前回からの変化
前回(2026-11-03、前日)との比較である。前回は2日(月)の動きを扱い、今回は3日(火)の動きを扱う。価格は出典の表示値で、確定終値でないものを含み、取得時刻が出典ごとに異なるため、前回値との差と出典の前日比は一致しない場合がある。
変わったこと(変化・新規)
- 前回は米イラン外交の進展で原油が急落したが、3日は米軍がイランのゲシュム島を攻撃し、イラン側の高官が「米国とは合意からほど遠い」と述べたと伝えられた。外交への期待はやや後退し、Kitco時点の原油は反発した(Kitco)
- 金は前回の3,946.45ドルから3,920.89ドルへ(0.66%安)、銀は50.49ドルから49.65ドルへ(1.98%安)と、前回の反発が一服した(TradingEconomics: Commodities)
- 銅が2.52%安の6.38ドルと、AI関連の株売りを受けて下げた。前回は0.86%高だった(TradingEconomics: Copper)
- 12月の米利上げの織り込みは、Kitcoでは約83%と、前回の約75%から上がった。出典によりTradingEconomicsは75%としており、数字に開きがある(Kitco、TradingEconomics: Gold)
昨日と同じこと(継続)
- WTI原油は、前回の96.46ドルとほぼ同水準の96.66ドルで推移した。前回の急落後の水準を保っている(TradingEconomics: Crude Oil)
- 12月の米利上げ観測が貴金属の重しとなる構図は、前回から続く
- 天然ガスは2.90ドルと前回の2.87ドルからほぼ横ばいで、弱い地合いが続く(TradingEconomics: Natural Gas)
要因の連続性
- 継続要因: 12月の米利上げ観測が金・銀の上値を抑える点と、中東の供給不安が原油の水準を左右する点
- 新規要因: 米軍のゲシュム島攻撃とイラン側の「合意からほど遠い」との発言。米ISM製造業景況指数が55.5と予想を上回ったこと。AI関連の株売りが銅の重しになったこと
- 解消した要因: なし。前回後退していた「外交への期待」は、3日は強まらず、一部が戻った形である
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年11月3日) | 騰落率(前日比) | 前回値(11月2日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス3,920.89ドル | 0.66%安 | 3,946.45ドル |
| 銀 | 1オンス49.65ドル | 1.98%安 | 50.49ドル |
| WTI原油 | 1バレル96.66ドル | 0.21%高 | 96.46ドル(引け) |
| ブレント原油 | 1バレル104.41ドル | 0.34%安 | 104.77ドル(引け) |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.90ドル | 1.66%高 | 2.87ドル |
価格はTradingEconomicsの3日の表示値で、取得時刻と限月は確認できておらず、確定した終値ではない。同日の早い時間にKitcoが伝えた値は、金が3,965.80ドル(0.51%高)、銀が50.29ドル(0.48%安)、WTIが約97.91ドル、ブレントが約106.13ドルで、その後の値動きで表示値とは異なる。WTIの騰落率はTradingEconomicsの別ページでは0.11%高と表示されている。小麦は1ブッシェル598.75セント(1.28%安)、大豆は1,203セント(0.15%安)、トウモロコシは442セント(1.51%安)、銅は1ポンド6.38ドル(2.52%安)、前回値は小麦606セント、大豆1,204.50セント、銅6.51ドルである。
商品別動向
金・銀
Kitcoの朝の報告では、金は3日の取引序盤で3,965.80ドル(0.51%高)、銀は50.29ドル(0.48%安)と、金が小高く、銀が小安い動きだった。市場は同日の米中間選挙に注目している。民主党が下院で多数を取る可能性が高く、上院は不透明との見方が示された。議会が分かれれば、政府支出が抑えられ、米長期金利の上昇圧力が和らいで金の支えになりうる、というのがKitcoの整理である。同社の調べでは、過去13回の中間選挙のあと12か月間に、金は平均14%上昇した(Kitco)。
その後、TradingEconomicsの表示では、金は3,920.89ドル(0.66%安)に戻した。同社は、原油安がインフレ懸念を和らげるとして一時は金を支えたが、12月の米利上げ観測が戻りを抑えたと見ている。銀は49.65ドル(1.98%安)で、月間では18.68%安である(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver)。
原油
WTIは96.66ドルと、前回の引けの96.46ドルとほぼ同じだった。Kitcoは、前日の7%超の下げのあとで反発し、WTIが約97.91ドル、ブレントが約106.13ドルだと伝えた。米軍がイランのゲシュム島を攻撃し、革命防衛隊は米軍の無人機MQ-9を撃墜したと主張した。カタールの仲介による協議は続くが、イランの高官は「米国とは合意からほど遠い」と述べたという(Kitco)。
TradingEconomicsは、エネルギー長官のクリス・ライト氏が、ゲシュム島への攻撃による供給への影響は小さく、ペルシャ湾やインドから精製品が追加で供給されると述べた、と伝えた。同社はまた、トランプ大統領がイスラエルへの資金支援を打ち切ると述べたと記しているが、他の出典では確認できなかった(TradingEconomics: Crude Oil)。
天然ガス
米国の天然ガスは2.90ドル(1.66%高)だった。生産の減少と、やや寒めの気温見通しが上昇の理由とされる。一方、11月中旬にかけて平年より暖かい予報が需要の伸びを抑え、LNG(液化天然ガス)輸出向けの流量が減って国内の供給が増えたことも重しである。月間では5.29%安である(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物・銅
小麦は598.75セント(1.28%安)だった。中国が来年の引き渡し分の米国産軟質赤冬小麦の購入を打診したことが、貿易の正常化を意味して供給が増える見方につながった。世界の生産量が史上2番目の高さの見通しで、ロシアとウクライナの和平への期待も、地政学的な上乗せを薄めている(TradingEconomics: Wheat)。
銅は6.38ドル(2.52%安)で、AIの評価への懸念から技術株が売られ、AIのインフラに欠かせない銅の需要見通しを押し下げた。一方、チリの銅の生産が第3四半期に20年ぶりの低さになったことは支えである(TradingEconomics: Copper)。
急変動の特集
特集なし。3日は、取得できた範囲で、目安の1日3%超の値動きをした商品がなかった(最大は銅の2.52%安)。
前回の急変動の特集で扱った原油は、前日の7%超の急落のあと、TradingEconomicsでは横ばい、Kitcoでは反発となり、急落分をほぼ維持するか一部を戻した。外交の期待が後退する一方で、エネルギー長官は供給への影響は小さいとの見方を示した。ガソリンや電気料金への波及を示す3日の新しいデータは、今回の出典では確認できなかった。
強気派 vs 弱気派
調査したのはKitco、TradingEconomics(3日付)と、前日に取得したCNBC、FXStreet(2日付)である。3日付で氏名の付いた強気・弱気の見方は確認できなかったため、3サイトの要件には届かず、前日分を補っている。
金・銀
- 強気: Kitcoは、民主党が下院を取り議会が分かれれば、政府支出が抑えられ、米長期金利の上昇圧力が和らいで金に追い風になりうるとの見方を示した。出典は記事の整理で、個人名は付いていない(Kitco)。2日付では、ユリウス・ベアのカールステン・メンケ氏が、どちらの党が勝っても米国の財政赤字は続き、金の長期的な支えになると述べた(CNBC)
- 弱気: Kitcoは、12月の米利上げへの期待が金の回復を抑えていると伝えた。2日付では、独立系アナリストのナディム・ジダン氏が、高い利回りとドル高、流動性の引き締まりを理由に、金は短期で3,820ドル方向へ下がりうるとみた(FXStreet)
原油
- 弱気(下落の見方)と強気(上昇の見方)の氏名付きの見解は、3日付の出典では確認できなかった。TradingEconomicsの予測は、10〜12月期末が1バレル107.39ドルで、足元より高い水準である(TradingEconomics: Crude Oil)
銀、天然ガス、農産物、銅の氏名付きの見方も、今回の出典では確認できなかった。
地政学・物価関連ニュース
米国とイランは、カタールの仲介で協議を続ける一方、米軍がゲシュム島を攻撃し、革命防衛隊が米軍の無人機を撃墜したと主張した。イランの高官は、合意からほど遠いと述べた(Kitco)。
物価面では、米国の10月のISM製造業景況指数が55.5と前月の54.5から上がり、予想の54.7を上回った。支払い価格の指数は75.2と前月の77.9から下がったが、高い水準である。米10年債利回りは約4.9%で、12月の利上げ観測を支えている(同上)。原油が100ドルを下回る水準は、ガソリンや電気料金への上昇圧力をやや和らげる方向に働く(一般論)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
50日・200日の移動平均線とRSI、投機筋の建玉の詳細は、今回の出典では確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金: Kitcoは、上値のめどを3,975ドルから4,084ドル、下値の支えを3,871ドル、その下を3,797ドルとした。3日の3,920ドル前後は、支えと抵抗帯のあいだにある。銀は、上値のめどは51.27〜53.28ドル、下値の支えは48.85ドル、その下は47.06ドルで、49.65ドルは支えのすぐ上にある(Kitco)。
原油・天然ガス・小麦: 当日のテクニカル指標は確認できなかった。TradingEconomicsの予測では、WTIは10〜12月期末に107.39ドル、天然ガスは3.02ドル、小麦は612.87セントである(TradingEconomics: Natural Gas、TradingEconomics: Wheat)。

