前回からの変化
前回(2026-10-30、前日)との比較である。前回は29日に決算を出したインテル、アマゾン、キャタピラー、マスターカードが中心で、「次の注目決算」にスターバックス、リンデ、シェブロンなどを挙げていた。今回はその結果をフォローする。
変わったこと(変化・新規)
- 前回の注目先だったシェブロンの結果が出た。調整後の1株利益は5.28ドルで、報道は予想を上回ったと伝える(MarketScreener: Exxon, Chevron earnings)
- 前回、29日の時間外で約17%下げたインテルは、APの市況記事によると30日の通常取引では5.8%安だった。時間外の下げ幅よりは小さい(AJC(AP): US stock indexes)
- 前回確認できなかったスターバックスの結果が確認できた。2026年7〜9月期のグローバル既存店売上高は7.2%増だった(Starbucks 8-K)
- 前回は「AI投資の負担」で売られる構図だったが、今回は石油大手が精製利益で好決算となり、エネルギー株が相場を支えた
昨日と同じこと(継続)
- 好決算でも相場全体が崩れる構図は続く。30日は半導体株を中心に下げ、AI投資への警戒が続いた
- AI向け設備投資の資金を市場がどう見るかが、ハイテク株の分かれ目になる流れは変わらない
要因の連続性
- 継続要因: AI投資の持続性への警戒。APは、世界的な金利上昇でハイテク企業の借り入れ余力が疑われていると伝える
- 新規要因: ホルムズ海峡の事実上の閉鎖や製油所への攻撃で燃料の精製能力が不足し、精製利益が急増した。石油大手の決算を押し上げた
- 解消した要因: スターバックスの結果が出て、29日の決算の不確実性は後退した。リンデの結果は引き続き確認できていない
本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 決算の主な数字 | 予想との差 | 株価反応(30日) |
|---|---|---|---|---|
| エクソンモービル | 2026年7〜9月期 | 売上高1,132億ドル(33%増)、特別項目を除くEPS 4.23ドル | 予想4.12ドルを上回る | 通常取引で2.5%高 |
| シェブロン | 2026年7〜9月期 | 売上高678億ドル(36%増)、調整後EPS 5.28ドル | 報道は予想超えとするが、数値は未確認 | 通常取引で2.6%高 |
| アッヴィ | 2026年7〜9月期 | 売上高174億ドル(10.3%増)、調整後EPS 3.82ドル | 会社見通しの中央値を0.07ドル上回る | 未確認 |
エクソンの予想はAP記事が示す市場予想で、集計元は記事から確認できていない。売上高はいずれもAPの記載による。シェブロンとアッヴィの市場予想の数値は、一次の集計を確認できていない。
個別決算
エクソンモービル — 2026年7〜9月期
APによると、売上高は1,131億6,000万ドルで33%増、特別項目を除く1株利益は4.23ドルで、市場予想の4.12ドルを上回った。グアイアナとパーミアン盆地の生産が強かった(ABC News(AP))。純利益は154億ドルで前年同期のほぼ2倍とされる(OilPrice.com)。
ロイターによると、同社は精製部門の利益が上流部門の利益を上回った。少なくとも6年で初めてである。米メキシコ湾岸の製油所は稼働率100%で、軽油の生産は過去2番目の高さだった。債務は第3四半期に80億ドル減らした。年200億ドルの自社株買いを2027年も続ける方針で、米国の軽油の生産能力を日量10万バレル増やす投資も進める(MarketScreener(Reuters))。APは、四半期配当を1.07ドルに引き上げたと伝える。
株価は30日の通常取引で2.5%上昇した(AJC(AP))。
シェブロン — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、純利益は99億ドル(1株5.06ドル)、調整後の利益は104億ドル(1株5.28ドル)で、前年同期の35億ドルから大きく増えた。原油の実現価格と精製マージンの上昇が主因で、価格上昇に伴う時期のずれが一部の押し下げ要因になった。営業キャッシュフローは160億ドル、設備投資は40億ドルだった。米国の生産は5四半期連続で日量200万バレル(石油換算)を超え、製油所の原油処理量は日量109万バレルと過去最高、稼働率は98%だった。四半期配当は1株1.78ドルを決めた。総債務は35億ドル、純債務は78億ドル減った(Chevron 8-K)。
売上高はAPによると678億ドルで36%増。ベネズエラの生産が1か月分加わった(ABC News(AP))。株価は30日の通常取引で2.6%上昇した(AJC(AP))。
アッヴィ — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、売上高は174億400万ドルで10.3%増、GAAPの1株利益は2.37ドル、調整後は3.82ドルで、ともに前年同期の2倍超となった。部門別では、免疫が91億6,500万ドル(16.3%増)で、スキリージが57億7,600万ドル、リンヴォックが27億600万ドルと伸びた。一方、ヒュミラは31.2%減った。神経科学は33億8,900万ドル(19.4%増)、がん領域は16億9,600万ドル、美容領域は11億7,600万ドルでやや減った。ガイダンス(会社見通し)は、2026年通期の調整後1株利益を13.95〜13.99ドルへ上方修正した。四半期配当は5.2%増の1.82ドルとし、増配は2027年2月から適用される(AbbVie 8-K)。
調整後の1株利益は、会社の見通しの中央値を0.07ドル上回った。買収した研究開発費(IPR&D)の費用が0.11ドル含まれる(一過性要因)。通期のガイダンスの引き上げ幅は中央値で0.11ドルである(Motley Fool: AbbVie Q3 2026 Earnings Call Transcript)。30日の株価反応は確認できていない。
スターバックス — 前回注目決算のフォロー
29日に決算を出した同社の8-Kによると、2026年7〜9月期(会計年度第4四半期)の連結売上高は91億ドルで4%減だった。中国事業を合弁に移したことが主因である。一方、グローバルの既存店売上高は7.2%増で、GAAPの1株利益は0.59ドル、調整後は0.80ドルだった。2027会計年度は、調整後の1株利益を3.15〜3.25ドル、北米の既存店売上高を約4%増と見込む(Starbucks 8-K)。株価反応とコンセンサスとの差は確認できていない。
経営陣が語ったこと
- シェブロンのマイク・ワースCEOは、供給が逼迫した市場により多くのエネルギーを届けるため、再投資を進めていると説明した。ベネズエラの合弁事業に5年間で70億ドルを投じる計画である(Chevron 8-K)
- アッヴィのロバート・マイケルCEOは、重要な承認、差別化された臨床データ、アポジー・セラピューティクスの買収完了で、長期の成長力を高めたと述べた(AbbVie 8-K)
- アッヴィの経営陣は決算説明会で、スキリージが乾癬の新規患者の約半分を獲得していると説明し、神経科学部門の通期見通しを3億ドル引き上げて130億ドルとした(Motley Fool)
- スターバックスのブライアン・ニコルCEOは、「バック・トゥ・スターバックスは再建計画として始まり、今は成長計画になった」と述べた(Starbucks 8-K)
- アナリストとの質疑の詳細は、石油大手2社については確認できていない
業界トレンド
- 石油大手の利益の中心が、原油の生産から燃料の精製へ動いた。ホルムズ海峡の事実上の閉鎖と、サウジアラビアやロシアの製油所への攻撃で、燃料の精製能力が減り、精製マージンが跳ねたとロイターは伝える(MarketScreener(Reuters))
- 石油大手は、増えた利益を株主還元の大幅な拡大ではなく、債務の返済と製油所の増強に回している。エクソンは債務を80億ドル、シェブロンは純債務を78億ドル減らした
- 医薬では、アッヴィの免疫領域が主力のヒュミラの減少を、スキリージとリンヴォックの伸びで埋める構図が続く
- 相場全体では、決算が良い資源・医薬と、AI投資への警戒で売られる半導体・ハイテクで明暗が分かれた(筆者の整理)。APによると、30日はS&P500が1.1%安、ナスダックが2.1%安、ダウが0.3%安だった(AJC(AP))
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間である。
- 11月2日(月): アップルが引け後に決算を発表する予定で、パランティアも引け後に予定されている(MacTrast: Apple to Announce Fiscal Q4 2026 Earnings on November 2)。注目点は、AI投資への警戒が強い中での見通しである
- 29日に発表予定だったリンデの結果は、今回確認できていない
- 30日に決算を発表した日本企業(日経225構成銘柄)の結果は、今回確認できていない

