続きを始めた。CFTC登録の取引所が連邦の枠組みで提供できる任意の選択肢で、最終的な要件は未提案である。コメント期限は確認できなかった(The Coin Republic)
日本
- 金融庁は9月30日、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の初会合を開いた。ステーブルコインは裏付け資産のあり方など制度を、利点と欠点の両面から点検する。DEX(分散型取引所)・DeFi(分散型金融)・ウォレット提供者には、技術の性質に合わせた「過不足のない規制」を含むリスク低減策を、各国の動向を見ながら検討する。第2回会合は2027年初めの予定で、中間整理と官民のロードマップをまとめる(CoinChoice)。段階は検討開始で、法改正の提出時期は示されていない。前日〜実行時点の新規発表ではなく、直近の動きを発表日付きで取り上げた
特集: 新しいビジネスの形
預金そのものをトークンにする「トークン化預金」
直近2週間の特集(10月2日の預託機関型トークン化、10月3日の銀行間決済トークン、10月4日のステーブルカード、10月5日のx402、10月6日のOpen USD)とは別のテーマである。10月3日はステーブルコインを使う銀行を扱ったが、本日は預金そのものをトークンにする大手行の取り組みを扱う。
- 仕組み: 銀行が顧客から預かった預金を、そのままブロックチェーン上のトークンとして表す。トークンは通常の預金と同じ債権であり、銀行の外に出ずに、24時間いつでも即時に決済できるとされる(PYMNTS)
- 誰がどう稼ぐのか: 収益の詳細は確認できた資料に明記がなかった。銀行にとっては、企業の資金を自行内にとどめ、決済やプログラム可能な資金管理の手数料収入を得る余地がある。主な利用者は大企業で、資金管理や国際送金での利用が想定されている
- 既存のやり方との違い: ステーブルコインは銀行の外にある準備資産に裏付けられる。トークン化預金は、信用リスク・規制・会計が通常の預金と同じで、規制の整合が取りやすい。報道では、ステーブルコインに利息を付ける法案への銀行側の警戒が、預金流出への対抗策になった背景とされる(CoinDesk)
- 課題・リスク: 開始は2027年前半の計画で、技術提供者の選定など未確定の部分がある。複数の銀行が同じ形式のトークンを相互に受け取れるかが普及の壁である。銀行はステーブルコインの発行も排除していない
- 具体例: JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴが参加し、The Clearing Houseが運営する
業界トピック
本日は、前日〜実行時点で新たなハッキングや取引所の大きな動きは確認できなかった。前回までに扱ったBitgetの流出(9月25日)は、続報を確認できていない。

