前回からの変化
前回(2026-10-29、前日)との比較である。前回は28日引け後のアルファベットとマイクロソフトが中心で、29日の「次の注目決算」にアマゾン、インテル、スターバックス、マスターカード、キャタピラー、リンデを挙げていた。今回はその結果をフォローする。
変わったこと(変化・新規)
- 前回挙げたアマゾン、インテル、マスターカード、キャタピラーの結果が出た。株価は、マスターカードが4.47%高の637.60ドルで52週高値を付け、他の3社は下落と分かれた(KuCoin News)
- 前回、28日引け後に約8%安としたアルファベットは、29日の通常取引で約12%下落した。マイクロソフトも約2%下落し、前回の時間外の約4%高から反転した(Yahoo Finance: Amazon Slides 3% as Alphabet's 12% Plunge)
- 前回「確認できていない」とした決算シーズンの進捗は、今回も一次の集計を確認できていない
昨日と同じこと(継続)
- 「内容が良くても見通しやキャッシュフローで売られる」構図は、前回のアルファベットに続いてアマゾン、インテルでも見られた
- AI投資の負担と収益化への注目が株価の分かれ目になる流れは変わらない
要因の連続性
- 継続要因: AI向け設備投資が利益やキャッシュフローにどう出るか。アマゾンは通期の設備投資を約2,200億ドルに据え置き、前回のアルファベットと同様に市場の関心が集まった
- 新規要因: インテルの10〜12月期の見通し(利益率の低下と売上の減少)と、キャタピラーの供給能力の制約が、好決算の中で売りの理由として加わった
- 解消した要因: 「アマゾンなどの結果が出るまで不明」という不確実性が解消した。残る不確実性はスターバックスとリンデの結果が未確認である点である
本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 決算の主な数字 | 予想との差 | 株価反応(29日) |
|---|---|---|---|---|
| インテル | 2026年7〜9月期 | 売上高165億ドル(21%増)、調整後EPS 0.52ドル | EPSは予想0.41ドルを上回る | 時間外で約17%安 |
| アマゾン | 2026年7〜9月期 | 売上高2,019億ドル(12%増)、EPS 1.89ドル | EPSは予想1.97ドルに届かず | 時間外で4%超安 |
| キャタピラー | 2026年7〜9月期 | 売上高207億ドル(17%増)、調整後EPS 7.20ドル | EPSは予想7.03ドルを上回る | 寄り前で約8%安 |
| マスターカード | 2026年7〜9月期 | 純収益98億ドル(14%増)、調整後EPS 5.31ドル | EPSは予想5.16ドルを上回る | 通常取引で4.5%高 |
予想の出所は報道が示す市場予想で、集計元(LSEG、FactSetなど)は記事から確認できていない。インテルの予想はMarketBeat、アマゾンはInvezz、キャタピラーはInvesting.com、マスターカードはKuCoin Newsの記載による。
個別決算
インテル — 2026年7〜9月期
同社の発表によると、売上高は165億ドルで前年同期比21%増だった。調整後(non-GAAP)の1株利益は0.52ドルで前年同期の2.3倍、GAAPの1株利益は0.60ドルである。粗利率は調整後44.1%(4.1ポイント上昇)で、データセンター・AI部門が73億ドル(78%増)、インテルファウンドリーが67億ドル(58%増)だった。一方、PC向けのクライアント部門は81億ドルで5%減だった。営業キャッシュフローは51億ドルで、1〜9月累計の設備投資は102億ドルである(Intel IR)。
予想との差は、MarketBeatによると調整後EPSが予想0.41ドルを上回り、売上高は予想165.4億ドルとほぼ同水準でわずかに届かなかった。焦点は10〜12月期の見通しで、売上高は150億〜160億ドル(今期の165億ドルから減少)、調整後EPSは0.25ドル、調整後粗利率は38.0%と、今期の44.1%から大きく下がる(Intel IR)。
株価は29日の通常取引で3.62%安の92.07ドルで引け、引け後の時間外取引では76.68ドル(16.71%安)まで下げた(MarketBeat)。数字と株価反応がねじれた理由は、需要は強いが見通しで利益率が低下する点が嫌気されたためとみられる(筆者の整理)。
アマゾン — 2026年7〜9月期
同社の発表によると、売上高は2,019億ドルで12%増、営業利益は281億ドル(過去最高の営業利益率13.9%)、純利益は207億ドル、希薄化後1株利益は1.89ドルで前年同期の1.95ドルを下回った。AWSの売上高は460億ドルで39%増、営業利益は178億ドル(営業利益率38.7%)だった。北米は1,129億ドル(6%増)、海外は431億ドル(5%増)である。前年同期には、アンソロピックへの投資に伴う約95億ドルの税引き前利益が含まれていた(一過性要因)。過去12か月のフリーキャッシュフローは424億ドルの流出で、通期の設備投資は約2,200億ドルの見通しを維持した(Amazon IR)。
予想との差は、Invezzによると1株利益が予想1.97ドルに届かず、売上高も予想2,022億ドルをわずかに下回った。一方、AWSは予想454.7億ドル、成長率の予想37.8%を上回った。7〜9月期の設備投資は759億ドルだった。10〜12月期の見通しは、売上高2,400億〜2,470億ドル(12〜16%増)、営業利益285億〜335億ドルである(Invezz)。
株価は29日の通常取引で4.3%下落し、引け後の時間外取引でも4%超下げた(Invezz)。報道により下落幅に差がある。
キャタピラー — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、売上高は207億ドルで17%増、調整後1株利益は7.20ドル(GAAPは7.13ドル、前年同期の調整後は4.95ドル)、調整後営業利益率は20.6%だった。部門別では、パワー&エナジーが88億ドル(18%増、利益21億ドル)、建設産業が80億ドル(18%増)、資源産業が46億ドル(15%増)である。IEEPA関税の還付1億2,800万ドルが計上された(一過性要因)。株主還元は20億ドル(自社株買い12億ドル、配当7億ドル)だった(Caterpillar 8-K)。
予想との差は、Investing.comによると調整後EPSが予想7.03ドルを上回った。受注残は前年同期比96%増の780億ドルで、発電向け売上は75%増だった。同社は通期で10%台半ば〜後半の売上成長を見込み、年間の関税コストは約22億ドルと説明した。株価は寄り前に7.65%安の657.47ドルとなった(Investing.com)。通常取引の終値は確認できていない。
マスターカード — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、純収益は98億ドルで14%増、営業利益は59億ドル(営業利益率59.8%)、GAAPの1株利益は5.28ドル、調整後は5.31ドルだった。決済総額は3.0兆ドル(現地通貨ベースで7%増)、国境をまたぐ取扱高は11%増、処理件数は9%増である。自社株買いは30億ドル、配当は7.63億ドルだった(Mastercard 8-K)。
予想との差は、KuCoin Newsによると調整後EPSが予想5.16ドル、売上高が予想96.5億ドルをともに上回った。付加価値サービスの収入は19%増だった。2026年の純収益成長は「10%台前半」の見通しを維持した。株価は4.47%高の637.60ドルで引け、52週高値を付けた(KuCoin News)。
経営陣が語ったこと
- インテルのリップ・ブー・タンCEOは、「第3四半期の結果は、実行力の改善と供給拡大の着実な進展を示している」と説明した(Intel IR)
- アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは、AWSへの投資が成果を出しているとして、AWSの売上成長率が2027年と2028年にそれぞれ40%を超える見通しだと述べた(Amazon IR)
- キャタピラーのジョセフ・クリードCEOは、パワー&エナジーでは「追加の生産能力を立ち上げることが、成長の最大の制約だ」と述べた。大型エンジンの受注は2029年、タービンは2030年まで入っているという(Motley Fool)
- マスターカードのマイケル・ミーバックCEOは、「消費者は支出を続け、企業は投資を続けた」と説明した(KuCoin News)
- アナリストとの質疑の詳細は、今回確認できていない
業界トレンド
- AI向けの需要は、半導体、クラウド、発電設備の各社の数字に出ている。インテルのデータセンター・AI部門は78%増、AWSは39%増、キャタピラーの発電向けは75%増だった
- 一方で、市場が見ているのは需要ではなく供給の制約と利益の質である。インテルは供給が足りず、キャタピラーは生産能力が成長の制約になっている。アマゾンは設備投資でフリーキャッシュフローが赤字になった(筆者の整理)
- 消費・決済は堅調で、マスターカードは国境をまたぐ取扱高が11%増となった。AI関連と違い、見通しの悪化を理由に売られる材料は見当たらない
決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み比率や上振れ比率について、FactSetなどの新しい集計は確認できなかった。
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間である。発表が寄り前か引け後かは集計によって異なる。
- 29日(木)に発表予定だったスターバックス(引け後の見込み)とリンデ(寄り前の見込み)の結果は、今回確認できていない
- 30日(金): シェブロンが寄り前、アッヴィ、リジェネロン、コルゲート・パーモリーブなども予定されている。予想1株利益はシェブロンが4.88ドル、アッヴィが3.82ドルである(Stockti: S&P 500 Earnings Reports Oct 26-30, 2026)
- 29日に決算を発表した日本企業(日経225構成銘柄)の結果は、今回確認できていない

