前回からの変化
前回(2026-10-17、10月16日の値)との比較である。10月19日は月曜で、間に当日分のレポートはない。値はTradingEconomicsの10月19日の表示値(取得時刻は確認できず)で、確定終値でないものを含む。
変わったこと(変化・新規)
- ブレントは前回の109.86ドルから109.15ドルへ(0.71ドル安)ほぼ横ばいで、110ドル目前の水準を維持した(TradingEconomics: Brent oil)
- WTIは前回の101.41ドルに対し、TradingEconomicsは103.26ドル(前日比1.83%高)と表示する一方、OilPrice.comは98.46ドル(0.57%安)と伝えており、出典で約5ドルの開きがある。限月や取得時刻の違いとみられるが、原因は確認できていない(TradingEconomics: Crude Oil、OilPrice.com)
- 金は前回の4,165.52ドルから4,140.74ドルへ(24.78ドル安)下げ、4,150ドルを割った。銀は56.97ドルから57.09ドルへ小幅に上げ、金と逆の動きになった(TradingEconomics: Gold、TradingEconomics: Silver)
- 天然ガスは前回の3.12ドルから3.04ドルへ下げ、2週間ぶりの安値になった。小麦は659.75セントから656.00セントへ下げた(TradingEconomics: Natural gas、TradingEconomics: Wheat)
昨日と同じこと(継続)
- ホルムズ海峡やアラビア半島周辺での商船への攻撃、フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃という中東の供給不安が続いている
- 小麦が2か月ぶりの安値圏にある状況は前回から変わらない
- 銀は月間で13.51%安と、前回の12.61%安に続いて大きく下げた水準にとどまる
要因の連続性
- 継続要因: 中東の供給不安、FRBの政策をめぐる不透明感、豪州の豊作観測による小麦の重し
- 新規要因: サウジアラビアが紅海側のヤンブー輸出ターミナルに向かうミサイルを迎撃したこと、トランプ大統領とプーチン大統領のディーゼル供給合意への期待、米国が戦略石油備蓄からさらに1,700万バレルを放出すると発表したこと(OilPrice.comの報道)。天然ガスでは温暖な天候が新たな下げ要因になった
- 解消した要因: 前回の新規要因だったウクライナによるロシア製油所攻撃は、本日の出典では言及が確認できなかった
価格サマリー
| 商品 | 価格(2026年10月19日) | 騰落率(前日比) | 前回値(10月16日) |
|---|---|---|---|
| 金(スポット) | 1オンス4,140.74ドル | 0.62%安 | 4,165.52ドル |
| 銀 | 1オンス57.09ドル | 0.17%高 | 56.97ドル |
| WTI原油 | 1バレル103.26ドル(TE) / 98.46ドル(OilPrice) | 1.83%高 / 0.57%安 | 101.41ドル |
| ブレント原油 | 1バレル109.15ドル | 0.64%安 | 109.86ドル |
| 天然ガス(Henry Hub) | 1MMBtu 3.04ドル | 2.52%安 | 3.12ドル |
小麦は1ブッシェル656.00セント(0.68%安、前回659.75セント)。表示値はTradingEconomicsで、原油の比較にはOilPrice.comの値も併記した(TE=TradingEconomics)。取得時刻と限月は確認できていない。
商品別動向
金・銀
TradingEconomics: Goldによると、金は4,140.74ドルで0.62%安、月間では4.66%安である。原油の下げが意識されるなか、市場は連邦準備制度理事会(FRB)の次の政策決定を待っている。CMEのFedWatchでは、今月の利上げ確率が約15%、12月の利上げ確率が約89%とされる。Kitcoは、金が4,200ドル付近の上値の壁に押し返され、根強いインフレと金利上昇が下押しすると伝えている(Kitco: Latest News)。
銀はTradingEconomics: Silverによると57.09ドルで0.17%高、月間では13.51%安である。
原油
ブレントは109.15ドルで、月間では8.78%高、年間では78.91%高である。TradingEconomicsによると、ホルムズ海峡の原油の通過量は日量850万バレルと、先週の2,000万バレルから大きく落ち込んだ。一方、米エネルギー長官は、ペルシャ湾の原油の流れが開戦前の約80%まで戻ったと述べており、価格の上昇を和らげている(TradingEconomics: Brent oil、TradingEconomics: Crude Oil)。
OilPrice.comは、米国が戦略石油備蓄からさらに1,700万バレルを放出すること、イラクの10月の輸出が日量340万バレルと開戦前に近づいたことを伝えている。海峡の通過量と米エネルギー長官の説明は数字が食い違っており、どちらが実態に近いかは確認できていない。
天然ガス
TradingEconomics: Natural gasによると、Henry Hubは3.04ドルで2.52%安、2週間ぶりの安値である。温暖な天候が10月下旬まで続く見通しで、暖房・冷房の需要が抑えられている。貯蔵量は前年同期より3.9%少ないが、過去5年平均を1.3%上回る水準である。LNG輸出施設への流入量は9月の日量179億立方フィートから10月は176億立方フィートへ減った。
農産物
TradingEconomics: Wheatによると、小麦は656.00セントで0.68%安、8月の高値767セントから大きく下げ、2か月ぶりの安値圏にある。ロシアが黒海を避けてバルト海の港から10月に300万トンを輸出する見通しであることと、豪州の作柄が良好との観測が重しである。ウクライナとロシアの対立で黒海の輸送路への懸念は残るが、市場は代替の輸送路に注目している。
急変動の特集
特集なし。1日で3%を超えて動いた商品は、確認できた出典の範囲では見当たらなかった。前回特集した原油は、ブレントが109ドル台で横ばい、WTIは出典により上下に分かれ、方向感が定まらなかった(上の商品別動向を参照)。
強気派 vs 弱気派
金(強気): 調査会社メタルズ・フォーカスは、金が6,000ドル、銀が90ドル超へ戻る可能性があるとし、現状は弱気相場入りではなく調整局面だと位置づけている。ブラックロックのハンブロ氏も、金は上昇余地があると述べた。中国の押し目買いと金上場投資信託(ETF)の保有が2026年の最高を記録していることも支えとされる(Kitco: Latest News)。
金(弱気・慎重): Kitcoは、根強いインフレと金利の上昇が、利回りのある資産への資金移動を促していると伝えている。ウォール街の見方は定まらず、個人投資家側に弱気の偏りがあるという(同上)。具体的な発言者名までは確認できなかった。
原油(弱気): ロイターの調査では、アナリスト31人の2026年のブレント平均予想が1バレル84.50ドルに引き下げられた。ホルムズ海峡の通航が正常化に向かったことが理由とされる。ただしこの記事の日付は確認できず、現在の海峡の混乱とは時点が異なる可能性がある(IDN Financials)。
原油(強気): 今回の出典では、発言者と根拠が確認できる強気の見解は見つからなかった。TradingEconomicsは第4四半期のブレントを113.86ドルと予測しているが、これは同社のモデルによる見通しである(TradingEconomics: Brent oil)。
地政学・物価関連ニュース
TradingEconomicsによると、イラン当局は米国とイスラエルの行動への報復を準備していると警告し、アラビア半島周辺で複数の商船が攻撃を受けた。サウジアラビアはヤンブーの輸出ターミナルに向かうミサイルを迎撃し、フーシ派はサウジへの攻撃を繰り返した(TradingEconomics: Crude Oil)。
トランプ大統領は10月9日、ロシアのプーチン大統領と、米国と世界の市場へのディーゼル供給で合意したと表明した。まず30万トン超、11月に50万トン、その後に100万トンを供給するとされる。専門家は価格への影響は限られるとみている(SAN)。
物価への波及は各国に出ている。OilPrice.comによると、カナダの9月のインフレ率は3.1%で燃料価格が58%上昇し、日本の電気料金は25%上昇した。欧州は冬を前にガスの在庫が少なく、エネルギーコストが電気代や暖房費を通じて家計に響く構図が続く。
テクニカル分析(金・銀・原油・天然ガス・農産物)
今回の出典では、移動平均線とRSIの当日値は確認できなかったため、数値は載せない。確認できた範囲で位置関係を整理する。断定的な売買判断ではない。
金: Kitcoによると、4,200ドル付近が上値の壁として意識されている。10月19日の4,140.74ドルはその壁の約60ドル下にあたる(Kitco: Latest News)。
原油: ブレントは月間で8.78%高と上昇基調にあり、109〜110ドル付近の高値圏にある。前回は取引時間中に110ドルに触れており、この水準を超えられるかが焦点とされる(TradingEconomics: Brent oil)。
銀・天然ガス・小麦: 銀は月間で13.51%安、天然ガスは2週間ぶりの安値、小麦は8月の高値767セントから約15%低い2か月ぶりの安値圏にある。いずれも下げが続いている位置を示す手がかりである。

