前回からの変化

前回(2026-10-22、21日の値)との比較である。値はTradingEconomicsの22日の表示値で、取得時刻と限月は確認できていない。確定終値でないものを含む。

変わったこと(変化・新規)

  • 銀は前回の57.97ドルから54.59ドルへ(3.38ドル安、5.81%安)、金は4,140.83ドルから4,024.21ドルへ(116.62ドル安、2.82%安)と急落した。前回は小動きだった貴金属が一転して崩れ、目安の3%を超えた銀を今回の特集で扱う(TradingEconomics: Commodities)
  • ブレントは前回の109.67ドルから112.87ドルへ(3.20ドル高、3.72%高)、WTIは97.70ドルから99.10ドルへ(2.01%高)上げた。Kitcoによるとブレントは112ドル超、WTIは100ドル近くで推移した(Kitco)
  • 前回の特集だった天然ガスは2.77ドルから2.7758ドルへ(0.51%安)と、ほぼ横ばいで下げ止まった。小麦は628.25セントから624.75セントへ(0.56%安)下げ、続落した(TradingEconomics: Commodities)
  • 12月の米利上げの織り込みは約94%から約86%へ低下した。米10年債利回りも約5.1%から約5.0%へ下がった(Kitco)

昨日と同じこと(継続)

  • ホルムズ海峡周辺での船舶攻撃が続き、原油の上昇要因になっている
  • 米利上げ観測が金・銀の重しとなる構図は前回と同じである

要因の連続性

  • 継続要因: 中東の供給不安と、それによる原油高、米利上げ観測。前回に続いて貴金属の重しとなった
  • 新規要因: 株式市場でのAI関連株の売りの波及。金は米長期金利が下がり、ドル指数も小幅安だったにもかかわらず売られ、アナリストは「非常に奇妙な動き」と評した。サウジアラムコ施設へのフーシ派の攻撃の強まりも原油を押し上げた(Kitco)
  • 解消した要因: 前回の天然ガス急落の要因だった温暖な天候の見通しは、この日の材料としては目立たず、価格は下げ止まった

価格サマリー

商品 価格(2026年10月22日) 騰落率(前日比) 前回値(10月21日)
金(スポット) 1オンス4,024.21ドル 2.82%安 4,140.83ドル
銀 1オンス54.59ドル 5.81%安 57.97ドル
WTI原油 1バレル99.10ドル 2.01%高 97.70ドル
ブレント原油 1バレル112.87ドル 3.72%高 109.67ドル
天然ガス(Henry Hub) 1MMBtu 2.7758ドル 0.51%安 2.77ドル

小麦は1ブッシェル624.75セント(0.56%安)、トウモロコシは460.25セント(0.65%安)、大豆は1,253.50セント(0.66%高)、銅は1ポンド6.3666ドル(2.70%安)である。表示値はTradingEconomicsで、取得時刻と限月は確認できていない(TradingEconomics: Commodities)。WTI原油(12月限)のNY終値は99.47ドル(2.39%高)だった(みんかぶ)。

商品別動向

金・銀

Kitcoによると、スポット金は一時4,034.76ドル(2.57%安)まで下げ、2か月以上ぶりの安値となった。夏の上昇分をすべて失い、4,000ドルの大台を試す展開である。銀は55ドル台前半まで下げた。プラチナは2.9%安の1,581.73ドル、パラジウムは2.5%安の1,059.75ドルで、貴金属が全面安となった(Kitco(ロイター配信)、Kitco)。

背景は、ホルムズ海峡への攻撃などで原油が上がり、インフレの再燃と米連邦準備制度理事会(FRB)の追加の利上げ観測が強まったことである。米新規失業保険申請件数は19.4万件と予想の20万件を下回り、雇用の底堅さも利上げ観測を支えた。ただ金は、米10年債利回りが約5.0%へ低下する中でも売られた(Kitco)。

原油

ブレントは112.87ドルで3.72%高、WTIは99.10ドルで2.01%高となった。ホルムズ海峡での商船への攻撃が続き、イエメンの武装勢力フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が強まったと報じられた。ブレントは112ドル超、WTIは100ドル近くで、5か月ぶりの高値圏にある(Kitco、KSL経由の市況)。

天然ガス

Henry Hubは2.7758ドルで0.51%安と、前日の6.38%安の急落のあとは小動きだった(TradingEconomics: Commodities)。

農産物

小麦は624.75セントで0.56%安と続落した。トウモロコシは0.65%安、大豆は0.66%高だった(同上)。

急変動の特集

銀が1日で5.8%急落 金も2か月ぶり安値

  • 何が起きたか: 銀は57.97ドルから54.59ドルへ5.81%下落し、金は4,140.83ドルから4,024.21ドルへ2.82%下落した。プラチナ、パラジウムも2〜3%安で、貴金属全体が売られた(TradingEconomics: Commodities、Kitco(ロイター配信))
  • なぜ動いたか: 一つは、原油高によるインフレ懸念と米利上げ観測である。金や銀は利息を生まないため、金利が上がると保有の魅力が下がる。もう一つは、AI関連株の売りが広がる中で、現金化のための売りが貴金属にも出た可能性である。独立系アナリストのジェシー・コロンボ氏は、米長期金利が下がり、ドル指数も小幅安なのに金が下げたことを「非常に奇妙な動き」とし、AI関連株のテクニカルな清算売りが要因ではないかとみた。同氏は円高に向けた介入の可能性にも触れたが、確認はされていない憶測である(Kitco)。為替介入の事実は、確認できた範囲では見当たらない(詳細はfxを参照)
  • 生活・産業への波及: 金は4,000ドル前後と、前回の4,140ドルから約3%低い。国内の金の小売価格や、宝飾・投資向けの需要への影響は、今回の出典では確認できなかった。銀は工業用途も大きい金属で、価格の急落は太陽光パネルや電子部品などのコストを押し下げる方向に働く(一般論)
  • 先行きの見方: 金は、4,000ドルから3,900ドルの夏の反発水準が支えになるかが焦点とされる(同上)

強気派 vs 弱気派

金・銀(弱気・慎重): ANZのソニ・クマリ氏は、エネルギー市場の不透明感が続いており、金はさらに下がりうると述べた。キャピタル・エコノミクスのハマド・フセイン氏は、10月29日の米個人消費支出(PCE)物価指数でインフレ高止まりが確認されれば、FRB高官のタカ派的な発言を招き、金の重しになりうるとみている(Kitco(ロイター配信))。

金・銀(強気): 今回の出典では、新しく発言者と根拠を確認できる強気の見通しは見つからなかった。前回までに紹介したCIBCキャピタル・マーケッツの「2027年は平均5,200ドルへ回復する」との見方(20日付)は、今回確認した出典では更新されていない。

原油: 今回の出典では、発言者と根拠を確認できる強気・弱気の見方は見つからなかった。3サイトでの調査には至っていない。

地政学・物価関連ニュース

ホルムズ海峡では商船への攻撃が続き、原油価格を押し上げている。フーシ派によるサウジアラビアの施設への攻撃が強まり、米国務省が湾岸の大使館から一部職員を退避させたと報じられた(Kitco、日本経済新聞(日本株の報道))。

物価への波及としては、エネルギー価格の上昇が各国のインフレを押し上げており、FOMC(10月27〜28日)での据え置き、12月の利上げという見通しが続く。ゴールドマン・サックスは12月に0.25ポイントの追加利上げを見込み、政策金利の上限を4.00〜4.25%に引き上げるとみている(Kitco(ロイター配信))。

テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)

今回の出典では、移動平均線とRSIの当日値は確認できなかったため、数値は載せない。確認できた範囲で、節目の水準を整理する。断定的な売買判断ではない。

金: Kitcoによると、前回の下値の目安だった4,068〜4,079ドルを割り込み、これが上値の壁(レジスタンス)に変わった。上値は4,124〜4,143ドル、下値は4,000〜3,900ドルの夏の反発水準である(Kitco、Kitco)。

銀: 上値は56.92〜57.39ドル、下値は56.34ドルと55.41ドルとされる。スポットは54ドル台まで下げ、下値の目安を割り込んだ(同上)。

原油: ブレントは112ドル台で、月間でも上昇基調にある。前回意識された110ドルを上回り、高値圏の位置にある。

天然ガス・小麦: 天然ガスは3ドルを割った水準で下げ止まり、小麦は624.75セントと安値圏で続落している。