前回からの変化

前回(2026-10-22)との比較である。前回は21日に決算を出したメタ、IBM、テスラなど5社を扱った。今回は22日に決算を出した企業と、前回企業の株価反応を取り上げる。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回、時間外で4%超上昇したメタは、22日の通常取引で約7%下落した。AI関連の支出で現金が流出したことが嫌気された。時間外で約2%上昇したテスラも3.1%下落した(KSL)
  • 前回、時間外で約6%下落したラム・リサーチは、通常取引でも9%下落した(Yahoo Finance)。EPSは予想を上回っていたが、見通しが物足りないと受け止められた
  • 前回「次の注目決算」に挙げたディスコの結果が出た。上期の経常利益が44%増で従来予想を上回ったが、時間外取引では下落した(株探)
  • 前回の中心はAIインフラ投資の負担だったが、今回は防衛(ロッキード)と生活必需品(P&G)の決算が加わり、ハイテク以外の動きが分かれた

昨日と同じこと(継続)

  • 「好決算でも見通しや中身次第で株価が反応する」構図が続いた。ディスコは増益・上方修正でも時間外で売られた
  • 決算シーズン進捗のFactSet集計は、新しい版を今回も確認できなかった

要因の連続性

  • 継続要因: 見通しの質が株価を左右する構図。前回のインテュイティブの価格方針に続き、今回はディスコの先行き、ラム・リサーチの見通しがそれに当たる
  • 新規要因: AI関連株全体の売り(ナスダック2.6%安、半導体株指数6.7%安)が個別決算の評価を押し下げた。一方、防衛関連のロッキード・マーティンは7.0%上昇した(KSL)
  • 解消した要因: 前回の論点だった関税還付による一過性の利益押し上げは、今回の主な決算では目立たなかった

1. 本日のハイライト

企業名 会計期間 売上高 EPS 株価反応
ロッキード・マーティン 2026年7〜9月期 207億ドル(11%増) GAAP 7.97ドル(14%増) 通常取引で7.0%高
P&G 2026年7〜9月期(FY2027第1四半期) 233億ドル(4%増) コア2.00ドル(1%増) 通常取引で5.6%高
ディスコ 2026年4〜9月期(FY2027上期) 2570.58億円(32.1%増) 経常益1144億円(44.0%増) 時間外PTSで4.37%安

予想値はNewsquawk掲載の集計で、ロッキードはEPS7.52ドル・売上高204.8億ドル、P&GはEPS1.88ドル・売上高227.9億ドルだった。いずれも実績が上回った(コンセンサスの出所は記事に明示されていない。Newsquawk)。ロッキードとP&Gは米東部時間22日の寄り前の発表で、株価は通常取引の騰落率。ディスコは22日の大引け後(16時)の発表で、株価は夜間取引(PTS)である。

2. 個別決算

ロッキード・マーティン — 2026年7〜9月期

売上高は207億ドルで前年同期比11%増、純利益は18億ドル(14%増)、希薄化後EPSは7.97ドル(GAAP、14%増)だった。フリーキャッシュフローは30億ドル。受注残は過去最高の2920億ドルで、第2四半期から27%増えた。うち525億ドルは、パトリオット用迎撃ミサイルPAC-3 MSEの複数年契約の分である。部門別の営業利益は、航空機が7.43億ドル(9%増)、ミサイル・火器管制が6.31億ドル(24%増)、回転翼・ミッションシステムが5.24億ドル(4%増)、宇宙が3.31億ドル(横ばい)だった(Lockheed Martin 8-K)。

通期見通しは、売上高を800億〜820億ドル(従来798億〜818億ドル)、EPSを30.35〜30.75ドル(従来29.95〜30.65ドル)、フリーキャッシュフローを78億〜80億ドル(従来70億〜72億ドル)へ引き上げた。2期連続の引き上げである(同上)。株価は通常取引で7.0%上昇した(KSL)。

P&G — 2026年7〜9月期(FY2027第1四半期)

売上高は233億ドルで4%増、オーガニック(為替・買収などを除く)も4%増だった。希薄化後EPSは1.97ドル、コアEPS(一過性要因を除く)は2.00ドルで、ともに1%増にとどまった。部門別のオーガニック増収率は、美容が5.4%、ファブリック&ホームケアが4.8%、グルーミングが4.5%、ベビー・フェミニン・ファミリーケアが3.0%、ヘルスケアが2.7%だった。コアの売上総利益率は1.5ポイント低下し、原材料費の上昇が1.4ポイント、商品への再投資が1.4ポイントの押し下げ要因で、生産性改善の1.2ポイントが一部を相殺した。営業キャッシュフローは58億ドル、株主還元は配当26億ドルと自社株買い13億ドルの計39億ドルだった(P&G 8-K)。

通期見通しは、オーガニック増収率の1〜3%、コアEPS成長率の0〜3%増(6.89〜7.11ドル)を維持した。約14億ドル(税引き後)の原材料費の逆風を見込み、フリーキャッシュフロー生産性は85〜90%、株主還元は配当100億ドル超と自社株買い約50億ドルを計画している。Thorneの買収を反映して売上高の見通しのみ更新した(同上)。株価は通常取引で5.6%上昇した(KSL)。

ディスコ — 2026年4〜9月期(FY2027上期)

売上高は2570.58億円で前年同期比32.1%増(従来予想2428億円)、経常利益は1144億円で44.0%増だった。営業利益は47.9%増と報じられている。7〜9月期の経常利益は659億円で45.2%増、売上営業利益率は前年同期の42.4%から47.4%へ改善した。上期の実績は従来予想を上回り、売上高は5.9%、営業利益は11.2%上回った。上期配当は171円から186円へ15円増額し、通期配当は未定とした(株探、株探(Yahoo!ファイナンス))。

決算発表後の夜間取引(PTS)では、株価は前日比2340円(4.37%)安の5万1230円となった。好決算でも売られた背景は、AI・半導体株全体の売りの中で、先行きの見通しが重視されたためとみられる(筆者の推測。出典では理由を確認できなかった)。

3. 経営陣が語ったこと

今回の出典では、ロッキード・マーティン、P&G、ディスコの経営陣のカンファレンスコール・説明会での発言は確認できなかった。P&Gは、好調な滑り出しにより通期見通しの範囲内に収まる見込みである一方、地政学と経済の課題は続くと見ている、と声明で説明している(P&G 8-K)。

4. 業界トレンド

  • 防衛需要の強さ: ロッキードは受注残が2920億ドルと過去最高で、迎撃ミサイルの大型契約が積み上がった。通期見通しの引き上げも2期連続である(筆者の整理)
  • 生活必需品の利益圧迫: P&Gは増収だが、原材料費の上昇と再投資で利益率が1.5ポイント下がり、EPSの伸びは1%にとどまった
  • 半導体製造装置は好決算でも売られる: ディスコ(夜間取引)とラム・リサーチ(9%安)は、増益や予想超えでも株価が下落した。AI関連株全体の売りが個別の評価を上回った
  • AI投資の負担: メタとテスラの株価反応から、AI関連の設備投資が利益より先にキャッシュフローに出ることへの警戒が続いている

5. 決算シーズンの進捗

S&P500の発表済み比率や上振れ比率の新しい集計は、今回も確認できなかった。前回までに紹介したFactSetの10月16日版(発表済み9%、EPS上振れ比率84%)以降の更新を待つ。

6. 次の注目決算

日付は米国時間である。引け後の発表は日本時間では翌朝になる。

  • 10月23日(金): エクソンモービル、アメリカン・エキスプレス、SLBなどが発表する予定(Saxo)。原油高の中でのエネルギー大手の利益が焦点
  • インテル: 22日引け後に発表の予定との情報があるが、結果と日付は今回確認できなかった
  • 日本企業: 23日にファナックが決算を発表する予定で、ロボット・工作機械の需要と先行きの説明が注目される(前回の予告)