前回からの変化
前回(2026-10-06)との比較である。前回は1週間前の火曜に作成されたレポートで、比較はその週との差になる。
変わったこと(変化・新規)
- 承認の対象が、前回のパーキンソン病・白血病・小児心疾患から、HER2陽性乳がん・大腸がんの術後療法・難治性ヘルペスへ移った(新規)
- 国内のインフルエンザは、前回掲載の第38週8.48人から、第39週7.17人へ減少した(前回は増加が続いていたが、方向が転換した)
- インフルエンザを含む急性呼吸器感染症全体も、前回掲載の第38週66.37人から、第39週41.84人へ24.53人減り、5週続いた増加が止まった(新規データ)
- コンゴ民主共和国のエボラ流行は、前回掲載の確定症例6,757例(9月上旬)から、9月27日時点の8,116例へ更新された(新規データ)
前回と同じこと(継続)
- FDAによるがん領域での承認が続いている点は前回と同様である
- コンゴ民主共和国のエボラ(ブンディブギョ株)流行は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の認定が続いている
要因の連続性
- 継続要因: 例年より高い水準のインフルエンザ報告数は、減少したとはいえ前回に続いて続いている
- 新規要因: 全47都道府県で急性呼吸器感染症の報告数が減り、流行の山を越えた可能性を示す動きが新たに加わった
- 解消した要因: 前回挙げた「44都道府県で患者増」という全国的な拡大の勢いは、本週は止まった
今週の概観
過去1週間(前週火曜10月6日〜実行前日10月12日)は、FDAが10月7日にHER2陽性乳がんの維持療法、8日にステージ3大腸がんの術後療法、9日に難治性ヘルペス病変の治療薬をそれぞれ承認した。国内では、最新の週である第39週(9月21日〜27日)のインフルエンザ報告数が減った。海外ではコンゴ民主共和国のエボラ流行が続いている。EMAの医薬品委員会(CHMP)は10月12日から15日にかけて開かれており、結果の公表はこれからである。
承認・審査の動き
FDA
- ツカチニブ(商品名Tukysa、10月7日): HER2陽性の切除不能な局所進行または転移性乳がんで、導入化学療法のあとに病状が進行していない成人の維持療法として、トラスツズマブ・ペルツズマブと併用する形で承認された。通常承認で、販売元はPfizer傘下のSeagenである。根拠のHER2CLIMB-05試験は654人を対象とし、主要評価項目の無増悪生存期間(病気が進行せずに生きた期間)の中央値は、ツカチニブ群24.9か月、プラセボ群16.3か月だった(ハザード比0.64、95パーセント信頼区間0.51〜0.80、p値0.0001未満)(出典: FDA: FDA approves tucatinib with trastuzumab and pertuzumab for maintenance treatment of HER2-positive breast cancer)
- アテゾリズマブ(10月8日): ステージ3のミスマッチ修復欠損大腸がんの術後補助療法として、2歳以上の成人と小児に、フルオロピリミジン・オキサリプラチンの化学療法と併用して承認された(適応拡大)。審査は優先審査で、販売元はGenentechである。根拠のATOMIC試験は712人を対象とし、主要評価項目の無病生存期間(再発や死亡なく過ごした期間)のハザード比は0.50(95パーセント信頼区間0.35〜0.73、p値0.0001)、中央値はどちらの群も未到達だった。治療は化学療法併用の6か月のあと、単独の6か月である(出典: FDA: FDA approves atezolizumab in combination with chemotherapy for Stage III mismatch repair deficient colon cancer)
- プリテリビル(商品名Hovilpri、10月9日): アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビルの効果が不十分だった、免疫が低下した成人の単純ヘルペスウイルスによる粘膜皮膚病変の治療薬として承認された。優先審査である。根拠のPRIOH-1試験(第3相、パートC)は101人を無作為に割り付け、28日時点で病変がすべて治癒した割合は、Hovilpri群63パーセント、他の薬の群34パーセントだった。スポンサー名は、確認した要約には記載がなかった(出典: FDA: FDA approves drug to treat lesions caused by herpes simplex virus)
EMA
CHMPは10月12日から15日の日程で開催中で、承認勧告などの結果は本レポート時点で確認できていない。
PMDA・厚生労働省による新規承認は、本レポート時点で確認できていない。
感染症・公衆衛生
季節性インフルエンザについて、日経メディカルは、厚生労働省の発表として、全国の第39週(9月21日〜27日)の定点あたり報告数が7.17人で、前週(第38週)の8.48人から減ったと伝えた。定点あたり報告数とは、全国の指定医療機関1か所あたりの平均報告人数を指す。沖縄県は都道府県の中で最も多く、警報級の水準に達した。都道府県ごとの詳しい数値は、確認できた範囲では取得できなかった。
インフルエンザを含む急性呼吸器感染症全体の第39週の定点あたり報告数は41.84人で、前週の66.37人から24.53人減った。報告総数は15万5,282人(前週24万5,111人)で、全47都道府県で減少した。定点あたりの過去平均57.21人を下回っている。都道府県別に最も多かったのは埼玉県の75.42人、次いで沖縄県の71.20人、群馬県の59.91人である(レスキューナウニュース)。
海外では、英国健康安全保障庁(UKHSA)の週報によると、コンゴ民主共和国のブンディブギョ株エボラ流行で、9月27日時点の確定症例は8,116例、確定死亡は3,924例で、前回の報告から症例が343例、死亡が165例増えた。ウガンダでは8月27日に流行の終息が宣言された一方、コンゴ民主共和国の流行は引き続きPHEICである。この株には承認された治療薬やワクチンがない(出典: UK Health Security Agency: Outbreaks under monitoring, week 39)。なお、前回掲載した数値(WHOの9月10日付)とは出典と集計時点が異なるため、増加幅の単純比較はできない。
臨床試験・研究の結果
対象週間中に、NEJM・Lancet・JAMA・BMJ掲載や主要学会発表の大規模試験で、本レポートが一次情報として確認できたものはなかった。上記の3件の承認根拠となった試験が、今週確認できた主な試験結果である。
政策・その他
薬価改定・診療報酬に関する対象週間中の新たな決定は、本レポート時点で確認できていない。
医療助言に関する注記: 本レポートは公的機関・企業の発表内容を要約したものであり、個別の受診・服薬・ワクチン接種の判断は医師にご相談ください。

