前回からの変化

前回(2026-11-02、前日)との比較である。前回は30日発表のエクソンモービル、シェブロン、パナソニックHDが中心だった。今回は2日(月)に発表された決算を扱う。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回の主役は石油大手の精製マージンの急騰だったが、今回は総合商社と化学の上方修正と、京セラの減損による悪化が加わった。日本企業の通期予想の引き上げは、前回のパナソニックHDに続く流れである(日本経済新聞: 住友商事)
  • 前回「次の注目決算」に挙げた2日のうち、マリオットとエスティローダーは結果が判明し、ともに見通しを引き上げた。アップルとパランティアは引け後の発表で、結果は今回の出典では確認できなかった。オン・セミコンダクターの結果も確認できなかった
  • 前回は中東情勢による燃料高が石油大手の追い風だったが、住友商事は中東情勢の悪影響の見積りを引き下げた。通期の見積りは約230億円から約200億円に縮小した(日本経済新聞: 住友商事)

昨日と同じこと(継続)

  • AI・半導体関連の設備投資が業績の軸であることは続く。京セラのAIデータセンター向け部品は好調で、30日に決算を出したSCREENは、営業利益が前年同期比17%増の545億円でも市場予想に届かず、2日の株価が一時18.7%安となった(日本経済新聞: SCREEN)
  • 好決算でも期待を下回れば売られる「期待と実績のズレ」は、前回の富士通やイビデンの動きから続く

要因の連続性

  • 継続要因: 中東情勢と資源・エネルギー価格が業績を左右する構図。前回は石油大手の精製、今回は住友商事のアルミニウムなど資源関連が上方修正を支えた
  • 新規要因: 京セラの減損(GaNデバイス)と引当金という一過性要因が、利益を大きく押し下げた。化学では住友化学の最終益の改善が上方修正につながった
  • 解消した要因: 前回の焦点だったアップルなどの発表前の織り込みは、結果の判明を待つ段階に移った。ただし結果は未確認である

本日のハイライト

企業 期 主な数字 見通し 株価反応
住友商事 FY2027/3 中間期(4〜9月) 最終利益3478億円(15.5%増) 通期6300億円→6700億円 確認できず
住友化学 FY2027/3 中間期(4〜9月) 最終利益828.7億円(108.8%増) 通期700億円→900億円 確認できず
京セラ FY2027/3 中間期(4〜9月) 7〜9月の営業利益165億円(予想405億円) 営業利益見通しは据え置き 4%下落(時点は出典に明記なし)
マリオット FY2026 第3四半期(7〜9月) 調整後EPS3.02ドル(予想2.85ドル) 通期調整後EPS12.07〜12.14ドルに上方修正 プレマーケットで約3%高
エスティローダー FY2027 第1四半期(7〜9月) 調整後EPS0.72ドル(予想0.51ドル) 通期調整後EPS3.20〜3.45ドルに上方修正 約3.5%高

日本企業の数字は日本基準またはIFRSの決算短信ベースの報道による。米国企業のEPSは調整後(non-GAAP)で、予想の出所はエスティローダーがFactSet、マリオットが報道でのアナリスト予想(出所の明記なし)である。

個別決算

住友商事 — FY2027/3 中間期(2026年4〜9月)

数字: 4〜9月の連結最終利益は前年同期比15.5%増の3478億円だった。石油化学の取引や船舶事業が伸びた(日本経済新聞: 住友商事)。

見通し: 今期(2027年3月期)の最終利益予想を、従来の6300億円から6700億円へ6.3%引き上げた。前期の6003億円からは11.6%の増益となり、過去最高益の予想をさらに上積みした。年間配当は40円から44円に引き上げ、2026年6月の1株を4株にする株式分割を考慮すると実質10%の増額である(株探: 住友商事)。市場予想(6630億円)をわずかに上回ったと報じられている。

中身: アルミニウムなど資源関連の好調と、中東情勢の悪影響が想定より小さかったことが上方修正の要因とされる。中東情勢による通期の悪影響は約200億円と、従来の約230億円から縮小した。

住友化学 — FY2027/3 中間期(2026年4〜9月)

数字: 4〜9月の売上収益は7.1%増の1兆1720億円、営業利益は33.2%増の1380億円、中間利益は108.8%増の828.7億円だった。

見通し: 今期の最終利益予想を700億円から900億円へ29%引き上げ、配当も1円増やした(株探: 住友化)。要因の詳細は、今回の出典では確認できなかった。

京セラ — FY2027/3 中間期(2026年4〜9月、IFRS)

数字: 4〜9月は営業利益が56%増の656億円、最終利益が32%増の734億円だった。ただし7〜9月だけをみると、営業利益は165億円で、市場予想の405億円を大きく下回った。最終利益は前年同期比30%減だった(Investing.com、株探: 京セラ)。

中身: 悪化の主因は一過性要因である。GaN(窒化ガリウム)デバイスに関する295億円の減損損失と、エネルギー関連製品向けの76億円の引当金を計上した。シティのアナリストは、これらを除いた実質の業績はコンセンサス予想を上回っていたと指摘した。AIデータセンター向けの積層セラミックコンデンサやタンタルコンデンサは堅調だった(Investing.com)。

見通し: 通期の営業利益見通しは据え置かれた。今期の最終利益は14%増の1600億円、売上高は2%増の2兆1200億円の見通しである。経営陣は、一部の製品の前提は依然として保守的だとした。株価は4%下落したと報じられている(時点は出典に明記がなく、15時の発表後の取引とみられる)。

マリオット・インターナショナル — FY2026 第3四半期(7〜9月)

数字: 調整後EPSは3.02ドルで、前年同期の2.47ドルから増え、予想の2.85ドルを上回った。売上高は70億ドルで、予想の69億2000万ドルを上回った。世界全体の1室あたり売上高(RevPAR)は6.5%増(米国・カナダは7.4%増、国際は4.4%増)で、調整後EBITDAは15億1000万ドル、12%増だった(Yahoo Finance)。

見通し: 2026年の世界RevPAR成長率の見通しを、従来の3〜3.5%から4.5〜5%へ引き上げた。調整後EPSの見通しは12.07〜12.14ドルで、8月時点の11.64〜11.81ドルから上方修正した。2026年の株主還元額は48億ドルの見込みで、従来の45億ドル超から増やした。第3四半期は350万株を13億ドルで買い戻した。株価はプレマーケットで約3%上昇した。

エスティローダー — FY2027 第1四半期(2026年7〜9月)

数字: 売上高は37億1500万ドルで7%増(オーガニックでは6%増)、調整後EPSは0.72ドル(前年同期は0.32ドル)で、FactSetの予想0.51ドル、売上高36億5000万ドルを上回った。営業利益率は11.0%と、前年の4.9%から改善した。一方、営業キャッシュフローは1億6600万ドルの流出、フリーキャッシュフローは2億3500万ドルのマイナスだった(FINCHANNEL)。

見通し: 通期のオーガニック売上成長率を3〜5%から4.0〜5.5%へ、調整後EPSを3.10〜3.35ドルから3.20〜3.45ドルへ引き上げた。株価は約3.5%上昇した。FINCHANNELは、プレマーケット価格112.28ドルは今期見通しの32.5〜35.1倍にあたり、回復がすでに織り込まれていると分析した。アナリストの見方は、JPモルガンとパイパー・サンドラーが強気、UBSが中立と分かれた。

経営陣が語ったこと

  • マリオットのアンソニー・カプアーノCEOは、中東紛争の影響は第2四半期から「大きく改善した」が、地域の業績には影響が残ると説明した(Yahoo Finance)
  • 住友商事のCFO(最高財務責任者)は、中東情勢について「楽観はしていない」としつつ、来年の事業への悪影響は対策で最小限にできるとの考えを示した(日本経済新聞: 住友商事)
  • 京セラの経営陣は、一部の製品の前提が保守的だと説明した(Investing.com)

業界トレンド

  • 日本の商社・化学は、資源・エネルギーの価格と中東情勢の影響が想定より小さかったことを背景に、通期予想を引き上げる動きが目立つ。前回のパナソニックHDなども含め、増配を伴う上方修正が続いている
  • 半導体・AI関連は、売上が伸びても期待が高いために株価が割れる局面がある。SCREENは営業利益が17%増でも一時18.7%安、京セラは一過性の減損で予想に届かなかった一方、実質の業績は堅調との見方がある
  • 米国のサービス・消費関連は、堅調な需要を背景に見通しを引き上げる企業が出た。マリオットは旅行需要、エスティローダーはプレミアムスキンケアと香水の需要が追い風となった

決算シーズンの進捗

S&P500の発表済み社数やEPS成長率など、集計機関(FactSetなど)の最新の数字は、今回の取得では確認できなかった。

次の注目決算

日付は特記しない限り米国時間で、報道ベースである。

  • 2日(月)引け後(日本時間3日朝): アップル。ジョン・ターナス新CEOの初めての決算説明会で、売上高予想は約1133億ドル、1株利益予想は1.99ドル。iPhoneの売上予想は約566億ドル。結果は確認できていない(CNBC)。同日のパランティアの7〜9月期も、結果は確認できなかった
  • 11月3日(火): AMD、アムジェン、アリスタネットワークス、ファイザー
  • 11月4日(水): マクドナルド、クアルコム、ウーバー
  • 日本(日本時間): 5日(木)にトヨタ自動車、任天堂、日本製鉄、花王。6日(金)に三菱重工業、三井不動産