前回からの変化
前回(2026-10-28、前日)との比較である。前回は27日の決算が中心で、28日の「次の注目決算」にマイクロソフト、メタ、アルファベットを挙げていた。今回はその結果をフォローする。
変わったこと(変化・新規)
- 前回「次の注目決算」に挙げたアルファベットとマイクロソフトの結果が出た。アルファベットは28日の通常取引終値324.89ドルから時間外で約8%下落、マイクロソフトは終値531.01ドルから時間外で約4%上昇と、方向が分かれた(Yahoo Finance: アルファベット、Yahoo Finance: マイクロソフト)
- 前回「引け後の反応は未確認」としたビザは、28日の通常取引で401.86ドルから400.60ドルへ0.3%下落した(Yahoo Finance: ビザ)
- 前回、メタを28日発表としたのは誤りで、同社の7〜9月期決算は21日に発表済みだった(売上高646億ドル、設備投資349億ドル)。今回の対象外とする
- ボーイングなど27日の決算は新しい材料がなく、今回は扱わない
昨日と同じこと(継続)
- 「見通しや内容が良くても株価が下がる」構図は、前回のコカ・コーラに続きアルファベットでも見られた
- 29日にアマゾン、インテル、スターバックスなどが決算を控える流れは変わらない
- 決算シーズンの進捗を示す一次の集計(FactSetなど)は、今回も確認できていない
要因の連続性
- 継続要因: AI投資の収益性への注目。前回と同じく、設備投資が利益やキャッシュフローにどう出るかが株価の分かれ目になった
- 新規要因: アルファベットは営業キャッシュフローが予想を下回り、FCFが赤字に転じたうえ自社株買いを停止した。マイクロソフトは設備投資が予想を下回り、アジュールの伸びが予想を上回った
- 解消した要因: 「大型テック決算の結果が出るまで不明」という不確実性のうち、2社分が解消した。残るアマゾンなどは29日である
本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 決算の主な数字 | 予想との差 | 28日引け後の株価 |
|---|---|---|---|---|
| アルファベット | 2026年7〜9月期 | 売上高1,276億ドル(25%増)、営業利益406億ドル | 売上高は予想1,282億ドルを下回る | 時間外で約8%安 |
| マイクロソフト | 2026年度第1四半期(7〜9月期) | 売上高923億ドル(19%増)、調整後EPS 4.89ドル | 売上高は予想906.9億ドルを上回る | 時間外で約4%高 |
株価は28日の通常取引終値を基準にした時間外取引の動きで、報道により幅がある。予想の出所は報道が示す市場予想で、集計元(LSEGなど)は記事から確認できていない。
個別決算
アルファベット — 2026年7〜9月期
同社の8-Kによると、連結売上高は1,276億ドルで前年同期比25%増、営業利益は406億ドル、希薄化後1株利益(GAAP)は2.12ドルだった。部門別では、検索その他が634億ドル(12%増)、YouTube広告が112億ドル、グーグル・クラウドが307億ドル(103%増)で、クラウドの営業利益は111億ドルだった。設備投資は514億ドルで、1〜9月累計は約1,320億ドルである。自社株買いは0ドルで、普通株の四半期配当は1株0.22ドルだった(Alphabet 8-K)。
予想との差は、報道によると売上高が市場予想1,282.2億ドルを下回り、営業利益も予想432.3億ドルに届かなかった。検索その他は予想649.9億ドルに対し634億ドル、YouTube広告は予想114億ドルに対し112億ドルと、広告が弱かった。一方クラウドは予想291.5億ドルを上回り、営業利益率は36.2%と前年の23.7%から改善した(Proactive Investors)。
キャッシュフローは、営業キャッシュフローが423億ドルと予想527億ドルを下回り、フリーキャッシュフローは91億ドルの赤字(予想は27億ドルの赤字)だった。設備投資514億ドルは予想552億ドルをやや下回った。長期債務は約982億ドルに倍増し、自社株買いは停止されたと報じられている(Invezz)。
株価は28日の通常取引で320.58ドルから324.89ドルへ上昇して引けたが、引け後の時間外取引では約8%下落した(報道により7.8%〜8.6%の幅がある)。
マイクロソフト — 2026年度第1四半期(2026年7〜9月期)
同社の発表によると、売上高は923億ドルで19%増、営業利益は459億ドル(21%増)、純利益は366億ドル、希薄化後1株利益(GAAP)は4.92ドルだった。マイクロソフト・クラウドの売上高は639億ドルで30%増、アジュールは48%増(為替除いても48%増)の332億ドルだった。コマーシャルの残存履行義務(RPO)は73%増の6,770億ドルである。株主還元は102億ドルだった(Microsoft IR)。
予想との差は、報道によると売上高が予想906.9億ドル、調整後1株利益が予想4.73ドルに対し4.89ドルで、ともに上回った。アジュールの伸びは予想の約45%を上回った。設備投資は394億ドルで予想465.9億ドルを下回り、RPOは予想7,056億ドルに届かなかった(Proactive Investors)。
株価は28日の通常取引で531.33ドルから531.01ドルへ0.1%下落して引けた。引け後の時間外取引では、決算前の5時台に543.20ドル(2.3%高)をつけ、決算後は4%超の上昇と伝えられた(報道により4〜5%超の幅がある)。
ビザ — 2026会計年度第4四半期(フォロー)
前回の記事のとおり27日の引け後に決算を発表した。28日の通常取引の終値は400.60ドルで、前日の401.86ドルから0.3%下落した。決算内容は前回レポートを参照のこと。
経営陣が語ったこと
- アルファベットのサンダー・ピチャイCEOは、「グーグル・クラウドの売上高は103%増で、AI基盤とAIソリューションへの大きな需要に支えられた」と述べ、年間売上高が「5,000億ドル規模のランレート」に達したと説明した(Alphabet 8-K)
- マイクロソフトのエイミー・フッドCFOは、「マイクロソフト・クラウドの売上高は639億ドルとなり、伸びは前年同期比30%に加速した」と説明した(Microsoft IR)
- サティア・ナデラCEOは、自社の知能を構築して所有できるよう企業を支援し、エージェントの安全性と信頼で成果につなげると述べた(Proactive Investors)
- 電話会見の質疑や次期の設備投資見通しの詳細は、今回確認できていない
業界トレンド
- クラウドは2社とも急伸した。アルファベットのクラウドは103%増、マイクロソフトのアジュールは48%増で、AI向けの需要が売上に出ている
- 同じ設備投資でも、市場の評価は分かれた。アルファベットは営業キャッシュフローが弱く、投資がキャッシュフローを上回って赤字になったため売られた。マイクロソフトは設備投資が予想を下回り、増収が優先して評価されたとみられる(筆者の整理)
- 資金調達の面では、アルファベットが債務を積み増し自社株買いを止めた。AI投資の財源が株主還元から負債へ移りつつある点が、29日以降の大型テックでも焦点になる(筆者の整理)
決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み比率や上振れ比率について、FactSetなどの新しい集計は確認できなかった。
次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間である。発表が寄り前か引け後かは集計によって異なるため、各社のIRで確認が必要である(前回レポートの予定表に基づく)。
- 29日(木): アマゾン、インテル、スターバックスが引け後、マスターカード、キャタピラー、リンデが寄り前の見込み(Stockti: S&P 500 Earnings Reports Oct 26-30, 2026)
- 30日(金): シェブロンが寄り前の見込み。エクソンモービルの日程は集計により異なる(Stockti: S&P 500 Earnings Reports Oct 26-30, 2026)
- 28日に決算を発表した日本企業(日経225構成銘柄)の結果は、今回確認できていない

