前回からの変化

前回(2026-10-30、前日)との比較である。前回は「次の注目イベント」の先頭に日銀会合を挙げ、結果は未発表だった。今回はその結果に加え、同じ30日に発表された東京都区部CPIとユーロ圏GDPを扱う。

変わったこと(変化・新規)

  • 日銀の結果が出た。政策金利は市場予想どおり1.25%で据え置きで、前回は想定にとどまっていた採決は賛成8・反対1だった。高田委員が1.50%への引き上げを提案し、否決された(OANDA証券: 日銀は1.25%で据え置き)
  • 日銀の物価の判断が「2%に近づいている」から「おおむね整合的な水準」へ進んだ。展望レポートの2027年度コアCPIは2.4%から2.6%へ上方修正された(みんかぶFX: 日銀展望レポート)
  • ETF売却のペースが年3300億円程度から8600億円程度へ約2.6倍に加速した(日本経済新聞: ETF売却加速)
  • 日銀の12月利上げの織り込みは、前回報じられた約83%から、OANDA証券の報じる約75%(OIS)へやや低下した。出典と算出方法が異なるため、単純比較はできない(OANDA証券: 日銀は1.25%で据え置き)

昨日と同じこと(継続)

  • 日銀が12月に追加利上げするかが焦点という構図は前回から続く。植田総裁は会見で、次回を含めて毎回の会合で検討する考えを示し、時期は明言しなかった(みんかぶFX: 植田日銀総裁 質疑応答)
  • 前回のECB・米GDP・PCEの結果で確認された、物価が高止まりしているという地合いは続いている。FRBの政策金利3.75〜4.00%と12月8〜9日のFOMCという次の節目は、前回のままである

要因の連続性

  • 継続要因: 物価の高止まりが追加利上げ観測を支える点は、前回のPCE・ECBの局面と同じである。今回は東京都区部でもコアCPIが2.6%と2%を上回った
  • 新規要因: 日銀が基調的物価の「2%到達」を認定したことと、2027年度の物価見通しの上方修正が加わった。ユーロ圏では成長の鈍化(0.6%増から0.4%増)が新たに確認された
  • 解消した要因: 日銀会合の結果待ちと、植田総裁の会見に対する警戒は通過した

イベントサマリー

項目 結果 市場予想 前回値
日銀 政策金利 1.25%で据え置き(賛成8・反対1) 据え置き 1.25%(9月に引き上げ)
東京都区部コアCPI(10月・前年比) 2.6% 2.6% 2.7%(9月)
ユーロ圏7〜9月期GDP(前期比) 0.4%増 0.2%増 0.6%増(4〜6月期)

日銀の発表は30日の昼、東京都区部CPIは同日8時30分、ユーロ圏GDPは欧州中央時間11時(日本時間19時)である(MyForex: 10月東京都区部CPI、共同通信: ユーロ圏GDP0.4%増)。

政策金利の決定

日銀

日銀は10月29〜30日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%に据え置いた。9月に1.25%へ引き上げたあとの維持で、市場予想と一致した。賛成8・反対1で、高田委員が「基調物価が物価安定の目標に達した中、中立金利(景気を冷やしも過熱もさせない金利水準)に近づけるペースを速める局面に入った」として、1.50%への引き上げを提案し、否決された(OANDA証券: 日銀は1.25%で据え置き)。

公表文では、基調的な物価上昇率について「2%の物価安定の目標とおおむね整合的な水準」との判断を示した。7月は、この状態になるのは2026年度終盤から2027年度とみていたため、前倒しの認定である(OANDA証券: 日銀は1.25%で据え置き、大和総研: 日銀金融政策決定会合(2026年10月))。

展望レポートの政策委員の中央値は、実質GDPが2026年度に0.7%(7月から0.1ポイント上方修正)、2027年度に0.7%(同0.1ポイント下方修正)、2028年度に0.8%である。コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価)は2026年度に2.5%、2027年度に2.6%(同0.2ポイント上方修正)、2028年度に2.0%である(外為どっとコム: 10月日銀金融政策決定会合総括、大和総研: 日銀金融政策決定会合(2026年10月))。

あわせてETFの売却ペースを、簿価ベースで年3300億円程度から8600億円程度へ引き上げ、2027年1月から実施する。完了までの期間は約112年から約43年に縮まる(日本経済新聞: ETF売却加速)。

植田総裁は会見で、2%の到達を「ひとつの節目」と評価する一方で、持続的・安定的な達成の宣言ではないと説明した。今後は2%の水準で安定させることが重要で、利上げは地政学リスクやAI、為替の動きなどを見ながら、次回を含め毎回の会合で検討するとした。上振れ(物価が2%を超えて上がるリスク)にも注意するという(みんかぶFX: 植田日銀総裁 質疑応答、外為どっとコム: 10月日銀金融政策決定会合総括)。12月の利上げは、約75%がOIS(翌日物金利スワップ)に織り込まれていると報じられている(OANDA証券: 日銀は1.25%で据え置き)。

経済指標の結果

10月の東京都区部CPI

総務省統計局が30日に公表した10月の東京都区部CPI(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合(コア)が前年比2.6%で、市場予想の2.6%と一致し、9月の2.7%から鈍化した。総合は2.8%、生鮮食品とエネルギーを除く総合は2.6%(9月は2.9%)だった。食料(生鮮食品を除く)は3.0%で、米類が31.3%下落して食料の伸びを抑えた。コアの前月比(季節調整済み)は0.3%である(OANDA証券: 東京都区部CPI・失業率、MyForex: 10月東京都区部CPI)。東京都区部は全国より約3週間早く出る先行指標で、日銀が12月の利上げを判断する材料の一つになる。同時に発表された9月の失業率は2.4%(予想2.5%)、有効求人倍率は1.19倍(予想1.18倍)だった。

ユーロ圏の7〜9月期GDP

Eurostat(EU統計局)が30日に発表した7〜9月期のユーロ圏GDP(暫定速報値)は、実質で前期比0.4%増(季節調整済み)だった。市場予想の0.2%増を上回ったが、4〜6月期の0.6%増からは伸びが縮んだ。国別では、ドイツが0.2%増(前期は0.3%増)、フランスが0.1%減(前期は横ばい)、イタリアがゼロ成長(前期は0.2%増)だった(共同通信: ユーロ圏GDP0.4%増)。欧州では中東情勢を受けた燃料高が続いており、ECBは前回の理事会で12月の追加利上げの可能性を示している。

市場の反応

日銀の発表を軸に、報道ベースの反応を示す。

日本の長期金利(JGB10年債)の水準と、米国債利回りの具体的な水準は、今回確認した出典では得られなかったため載せない。

次の注目イベント

  • BOE(イングランド銀行)の政策金利の発表(11月5日21時の予定): 対象イベントの次の政策金利決定にあたる。日付は一次情報では未確認で、検索結果にもとづく
  • 米国の10月雇用統計(11月6日22時30分の予定): 12月のFOMCでの利上げ観測に直結する。日付は一次情報では未確認で、検索結果にもとづく
  • FOMC(12月8〜9日)と日銀の12月会合: 日銀会合の日程は未確認。日銀は「2%の定着」、FRBは物価と景気の強さをどう判断するかが焦点になる