前回からの変化
前回(2026-10-20、10月19日の値)との比較である。値はTradingEconomicsの10月20日の表示値で、取得時刻と限月は確認できていない。確定終値でないものを含む。
変わったこと(変化・新規)
- ブレントは前回の109.15ドルから109.07ドルへ(0.08ドル安、前日比0.44%安)でほぼ横ばい。米国とイランの協議への期待が下げ要因になった(TradingEconomics: Brent oil)
- WTIは前回の出典間のずれ(103.26ドルと98.46ドル)が解消し、TradingEconomicsは98.20ドル(0.34%安)、OilPrice.comは98.28ドル(0.26%安)でそろった。前回のTradingEconomicsの値からは約5ドル低い(TradingEconomics: Crude Oil)
- 金は前回の4,140.74ドルから4,125.09ドルへ(15.65ドル安)下げ、Kitcoのスポット表示は4,120.35ドル(0.49%安)だった。銀は57.09ドルから57.98ドルへ(0.89ドル高、1.58%高)上げ、2日続けて金と逆の動きになった(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver)
- 天然ガスは3.04ドルから2.99ドルへ、小麦は656.00セントから642.75セントへ(13.25セント安)下げた(TradingEconomics: Natural gas、TradingEconomics: Wheat)
昨日と同じこと(継続)
- ホルムズ海峡周辺での船舶攻撃が続いている。2週間で少なくとも18隻が攻撃を受けたとされる
- 米国の12月利上げ観測が金・銀の重しになる構図は前回と同じ。市場は約9割の確率で織り込んでいる
- 小麦が2か月ぶりの安値圏にある状況と、天然ガスの温暖な天候による下げは続いている
- 銀は月間で12.15%安と、前回の13.51%安から下げ幅は縮んだが、大きく下げた水準にとどまる
要因の連続性
- 継続要因: 中東の供給不安、米利上げ観測と米長期金利の高さ、小麦のロシア輸出増と豪州の豊作観測、天然ガスの温暖な天候
- 新規要因: パキスタン軍トップとイラン当局者の会談を受けた米イラン協議への期待、米国の9月の住宅着工の悪化(5.2パーセント減)、アジアのLNG価格が1MMBtuあたり30ドルを超えたこと
- 解消した要因: 原油価格の出典間のずれ。前回の新規要因だったサウジアラビアのヤンブー向けミサイルの迎撃は、今回の出典では言及が確認できなかった
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月20日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月19日) |
|---|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,125.09ドル | 0.38%安 | 4,140.74ドル |
| 銀 | 1オンス57.98ドル | 1.58%高 | 57.09ドル |
| WTI原油 | 1バレル98.20ドル | 0.34%安 | 103.26ドル(TE)/ 98.46ドル(OilPrice) |
| ブレント原油 | 1バレル109.07ドル | 0.44%安 | 109.15ドル |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 2.99ドル | 2.07%安 | 3.04ドル |
小麦は1ブッシェル642.75セント(1.91%安、前回656.00セント)。表示値はTradingEconomicsで、取得時刻と限月は確認できていない(TE=TradingEconomics)。
商品別動向
金・銀
TradingEconomics: Goldによると、金は4,125.09ドルで0.38%安、月間では5.02%安である。原油高がインフレ懸念を強め、市場は米国の利上げ見通しを見直している。12月の利上げ確率は約90%と織り込まれ、利息を生まない金には逆風となった。Kitcoは、米国の9月の住宅着工が5.2%減の122万1千戸と予想の130万戸を下回り、スポット金が安値圏にあると伝えている(Kitco: 住宅着工)。
銀はTradingEconomics: Silverによると57.98ドルで1.58%高、月間では12.15%安である。ドル高と米長期金利の高さが重しとされ、数週間ぶりの安値圏にある。
原油
ブレントは109.07ドルで0.44%安、月間では8.70%高、年間では77.86%高である。TradingEconomics: Brent oilによると、パキスタン軍トップがイラン当局者と会い、米国との協議について話したことが好感された。一方、ホルムズ海峡では2週間で少なくとも18隻が攻撃を受け、イランの革命防衛隊は「従わない」タンカー2隻を攻撃したと発表した。トランプ大統領は、中間選挙前にイランを攻撃しないと述べたが、イラン外務省は米国の行動に強く報復すると警告している。
WTIは98.20ドルで0.34%安、月間では6.31%高である(TradingEconomics: Crude Oil)。OilPrice.comによると、米石油協会(API)の統計で、10月16日の週に原油在庫が493万バレル減った(OilPrice.com: API)。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは2.99ドルで2.07%安、月間では5.59%高、年間では13.80%安である。温暖な天候が10月下旬まで続く見通しで、エルニーニョ(太平洋の海面水温が高くなる現象)による暖冬への期待も冬の需要見通しを抑えている。10月の米国本土48州の生産量は日量1,113億立方フィートで、8〜9月の過去最高(1,133億立方フィート)から減った。LNG輸出施設への流入は日量181億立方フィートに増えた。10月9日時点の貯蔵量は前年同期より3.9%少なく、過去5年平均を1.3%上回る。
海外では、OilPrice.comが、中東の輸送リスクを背景にアジアのLNG価格が30ドルを超えたと伝えている。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は642.75セントで1.91%安、前年比では28.49%高である。2か月ぶりの安値をつけた後、10月中旬にウクライナがロシアへ1,000機超のドローンを使い、ロシアがエネルギー施設を攻撃したことで黒海の輸送への懸念から一時662セントまで戻った。しかし、ロシアの輸出量の増加と豪州の収穫が好調との観測が重しとなり、再び下げた。
急変動の特集
特集なし。1日で3%を超えて動いた商品は、確認できた出典の範囲では見当たらなかった。前回触れた小麦の下げは1.91%で、目安の3%には届いていない。
強気派 vs 弱気派
金(強気): CIBCキャピタル・マーケッツのアニタ・ソーニ氏とコスモス・チウ氏は、2026年の予想を大きく引き下げた一方、2027年の平均価格は5,200ドルまで回復するとみる(従来は6,500ドル)。根拠は、地政学的な不透明感、各国の政府債務への懸念、中央銀行が外貨準備をドルから分散する動きである(Kitco: CIBC)。メタルズ・フォーカスは、金が6,000ドル、銀が90ドル超へ戻る道筋は投資家の信認の回復しだいだとし、市場は弱気相場ではなく持ち合いの局面だと位置づける(Kitco: Metals Focus)。
金(弱気・慎重): 同じCIBCは、2026年第4四半期の予想を4,500ドルに引き下げた(年初の予想は6,500ドル)。理由は、実質金利の上昇で金を持つ機会費用が増えたこと、ドル高、米10年債利回りが5%を超えて債券の魅力が増したことである(同上)。TradingEconomicsは、12月の利上げ確率が約90%に達していると伝える。
原油: 今回の出典では、発言者と根拠を確認できる強気・弱気の見方は見つからなかった。TradingEconomicsのモデルは、WTIが四半期末に105.33ドル、12か月後に121.58ドルへ上がると予想しているが、これは同社の見通しである(TradingEconomics: Crude Oil)。下げ要因としては、米イラン協議への期待が名前の出ない市場参加者の見方として伝えられた。
地政学・物価関連ニュース
TradingEconomicsによると、米国とイランの協議をめぐって、パキスタン軍トップがイラン当局者と会談した。ただし双方の隔たりは大きいとされる。ホルムズ海峡では船舶への攻撃が続く(TradingEconomics: Brent oil)。
OilPrice.comは、米国が戦略石油備蓄からさらに1,700万バレルを出すと報じた。OilPrice.comは、イラクの10月の輸出が日量340万バレルと、開戦前に近づいたと伝える。
物価への波及としては、エネルギー価格の上昇が各国のインフレを押し上げている。アジアではLNG価格の急騰が電気代やガス代に響きやすく、ノルウェーの9月のガス生産が8月より12.6%減ったことも、欧州の冬の供給への不安材料になっている(OilPrice.com)。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
今回の出典では、移動平均線とRSIの当日値は確認できなかったため、数値は載せない。確認できた範囲で位置関係を整理する。断定的な売買判断ではない。
金: CIBCの分析では、金は4,100ドル付近のサポート(下値を支えるとされる水準)に張りついている。スポットは4,120ドル台で、この水準に近い。前回意識された4,200ドル付近の上値の壁からは約80ドル離れた。下値の4,100ドルを割るかが焦点とされる(Kitco: CIBC)。
原油: ブレントは月間で8.70%高と上昇基調にあり、109ドル台の高値圏で推移している。前回は取引時間中に110ドルに触れており、この水準を超えられるかが焦点とされる。
銀・天然ガス・小麦: 銀は月間で12.15%安、天然ガスは3ドルを割り込み、小麦は8月の高値767セントから約16%低い安値圏にある。いずれも下げが続いている位置を示す手がかりである。

