前回からの変化
前回(2026-10-31付、30日の値)との比較である。31日(土)と1日(日)は市場が休場で、今回は2日(月)の動きを扱う。前回値はTradingEconomicsの表示値で確定終値でないものを含むため、騰落率は出典の前日比をそのまま載せ、前回値との差とは一致しない場合がある。
変わったこと(変化・新規)
- 前回は100ドル台を保っていたWTI原油が、2日に7.36%安の96.46ドルで引けた。ブレントは前回の112.35ドルから104.77ドルへ7.63%下げた。3週間ぶりの安値圏で、WTIは100ドルを割った(Finimize、TradingEconomics: Crude Oil)
- 前回急落した金は、2日に反発した。TradingEconomicsでは3,946.45ドル(1.82%高)、CNBCの報じた現物では3,957.19ドル(2.1%高)で、いずれも前週末の1年ぶり安値(3,870.27ドル)から戻した(TradingEconomics: Gold、CNBC)
- 前回の急変動の特集で扱った銀は、前回の49.12ドルから3.25〜3.66%高の50.49〜50.94ドルへ戻した。ただし月間では17.30%安のままである(TradingEconomics: Silver、Kitco)
- 金銀比価は前回の約79倍から、金3,946ドルと銀50.5ドルから計算して約78倍へ小幅に縮んだ(当方で算出)
昨日と同じこと(継続)
- 12月の米利上げ観測が貴金属の重しとなる構図は続く。利上げ確率は約75%と伝えられ、前回の80%超からやや低下した(Kitco)
- 天然ガスは2.87ドルと前回の2.88ドルからほぼ横ばいで、弱い地合いが続く。小麦は606セントで、前回の603.25セントからわずかに上げた(TradingEconomics: Commodities)
要因の連続性
- 継続要因: 中東の供給不安が原油の水準を左右する構図。インフレ懸念が金利を通じて貴金属に効く点も変わらない
- 新規要因: 前回は後退していた米国とイランの外交が再び前進した。トランプ大統領が攻撃再開を急がず交渉を見極める考えを示したと報じられ、イランの最高指導者も交渉を認めたと伝えられた。カタールが仲介している
- 解消した要因: 前回の貴金属の売り材料だった原油高によるインフレ懸念は、2日の原油安でいったん和らいだ。強制的な換金売りも、一服した
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年11月2日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月30日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス3,946.45ドル | 1.82%高 | 3,874.08ドル |
| 銀 | 1オンス50.49ドル | 3.25%高 | 49.12ドル |
| WTI原油 | 1バレル96.46ドル(引け) | 7.36%安 | 102.88ドル |
| ブレント原油 | 1バレル104.77ドル(引け) | 7.63%安 | 112.35ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.87ドル | 小幅安 | 2.88ドル |
金、銀、天然ガスの価格はTradingEconomicsの表示値で、取得時刻と限月は確認できておらず、2日の日中の値を含む。原油はFinimizeの報じた精算値である。小麦は1ブッシェル606セント(0.41%高)、大豆は1,204.50セント(1.45%安)、銅は1ポンド6.51ドル(0.86%高)、アルミは1トン3,094.50ドル(1.14%高)である。前回値(30日)は確定終値でないため、前回値との差と前日比は一致しない。
商品別動向
金・銀
金は前週末に1年ぶりの安値(3,870.27ドル)を付けたあと、2日に約2%反発した。TradingEconomicsは、原油安でインフレ懸念が和らぎ、「高い金利が長く続く」との見方が後退したことと、米イラン外交への期待を理由に挙げた。ハイテク株の売りに伴う換金売りの一服も背景にある(TradingEconomics: Gold)。アナリストのニコス・ツァブラス氏は、米イランの外交的な進展への楽観と、AIブームへの疑念の再燃が、FRBがどこまで引き締めるかへの疑いを生み、反発を後押ししていると述べた(CNBC)。
銀は50ドル台に戻したが、月間では17.30%安である。11か月ぶりの安値圏からの反発で、金と同じく原油安と金利低下期待が理由とされる(TradingEconomics: Silver)。
原油
WTIは96.46ドル(7.36%安)、ブレントは104.77ドル(7.63%安)で引けた。日中は、イランとカタールの当局者が3日連続で協議したことで売りが先行し、WTIは100ドルを割った。さらにNY時間に、アクシオスが「トランプ大統領はネタニヤフ首相に、少なくとも米中間選挙が終わるまで、攻撃再開を控えて外交交渉を見極める考えを伝えた」と報じ、時間外で下げ幅が広がった(Finimize、みんかぶFX)。市場は、ホルムズ海峡の供給途絶に備えて上乗せしていたリスクプレミアム(不安の分の上乗せ価格)を、はがした形である。
OPECプラスは1日に、12月の生産目標を据え置くことを決めた。供給を増やさない決定でも、外交への期待が価格を動かした(Coinpaper)。
天然ガス
米国の天然ガスは2.87ドル前後で、前回の2.88ドルからほぼ横ばいだった。2日の新しい材料は、今回の出典では確認できなかった。前回の貯蔵量の積み増しと穏やかな気温予報という弱気要因は、引き続き働いているとみられる(TradingEconomics: Commodities)。
農産物
小麦は606セントで0.41%高、月間では12.46%安だった。大豆は1.45%安だった。個別の材料は、今回の出典では確認できなかった(TradingEconomics: Commodities)。
急変動の特集
原油が1日で7%超急落、リスクプレミアムがはがれる
WTIは7.36%、ブレントは7.63%と、目安の3%を大きく超えて下げた。WTIは前日の約104ドルから96ドル台へ、1日で約8ドル下げた(精算値から逆算)。
なぜ動いたか: 外交の進展を示す報道が重なった。イランの最高指導者が政府に交渉の権限を与えたと国営通信が伝え、トランプ大統領が攻撃の再開を急がない考えを示したと報じられた。UBSのジョバンニ・スタウノボ氏は、市場は「あらゆる見出し」に反応していると指摘した(Finimize)。
生活・産業への波及: 原油安は、ガソリンや電気料金への波及を通じて物価を和らげる方向に働く(一般論)。原油の下落は米国の物価と利上げの警戒も和らげ、2日は株や金に買いが入った。ただし、在庫は紛争の長期化で逼迫したままで、再び緊張が高まれば急反発しうる。レイモンド・ジェームズのパベル・モルチャノフ氏は、これまでの外交の動きは消えてきたと警告した(同上)。
強気派 vs 弱気派
調査したのはTradingEconomics、Kitco、CNBC、FXStreet、Finimizeの5サイトである。
金・銀
- 弱気: 独立系アナリストのナディム・ジダン氏は、利回りの高さ、ドル高、流動性の引き締まりを理由に、金は3,600〜3,400ドルの支持帯まで脆いとみる。短期では3,820ドル方向への下落を想定する(FXStreet)
- 強気: エイデン・フォーキャストのチャック・バトラー氏は、買われすぎのドルが反転すれば、米10年債利回りの低下とあわせて金は4,000ドルへ戻りうるとみる(同上)。ユリウス・ベアのカールステン・メンケ氏は、どちらの党が勝っても財政赤字は続き、米国の債務と利払い負担は金の長期的な支えになると述べた(CNBC)
原油
- 弱気(価格の下落見通し): KCMトレードのティム・ウォーターラー氏は、外交の進展への期待と、週末に大きな軍事的なエスカレーションがなかったことで、上昇圧力が一時的に和らいだと述べた
- 慎重(下落が続かないとの見方): レイモンド・ジェームズのパベル・モルチャノフ氏は、これまでの外交の動きが消えてきたことに注意を促した(Finimize)
銀、天然ガス、農産物の氏名付きの見方は、今回の出典では確認できなかった。
地政学・物価関連ニュース
米国とイランの外交は、カタールの仲介で進む。報道では、イランがホルムズ海峡を再開し、2日以内に米国との核協議を再開する可能性があると伝えられた(Kitco)。ただし、前回も外交の期待は後退した経緯があり、合意が確認されたわけではない。トランプ大統領の自制は、少なくとも3日の米中間選挙までという条件付きと報じられている。
物価への波及は、原油が100ドルを下回ったことで、ガソリンや電気料金への上昇圧力はやや和らぐ(一般論)。ただしWTIは年初来の水準では高く、前年同期比では約57%高いままである(TradingEconomics: Commodities)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
移動平均線とRSIの2日終値時点の値、投機筋の建玉の詳細は、今回の出典では確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金: Kitcoは、上値のめどを3,978〜4,035ドル、その上を4,086ドル、下値の支えを3,817ドル、その下を3,719ドルとした。前週末の1年ぶり安値(3,870.27ドル)から反発したが、まだ上値の抵抗帯の下にある。ドル指数は101.50前後に軟化し、米10年債利回りは4.93%付近だった(Kitco)。
銀: 上値のめどは54.72〜59.00ドル、下値の支えは49.04ドル、その下は45.66ドル。前回割り込んだ50ドル近辺に戻した形である(同上)。
原油: WTIは100ドルを割り、3週間ぶりの安値圏にある。TradingEconomicsの予測は、10〜12月期末に107.39ドル、12か月後に124.79ドルで、足元の下落とは逆方向である(TradingEconomics: Crude Oil)。天然ガスと小麦は、当日のテクニカル指標を確認できなかった。

