前回からの変化
前回(2026-11-01、前日)との比較である。1日は日曜日で、決算の新しい発表はなかった。前回は東京エレクトロンの4〜9月期が中心だった。今回は、前回の「次の注目決算」ではなく、30日に同じく発表された米国の石油大手2社と、日本のパナソニックHDを扱う。
変わったこと(変化・新規)
- 前回の主役はAI向けの半導体製造装置だったが、今回は石油大手の「精製」が主役である。エクソンは、精製の利益が上流(原油・ガスの採掘)の利益を上回ったと報じられている。少なくとも過去6年で初めてである(Reuters(Investing.com))
- 前回は設備投資や自社株買いの話題が中心だったが、今回は、米国の石油大手が株主還元より債務の削減を優先した点が目立つ。エクソンは第3四半期に債務を80億ドル減らした(同上)
- 日本では、30日に増配を伴う上方修正が相次いだ。パナソニックHDの今期最終利益は20%の上方修正で、TDKは24%の上方修正と10円の増配だった(株探、ToMO Blog)
昨日と同じこと(継続)
- 東京エレクトロンの決算で示されたAI関連の設備投資の強さは、日本株の地合いとして続いている。ただし30日の日経平均は、米ハイテク株の下落を受けて下げた(後述)
- 前回の「次の注目決算」に挙げたアップル、AMD、トヨタ自動車などは、2〜6日に発表を控えており、結果は未発表である
要因の連続性
- 継続要因: AIや半導体への期待が、決算の読み方の軸であることは変わらない。各社が示す設備投資額への注目も続く
- 新規要因: 中東情勢による燃料の供給制約で、精製マージン(原油から燃料を作る事業の利ざや)が急騰した。ホルムズ海峡の閉鎖や、サウジアラビア・ロシアの製油所への攻撃が背景にあると報じられている(同上)
- 解消した要因: なし。ただしシェブロン幹部は、高いマージンは「来年まで少し高止まりするかもしれない」と述べ、永続的ではないとの見方を示した
本日のハイライト
| 企業 | 期 | 調整後EPS(実績/予想) | 売上高または収益 | 株価反応(30日) |
|---|---|---|---|---|
| エクソンモービル | FY2026 第3四半期(7〜9月) | 4.23ドル / 4.13ドル | 確認できず | 2.2%高、終値は過去最高の187.25ドル |
| シェブロン | FY2026 第3四半期(7〜9月) | 5.28ドル / 4.88ドル | 652億ドル | 1.8%高、終値は235.52ドル |
| パナソニックHD | FY2027/3 中間期(4〜9月) | 今期最終益を20%上方修正 | 確認できず | 確認できず |
EPSは調整後(non-GAAP)の値である。予想の出所は、エクソンがブルームバーグのコンセンサス、シェブロンは報道でのアナリスト予想(出所の明記なし)である。株価反応は通常取引の終値ベースで、エクソンはtop1markets、シェブロンは同日の報道にもとづく。
個別決算
エクソンモービル — FY2026 第3四半期(7〜9月)
数字: 最終利益(GAAP)は154億ドル(1株3.72ドル)、調整後利益は175億ドル(1株4.23ドル)だった。営業活動によるキャッシュフローは257億ドル、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから設備投資を引いた自由に使える資金)は191億ドルである(エクソンモービル: 決算発表)。
中身: 利益を押し上げたのは精製マージンの急騰で、精製マージンの上昇は約45億ドルの利益押し上げ要因になると報じられている。一方、上流部門は原油価格の下落が重しになった(Yahoo Finance、エクソンモービル)。
株主還元と債務: 株主還元は94億ドルで、内訳は配当43億ドルと自社株買い51億ドルである。債務は80億ドル減らした。2027年の自社株買いの枠は200億ドルと報じられている(Reuters(Investing.com))。
ガイダンス: 会社が発表した定量の業績見通しの修正は、確認できなかった。精製の投資としては、テキサス州ベイタウンの設備などで、ディーゼルなど留出油の生産を日量10万バレル増やす計画が報じられている(同上)。
シェブロン — FY2026 第3四半期(7〜9月)
数字: 最終利益(GAAP)は99億ドル(1株5.06ドル)、調整後利益は104億ドル(1株5.28ドル)で、前年同期の調整後利益36億ドルから大きく増えた。売上高・営業収益は652億ドルである(シェブロン: Form 8-K(SEC)、Yahoo Finance)。
中身: 上流の利益は57億ドル、下流(精製・販売)の利益は49億ドルで、下流は過去最高と報じられている。米国の製油所は原油処理量が過去最高になった。純油換算の生産量は日量398万バレルで、ヘス買収で権益を得たガイアナのスタブローク鉱区が前年より生産を押し上げた(シェブロン: Form 8-K、Rigzone)。
キャッシュと還元: 営業キャッシュフローは160億ドル、フリーキャッシュフローは120億ドル、設備投資は40億ドルだった。自社株買いは25億ドルで、四半期配当は1株1.78ドルを宣言した。債務は35億ドル減らした(シェブロン: Form 8-K)。
ガイダンス: 今回のリリースでは、生産量や利益の具体的な見通しは示されなかった(同上)。ベネズエラの生産は前年より20%増え、2030年代初めに日量60万バレルを目指す契約を結んだと報じられている(Rigzone)。
パナソニック ホールディングス — FY2027/3 中間期(2026年4〜9月)
30日の決算で、今期(2027年3月期)の最終利益の見通しを20%引き上げ、最高益の予想を上積みした。配当も従来予想から16円増やす(株探)。
検索結果の要約によると、4〜9月期の最終利益は前年同期比94.5%増の2769億円で、調整後営業利益の通期見通しは1300億円引き上げて7800億円にした。これにより、2028年の目標を2年前倒しで達成する見通しになる。数字は要約にもとづくもので、決算短信の表そのものは、今回の取得では内容を確認できなかった(パナソニック HD: 決算短信)。IFRS基準の決算で、調整後営業利益は会社独自の指標である。
株価の反応は、今回の出典では確認できなかった。
経営陣が語ったこと
- シェブロンのマーク・ネルソン幹部は、精製マージンについて「来年まで少し高止まりするかもしれない」と述べ、高い水準は一時的との見方を示した(Reuters(Investing.com))
- シェブロンのエイメア・ボナーCFO(最高財務責任者)は、欧州の石油大手のように還元を増やすのではなく、「従来からの財務の優先順位を守る」と説明した。シェルやレプソルは自社株買いを65%超増やした(Rigzone)
- 同社はミシシッピ州の製油所の能力を、2030年までに7%増やせる可能性があるとした(Reuters(Investing.com))
業界トレンド
- 石油大手は、中東や黒海周辺の紛争で燃料の供給が絞られたことを追い風にしている。利益の源泉が、原油の採掘から精製へ移っている
- ただし幹部は、高いマージンは長続きしないとの見方をしており、還元の拡大より債務削減を優先している
- 日本では、30日に増配を伴う上方修正が目立った。NGKは今期経常を20%上方修正し、牧野フライスは31%、日進工具は55%、住友ファーマは最終を22%上方修正して復配した(ToMO Blog)
- 一方、富士通の決算は予想を大きく下回り、イビデンはインテルの決算を受けて売られるなど、半導体・ハイテク関連で明暗が分かれた。30日の日経平均は63,290円11銭で、前日から1,369円36銭(2.1%)下げた(同上)
決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み社数やEPS成長率など、集計機関(FactSetなど)の最新の数字は、今回の取得では確認できなかった。
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間で、報道ベースである(財経新聞: 米国株式市場見通し、財経新聞: 来週の相場で注目すべき3つのポイント)。
- 11月2日(月): アップル、パランティア、マリオット、エスティローダー、オン・セミコンダクター。アップルは、AI投資への警戒が強い中での見通しが焦点になる
- 11月3日(火): AMD、アムジェン、アリスタネットワークス、ファイザー
- 11月4日(水): マクドナルド、クアルコム、ウーバー
- 日本(日本時間): 5日(木)にトヨタ自動車、任天堂、日本製鉄、花王。6日(金)に三菱重工業、三井不動産
