前回からの変化

前回(2026-10-27)との比較である。前回は1週間前の火曜に作成されたレポートで、比較はその週との差になる。今回の対象は10月27日〜11月2日である。

変わったこと(変化・新規)

  • 承認の話題が、前回のB型肝炎薬から、10月30日のFDAによる再発性呼吸器乳頭腫症のDNA免疫療法Voceryqと、免疫不全者の単純ヘルペス治療薬pritelivirへ移った(新規)
  • 国内のインフルエンザは、前回掲載の第41週12.81人から、第42週9.08人へ減り(3週ぶりの減少)、第43週は9.49人へ微増した。前回は増加が続くとみていたが、いったん減少に転じた
  • エボラは、前回掲載のDRCの確定9,066例(10月11日時点)から、WHOの集計で9,704例(10月23日時点)、CDCの集計で全体1万305例(10月28日時点)へ増えた。ケニアは7例から9例になり、ワクチン候補の臨床試験が始まった(新規)

昨日と同じこと(継続)

  • エボラ流行はPHEICの認定が続き、DRCの死亡率は約48%の高い水準が続いている(継続)
  • 国内のインフルエンザは、例年より早い流行入りが続いており、注意報レベル(定点あたり10人以上)の自治体は12道県から16道県に増えた(継続)

要因の連続性

  • 継続要因: エボラ流行の拡大基調と、紛争地域での対応の難しさ。インフルエンザの高い水準も前回から続く
  • 新規要因: ケニアの確定例が9例へ増えたこと、ナイジェリアで確定例が報告されたこと、ワクチン候補の試験(TUMAINI)が始まったこと
  • 解消した要因: ウガンダでは流行の終息が宣言された(WHO)。全国のインフルエンザは前週の急な増加が一服した

今週の概観

過去1週間(10月27日〜11月2日)で、確認できた主な承認は、FDAによるVoceryq(10月30日)とpritelivir(同日)の2件である。EMAのCHMPの10月会合は12〜15日で、今回の対象週ではなく、新たな勧告は確認できていない。国内では、インフルエンザが微増し、16道県が注意報レベルになった。海外ではエボラの確定例が1万を超えた。

承認・審査の動き

FDA

  • Voceryq(10月30日、迅速承認): 対象は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の6型・11型による再発性呼吸器乳頭腫症(喉や気道にいぼ状の腫瘍が繰り返しできる病気)の成人で、手術で切除する回数を減らすことが目的である。申請企業はInovio Pharmaceuticals。DNAを筋肉に注射し、電気を当てて細胞に取り込ませる装置(CELLECTRA 5PSP)を使い、HPVのたんぱく質と免疫を高めるIL-12の設計図を届ける。根拠のRRP-001試験は、32人の第1/2相の非盲検試験で、治療前に年3回以上の手術があった26人のうち7人(27パーセント、95パーセント信頼区間12〜48パーセント)が、12か月間に切除手術を必要としなかった。迅速承認(代わりの指標で早く承認し、承認後に確認試験で効果を確かめる制度)のため、確認試験が求められる。主な副作用は注射部位の反応、頭痛、疲労、高血圧、吐き気、めまいである(出典: FDA: FDA Approves First Plasmid DNA-based Immunotherapy、Contagion Live)
  • pritelivir(商品名Hovilpri、10月30日): 免疫不全の成人の、単純ヘルペスウイルスによる粘膜・皮膚の病変が対象で、1日1回の飲み薬である。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルといった標準薬が効きにくい患者の選択肢になる。約100人のランダム化試験で、1か月以内に全ての病変が治った患者は、pritelivir群で63パーセント、標準治療群で34パーセントだった。主な副作用は頭痛。承認の種別と申請企業は、確認した出典に記載がなかった(出典: JAMA: FDA Approves New Drug to Treat Herpes Simplex Virus Lesions)

EMA

対象週間中のCHMP(ヒト用医薬品委員会)の新たな承認勧告は、確認できていない。10月会合(12〜15日)の内容は、前回までの対象期間にあたる。

PMDA・厚生労働省

厚生労働省の薬事審議会の医薬品第一部会は10月26日、アッヴィの表情じわ治療薬「ボーウィ」(トレニボツリヌストキシンE)の新規承認を了承した。「アクィプタ錠」(アトゲパント)と大塚製薬の「エビリファイ水懸筒注」の一部変更も了承した。部会の了承は、数週間後の正式承認の前段階である(出典: 日経バイオテクONLINE)。

感染症・公衆衛生

季節性インフルエンザ(国内): 厚生労働省は10月30日、第43週(10月19〜25日)の全国の定点あたり報告数を9.49人と発表した。前週(第42週、9.08人)から0.41人増えた。第42週は前々週の12.81人から3.73人減り、3週ぶりの減少だった。愛媛県が22.82人で最多(前週は8.31人)、27自治体が前週より増えた。注意報レベル(10人以上)の自治体は16道県で、前週の12道県から4県増えた。休校91校、学年閉鎖264校、学級閉鎖938校が報告された(出典: リセマム、リセマム(第42週))。定点あたり報告数とは、全国の指定医療機関1か所あたりの平均報告人数を指す。

エボラ(ブンディブギョ株): WHOの10月23日付の報告では、DRCの確定症例は9,704例、死亡は4,687例(致死率48.3パーセント)だった。ケニアは確定9例、ナイジェリアは1例である。DRCでは直近の死亡482件のうち307件が医療機関の外で起き、早期発見の難しさが課題とされる。ウガンダは流行の終息を宣言した(WHO)。CDCの集計を引いた11月2日の報道では、全体の確定は1万300例超、死亡は5,000例近い(集計日は10月28日)。ケニアの死亡は、WHOの報告では1人、報道では2人で、出典により異なる(Business Today)。

ケニアでは、最初の患者と接触した20人が、21日間の観察で症状が出ず、26日に隔離を解かれた。ほかに98人が隔離中で、全例が1つの集団につながり、市中感染の証拠はない。DRCでは、ワクチン候補を調べる臨床試験「TUMAINI」が始まった。感染者の接触者に接種する「リング接種」の方式で、候補はErvebo、オックスフォード大学とセラム・インスティテュートのChAdOx1、モデルナのmRNA-1469である。結果が出るまで数か月かかる見込みだと、WHOのメグ・ドハティ氏は述べた(国連ニュース)。承認されたブンディブギョ株用の治療薬やワクチンはない。

臨床試験・研究の結果

EFZO-FIT試験(efzofitimod、肺サルコイドーシス): 第3相。企業のaTyr Pharmaが29日付で、結果が学術誌Lancet Respiratory Medicineに掲載されたと発表した。登録は268人で、解析対象は264人(プラセボ90人、3mg/kg群86人、5mg/kg群88人)である。主要評価項目の、48週時点の経口ステロイドの1日平均量の変化は、5mg/kg群で2.79mg、プラセボ群で3.52mgとなり、差は有意でなかった(P=0.3313)。副次的な評価では、ステロイドを完全にやめた割合が5mg/kg群で52.6パーセント、プラセボ群で40.2パーセントだった。数値は2025年9月に発表された主要結果にもとづく企業発表の内容で、論文の本文は確認できていない(出典: HCPLive)

政策・その他

厚生労働省は10月27日、薬事審議会の会合で、感染症の危機に対応する医薬品とワクチンを優先審査の対象に明記する、医薬品医療機器等法の改正を、2027年度に検討する方針を示した。委員からは、審査を急ぐ中でも安全性と有効性の評価をしっかり行うべきだとの意見が出た。FDAは11月2日、細胞・遺伝子治療の開発と品質を支える指針を出した(出典: FDAの発表の見出しのみの確認)。

医療助言に関する注記: 本レポートは公的機関・企業の発表内容を要約したものであり、個別の受診・服薬・ワクチン接種の判断は医師にご相談ください。