前回からの変化
前回(2026-11-03、前日)との比較である。前回は2日(月)までに発表された日本企業中心の決算を扱った。今回は、前回「結果は確認できていない」としたアップルとパランティアの結果と、3日(火)に米国で発表された決算を扱う。3日は日本が文化の日で休場だった。
変わったこと(変化・新規)
- 前回の「次の注目決算」に挙げたアップルの結果が判明した。7〜9月の売上高は約1145億ドルと、予想の約1133億ドル(前回レポートに記載。CNBC)を上回った。ただし10〜12月の見通しが予想に届かず、時間外で下落した(マイナビニュース)
- 同じく結果が未確認だったパランティアは、予想を上回る決算と通期見通しの引き上げを発表したが、株価は下落した。前回の日本企業のように「好決算でも期待に届かなければ売られる」構図が米国でも出た(Investing.com)
- 前回の主役だった日本の商社・化学の上方修正に代わり、米国ではパランティアとファイザーが通期見通しを引き上げた。前回のマリオットとエスティローダーに続く上方修正の流れである(CNBC: Pfizer)
昨日と同じこと(継続)
- AI関連が決算の軸であることは続く。パランティアはAI需要で売上が倍増に近い伸びを示し、アップルはAI版Siriの運用に伴うクラウド費用が粗利率の重しになった(マイナビニュース)
- 数字が良くても見通しや期待との差で株価が下がる動きは、前回のSCREENホールディングスやキオクシアから続く
要因の連続性
- 継続要因: AI投資と半導体・メモリ関連の需給が業績を左右する構図。前回は京セラとSCREENで出ていたが、今回はアップルのメモリ調達コストの上昇として表れた
- 新規要因: メモリ価格の急騰による粗利率の低下見通し(アップル)と、パランティアの割高感を意識した利益確定売り。ファイザーでは新製品の伸びとEliquis(血栓症治療薬)などの主力薬の成長が加わった
- 解消した要因: 前回の焦点だった「アップルとパランティアの結果待ち」は、結果が判明して一巡した。ただしAMDの結果は後述のとおり未確認である
本日のハイライト
数字は各社の発表または報道ベース。EPSは調整後(non-GAAP)である。
| 企業 | 期 | 主な数字 | 見通し | 株価反応 |
|---|---|---|---|---|
| アップル | FY2026 第4四半期(7〜9月) | 売上高1144.77億ドル(12%増) | 10〜12月の増収率7〜10%(予想11.4%) | 時間外で約2.9%安 |
| パランティア | FY2026 第3四半期(7〜9月) | 売上高23.13億ドル(96%増)、EPS 0.44ドル | 通期売上高85.30億〜85.34億ドルに上方修正 | 通常取引3.1%安、時間外でさらに3.8%安 |
| ファイザー | FY2026 第3四半期(7〜9月) | 売上高165.8億ドル、EPS 0.87ドル(予想0.73ドル) | 通期売上高620億〜640億ドル、EPS 2.95〜3.05ドル | 確認できず |
アップルの予想値は報道ベース(前回レポートのCNBCの数字)で、EPSの実績は今回の出典で確認できなかった。パランティアのEPSの予想は、Investing.comによると0.03ドル上回った。ファイザーの予想値はCNBCの記載で、コンセンサスの出所は明記されていない。
個別決算
アップル — FY2026 第4四半期(2026年6月28日〜9月26日)
数字: 売上高は12%増の1144億7700万ドル、純利益は307億1100万ドルだった。製品別では、iPhoneが17%増の575億8300万ドル、Macが24%増の107億9200万ドル、サービスが10%増の315億7300万ドルだった。一方、iPadは10%減の62億2900万ドル、ウェアラブル・ホーム・アクセサリーは8%減の約83億ドルだった。通期の売上高は4788億3400万ドルで過去最高である(マイナビニュース)。
見通し: 10〜12月期の売上高の増収率を7〜10%とした。市場予想の11.4%増には届かなかった。供給制約が要因に挙げられた。粗利率は45〜46%とし、7〜9月の47.9%から約2ポイント下がる見通しである。サービスの増収率見通しは8〜9%で、アナリスト予想の約10.7%を下回ったと報じられた(Investing.com)。
株価反応: 2日の時間外取引で2.9%安の328.60ドルとなり、説明会のあとに下げ幅を広げて325.11ドル(3.90%安)となったと報じられた(時間外、時点は出典により異なる)(株探)。数字は良いが、先行きの利益率が嫌気された形である。
パランティア — FY2026 第3四半期(2026年7〜9月)
数字: 売上高は96%増の23億1300万ドル(前期比20%増)で、上場企業になってから最も高い伸びである。調整後EPSは0.44ドルで、予想を0.03ドル、売上高は予想を約1億4000万ドル上回った。米国の民間(商業)向け売上高は9億8400万ドルで、米国の政府向けの9億5300万ドルを初めて上回った(Investing.com)。
見通し: 通期の売上高見通しを85億3000万〜85億3400万ドル(91%増)へ引き上げた。調整後の営業利益は52億4500万〜52億4900万ドル、調整後フリーキャッシュフローは48億〜50億ドルとした(Business Wire)。
株価反応: Investing.comによると、通常取引で3.08%安の178.44ドル、引け後の時間外でさらに3.82%安の171.52ドルとなった。好決算でも下げたのは、高い株価水準への警戒による利益確定売りとの見方が示された(Investing.com)。
ファイザー — FY2026 第3四半期(2026年7〜9月)
数字: 売上高は165億8000万ドルで、予想の158億7000万ドルを上回った。調整後EPSは0.87ドルで、予想の0.73ドルを上回った。純利益は32億4000万ドル(1株0.56ドル)だった。新製品と買収した製品の売上は実質で32%増の38億ドルだった。個別では、Eliquisが25%増の25億2000万ドル、Padcev(がん治療薬)が7億2000万ドル、新型コロナワクチンが8億800万ドル、Paxlovidが4億4900万ドルだった(CNBC: Pfizer)。
見通し: 通期の売上高見通しを605億〜625億ドルから620億〜640億ドルへ、調整後EPSの見通しを2.80〜3.00ドルから2.95〜3.05ドルへ引き上げた(同上、Yahoo Finance)。
株価反応: 3日の株価反応は、今回の出典では確認できなかった。
経営陣が語ったこと
- アップルのジョン・ターナスCEOは、メモリを取り巻く状況を「前例のないもの」と述べ、コスト高が今四半期以降も続く可能性を示した。AI版Siriについては、将来の収益化に向けて利用枠の拡大も検討するとした(Investing.com、マイナビニュース)
- パランティアは、ソブリンAI(国家向けAI)の需要が加速していると説明した(Investing.com)
- ファイザーのアルバート・ブーラCEOは、新型コロナ関連への依存を下げても業績を伸ばせることを示せたと説明した。「コロナを無関係な存在にできた」という趣旨の発言である。ファイザーは今月、セシル・ゲガンを正式に最高財務責任者(CFO)に任命した(CNBC: Pfizer)
業界トレンド
- AI関連は、売上が伸びても株価が下がる局面が続く。パランティアは売上が96%増でも下げ、アップルは増収でも見通しの弱さで売られた。期待の高さが、数字の良さを打ち消している
- メモリ価格の上昇が、ハードウェア企業の利益率を圧迫し始めた。アップルが粗利率の低下見通しの主因に挙げた。前回の半導体関連の決算でも、AI向け需要の強さの裏で採算の議論が出ていた
- 製薬では、主力薬と新薬の伸びで通期見通しを引き上げる動きが出た。ファイザーは新型コロナ関連の売上に頼らずに成長を示した(CNBC: Pfizer)
決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み社数やEPS成長率など、集計機関の最新の数字は、今回の取得では確認できなかった。
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間で、報道ベースである。
- 3日(火)引け後(日本時間4日朝): AMD。市場予想は調整後EPSが1.95ドル、売上高が130億9000万ドルと報じられた(出所は明記なし)。結果は今回の出典では確認できなかった。ほかにアムジェンとアリスタネットワークスも3日の発表予定だったが、結果は確認できなかった
- 4日(水): マクドナルド、クアルコム、ウーバー(前回レポートの予定に基づく)
- 日本(日本時間): 4日(水)は、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅の商社4社とNTTが発表する予定である(世界一やさしい投資の学校)。5日(木)にトヨタ自動車、任天堂、日本製鉄、花王、6日(金)に三菱重工業、三井不動産が続く(前回レポート記載)

