前回からの変化

前回(2026-10-24)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前である。週の範囲は10月25日(日)〜31日(土)で、数字は10月30日(金)の終値または表示値を使う。

変わったこと(変化・新規)

  • 日経平均は前週末の6万2693円から6万3290円へ597円(0.95%)上昇した。前週の4.0%安から小幅高に転じたが、27日から29日まで3営業日連続で上げたあと、30日に1369円(2.12%)安と急落した(日本経済新聞)。
  • 米株は3指数とも下落した。S&P500は7,623.68から7,580.07へ0.57%、NASDAQ総合は25,955.34から25,437.00へ2.00%、NYダウは52,215.16ドルから51,770.31ドルへ0.85%下げた。前週はNYダウだけが上昇していたため、前週より下げ方が広がった(みんかぶFX)。
  • 相場の主役は、前週のMeta決算後のAI投資懸念から、今週のアルファベット、インテル、アマゾンの決算に移った。アルファベットは29日に約12.6%安、インテルは30日に28.58%安となった(us_stock 10/30、earnings 10/30、みんかぶFX)。
  • 金は前週末の3,994.60ドルから3,874.08ドルへ3.0%下げ、銀は49.12ドルとなった。いずれも30日のTrading Economicsの表示値である(Trading Economics)。
  • ブレント原油は前週末の116.88ドルから、30日の表示値で112.35ドルへ下がった。ビットコインは約8万1千ドルから約7万7千ドルへ下げた。

昨日と同じこと(継続)

  • AI投資の収益性への不安と、半導体・AI関連株が相場の中心である構図は前週から続いた。
  • 12月の米利上げ観測(約8割の織り込み)と、中東情勢を背景にした原油の100ドル超が続いた(commodity 10/30、fx 10/30)。
  • ホルムズ海峡の通航をめぐる緊張は前週から続き、今週は仲介外交とタンカー事故の両方が報じられた(world_affairs 10/31)。

要因の連続性

  • 継続要因: AI投資の対効果への疑問、米国の利上げ観測、中東の供給不安が前週から引き続き働いた。
  • 新規要因: アルファベットのフリーキャッシュフロー赤字とインテルの弱い見通し、日銀の基調物価2%到達判断、ECBのラガルド総裁の退任表明、米中間選挙が加わった。
  • 解消した要因: 前週の焦点だったFOMC、日銀会合、ブラジル大統領選、イスラエル総選挙という結果待ちは通過した。台風30号は25日夜に温帯低気圧へ変わった。

1. 今週の要点

出来事 関係カテゴリ 週内の推移
AI株の決算売り us_stock, japan_stock, earnings 27日 ナスダック1.18%高 → 29日 アルファベット約12.6%安 → 30日 インテル28.58%安・ナスダック2.86%安
主要中銀の据え置き econ_indicators, fx 28日 FOMC据え置き(反対2) → 29日 ECB据え置き → 30日 日銀据え置き・基調物価2%到達
中東情勢と原油 world_affairs, commodity 週初は交渉をめぐり発信が食い違う → 30日 パキスタン軍が仲介に楽観、タンカー炎上
選挙の結果 world_affairs, election 25日 ブラジルでルラ氏当選 → 27日 イスラエルは過半数なし → 11月3日 米中間選挙へ
金・銀の下落 commodity 29日 銀が年初来安値52.15ドル → 30日 金3,874ドル・銀49ドル台

2. 今週の主要な出来事(横断)

AI関連株と決算

週初は戻りがあった。26日に米国ではAnthropicのIPO申請を受けてAI関連株が反発し、S&P500は0.70%高の7,676.77で引けた(us_stock 10/27)。27日はナスダック総合が1.18%高、日経平均は26日の6万2189円から1078円高の6万3268円へ4営業日ぶりに反発した(us_stock 10/28、japan_stock 10/28)。28日と29日も日経平均は続伸し、29日は705円高の6万4659円と週内の高値をつけた(japan_stock 10/30)。

流れが変わったのは29日である。アルファベットは7〜9月期にクラウド売上が倍増したが、設備投資でフリーキャッシュフローが赤字となり、約12.6%安と過去最大級の下げになった(us_stock 10/30、big_tech 10/29)。引け後にインテルとアマゾンが決算を出し、インテルは見通しの弱さから30日に28.58%安、ナスダック総合は2.86%安、S&P500は1.82%安となった。VIXは20を上回ったと伝えられている(みんかぶFX)。東京では30日に日経平均が一時1900円超下げ、1369円安の6万3290円で終えた(日本経済新聞)。外為どっとコムは、マイクロソフトのフリーキャッシュフローが堅調な一方、アルファベットは悪化し、アマゾンは赤字に転じたと整理している(外為どっとコム)。

主要中銀の会合

28日のFOMCは政策金利を3.75〜4.00%に据え置いたが、2人の委員が利上げを主張して反対した(econ_indicators 10/29)。29日のECBは預金金利2.50%を据え置き、ラガルド総裁は2027年2月に退任する意向を明らかにし、12月の追加利上げの可能性も示した(econ_indicators 10/30、Euronews)。同日の米7〜9月期GDPは年率3.4%と予想の3.2%を上回り、9月のPCE物価指数は前年比3.6%に加速した。

30日に日銀は政策金利を1.25%に据え置いた。投票は賛成8、反対1で、高田創委員が1.50%への引き上げを提案して否決された。日銀は基調的な物価上昇率が2%の目標と整合的な水準に到達したと判断し、植田総裁は利上げ方針を続ける姿勢を示した。外為どっとコムによると、ETFの売却ペースは2027年1月から年およそ3,300億円から8,600億円へ引き上げられる(日本経済新聞、外為どっとコム)。ドル円は157円台半ばで推移した(Trading Economics)。

中東と原油

週初はイランが海峡の再開をめぐって発信が食い違い、トランプ大統領が合意か攻撃かを迫る姿勢を保った(world_affairs 10/26〜10/28)。週末の30日には、パキスタン軍が米国とイランの仲介に慎重ながら楽観を示し、カタールの調停団がテヘランに入った。同じ日、ホルムズ海峡で炎上したタンカーから25人が救助された(world_affairs 10/31、Al Jazeera)。ブレント原油は29日に115.45ドル前後、30日の表示値で112.35ドルだった。

3. 大カテゴリ別の1週間

市場・金融

日本株は上の流れのとおり、26日の503円安から29日の高値まで3営業日続伸し、30日に急落した。中国株は、上海総合指数が27日に1.33%安の3,648.30と約1年2か月ぶりの安値をつけ、28日に0.91%高、29日に0.82%安の3,651.43だった(china_stock 10/28〜10/30)。為替は、ドル円が27日に158円手前まで上がったあと158円近辺で推移し、日銀会合後は157円台半ばとなった(fx 10/28〜10/30)。暗号資産は、27日にカナダ政府がステーブルコインの規則案を公表し、29日に米証券決済機関DTCCがトークン化サービスを始めた。ゴールドマン・サックスは証券貸借の台帳基盤1Sourceに参加した(crypto 10/27〜10/30)。

日本の政策・制度

高市首相は26日のサイバー関係閣僚会議で被害企業の支援拡充を指示し、緊急対策パッケージを来週中にまとめる考えを示した。消費税減税法案は衆院の財務金融委員会で審議が続き、参院の野党6党は特別委員会の設置を審議入りの条件とした(jp_gov_watch 10/28)。改正皇室典範は24日に施行された(jp_law_watch 10/27)。

国際情勢

ブラジル大統領選はルラ氏が51.79%で逆転当選し、ボルソナロ氏は敗北を認めなかった(world_affairs 10/27)。27日のイスラエル総選挙は、首相陣営53議席、対立陣営48議席、アラブ系政党19議席で、どの陣営も過半数に届かなかった(world_affairs 10/30)。ガザでは、国連機関が30日、イスラエル軍の「黄線」の拡大による再避難に警告した(world_affairs 10/31)。

ビジネス・産業

決算では、ボーイングが27日に10.7%下落し、キャタピラーは受注残が過去最高の780億ドルでも増産の制約が意識された(earnings 10/28、10/30)。コンテナ運賃のWCIは4,429ドルへ3%下がり、米国は30日にカナダ産自動車関連の追加関税の対象品目を見直した(trade_watch 10/30)。AnthropicがSECにIPO申請書を提出し、上半期売上は163億ドルと開示した(big_tech 10/29)。

科学技術

ai_newsは、OpenAIのGPT-6.1 Terra、Liquid AIのLFM3、GoogleのGemini 4 Carbon、Mistralの大型モデルLarge 4の重みの公開を扱った(ai_news 10/29〜10/31)。health_watchは、FDAによるB型慢性肝炎薬の承認を伝えた(health_watch 10/27)。cyber_securityは、PHPの重大な脆弱性がCISAの悪用済み一覧に載ったことと、予約システムAmadeusの情報閲覧を扱った(cyber_security 10/30)。tech_regulationは、米ニューメキシコ州の裁判官がMetaに民事制裁金を命じたと伝えた(tech_regulation 10/28)。

社会・生活

台風30号は25日夜に温帯低気圧へ変わり、26日は九州などで局地的な大雨となったが、新たな被害の報道は確認できなかった。熊本地震から3か月となった28日、1,073人が避難所に残り、県は仮設住宅の整備を12月までに終える計画を示した。29日未明には千葉県北東部で最大震度5弱の地震があり、被害情報は入っていない(disaster 10/26〜10/30)。

4. 市場の週間集計

指標 前週末(10/23) 今週末(10/30) 週間の動き
日経平均株価 62,693.16円 63,290.11円 +596.95円(+0.95%)
S&P500 7,623.68 7,580.07 -43.61(-0.57%)
NYダウ 52,215.16ドル 51,770.31ドル -444.85ドル(-0.85%)
NASDAQ総合 25,955.34 25,437.00 -518.34(-2.00%)
WTI原油 103.46ドル 102.94ドル -0.52ドル(-0.5%)
金 3,994.60ドル 3,874.08ドル -120.52ドル(-3.0%)
ビットコイン 81,264.28ドル 76,838.60ドル -4,425.68ドル(-5.4%)
ドル円 156.78円 157.57円 +0.79円(+0.5%、円安)

日経平均は日本経済新聞の30日の終値、米株はみんかぶFXの30日のNY引け値である。原油と金はTrading Economics、ドル円はTrading Economics、ビットコインはCoinDeskの表示値で、取得時刻は確認できておらず、確定終値でないものを含む。前週末の値は10月24日の週報に載せた値である。ブレント原油は前週末の116.88ドルから、30日の表示値で112.35ドル(-3.9%)だった。TOPIXと米10年債利回りの30日の値は確認できなかった。週内の強気・弱気の主張は、「AI投資の収益化が遅れている」という見方と、「大型テック以外や景気の底堅さに投資機会がある」という見方に分かれたが、評価は断定しない(us_stock 10/30)。

5. 先週の予定との答え合わせ

先週日曜(10/25)の今週の予定(week_ahead)で挙げられていた主な予定の結果は以下のとおり。

予定 結果
10/25 ブラジル大統領選の決選投票 実施。ルラ氏が51.79%で逆転当選し、ボルソナロ氏は敗北を認めなかった
10/26〜29 中国の五中全会 開催。公報の内容は確認できていない(未確認)
10/27 イスラエル総選挙 実施。どの陣営も過半数に届かず、連立協議へ
10/28 FOMC 実施。3.75〜4.00%で据え置き、利上げを求める反対が2票
10/28 アルファベット・マイクロソフト決算 実施。アルファベットはフリーキャッシュフロー赤字で29日に約12.6%安、マイクロソフトは時間外で約4%高
10/29 ECB、米GDP・PCE 実施。ECBは据え置き、米GDPは年率3.4%で予想を上回り、PCEは前年比3.6%
10/29 アマゾン決算、インテル決算 実施。アマゾンはAWSが39%増も1株利益が予想に届かず、インテルは見通しが弱く30日に28.58%安
10/30 日銀会合 実施。据え置き予想どおりだが、基調物価の2%到達判断は踏み込んだ内容だった
10/28 英国の秋季予算案、10/30 東京都区部CPI・日本の雇用統計 本稿では結果を確認できていない(未確認)

「山場」とされたアルファベット、アマゾンの決算は、AI投資の収益性が確認できるかどうかが焦点だったが、結果は不安を和らげるどころか、決算後の株価下落とインテルの急落につながった。一方、政策金利は、FOMC、ECB、日銀の3会合とも据え置きで、予想どおりだった。前週の週報が「据え置きとの見方が優勢」としていた点は、そのとおりになった。

6. 来週に持ち越す論点

  • 11月3日の米中間選挙(東京市場は文化の日で休場の見込み)。11月4日未明のAMD決算、アップルの決算、6日の米雇用統計が続く(外為どっとコム)
  • AI投資の収益性と半導体株の行方。インテルとアマゾンの弱い見通しを受けた30日の急落からの戻りが続くかが焦点である
  • 12月の利上げ観測。米国は12月の利上げを約8割織り込み、ECBは12月の追加利上げを示唆し、日銀は2%到達を判断した。次の会合に向けた発言が手がかりになる
  • 米国とイランの仲介の行方とホルムズ海峡の通航、原油の100ドル超の高止まり。11月1日にOPECプラス有志7か国の会合が予定されている
  • イスラエルの組閣協議(最終結果の認定は11月4日ごろの見込み)、高市首相が来週中にまとめるとしたサイバー緊急対策パッケージ、消費税減税法案の審議