前回からの変化

前回(2026-10-03)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前である。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回の持ち越し論点だった「FRBの追加利上げ」は、雇用統計後に10月の織り込みが約16%まで低下していたが、今週は10月5日の米ISM非製造業の物価指数(74.0、2022年7月以来の高さ)と、10月8日午前3時に公表されたFOMC議事要旨の年内追加利上げへの言及で観測が再燃した。10月9日時点で、10月は据え置き約82%、12月の利上げ約81%の織り込みと伝えられた(us_stock 10/6・10/8、commodity 10/10、TradingEconomics: Gold)。
  • 日経平均は前週末の6万8309円から6万9030円へ721円上昇した。10月6日には終値で3か月ぶりに7万円台(7万683円98銭)を回復したが、8日に993円安と大きく下げ、週末は7万円を下回った(japan_stock 10/7〜10/10、マネックス証券)。
  • 前回持ち越した米イランの停戦協議は、手順の対立による停滞から、トランプ大統領が10月8日に11月3日の中間選挙前にイランを攻撃しないと表明する局面に移った。一方でホルムズ海峡のタンカー攻撃は続き、ブレント原油は101ドル前後(10/6)から104ドル台へ上昇した(world_affairs 10/9・10/10、commodity 10/7・10/10)。
  • 臨時国会は、前回の「5日召集の伝達」から、10月5日に召集され高市首相が所信表明演説を行う段階に進んだ(NHKニュース)。
  • 台風25号の死者は前回の14人から15人(千葉10人・神奈川5人)に増え、行方不明者は1人からゼロになった(熊本日日新聞)。台風27号は10月8日に温帯低気圧へ変わり、新たに台風29号が小笠原諸島への注意材料になった(disaster 10/8〜10/10)。
  • 前回持ち越した中国市場の再開とEU通商担当委員の訪中は、10月8日の取引再開と9日の欧中協議終了という形で結果が出た(eunews)。

昨日と同じこと(継続)

  • 米長期金利の高止まりは前週から続き、10年債利回りは前週末の5.28%から5.24%へ小幅に低下したものの、週内には一時5.36%をつけた(us_stock 10/8、10/10)。
  • 半導体・AI関連株が相場の主役である構図は続いた。10月5日にNASDAQ総合とエヌビディアが最高値をつけた(us_stock 10/6)。
  • ホルムズ海峡を巡る中東情勢と原油の高止まりという構図は前週から続いた。
  • 台風25号の復旧作業は引き続き進行中で、印旛沼の堤防は応急措置から本復旧へ進む段階にある(disaster 10/10)。

要因の連続性

  • 継続要因: 米長期金利の高止まりと中東情勢を背景にした原油高が、株式・為替・商品の重しや変動要因として前週から働いた。
  • 新規要因: 米ISM非製造業の物価指数の上昇、FOMC議事要旨の年内追加利上げへの言及、OpenAIの売上推計の報道、ハリケーン「イザイアス」による米メキシコ湾の原油減産が加わった。
  • 解消した要因: 前週の焦点だった日銀短観と米雇用統計、中国の国慶節休場は通過した。雇用統計後に強まっていた利上げ観測の後退は、議事要旨とISM物価で薄れた。台風27号も脅威が後退した。

1. 今週の要点

出来事 関係カテゴリ 週内の推移
利上げ観測の再燃 us_stock, fx, commodity 10/5 ISM物価74.0・10年債5.31% → 10/8 議事要旨が年内の追加利上げに言及 → 10/9時点で12月利上げ織り込み約81%
OpenAIの売上報道による半導体株の急落と戻り us_stock, japan_stock, ai_news 10/6 S&P500が最高値7,818.93 → 10/8 報道で半導体株が急落(S&P500 0.47%安、日経平均993円安) → 10/9 続報で反発
日経平均の7万円台回復と再割れ japan_stock 10/5 1,637円高 → 10/6 7万683円98銭 → 10/8 6万9042円 → 10/9 6万9030円
中東情勢と原油の高止まり world_affairs, commodity, fx ホルムズ海峡のタンカー攻撃が継続 → 10/8 トランプ氏が選挙前の攻撃を否定 → ブレントは104ドル台
欧中通商協議の初期合意 world_affairs 10/8 北京で協議開始 → 10/9 ハイブリッド車の対EU輸出を5割超減らす方向で一致 → 15〜16日に欧州理事会が最終判断

2. 今週の主要な出来事(横断)

議事要旨で利上げ観測が再燃

先週は雇用統計の大幅な下振れで10月の利上げ観測が後退したが、今週はその流れが反転した。10月5日発表の米ISM非製造業景況指数(9月)は54.9と予想の55前後を小幅に下回ったものの、物価指数は74.0へ上昇し、10年債利回りは5.31%と52週高値圏に達した(us_stock 10/6)。10月8日午前3時に公表された9月FOMCの議事要旨は、年末までに追加の利上げが適切となる可能性が高いとの趣旨を示した(us_stock 10/8)。金は4110ドル前後へ反落し(commodity 10/8)、市場は12月の利上げを約8割織り込む水準で週を終えた(TradingEconomics: Gold)。

半導体株の高値更新とOpenAI報道による急落

NASDAQ総合は10月5日に最高値をつけ、S&P500も10月6日に7,818.93と8月以来の最高値を更新した(us_stock 10/6・10/7)。流れが変わったのは10月8日で、フィナンシャル・タイムズがOpenAIの年換算売上高を推計より約200億ドル少ない500億ドルと報じ、半導体株が急落した。S&P500は0.47%安の7,765.36、日経平均は993円安となった(us_stock 10/9、japan_stock 10/9)。10月9日はブルームバーグが年末までに700億ドル以上を見込むと伝え、AI関連株が戻した。NYダウは0.83%高、S&P500は0.59%高で週を終えた(Yahoo Finance)。

日本株は7万円台を回復して再び割り込む

日経平均は10月5日に1,637円高の6万9946円86銭、6日に7万683円98銭と、終値で3か月ぶりに7万円台を回復した。7日は利益確定売りで648円安の7万35円71銭と7万円台を保ったが、8日の993円安で6万9042円となり、9日は朝に約890円安(安値6万8150円)をつけた後、後場に持ち直して11円安の6万9030円92銭で終えた(マネックス証券)。週間では721円高で、4週連続の上昇である(外為どっとコム)。

ホルムズ海峡のタンカー攻撃と選挙前のイラン攻撃否定

ホルムズ海峡では、ほぼ毎日タンカーが攻撃を受ける状況が続いた。10月8日のブレントは約4%上昇して103.92ドルとなり、10月9日は104.43ドルでほぼ横ばいだった(commodity 10/9・10/10、world_affairs 10/10)。トランプ大統領は10月8日、11月3日の中間選挙までイランを攻撃しないと述べ、ロシアのディーゼル放出への同意も伝えられたが、原油は下げ止まらなかった。ドル円は158円台前半で、介入警戒と日米金利差が交錯した(みんかぶFX)。

臨時国会の召集と欧中通商協議

臨時国会は10月5日に召集され、高市首相は所信表明演説で食料品の消費税減税への理解を求め、財源は赤字国債に頼らず確保すると述べた(NHKニュース)。国際面では、EUのシェフチョビッチ通商担当委員が北京での協議を9日に終え、中国がハイブリッド車の対EU輸出を5割超減らす方向でEUと一致した。レアアースと永久磁石の輸出許可の円滑化でも一致し、10月15〜16日の欧州理事会が実施の手順を最終判断する(eunews)。

3. 大カテゴリ別の1週間

市場・金融

us_stockはS&P500が10月5日の7,773.95から6日の最高値7,818.93、7日の下落、8日の急落、9日の反発と推移した。japan_stockは前述のとおり7万円台の回復と再割れを経て、週間で721円高となった。china_stockは国慶節明けの10月8日にハンセン指数が1.43%安の2万3785.79と約3か月ぶりの安値をつけ、上海総合指数も0.79%安となったが、9日はハンセン指数が1.79%高の2万4211.35へ反発した。fxはドル円が157円台後半から158円台前半で方向感を欠いた。commodityは金が10月8日の4,133ドルから9日の4,193ドルへ戻した。cryptoは英国のロシア制裁回避事業者への制裁や、タイの現地ETF解禁(10月16日施行)が話題となり、ビットコインは8万3千ドル前後で推移した。earningsはコンステレーション・ブランズ(10/6)、ファーストリテイリング(10/8)、デルタ航空(10/9)が話題となった。経済指標カテゴリは、今週は生成条件を満たす日がなく、レポートは出ていない。

日本の政策・制度

臨時国会が10月5日に召集され、政府は消費税減税法案など21の新規法案を提出する方針を示した。野党は7日からの代表質問で財源を追及する構えである(jp_gov_watch 10/7、NHKニュース)。労働施策総合推進法の改正は10月1日に施行され、カスタマーハラスメント対策と就職活動中のセクハラ防止が全事業主の義務になった(jp_law_watch 10/6)。

国際情勢

EUと中国の通商協議、トランプ大統領の選挙前のイラン攻撃否定が中心となった。ブラジル大統領選の第1回投票はルラ氏とフラビオ・ボルソナーロ氏の決選投票となり、決選は10月25日に行われる(world_affairs 10/6)。米国はイランの自動車産業などに追加制裁を科し、G7は最大1億バレルの石油備蓄放出で合意した(world_affairs 10/4)。

ビジネス・産業

ファーストリテイリングは10月8日の引け後に、2026年8月期の親会社帰属利益が25.3%増の5,425億円と発表し、今期も3.2%増で7期連続の最高益を見込んだ。ただし最終益の見通しが市場予想を下回るとされ、9日の株価は4.0%安の7万1780円となった(earnings 10/9、japan_stock 10/10)。デルタ航空は燃料費の高騰を受けて通期のEPS見通しを5.10〜5.60ドルへ下方修正した(earnings 10/10)。Googleは電力大手のコンステレーションと計3,590メガワットの電力契約を結んだ(big_tech 10/8)。

科学技術

ai_newsは、Reflection AIが総501B規模のオープンウェイト推論モデルBeamを発表し重みを10月中に公開予定としたほか、AnthropicのClaude Haiku 5.5、OpenAIのDecisions API、MistralのLarge 4が話題となった(ai_news 10/6〜10/10)。FDAがパーキンソン病薬などを相次いで承認した(health_watch 10/6)。cyber_securityではIDCフロンティアのクラウドがランサムウェア攻撃を受け、495の企業や自治体のサービスが停止した(cyber_security 10/9)。

社会・生活

台風25号の復旧が続き、死者は千葉県10人・神奈川県5人の計15人、行方不明者はゼロとなった(熊本日日新聞)。熊本地震で運休していたJR鹿児島線の宇土〜八代間は、10月10日の始発から74日ぶりに運転を再開する(disaster 10/10)。台風29号は10日早朝に非常に強い勢力となる見込みで、小笠原諸島への影響に注意が必要である。

4. 市場の週間集計

指標 前週末(10/2) 今週末(10/9) 週間の動き
日経平均株価 68,309.46円 69,030.92円 +721.46円(+1.1%)
TOPIX 約4,091 4,104.81 約+14(+0.3%)
S&P500 7,722.72 7,811.54 +88.82(+1.15%)
NYダウ 51,176.96ドル 51,654.95ドル +477.99ドル(+0.93%)
NASDAQ総合 27,190.86 27,366.17 +175.31(+0.64%)
ドル円 157.85円(10/2 NY終値) 158円台前半(NY終値は未確認) 約0.3円の円安
米10年債利回り 5.28% 5.24% 0.04ポイント低下
WTI原油 91.26ドル 約91.6ドル 約+0.4ドル(+0.4%)
金 4,166.20ドル 4,193.00ドル +26.80ドル(+0.6%)
ビットコイン 84,438.61ドル 83,042.05ドル -1,396.56ドル(-1.7%)
ハンセン指数 前週末値は未確認 24,211.35 週間騰落は未確認

前週末値は前回(10/3)の週報掲載値、今週末値は週内レポートに記載された10月9日の値による。米国株はAP通信、日本株はマネックス証券、ドル円はみんかぶFX、金はTradingEconomics、ビットコインはCoinDeskの表示値である。金・原油・ビットコインは出典や限月、取得時点が前回と異なる可能性があり、騰落は目安である。上海総合指数は国慶節の休場を挟み、前週末値を確認できなかった。週内の強気・弱気の主張は、日本株の「もち合い上放れのトレンド維持」(強気)と「上ヒゲの長い十字線で一服しやすい」(弱気)に分かれたが、評価は断定しない。

5. 先週の予定との答え合わせ

先週日曜(10/4)の今週の予定(week_ahead)で挙げられていた主な予定の結果は以下のとおり。

予定 結果
10/5 臨時国会の召集・所信表明演説 実施。消費税減税への理解を求め、財源は赤字国債に頼らないと表明
10/5 米ISM非製造業景況指数 実施。54.9で予想の55.0〜55.2を小幅に下回ったが、物価指数は74.0へ上昇した
10/8 FOMC議事要旨(9月会合分) 実施。年内の追加利上げの可能性に言及し、利上げ観測が強まった
10/5〜7 中国の国慶節休場 予定どおり休場し、8日に再開。ハンセン指数は8日に1.43%安
10/8 ファーストリテイリング・セブン&アイ決算 実施(引け後)。ファストリは最高益だが見通しが予想を下回り、9日は4.0%安
10/9 オプションSQ 実施。夜間先物安で393円安から始まったが後場に戻した
10/9 米ミシガン大消費者信頼感指数(速報) 実施。46.3で予想の47.6を下回り、5月以来の低水準
10/5 ENAのトークンアンロック 本稿では結果を確認できていない(未確認)
10/7 TOPIX新構成銘柄の発表 本稿では結果を確認できていない(未確認)
10/9 安川電機の決算 引け後に発表予定だったが、結果は本稿では未確認

「注目」とされたFOMC議事要旨は、金や米長期金利に影響して相場を動かした。一方、今週最も相場を動かしたのは予定表に無かったOpenAIの売上推計の報道だった。OPECプラスの10月4日の会合は、11月の生産目標の据え置きとなった(commodity 10/6)。

6. 来週に持ち越す論点

  • 10月27〜28日のFOMCに向けた利上げの可否と、12月の利上げ織り込み(約8割)の行方。来週の米CPI(14日)が材料になる
  • 臨時国会での消費税減税法案の審議と財源の議論、10月29〜30日の日銀会合での連続利上げの有無
  • 米イランの関係が選挙前の攻撃否定のまま落ち着くか、ホルムズ海峡のタンカー攻撃と原油の高止まりが続くか
  • 10月15〜16日の欧州理事会による、中国とのハイブリッド車・レアアースの初期合意の最終判断
  • OpenAIの売上見通しを巡る続報と半導体株の値動き、台風25号の復旧と台風29号の小笠原諸島への影響