前回からの変化
前回(2026-10-13)との比較である。前回は1週間前の火曜に作成されたレポートで、比較はその週との差になる。
変わったこと(変化・新規)
- 承認の対象が、前回の乳がん・大腸がん術後療法・ヘルペスから、直腸がん(ドスタルリマブ)・膀胱がん(適応拡大)・市販の目薬へ移った(新規)
- 国内のインフルエンザは、前回掲載の第39週7.17人から、第40週11.35人へ増え、減少から増加へ方向が転換した(前回は減少に転じたと伝えていた)
- コンゴ民主共和国のエボラ確定症例は、前回掲載の9月27日時点8,116例から、10月11日時点9,066例へ更新された(2週間で950例増)
- ケニアで輸入例が確認され、10月16日に3例目が報告された(新規)
- 前回「結果の公表はこれから」としていたEMAのCHMPが、6品目の承認勧告を公表した(決着)
前回と同じこと(継続)
- FDAによるがん領域での承認が続いている点は前回と同様である。前回承認されたツカチニブは、今回CHMPが適応拡大を勧告した品目にも入った(継続)
- コンゴ民主共和国のブンディブギョ株エボラ流行は、PHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)の認定が続いている
要因の連続性
- 継続要因: 例年より高い水準のインフルエンザ報告数と、エボラ流行の拡大基調は前回に続いて続いている
- 新規要因: 国内のインフルエンザが減少から増加へ転じたこと。エボラが隣国ケニアへ波及したこと
- 解消した要因: 前回挙げた「全47都道府県で急性呼吸器感染症が減少」という流行の山を越えた可能性は、インフルエンザ増加で後退した
今週の概観
過去1週間(前週火曜10月13日〜実行前日10月19日)は、FDAが10月14日に膀胱がん薬の適応拡大、16日に初の市販アプラクロニジン点眼薬、19日に直腸がんへのドスタルリマブの迅速承認を発表した。EMAのCHMPは10月12日〜15日の会合で新薬6品目の承認を勧告した。国内では、最新の第40週(9月28日〜10月4日)のインフルエンザ報告数が増えた。海外ではエボラ流行が続き、ケニアで3例目が確認された。
承認・審査の動き
FDA
- ドスタルリマブ(商品名Jemperli、10月19日): MSI-H(マイクロサテライト不安定性が高い)またはdMMR(ミスマッチ修復欠損)の、未治療のステージ2〜3の局所進行直腸がんで、迅速承認された。迅速承認とは、代替の指標をもとに先に承認し、後から確認試験で効果を確かめる仕組みである。販売元はGSKである。根拠のAZUR-1試験は154人を対象とし、500ミリグラムを3週ごとに9回点滴した。主要評価項目の12か月時点の持続的な臨床的完全奏効(cCR12)は47パーセント(95パーセント信頼区間27〜56パーセント)で、奏効率は79パーセント(同71〜85パーセント)だった(出典: FDA: FDA grants accelerated approval to dostarlimab for locally advanced rectal cancer)
- ノガペンデキン アルファ インバキセプト(商品名Anktiva、10月14日): BCG(膀胱内注入療法)で効果が不十分だった筋層非浸潤性膀胱がんのうち、高悪性度の乳頭状のみの腫瘍にも適応が広がった(適応拡大)。販売元はImmunityBioの子会社Altor BioScienceである。根拠のQUILT-3.032試験は単群試験(比較対象のない試験)で、上皮内がんの77人の完全奏効率は62パーセント(95パーセント信頼区間51〜73パーセント)だった。乳頭状のみの腫瘍への適応は、この結果をもとに効果を当てはめて認めたとFDAは説明している(出典: FDA: FDA approves expanded indication for nogapendekin alfa inbakicept-pmln for BCG-unresponsive non-muscle invasive bladder cancer)
- Brytly(アプラクロニジン点眼液0.125パーセント、10月16日): 軽い刺激による目の充血をやわらげる、アプラクロニジンを含む初の市販薬(処方箋なしで買える薬)として承認された。12歳以上が対象で、1日2回までとされる。販売元はAlconである(出典: FDA: FDA approves new nonprescription eye drop for relief of eye redness)
EMA
CHMP(ヒト用医薬品委員会)は10月12日〜15日の会合で、6品目の新薬の承認を勧告した。非希少疾病用では、経口GLP-1受容体作動薬のFoundayo(オルフォグリプロン、成人の体重管理と2型糖尿病)と、転移性膵がんのRasonque(ダラキソンラシブ)である。希少疾病用はYuviwel(ナベペグリチド、小児の軟骨無形成症)とKizfizo(テモゾロミド、膠芽腫など)、ほかにバイオシミラー(後続品)のFovlussea(ラニビズマブ)とNeuzafy(フィルグラスチム)が入った。適応拡大の勧告は5品目で、Tukysa、Talvey、Tryngolza、Kyinsu、AstraZenecaのH5N1パンデミックインフルエンザワクチンが含まれる。Yartemlea(ナルソプリマブ)は、再審査でも販売承認の拒否が維持された。CHMPの勧告は、欧州委員会の承認判断の前段階である(出典: EMA: Meeting highlights from the Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) 12-15 October 2026)
PMDA・厚生労働省
対象週間中の新規承認は、本レポート時点で確認できていない。
感染症・公衆衛生
季節性インフルエンザについて、日経メディカルは、厚生労働省の10月13日の発表として、全国の第40週(9月28日〜10月4日)の定点あたり報告数が11.35人で、前週(第39週)の7.17人から増えたと伝えた。定点あたり報告数とは、全国の指定医療機関1か所あたりの平均報告人数を指す。前週比では約58パーセントの増加である。都道府県別の数値は会員限定で、確認できた範囲では取得できなかった。
海外では、英国健康安全保障庁(UKHSA)の週報によると、コンゴ民主共和国のブンディブギョ株エボラ流行で、10月11日時点の確定症例は9,066例、確定死亡は4,381例で、前週から症例が463例、死亡が233例増えた。65の保健区域、7つの州に広がり、イトゥリ州が症例の大半を占める。ウガンダでは8月27日に流行の終息が宣言された。この株には承認されたワクチンや治療薬がない(UK Health Security Agency: Outbreaks under monitoring, week 41)。
ケニアでは、10月6日に輸入例の1例目(5日に死亡)が確認され、16日に1例目の親族の65歳女性が3例目として報告された。保健省は市中感染の兆候はなく、住民へのリスクは低いとしている。接触者は130人が特定され、127人が追跡・隔離された。流行はコンゴ民主共和国の8つ目の州(北ウバンギ州)にも広がったと伝えられている(Al Jazeera: Kenya records third Ebola case, linked to first patient who died)。なおUKHSAの週報はケニアを2例と記載しており、集計時点が異なる。
臨床試験・研究の結果
対象週間中に、NEJM・Lancet・JAMA・BMJ掲載や主要学会発表の大規模試験で、本レポートが一次情報として確認できたものはなかった。上記の承認根拠となったAZUR-1試験(154人)とQUILT-3.032試験(上皮内がん77人)が、今週確認できた主な試験結果である。どちらも比較対照のない単群試験で、FDAの審査文書の数値である。
政策・その他
薬価改定・診療報酬に関する対象週間中の新たな決定は、本レポート時点で確認できていない。
医療助言に関する注記: 本レポートは公的機関・企業の発表内容を要約したものであり、個別の受診・服薬・ワクチン接種の判断は医師にご相談ください。

