前回からの変化
変わったこと(変化・新規)
- 週末にかけ、来週の「日米中銀ウィーク」を見据えたプレビュー報道が複数出た。FOMC(9/15-16、結果発表は日本時間9/17未明3時、ウォーシュ議長会見は3時30分)の利上げ織り込みについて、外為どっとコムは「FedWatchでの織り込みは7割を超えている」と報じた一方(外為どっとコム)、centralbank.watchの集計(9/11時点)では85%まで上振れているなど、ソースによって60%台後半〜80%台まで幅がある(centralbank.watch)。前回レポート時点のCME FedWatch(growbeansprout.com集計)69.3%からさらに切り上がっている可能性はあるが、集計元による差が大きく、決定済みの事実ではない点に留意が必要。
- ブルームバーグが日銀ウオッチャー(エコノミスト)52人を対象に実施した調査(記事配信は9/11、調査自体は8月末〜9月初旬)で、全員が9月17-18日会合での政策金利1.00%→1.25%への利上げを予想していることが分かった。次の利上げ時期については「来年1月」が58%、「今年12月」が35%で、利上げペースは「四半期に1回程度」が46%、「4〜5カ月に1回程度」が36%だった(Yahoo!ニュース(Bloomberg))。前回レポートで伝えた「報道ベースの観測」よりも一段具体的な、エコノミスト調査での全員一致という材料が新たに確認できた。
- 日本経済新聞は、日銀の利上げペース加速観測を受け、最終的な到達点である「ターミナルレート」を1.75%とみるエコノミストが増えていると報じた(日本経済新聞)。前回レポートでは1.25%への到達のみが焦点だったが、その先の利上げ継続見通しにまで市場の視線が広がっている。
- 米10年TIPS(物価連動国債)利回りが9/11時点で2.58%であることが確認できた(Trading Economics)。前回レポートでは「今回のリサーチでは確認できなかった」としていた項目で、同日の名目10年債利回り(4.95〜4.96%)から逆算するとブレークイーブンインフレ率はおよそ2.4%前後となる。前回未確認だった実質金利の水準が今回補完できた。
- 原油相場は9/11のNY市場でWTIが1バレル100.05ドル(前日比2.37%安)、ブレントが104.61ドル(同2.81%安)で取引を終えた(Trading Economics WTI、Trading Economics Brent)。前日比では反落したが、なお1バレル100ドルを超える高水準を維持しており、財経新聞など週末の複数の分析記事はこの水準が来週にかけてのインフレ懸念・金利観の支えとして働き続けると指摘している(財経新聞)。
- イングランド銀行(BOE)の9/17会合について、利上げ確率はおよそ2割程度との見方が示された。9/15の英雇用統計・9/16の英CPIの結果次第で見方が変わる可能性があるという(外為どっとコム)。前回レポートでは「BOEなど他の主要中銀は大きな動きなし」としていたが、来週の会合を控えた具体的な観測が新たに出てきた。
昨日と同じこと(継続)
- FOMC(9/15-16開催)前のブラックアウト期間は9/17まで継続しており、ウォーシュ議長を含むFRB高官の新規発言は週末も確認できない。
- 米・イラン間の軍事的緊張とそれに伴う中東情勢の不透明感は継続しており、原油高の一因になっているとみられる。
- 為替介入に関する新たな当局者発言・実弾介入の観測は本日時点でも確認できない。
- 米国では9/11(金)を最後に市場が休場のため、米10年債・2年債・独10年債・JGB10年債の水準は前回レポート時点(いずれも9/11終値)から変わっていない。
要因の連続性
- 継続要因: FOMCブラックアウトによるFRB高官発言の空白、中東情勢の緊張長期化に伴う原油高・インフレ懸念、日銀利上げペース加速観測。
- 新規要因: ブルームバーグ調査によるエコノミスト全員一致の9月利上げ予想とターミナルレート1.75%観測、BOE利上げ確率(2割程度)という具体的な観測、TIPS利回り・ブレークイーブンの水準確認。
- 解消した要因: 特になし(市場休場のため、前回挙げた要因はいずれも継続中)。
1. 金利サマリー
| 対象 | 水準(取得時点) | 前回比 | 主な変動要因 |
|---|---|---|---|
| 米2年債 | 4.56%前後(9/11終値、休場中変わらず) | 変化なし(前回と同水準) | FOMC利上げ観測の高止まり |
| 米10年債 | 4.95%前後(9/11終値) | 変化なし | 節目5%を意識した高止まり |
| JGB10年債 | 2.973%(9/11) | 変化なし | 日銀利上げ観測、米欧金利上昇の波及 |
| 独10年債(Bund) | 3.51%(9/11) | 変化なし | 2009年以来の高水準を維持 |
| ドル円 | 153円台前半(9/11 NY引け153円24銭、休場中変わらず) | 変化なし | 週明けの日米金融政策イベントを見極める展開 |
米10年TIPS利回りは9/11時点で2.58%(Trading Economics)。同日の名目10年債利回り(4.95〜4.96%)から逆算したブレークイーブンインフレ率はおよそ2.4%前後で、前回報告時に確認できなかった実質金利の水準を補完できた。米2年・10年のスプレッドはプラス圏(順イールド)を維持しているとみられる。
2. 中央銀行の動き
FRB
FOMC(9/15-16、日本時間9/17未明3時に結果発表、3時30分にウォーシュ議長会見)前のブラックアウト期間が続き、週末も新規の高官発言は確認できない。利上げ観測は集計元により差があり、外為どっとコムは「7割超」と報じる一方(外為どっとコム)、centralbank.watch(9/11時点)は85%を示す(centralbank.watch)。前回レポート時点の69.3%(growbeansprout.com集計)からの上振れ方向は共通しているが、決定済みの事実ではなく、なお観測段階である。
日銀
ブルームバーグの調査(9/11配信)で、日銀ウオッチャーのエコノミスト52人全員が9/17-18会合での政策金利1.00%→1.25%への引き上げを予想していることが分かった。次の利上げ時期は「来年1月」58%・「今年12月」35%、ペースは「四半期に1回程度」46%・「4〜5カ月に1回程度」36%との回答だった(Yahoo!ニュース(Bloomberg))。日本経済新聞は、利上げペース加速観測を背景に最終的な到達点(ターミナルレート)を1.75%とみるエコノミストが増えていると報じた(日本経済新聞)。いずれもエコノミストの予想・調査結果であり、日銀の正式決定ではない。植田和男総裁の記者会見は9/18午後(日本時間15時30分)に予定されている。
ECB・BOE・その他
BOE(9/17決定、日本時間20時)は、利上げ確率がおよそ2割程度との見方が示されており、9/15の英雇用統計・9/16の英CPIの結果次第で変わりうるとされる(外為どっとコム)。ECBについては、前回(9/9-10)理事会で決定した25bp利上げを消化する段階にあり、週末も新たな高官発言・決定は確認できなかった。
3. 経済指標
米欧市場が休場だった週末は、金利観に影響する新規の経済指標発表はなかった。来週は9/15に中国8月鉱工業生産・小売売上高、9/16(日本時間21時30分)に米8月小売売上高の発表が予定されており、FOMC直前の重要な材料として注目される(株探)。日本では、9/17-18の日銀会合そのものが最大の指標イベントとなる。
4. 為替
ドル円は9/11のNY引け153円24銭(高値154円48銭)から、週末は米欧市場が休場のため実勢の変動はない。外為どっとコムは、来週については「FOMCとBOJ双方の結果次第でトレンドが変わりうる」とし、方向感を見極める展開になるとの見方を示している(外為どっとコム)。日銀の利上げ実現・継続観測はドル円の下押し材料になりうるが、FOMCが利上げに動けば日米金利差の観点からは相殺方向に働く可能性もあり、決定済みの方向感はない。為替介入に関する新たな当局者発言・実弾介入の観測は本日時点でも確認できない。
5. 債券需給
米欧市場が休場のため、週末に新規の入札・オペ実施はなかった。前回レポートで触れた米財務省の次回長期債買戻しオペは9/24に予定されている。日本国債についても、週末は新たな入札の実施はなかった。ハイイールドスプレッドなどクレジット市場の指標は、休場のため前回時点(2.66%前後)から変わっていないとみられる。
6. 他資産への波及
米欧市場休場のため株式・為替への直接の波及はなかったが、原油がWTI・ブレントとも1バレル100ドルを超える水準を維持していること(Trading Economics)が、来週のインフレ懸念・金利観を通じて株式・為替・金・暗号資産の値動きに影響しうる地合いとして持ち越されている。FOMC・日銀会合双方で利上げが実現すれば、実質金利の上昇圧力が強まり、金(ゴールド)には上値を抑える方向に働きやすい。ドル円は日米の金利政策イベントの結果次第で振れが大きくなりやすく、暗号資産も金利観の変化に敏感な展開が続くとみられる(詳細はus_stock・commodity・crypto各カテゴリ参照)。
7. 今夜の注目イベント
本日(9/13)は日曜日で、日本時間今夜にかけて米欧の主要市場は休場が続き、大きな指標発表・国債入札はない。FOMCブラックアウト期間(9/17まで)のため、週明け以降もFRB高官の新規発言は見込まれない。来週の最大の注目は9/15-16のFOMC(結果は日本時間9/17未明3時、ウォーシュ議長会見3時30分)と、9/17-18の日銀会合(結果・植田総裁会見は9/18午後15時30分)。このほか9/15に中国8月鉱工業生産・小売売上高、9/16(21時30分)に米8月小売売上高、9/17(20時)にBOE政策金利発表が予定されている(株探、外為どっとコム)。
