前回からの変化

前回(2026-09-26)との比較。本カテゴリは週次のため、比較対象は1週間前である。

変わったこと(変化・新規)

  • 前回の持ち越し論点だった「FRBの10月利上げ」は、市場の織り込みが9月25日の77.5%から、9月28日に66.6%、10月1日に約37%、雇用統計後に約16%へ低下した(econ_indicators 9/28、us_stock 10/2、Yahoo Finance)。
  • 台風26号「スリゲ」は、前回は沖縄接近の見込みだったが、10月1日未明に伊豆諸島南部を通過し、関東の追加被害の懸念は後退した(disaster 10/2)。
  • 台風25号は死者12人から14人、行方不明は3人から1人へ変化し、印旛沼の決壊4か所のうち3か所で応急復旧が完了した(NHKニュース)。
  • 前回持ち越した「イランの7日以内のホルムズ海峡開放提案への米国の回答」は、トランプ大統領が拒否と報じられた後、10月1日には停戦の段取りは大筋で一致するが実施の順序で折り合わず協議が停滞した(world_affairs 9/27、Just Security)。
  • 前回持ち越した中国の住宅ローン補助は、9月29日に人民銀行のPSL金利引き下げと補助の決定が伝えられ、10月1日から初の利子補給が始まった(china_stock 10/1、10/2)。
  • ドル円は前回の156円94銭から、10月1日のNY市場終値で158円05銭へ円安に振れた(財経新聞)。
  • Bitgetの流出事件は、出金再開(9月28日から段階的)に加え、北朝鮮の関与が判明し、9月の暗号資産被害は7億6640万ドルと年間最悪になった(crypto 9/28、9/30、10/1)。

昨日と同じこと(継続)

  • 米長期金利の高止まりは今週も続き、10月1日には10年債利回りが一時5.34%と2002年以来の高水準をつけた(終値は5.24%)(us_stock 10/2)。
  • 半導体・AI関連株が相場の主役である構図は前週から続いた。
  • ホルムズ海峡を巡る米イラン交渉と原油の乱高下という構図は前週から続いた。
  • 台風25号の復旧作業(堤防、鉄道、停電・断水)は引き続き進行中である。

要因の連続性

  • 継続要因: 米長期金利の高止まりと中東情勢を背景にした原油高が、株式・為替・商品の重しや変動要因として前週から働いた。
  • 新規要因: 米コアPCE価格指数(前年比3.0%)の予想比下振れ、マイクロンの好決算、日銀短観の予想比下振れ、雇用統計の大幅下振れが加わった。
  • 解消した要因: 前週の焦点だった米中・日米首脳会談の結果待ちと、台風26号による追加災害リスクは、いずれも区切りがついた。

1. 今週の要点

出来事 関係カテゴリ 週内の推移
米雇用統計の大幅下振れと利上げ観測の後退 econ_indicators, us_stock, fx, commodity 週初は10月利上げ確率66.6%(9/28)→10/1に約37%→10/2の雇用統計(+2.9万人、失業率4.2%)後に約16%
米長期金利の高止まり econ_indicators, us_stock, japan_stock 9/30に30年債が2002年以来の高水準→10/1に10年債が一時5.34%→10/2は5.28%
半導体株高と日経平均の最高値圏推移 japan_stock, us_stock, earnings 9/28〜29は反落(計約880円安)→9/30のマイクロン決算を受け10/1に2203円高の6万8957円→10/2は647円安
台風25号の復旧と台風26号の通過 disaster 死者14人・行方不明1人→印旛沼の堤防は4か所中3か所で応急復旧済み→台風26号は伊豆諸島を通過し影響は縮小
米イラン停戦協議の停滞と原油の乱高下 world_affairs, commodity 9/27にトランプ氏が提案拒否と報道→9月末に原油が急落→10/1以降は手順の対立で停滞し原油は再び反発

2. 今週の主要な出来事(横断)

雇用統計を軸にした利上げ観測の巻き戻し

週の前半は、FRB高官のタカ派発言と長期金利の上昇を受け、10月利上げの織り込みが高い水準にあった。9月28日の経済指標レポートでは10月FOMCの利上げ確率が66.6%まで低下していた。9月29日のレポートは、FRB・日銀・ECBがそろって利上げに動いた局面で米長期金利が5.2%台にあると伝え、9月30日には30年債利回りが2002年以来の高水準に達した。10月1日の米コアPCE(8月分)は前年比3.0%と予想を下回り、利上げ観測はやや後退した(econ_indicators 9/29〜10/1)。

そして10月2日の米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数が2.9万人増と予想の9万人を大きく下回り、失業率は4.2%に上昇、平均時給は前年比3.0%に鈍化した(Verified Investing)。10月利上げの織り込みは約16%まで低下し、NASDAQ総合は1.2%上昇した(Yahoo Finance)。一方、10年債利回りは5.28%と高止まりしており、「利上げ観測の後退」と「長期金利の高さ」が併存する状態で週を終えた。

半導体株高と日本株の最高値圏推移

日経平均は9月28〜29日に2日続けて反落(japan_stock 9/29、9/30)した後、9月30日(米マイクロンの決算発表の日)に1272円高、10月1日に2203円高の6万8956円72銭と急伸した(japan_stock 10/1、10/2)。マイクロンの2026年度第4四半期売上高は542億ドルと予想を大幅に上回った(earnings 10/1)。10月2日は高値警戒感と米雇用統計を控えた様子見で647円安の6万8309円46銭と3日ぶりに反落した(財経新聞)。

日銀短観と日銀の連続利上げ観測

10月1日の日銀短観(9月調査)で大企業製造業の業況判断DIはプラス24と予想のプラス25を下回ったが、約8年半ぶりの高水準を維持した。企業の物価見通しが小幅に低下したため、10月29〜30日の日銀会合で連続利上げを急ぐ材料にはならないとの見方が出た(いずれも民間の見方)(OANDA)。ドル円は10月1日のNY市場で157円23銭から158円25銭の間で動き、158円05銭で取引を終えた(財経新聞)。

台風25号の復旧と台風26号の通過

台風25号の死者は14人(千葉9人・神奈川5人)、行方不明は1人となった(disaster 10/2)。印旛沼の決壊した堤防4か所のうち3か所で応急復旧が完了し、残る1か所も4日までの完了を見込む(NHKニュース)。台風26号は10月1日未明に伊豆諸島南部を通過し、活発な雨雲は離れた。

米イラン停戦協議の停滞

前週に示されたイランの提案に米国が回答し、停戦に必要な段取りは大筋で一致したものの、実施の順序で折り合わず協議は停滞した(Just Security)。WTI原油は90ドル台を維持し、10月1日は米軍の中東増派報道などを受けて前日比3.14%高の93.26ドルとなった(みんかぶFX)。

3. 大カテゴリ別の1週間

市場・金融

econ_indicatorsは、9月28日の日銀議事要旨、10月1日の日銀短観、10月2日の米雇用統計と、予定されていた指標が続いた。fxは157〜158円台で方向感を欠く展開が続き、10月1日に158円台へ上昇した。us_stockは9月29日の反落、9月30日の続落、10月1日の3指数そろっての小幅高、10月2日の上昇と推移した。china_stockは9月29日に上海総合が2か月ぶりの安値に沈んだ後、PSL金利の引き下げと住宅ローン補助の決定を受け、10月1日の国慶節休場入り前に本土・香港株が上昇した。commodityは金が実質金利の上昇で急落した後、10月2日に4177ドルへ反発し、原油は米備蓄放出で急落した後に反発した。cryptoはビットコインが8万2千〜8万4千ドル台で推移し、取引所Bitgetの流出事件で被害額が3.9億ドルに拡大した。earningsはカーニバル(9/30、最高益と通期見通しの上方修正)、マイクロン(10/1)、ナイキ(10/2、通期売上は高単一桁減の見通し)が話題となった。

日本の政策・制度

木原官房長官が9月29日に臨時国会を10月5日に召集すると伝達し、消費税減税法案が最大の焦点となる(jp_gov_watch 9/30)。国会は閉会中のため、法案の成立・公布の実績は今週もない。

国際情勢

米イラン協議の停滞に加え、ロシアがカリーニングラード封鎖なら核を含む全戦力で対抗すると警告し、中国の王毅外相が日本側に台湾答弁の是正を要求するなど、日中関係の緊張が続いた(world_affairs 9/30、10/1、10/2)。EU通商担当委員は10月8〜9日に訪中する予定である。

ビジネス・産業

trade_watchでは、医薬品232条関税が日本15%で発動し、EUの鉄鋼原産地証明も始まった一方、米中は貿易休戦を2か月延長していることが整理された(trade_watch 10/2)。

科学技術

ai_newsは、OpenAIの最上位モデル「Astra」が安全性問題で公開中止となる一方、GPT-6.1 Solを5分の1の価格で公開(Dataconomy)、GoogleがGemini 4 Argonを発表するなど、価格と性能の競争が続いた。このほか、FDAが乳がんなどの新薬を相次いで承認し(health_watch 9/29)、ヒト脳の1細胞アトラスがNature誌に掲載された(sci_breakthrough 9/28)。cyber_securityではタイムズカーの約660万件の会員情報漏えいが発覚した(cyber_security 10/2)。

社会・生活

台風25号の復旧が最大の話題となった。千葉県では30日時点で停電約2300軒・断水395戸が残り、JR成田線の一部区間は4日の再開を目指している(disaster 10/2)。

4. 市場の週間集計

指標 前週末(9/25) 今週末(10/2) 週間の動き
日経平均株価 66,364.20円 68,309.46円 +1,945.26円(+2.9%)
TOPIX 4,128.59 4,091.00 -37.59(-0.9%)
S&P500 7,743.41 7,722.72 -20.69(-0.3%)
NYダウ 51,828.62ドル 51,176.96ドル -651.66ドル(-1.3%)
NASDAQ総合 前週末値は未確認 27,190.86 週間では上昇
ドル円 156.94円 158.05円(10/1 NY終値) 約1.1円の円安
米10年債利回り 5.20% 5.28% 0.08ポイント上昇
WTI原油 92.43ドル 91.26ドル -1.17ドル(-1.3%)
金 4,285.00ドル 4,166.20ドル -118.80ドル(-2.8%)
ビットコイン 約8.4万ドル 84,438.61ドル ほぼ横ばい

前週末値は前回(9/26)レポート掲載の値、今週末値のうち米国市場・商品・ビットコインはYahoo Finance、日本株は財経新聞、ドル円は財経新聞による。ドル円は10月2日の終値を確認できなかったため10月1日のNY終値を使った。金と原油は先物の限月や取得時点が前回と異なる可能性があり、騰落は目安である。強気・弱気の見方の評価は断定しない。

5. 先週の予定との答え合わせ

先週日曜(9/27)の今週の予定(week_ahead)で挙げられていた主な予定の結果は以下のとおり。

予定 結果
10/1 日銀短観(9月調査) 実施。大企業製造業DIはプラス24で予想のプラス25を下回ったが、約8年半ぶりの高水準
10/2 米9月雇用統計 実施。雇用者数は2.9万人増で予想(約9万人増)を大幅に下回り、失業率は4.2%に上昇。相場を大きく動かした
10/1 米ISM製造業景況指数 実施。54.5で拡大圏を維持、物価指数は77.9へ急伸(us_stock 10/2)
9/30 マイクロン決算 実施。売上高542億ドルで予想を大幅に上回り、日本の半導体株を押し上げた
10/1〜7 中国国慶節の休場 予定どおり10/1から休場入り。直前にPSL金利引き下げと住宅ローン利子補給の開始が発表された
10/5 臨時国会の召集 召集日が10月5日で正式に伝達済み。来週に実施される

「注目」とされた日銀短観と雇用統計のうち、実際に相場を大きく動かしたのは雇用統計だった。

6. 来週に持ち越す論点

  • 10月27〜28日のFOMCに向けた利上げの可否と、雇用統計後も5%台にある米長期金利の行方
  • 10月5日に召集される臨時国会での消費税減税法案の審議と、10月29〜30日の日銀会合での連続利上げの有無
  • 米イラン停戦協議が手順の対立を解消できるか、原油が再び大きく動くか
  • 台風25号の被害収束(印旛沼の残る1か所の復旧、JR成田線の4日再開)
  • 10月8日の中国市場再開と、EU通商担当委員の訪中(10月8〜9日)