前回からの変化

前回(2026-10-10)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前である。

変わったこと(変化・新規)

  • 日経平均は前週末の6万9030円から6万5324円へ3706円(5.4%)下落した。前週は4週連続の上昇で7万円に迫ったが、今週は15日に3318円安と歴代3位の下げ幅を記録した(japan_stock 10/14〜10/16、日本経済新聞)。
  • 米株は前週の最高値圏から一転した。S&P500は7,811.54から7,659.44へ1.95%下落し、ナスダック総合は4.48%下落して6月以来の週間下落率になった(Yahoo Finance)。
  • 前週は議事要旨による利上げ観測の再燃だったが、今週は14日の米9月CPIが前年比3.7%と予想の3.6%を上回り、コアも2.6%と予想を上回った。15日の米PPIは前月比1.3%上昇と予想(0.5〜0.6%上昇)を大きく超えた(econ_indicators 10/15、us_stock 10/16、Quartz)。
  • 前週の主役はOpenAIの売上報道だったが、今週はAI基盤企業の債務への懸念が主役になった。CoreWeaveの社債が急落し、16日のNYで同社株は12%安、フィラデルフィア半導体株指数は8日続落した。
  • 前週持ち越した欧州理事会の判断は、15〜16日の首脳会議で、欧州委員会に新しい対中通商防衛の手段を作らせる方向となった(world_affairs 10/17、Euronews)。

昨日と同じこと(継続)

  • 米10年債利回りは高水準が続いた。前週末の5.24%から5.10%へ低下したものの、5%台は保っている(us_stock 10/16、Yahoo Finance)。
  • 中東情勢を背景に原油が高止まりした。16日のWTI原油(11月限)は99.02ドルで引けた。
  • 半導体・AI関連株が相場の主役である構図は変わらない。ただし方向は上昇から下落へ変わった。

要因の連続性

  • 継続要因: 米長期金利の高止まりと中東情勢を背景にした原油高が、株式の重しとして前週から働いた。
  • 新規要因: 米CPI・PPIの上振れ、CoreWeaveなどAI基盤企業の債務懸念が新たに加わった。
  • 解消した要因: 前週の焦点だったFOMC議事要旨、ファーストリテイリング決算、中国の国慶節休場は通過した。台風29号は12日に小笠原近海を通過し、日本から離れた(disaster 10/13)。

1. 今週の要点

出来事 関係カテゴリ 週内の推移
米CPI・PPIの上振れと利上げ観測 econ_indicators, us_stock, fx, commodity 14日 CPI 3.7%(予想3.6%)で S&P500 1.1%安 → 15日 PPI 前月比1.3%上昇 → 16日 ウォーシュ議長は利上げの是非を示さず
AI基盤企業の債務懸念と半導体株の急落 us_stock, japan_stock, china_stock 14日 ASML決算後に東京で半導体売り → 15日 日経平均3318円安 → 16日 NYでCoreWeave 12%安、半導体株指数は8日続落
日経平均の急落と反発 japan_stock 13日 6万7777円 → 15日 6万4425円 → 16日 6万5324円
中国株の下落 china_stock 12日 上海総合3797.24 → 15日 3707.48と約1年2か月ぶりの安値
EU首脳会議の対中防衛とウクライナ支援 world_affairs, trade_watch 15日 開幕 → 16日 対中防衛の新手段を欧州委に指示、ウクライナ支援と対ロ制裁の維持を確認

2. 今週の主要な出来事(横断)

米物価指標の上振れと利上げ観測

14日夜の米9月CPIは前年比3.7%で、予想の3.6%を上回った。コアは2.6%に加速し、ガソリンが前月比9.1%上昇してエネルギー指数を押し上げた(econ_indicators 10/15、Quartz)。米国株はS&P500が1.1%安、ナスダック総合が1.9%安と7月以来の下げ幅になった(us_stock 10/15)。金は1.35%安の4,105ドル、銀は5.97%安の55.64ドルと急落し、12月の利上げ確率は約99%まで上がった(commodity 10/15)。15日のPPIは前月比1.3%上昇、前年比6.3%上昇と予想を大きく上回ったが、小売売上高は前月比0.8%増にとどまり、米国債が買われて長期金利は低下した(us_stock 10/16、fx 10/16)。16日にバンコクで対談したウォーシュFRB議長は、10月27〜28日の会合について「会合を事前に決めつけない」と述べ、利上げの是非を示さなかった(Yahoo Finance)。

AI基盤企業の債務懸念で半導体株が崩れる

14日の東京は、ASMLの決算を受けて東京エレクトロンなどが売られ、日経平均は朝方の630円高から5日続落の6万7744円で終えた(japan_stock 10/15)。15日は米CPI上振れとコアウィーブの社債急落が重なり、日経平均が3318円安の6万4425円と歴代3位の下げ幅になった。アドバンテストは15%安で指数を約1300円押し下げ、TOPIXは約2か月ぶりに4000を割り込んだ(japan_stock 10/16、日本経済新聞)。16日の東京は、AI投資の持続性への懸念がいったん和らいだとして898円高の6万5324円と7営業日ぶりに反発した(日本経済新聞)。しかし16日のNYはS&P500が1.09%安の7,659.44、ナスダック総合が2.14%安の26,140.03で、CoreWeaveは12%安、半導体株指数は3.8%安だった。投資家はAI基盤企業の債務懸念と原油高を警戒したという(Yahoo Finance)。

中国株は約1年2か月ぶりの安値

上海総合指数は12日の3797.24から15日の3707.48へ下げ、2025年8月以来の安値をつけた。15日はハンセン指数も1.03%安で、香港の半導体株は平均12.2%安と急落した(china_stock 10/13、10/16、財経新聞)。14日に発表された9月の中国CPIは前年比0.9%上昇と予想を下回り、PPIは5.0%上昇と予想を上回った(china_stock 10/15)。

EU首脳会議と米欧の亀裂

EU首脳会議は15〜16日にブリュッセルで開かれた。首脳は欧州委員会に新しい対中通商防衛の手段を求め、化学品と機械には一方的なセーフガードを遅滞なく検討するよう要請した。7年予算は進まず、11月26日の特別首脳会議に持ち越した。16日はゼレンスキー大統領が出席し、ウクライナ支援の継続と対ロ制裁の維持を確認した(world_affairs 10/17、Euronews)。

3. 大カテゴリ別の1週間

市場・金融

us_stockは10月12日にNYダウが3日続伸した一方でナスダックは半導体売りで反落し、14日のCPI後に急落、15日はダウ平均が1.1%高と反発、16日に再び下落した。fxは、ドル円が14日のCPI後に159円手前へ急伸したが158円55銭付近の200日移動平均線を維持できず、15日のNYでは158円台前半で引けた(fx 10/15、10/16)。commodityは、金が14日に1.35%安、15日に1.59%高の4,170.81ドルと振れた(commodity 10/15、10/16)。cryptoは、欧州37行のユーロ建てステーブルコイン連合Qivalisがオランダ中銀から免許を取得し、マスターカードとビザがステーブルコインの基盤を実用に移すなど、決済インフラの話題が続いた(crypto 10/15、10/16)。earningsは、米大手銀の決算でゴールドマンが予想を上回り、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカが予想を下回った。TSMCの7〜9月期純利益は7,630億台湾ドルと過去最高だったが、株価は2%安だった(earnings 10/14、10/15、us_stock 10/16)。

日本の政策・制度

政府は9日、食料品の消費税率を来年4月から2年間1%に下げる法案を閣議決定し、臨時国会に提出した。高市首相は減税の財源を特例公債に頼らないとしたが、具体策は示していない(jp_gov_watch 10/14、NHKニュース)。

国際情勢

EU首脳会議の結果は前述のとおりである。中東では、イラン高官が米国主導の原油輸送網を攻撃目標と明言し、ホルムズ海峡周辺で商船6隻が被弾したと伝えられた(world_affairs 10/14)。中国の9月輸出は前年比36.3%増となった(world_affairs 10/15)。

ビジネス・産業

AmazonがAI高速化企業Decartを約70億ドルで買収する協議を進めていると報じられ、MicrosoftはTSMC製造のAIチップMaia 300を発表した(big_tech 10/15)。新ビジネスでは、被害者を装うAIで詐欺師から情報を集めるApateが紹介された(new_business 10/15)。

科学技術

ai_newsは、Gemini 4 Argonの一般提供、Claude Haiku 5.5、Work IQの試験版などを扱い、15日には重みを公開するMetaのMuse Spark Openが加わった(ai_news 10/11〜10/17)。sci_breakthroughは、ノーベル化学賞が日本から3年連続で決まったことを伝えた(sci_breakthrough 10/12)。cyber_securityでは、ブックオフで最大約643万件の会員情報が漏えいした可能性が公表され、IDCFクラウドは復旧が続いた(cyber_security 10/16)。health_watchではFDAが乳がん薬ツカチニブなどを承認した(health_watch 10/13)。

社会・生活

パナマでM7.7の地震が起き、住宅1100戸超が壊れて非常事態宣言が出たが、死者は報告されなかった(disaster 10/13、10/15)。日本国内では台風29号が12日に小笠原近海を通過して日本から離れ、14日は人的被害を伴う新たな災害は確認されなかった(disaster 10/13〜10/15)。

4. 市場の週間集計

指標 前週末(10/9) 今週末(10/16) 週間の動き
日経平均株価 69,030.92円 65,324.29円 -3,706.63円(-5.4%)
S&P500 7,811.54 7,659.44 -152.10(-1.95%)
NYダウ 51,654.95ドル 52,002.41ドル +347.46ドル(+0.67%)
NASDAQ総合 27,366.17 26,140.03 -1,226.14(-4.48%)
米10年債利回り 5.24% 5.10% 0.14ポイント低下
WTI原油 約91.6ドル 99.02ドル(11月限) 約+7.4ドル(約+8%)
金 4,193.00ドル 4,165.52ドル -27.48ドル(-0.7%)
ビットコイン 83,042.05ドル 81,570.40ドル -1,471.65ドル(-1.8%)

日経平均は日本経済新聞、米株・米10年債・原油は16日のNY引けでYahoo Finance、金はTradingEconomics、ビットコインはCoinDeskの表示値である。金とビットコインは取得時点が16日のNY引けと一致しない可能性があり、前週末値は先週の週報の掲載値である。原油は前週末値が約値で、限月の違いもありうるため、騰落は目安である。ドル円は10月9日のNY終値158円31銭から、15日のNY終値は158円台前半と大きく変わらず、16日のNY終値は確認できなかった。TOPIXは15日に3,999.34(10月9日は4,104.81)で、16日の終値は確認できなかった。上海総合指数は15日に3,707.48、ハンセン指数は24,062.72(10月9日の24,211.35から0.6%安)で、16日の値は確認できなかった。週内の強気・弱気の主張は、「利上げ継続への警戒」と「PPIの内訳は落ち着いている」との見方に分かれたが、評価は断定しない。

5. 先週の予定との答え合わせ

先週日曜(10/11)の今週の予定(week_ahead)で挙げられていた主な予定の結果は以下のとおり。

予定 結果
10/12 東証と米債券市場の休場 予定どおり。13日の東京は4日続落の6万7777円で再開
10/14 米9月CPI 実施。総合3.7%、コア2.6%と予想を上回り、米株が急落した
10/14〜15 ASML・TSMC決算 実施。ASML後に東京で半導体株が売られ、TSMCは純利益が過去最高でも株価は2%安
10/13〜15 米大手銀の決算 実施。ゴールドマンは予想超え、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカは予想を下回った
10/15 米PPI・小売売上高 実施。PPIは前月比1.3%上昇、小売売上高は0.8%増と、ともに予想を上回った
10/16 ウォーシュFRB議長の対談 実施。利上げの是非は示さなかった
10/15〜16 植田総裁挨拶・内田副総裁講演 本稿では内容を確認できていない(未確認)

「注目」とされた米CPIは相場を動かし、高い注目度を裏付けた。一方、週後半に最も相場を動かしたのは、予定表に無かったAI基盤企業の債務懸念だった。

6. 来週に持ち越す論点

  • 10月27〜28日のFOMCに向けた利上げの可否。10月の織り込みは15日に一時50%へ上がった後33%程度へ低下し、12月は約99%とされた(fx 10/15、commodity 10/15)。FRBの発言自粛期間に入り、新しい手がかりは物価・雇用指標が中心になる
  • AI基盤企業の債務懸念と半導体株の行方。16日のNYの大幅安は、日本時間の週明けに響く可能性がある
  • 臨時国会での食料品の消費税減税法案の審議と、財源の具体策。日銀会合は10月29〜30日に予定されている(前回の週報の記載)
  • 欧州委員会による対中通商防衛の提案(年末まで)と、11月26日のEU特別首脳会議、ウクライナ支援の追加資金。ブラジル大統領選の決選投票は10月25日
  • ホルムズ海峡をめぐる中東情勢と原油の高止まり。20日にはH3ロケットで火星衛星探査機MMXが打ち上げられる予定(sci_breakthrough 10/12)