前回からの変化
前回(2026-10-23)との比較である。前回は22日に決算を出したロッキード・マーティン、P&G、ディスコを扱った。今回は23日に決算を出した3社を取り上げる。
変わったこと(変化・新規)
- 前回「次の注目決算」に挙げたファナックの結果が出た。上期の経常利益は38.1%増、通期の経常利益予想は2712億円から3088億円へ13.9%引き上げられた(財経日報)
- 前回は、エクソンモービルが23日に決算を出す予定との情報を載せたが、同社の発表は30日である(ExxonMobil)。前回の記載を訂正する。インテルも22日引け後ではなく、次週以降の発表とされている(Intel)
- 前回の中心はAI関連株の売りの中での個別決算の評価だった。今回は、増益でも人員削減(アメックス)や利益の質(SLB)が焦点になった
- 市場全体は、ダウが1.23%安の5万2215.16ドル、S&P500が0.52%安の7623.68、ナスダックが0.21%安の2万5955.34で週を終えた(Yahoo Finance)
昨日と同じこと(継続)
- 「好決算でも株価が素直に上がらない」構図が続いた。ディスコに続き、アメックスも予想を上回りながら下落した
- 決算シーズン進捗のFactSet集計は、新しい版を今回も確認できなかった
要因の連続性
- 継続要因: 見通しや先行きの質が株価を左右する構図。前回のディスコ、ラム・リサーチに続き、アメックスは人員削減の発表と費用の増加が嫌気された
- 新規要因: 中東情勢の緊迫で原油が上昇した。12月限は3.8%高の1バレル103.25ドルで、航空運賃の上昇が決済額を押し上げた(アメックス)一方、エネルギー関連の追い風にもなる(Yahoo Finance)
- 解消した要因: 前回の防衛・生活必需品の決算に伴う、業種間の強弱の論点は今回の3社には当てはまらない
1. 本日のハイライト
| 企業名 | 会計期間 | 売上高 | 利益 | 株価反応 |
|---|---|---|---|---|
| アメックス | 2026年7〜9月期 | 201億ドル(9%増) | 調整後EPS 4.68ドル(13%増) | 通常取引で3%超安 |
| SLB | 2026年7〜9月期 | 94.5億ドル(6%増) | 調整後EPS 0.64ドル(7%減) | 今回確認できず |
| ファナック | 2026年4〜9月期(FY2027上期) | 4737億円(16.2%増) | 純利益1126億円(41.0%増) | 今回確認できず |
アメックスの調整後EPSは、報道によると市場予想の4.48ドルを上回った(コンセンサスの出所は記事に明示されていない。AOL(Reuters配信))。ライブ報道では、売上高の市場予想を下回ったとする記述もあるが、収益の定義が異なるとみられ、本稿では8-Kの数字を使う(筆者の推測。Yahoo Finance)。アメックスとSLBは米東部時間23日の寄り前、ファナックは日本時間23日の発表である。
2. 個別決算
アメリカン・エキスプレス — 2026年7〜9月期
売上高は201億ドルで前年同期比9%増、純利益は37億ドル(前年同期は29億ドル)、希薄化後EPSは5.42ドル(GAAP、31%増)、調整後EPSは4.68ドル(13%増)だった。決済額(カード取扱高)は4540億ドルで8%増、貸倒引当金繰入額は10億ドル(前年同期13億ドル)、純貸倒償却率は1.8%(同1.9%)に改善した(American Express 8-K)。GAAP EPSが調整後を上回った理由は、今回の出典では確認できなかった。
内訳では、旅行・娯楽の支出が10%増で、航空会社向けが13%増、飲食店向けが9%増だった。燃料高で航空運賃が上がったことが寄与している。高所得層の消費は堅調で、低所得層の弱さとは対照的だったと伝えられる(AOL(Reuters配信))。
通期見通しは、調整後EPSを17.60〜17.90ドル(従来17.30〜17.90ドル)へ引き上げ、GAAP EPSは18.30〜18.60ドル、売上高の伸びは約10%とした(同上、8-K)。同時に、全世界の従業員の約5%にあたる約3500人を削減すると発表し、第3四半期に3億3600万ドルのリストラ費用を計上した。スクエリCEOは「より機敏で効率的な組織にする」と説明した(AOL(Reuters配信))。株価は通常取引で3%超下落した(Yahoo Finance)。
SLB — 2026年7〜9月期
売上高は94.5億ドルで前期比5%増・前年同期比6%増、GAAPのEPSは0.49ドル、一過性要因を除くEPSは0.64ドルで前期比16%増・前年同期比7%減だった。調整後EBITDAは20.7億ドル(利益率21.9%)、フリーキャッシュフローは8.28億ドルである。事業別の売上高は、生産システムが40億ドル(前年同期比15%増)、坑井建設が29億ドル(3%減)、貯留層性能が16億ドル(3%減)、デジタルが6.93億ドル(5%増)だった(SLB 8-K)。
地域別では、北米が非在来型(シェール)の活動増で前年同期比24%増の24億ドル、国際が前期比5%増の69.9億ドルで、中東は期末の混乱があったものの前期比13%増となった。四半期配当は1株0.295ドルで、第3四半期に1290万株(6.56億ドル)を買い戻した。データセンター向け冷却技術の会社Kelvionを34億ドルで買収する計画も進行中である(同上)。ルペシュCEOは、地域を問わず売上が伸びたとして、市況の上昇局面が勢いを増していると説明した。株価反応とコンセンサスとの差は、今回確認できなかった。
ファナック — 2026年4〜9月期(FY2027上期)
売上高は4737億円で前年同期比16.2%増、営業利益は1167億円で35.7%増、経常利益は1490億円で38.1%増、親会社株主に帰属する純利益は1126億円で41.0%増だった。FA(工場自動化)部門は中国、インド、国内で、ロボット部門は米州と中国で伸び、ロボマシン(小型切削加工機)は中国が特に強かった(Yahoo!ニュース)。
通期の経常利益予想は2712億円から3088億円へ13.9%引き上げ、売上高は過去最高を更新して1兆円を超える見通しとした(財経日報)。中間配当は51.33円から72.54円へ増額し、上限500億円の自社株買いも決めた(Yahoo!ニュース)。株価反応は発表直後の時点で確認できなかった。
3. 経営陣が語ったこと
- アメックス: 財務責任者は、階層を減らして業務を自動化し、AIへの備えにつなげるのが狙いだと説明した(AOL(Reuters配信))
- SLB: ルペシュCEOは、地域を問わない売上増を強調した(SLB 8-K)
- ファナック: 説明会での発言は今回確認できなかった
4. 業界トレンド
- 「増益でも先行きとコストが問われる」: アメックスは増益と見通し引き上げにもかかわらず、人員削減の発表と費用増で売られた。前回のディスコと同じ構図である
- 裕福な層に偏る消費: アメックスは高所得層の堅調を報告し、低所得層の弱さとの二極化を指摘した(筆者の整理)
- 設備投資の需要が広がる: SLBは北米のシェールと国際で売上が伸び、データセンター冷却へ事業を広げる。ファナックは中国の需要回復で工作・ロボット分野が伸びた
- 原油高は業種で明暗が分かれる: 航空運賃の上昇はアメックスの決済額を押し上げ、エネルギー関連には追い風になる(筆者の整理)
5. 決算シーズンの進捗
S&P500の発表済み比率や上振れ比率の新しい集計は、今回も確認できなかった。前回までに紹介したFactSetの10月16日版(発表済み9%、EPS上振れ比率84%)以降の更新を待つ。
6. 次の注目決算
日付は特記しない限り米国時間である。
- エクソンモービル: 10月30日(金)に発表予定。前回の「23日」の記載は誤りだった(ExxonMobil)
- インテル: 次週(10月28〜29日)に発表予定で、情報源により日付が異なる。AI向けインフラ需要が焦点(Intel)
- 日本企業: 来週以降、日経225構成企業の決算発表が本格化する。個別の日程は今回確認できなかった

