前回からの変化
前回(2026-10-24)との比較である。前回レポートは10月23日の値を扱い、今回は週末を挟んだ10月26日(月)の値である。価格はTradingEconomicsの表示値で、取得時刻と限月は確認できていない。確定終値でないものを含む。騰落率は出典の前日比をそのまま載せた。
変わったこと(変化・新規)
- 金は前回の3,994.60ドルから4,017.04ドルへ(22.44ドル高、0.56%高)戻し、4,000ドルの大台を回復した。前回は割り込んだ段階だったが、今回は安値からの小反発に転じた(TradingEconomics: Gold)
- WTIは前回の103.46ドルから101.26ドルへ(2.20ドル安)、ブレントは116.88ドルから115.27ドルへ(1.61ドル安)下げた。前回の4%高から一転して反落した(TradingEconomics: Crude Oil)
- 砂糖が19.10セントで5.63%安と、新たに急落した。前回は特集に挙がっていなかった(TradingEconomics: Sugar)
- 小麦は前回の625.00セントから615.50セントへ(1.52%安)下げ、7月以来の安値になった。前回は横ばいだった(TradingEconomics: Wheat)
昨日と同じこと(継続)
- 12月の米利上げ観測は80%超と高い水準が続き、金の上値を抑える構図は前回と同じである
- 米国の天然ガスは2.6113ドルで、前回の2.6219ドルからほぼ横ばい(0.40%安)だった。前回に続いて弱い値動きが続いている(TradingEconomics: Natural Gas)
要因の連続性
- 継続要因: 米利上げ観測。前回に続いて金の重しとして働いている。米天然ガスは暖冬予報が前回に続いて下落要因になっている(TradingEconomics: Natural Gas)
- 新規要因: サウジアラビアの国防相がテヘランでイランの指導部と協議し、緊張緩和への期待が原油の下落要因に加わった。小麦にはロシア・ウクライナ戦争の終結を目指す外交で、黒海の穀物貿易が再開するとの期待が加わった。砂糖にはブラジル中南部の天候改善と、原油安によるエタノール離れの見方が加わった(TradingEconomics: Crude Oil、TradingEconomics: Wheat、TradingEconomics: Sugar)
- 解消した要因: 前回の金の重しだった原油高による利上げ警戒は、原油の反落でやや和らいだ。ただしホルムズ海峡周辺の供給不安そのものは解消していない
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月26日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月23日) |
|---|---|---|---|
| 金 | 1オンス4,017.04ドル | 0.58%高 | 3,994.60ドル |
| 銀 | 1オンス53.971ドル | 0.17%高 | 53.88ドル |
| WTI原油 | 1バレル101.26ドル | 1.95%安 | 103.46ドル |
| ブレント原油 | 1バレル115.27ドル | 1.24%安 | 116.88ドル |
| 天然ガス | 1MMBtu 2.6113ドル | 1.09%安 | 2.6219ドル |
小麦は1ブッシェル615.50セント(1.52%安)、トウモロコシは455.00セント(0.22%安)、大豆は1,242.25セント(1.13%安)、銅は1ポンド6.5086ドル(0.50%高)である。表示値はTradingEconomicsで、取得時刻と限月は確認できていない。前回値との差が出典の前日比と合わないのは、比較の基準時点が異なるためである(TradingEconomics: Commodities)。
商品別動向
金・銀
金は4,000ドル近辺で推移し、23日に付けた3か月ぶり安値3,975ドルから小幅に戻した。TradingEconomicsによると、市場は中央銀行の会合を待っている。FRBは28日に据え置くとみられるが、12月の利上げ確率は80%を超える。原油が下げてインフレ懸念がやや和らいだ一方、中東情勢によるエネルギー高は残っている。月間では2.38%安である。銀は53.971ドルで小幅高となった(TradingEconomics: Gold)。
原油
WTIは101.26ドルで1.95%安、ブレントは115.27ドルで1.24%安となった。サウジアラビアの国防相がテヘランでイランの指導部と協議し、緊張を和らげようとしたと伝えられた。米国は製油所の混乱に対応して、戦略石油備蓄から最大40万バレルを放出する。ただし企業は価格変動と地政学リスクを嫌い、大型投資に慎重である(TradingEconomics: Crude Oil)。
天然ガス
米国の天然ガスは2.6113ドルで1.09%安となり、月間では15.93%安である。北部を中心に気温が平年を上回る予報で、暖房需要が弱いままとみられる。本土48州の生産は日量1,133億立方フィート前後に回復した。LNG輸出向けの流入は10月に日量182億立方フィートで、下値を支えている。最近は2.53ドルまで下げ、2024年10月以来の安値を付けた(TradingEconomics: Natural Gas)。
農産物
小麦は615.50セントで7月以来の安値になった。米国主導のロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた外交で、黒海の穀物貿易が再開するとの期待が出ている。豪州とアルゼンチンの収穫が増え、世界の生産は過去最高に近い見通しで、米国産小麦の輸出販売も期待を下回った。トウモロコシは0.22%安、大豆は1.13%安だった(TradingEconomics: Wheat、TradingEconomics: Commodities)。
急変動の特集
砂糖が1日で5.6%安
- 何が起きたか: 砂糖は19.10セントへ5.63%下落し、目安の3%を超えた。前年同月比では32.09%高の水準にある(TradingEconomics: Sugar)
- なぜ動いたか: 原油安とブラジルレアル安が重しになった。原油が安いとエタノールの採算が悪化し、ブラジルの製糖工場が砂糖の生産を増やすとの見方につながる。ブラジル中南部で天候が改善し、収穫が再開したことも供給増の期待を高めた。一方、インドはエルニーニョによる弱いモンスーンで、作柄が前年より小さいとされる
- 生活・産業への波及: 砂糖の国際価格が下がれば、菓子や飲料の原料コストを下げる方向に働く(一般論)。ただし小売価格に反映されるまでには時間がかかる
- 同じ日にコーヒーが2.59%安、カカオが1.59%安となった。いずれも特集の目安には届かない(TradingEconomics: Commodities)
前回特集した原油と天然ガスのその後は次のとおりである。原油は反落し、天然ガスは下落が一服してほぼ横ばいだった。
強気派 vs 弱気派
今回の出典では、発言者と根拠を確認できる強気派・弱気派の人物や機関のコメントは見つからなかった。調査は3サイトに届いていない。前回挙げたニューモントの収益力に基づく強気論やソシエテ・ジェネラルの下値目安は、今回は再確認できていない。
参考として、TradingEconomicsの予測モデルは、金が第4四半期末に3,922.74ドル、12か月後に3,630.11ドルと弱気の見通しを示している。WTIは第4四半期末に106.90ドル、12か月後に約123.86ドルと、強気の見通しである。これは特定の発言者の相場観ではなく、同社の機械的な予測である(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Crude Oil)。
地政学・物価関連ニュース
サウジアラビアの国防相がイランの指導部とテヘランで協議した。中東の緊張を和らげる動きで、原油の下落要因になった。ただし戦略石油備蓄の放出が必要なほど製油所の混乱は続いており、供給不安は残っている(TradingEconomics: Crude Oil)。
ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた米国主導の外交は、黒海の穀物貿易の再開期待につながり、小麦を押し下げている(TradingEconomics: Wheat)。
物価への波及は、原油安が進めばインフレ懸念を和らげる一方、原油は100ドルを超える高い水準にあり、日本でもガソリンや電気料金への影響が続く(一般論)。FRBは27〜28日の会合で据え置くとみられ、12月の利上げ観測が焦点である(TradingEconomics: Gold)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
今回の出典で確認できたテクニカル情報は限られる。移動平均線とRSIの当日値、投機筋のポジションは確認できなかったため、数値は載せない。断定的な売買判断ではない。
金: 23日に付けた3か月ぶり安値の3,975ドルが、直近の下値の目安(サポート)とされる水準である。4,000ドルは心理的な節目で、その上下を行き来している。史上最高値は2026年1月の5,608.35ドルで、そこからは大きく下げた位置にある(TradingEconomics: Gold)。
天然ガス: 2.53ドルまで下げて2024年10月以来の安値を付けており、現在の2.61ドルはその安値に近い位置にある。小麦は7月以来の安値圏にある。銀・原油は当日のテクニカル指標を確認できなかった(TradingEconomics: Natural Gas、TradingEconomics: Wheat)。

