前回からの変化
前回(2026-10-28、前日)との比較である。前回は10月27日時点、今回は10月28日時点の値で、いずれもTradingEconomicsの表示値である。取得時刻と限月は確認できておらず、確定終値でないものを含む。騰落率は出典の前日比をそのまま載せたため、前回値との差とは一致しない。
変わったこと(変化・新規)
- FRBは10対2で政策金利を3.75〜4.00%に据え置いた。ただしリサ・クック理事とベス・ハマック総裁の2人は25ベーシスポイントの利上げを主張して反対した。12月8〜9日会合での利上げ確率は約83%と、前回の約80%からやや上がった(Kitco: Fed holds rates)
- WTI原油は前回の100.20ドルから101.93ドルへ(1.73ドル高)反発した。前回は中東の緊張緩和観測で下げていたが、フーシ派のサウジ最大級製油所への攻撃の主張で一転した(TradingEconomics: Crude Oil)
- 天然ガスは前回の2.7307ドルから3.0284ドルへ(0.2977ドル高)上昇した。TradingEconomicsの前日比は0.81%高にとどまり、前回の急伸が今回の表示に織り込まれているとみられる(TradingEconomics: Natural Gas)
- 金のアナリストの顔ぶれが入れ替わった。前回のスタンダードチャータードとステート・ストリートに代わり、今回はスーキン・ファイナンシャルの見方を採った(Kitco: Sucden)
昨日と同じこと(継続)
- 金は前回の4,060.08ドルから4,067.13ドルへ(7.05ドル高)と、4,000ドルの大台を保つ横ばいが続いた(TradingEconomics: Gold)
- 銀は前回の54.413ドルから53.966ドルへ下げ、2026年の安値(約52.66ドル)に近い水準が続く(USAGold)
- 小麦は前回の611.00セントから599.50セントへ(11.50セント安)下げ、7月以来の安値圏を更新した(TradingEconomics: Wheat)
- 前回の特集だった天然ガスは、2.53ドルの2年ぶり安値からの戻りが続いている
要因の連続性
- 継続要因: 12月の米利上げ観測が金の重しとなる構図は前回と同じである。原油高によるインフレ懸念、ロシア・ウクライナ和平外交による小麦の下落も継続している
- 新規要因: FRB会合で反対票が2票出て、利上げ派の存在が明確になった。原油には、フーシ派によるサウジ製油所攻撃の主張、ラスタヌラ周辺の火災、イランへの米軍事行動への警戒(米中間選挙後との見方)が加わった(OilPrice.com)
- 解消した要因: 前回の原油安の理由だった、サウジ・パキスタン・トルコの当局者とイラン指導部の会談による緊張緩和期待は後退した。天然ガスの前回の下げ要因だった暖冬観測は、東部の高温予報として残るものの、LNG輸出向けの強い流入が上回った
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月28日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月27日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス4,067.13ドル | 0.17%高 | 4,060.08ドル |
| 銀 | 1オンス53.966ドル | 0.82%安 | 54.413ドル |
| WTI原油 | 1バレル101.93ドル | 2.03%高 | 100.20ドル |
| ブレント原油 | 1バレル114.135ドル | 0.22%高 | 114.17ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 3.0284ドル | 0.81%高 | 2.7307ドル |
小麦は1ブッシェル599.50セント(1.76%安)、トウモロコシは451.2セント(0.56%高)、大豆は1,223.25セント(0.49%安)、銅は1ポンド6.6567ドル(0.45%高)である。週間の騰落は、金が1.79%安、銀が6.89%安、WTIが4.92%高、小麦が4.58%安だった。取得時刻と限月は確認できていない(TradingEconomics: Commodities)。
商品別動向
金・銀
TradingEconomicsによると、金は一時、3か月ぶり安値圏に向けて下げた。FRBが据え置きを決めた一方で、12月の対応を明確にしなかったためである。原油高によるインフレ懸念も重しとなった(TradingEconomics: Gold)。Kitcoによると、FRB発表後の金は4,056.80ドル近辺、銀は53.72ドル近辺で推移した。次の焦点は、追加の利上げが必要かを左右するPCE物価指数である(Kitco)。
USAGoldによると、現物金は4,049.05ドルで年初来6.23%安、銀は53.91ドルで年初来24.70%安、金銀比価は75.1倍である。銀は2026年の安値までわずか1.25ドルの位置にある(USAGold)。
原油
WTIは101.93ドルで2.03%高、ブレントは114.135ドルで0.22%高となった。TradingEconomicsによると、フーシ派がアデン空港を攻撃し、日量55万バレルのサウジ最大の製油所にミサイルを撃ったと主張した。ただしサウジ当局は確認していない。米国の原油在庫は10月23日までの週に190万バレル減り、下値を支えた(TradingEconomics: Crude Oil)。OilPrice.comによると、ラスタヌラ輸出拠点の近くで火災が起き、カタールエナジーはLNGの不可抗力宣言を年末まで延長した。OPECプラスは12月の生産枠を据え置く見通しである(OilPrice.com)。
天然ガス
米国の天然ガスは3.0284ドルとなった。TradingEconomicsによると、LNG輸出プラントへの供給量は直近2週間で日量192億立方フィートに増え、欧州とアジアの冬に向けた需要が支えた。東部の高温予報による暖房需要の弱さが上値を抑える。本土48州の生産は10月に日量1,120億立方フィートで、8〜9月の過去最高(1,133億立方フィート)から減った(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物
小麦は599.50セントで1.76%安、7月初め以来の安値となった。米国主導のロシア・ウクライナ和平外交で、黒海の穀物貿易が再開するとの期待が強まり、プーチン大統領が交渉再開に前向きな姿勢を示した。豪州とアルゼンチンの収穫増で、世界の小麦生産は史上2番目の高水準の見込みである。一方、ウクライナは冬小麦の作付けが18%減ると見込み、黒海の輸送の混乱は続く(TradingEconomics: Wheat)。
急変動の特集
特集なし。10月28日は1日で3%を超えた商品がなかった(WTIが2.03%高、コーヒーが2.52%安、カカオが2.06%安)。ただしコーヒーは週間で9.43%安と大きい(TradingEconomics: Commodities)。
前回特集した米天然ガスのその後は、2.7307ドルから3.0284ドルへ上昇し、2年ぶり安値2.53ドルからの戻りが続いた。上昇の理由は、LNG輸出向けの流入増と冬の需要期待で、前回は不明だった点が補われた(TradingEconomics: Natural Gas)。
強気派 vs 弱気派
調査したのはKitco、USAGold、OilPrice.com、TradingEconomicsの4サイトである。
金・銀
- 弱気(短期)・強気(中期): スーキン・ファイナンシャルは、FRBが引き締め寄りの姿勢を保つ確率を約80%とみて、金は3,900ドル、銀は50ドルまで下げる可能性があるとした。根拠は、イラン紛争による100ドル超の原油高、利上げ観測、9月の雇用が2万9,000人増にとどまる労働市場の弱さである。一方で中期には、中央銀行の購入(4〜6月期に289トン、中国は年初から103トン)と金ETFの残高が過去最高の1億155万オンスである点を「底支え」として挙げ、2027年1月中旬に4,200〜4,300ドルへの回復を見込む(Kitco)
- 弱気: 銀について、同社は太陽光向けの需要が19%減るなど工業需要の弱さを指摘する(同記事)。TradingEconomicsの機械的な予測は金が2026年末に3,922.74ドルで、特定の発言者の相場観ではない
原油
- 強気: UBSはブレントの年末予想を1バレル110ドルに引き上げた。根拠は、湾岸からの流れが戦前の水準を下回ったままであることである(OilPrice.com)
- 弱気: 今回の出典では、名前の付いた原油の弱気派は確認できなかった。サウジアラビア国営石油会社が輸出の回復で欧州向けに値引きを提示している点が、供給回復を示す材料として挙がる(同ページ)
前回の顔ぶれのうち、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントとスタンダードチャータードの見方は今回再確認できていない。
地政学・物価関連ニュース
フーシ派によるサウジ施設攻撃の主張と、米国のイランへの軍事行動への警戒が、原油の供給不安を再燃させた。TradingEconomicsは、米中間選挙後の米軍事行動の可能性と、イスラエルの選挙による政治の不透明感も挙げている(TradingEconomics: Crude Oil)。ロシアの原油輸出は、ディーゼル生産へのシフトで11月に日量20万バレル減る見通しである(OilPrice.com)。
ロシア・ウクライナの和平外交は黒海の穀物貿易の再開期待をつくり、小麦を押し下げている(TradingEconomics: Wheat)。物価への波及は、原油が100ドル台にある間は、日本でもガソリンや電気料金の高止まりにつながる(一般論)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
移動平均線とRSIの当日値、投機筋の建玉の詳細は、今回の出典では確認できなかった。確認できた範囲だけを載せる。断定的な売買判断ではない。
金: スーキン・ファイナンシャルは3,900ドルを下値の目安(サポート)に、4,300ドルを超えて定着できれば回復の持続力が強まるとした。現物金は2026年の安値から106.53ドル上にあり、4,000ドルの大台を守れるかが焦点である。前回のスタンダードチャータードが挙げた3,886ドルも下値の目安として並ぶ(Kitco、USAGold)。
銀: 2026年の高値121.67ドルの55.7%下にあり、安値まで1.25ドルの位置にある。スーキン・ファイナンシャルは50〜53ドルを目先の目安に挙げる。金銀比価は75.1倍と、前回の74.8倍からわずかに広がり、銀の弱さが続く(同記事)。
天然ガス: 2.53ドルで2年ぶりの安値を付けたあと3ドル台に戻した。TradingEconomicsの予測は四半期末に2.77ドルと、現在値より低い。原油と小麦は、当日のテクニカル指標を確認できなかった。小麦は7月初め以来の安値圏にある。

