前回からの変化

前回(2026-10-22、前日)との比較である。

変わったこと(変化・新規)

  • ビットコインは前回の84,613.71ドルから81,234.00ドルへ(3,379.71ドル安)、イーサリアムは2,489.83ドルから2,376.90ドルへ(112.93ドル安)下落した。前回は上昇が続いたが、一転して下落した。24時間の騰落率はそれぞれ4.17パーセント安、4.57パーセント安である。取得時刻は前回と異なる(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)
  • 前回の特集はステーブルコインの報酬だった。今回は、銀行が消費者に出すトークン化預金を扱う。前回の規則で報酬の線引きが争点になったステーブルコインと対比できる話題である
  • 前回扱ったHSBCとアントのトークン化預金運用、ジェネラリのトークン化MMF、スタンダードチャータードのZodia買収の続報は確認できなかった

昨日と同じこと(継続)

  • 銀行・規制当局が、ブロックチェーン上のお金を既存の金融の枠組みに取り込もうとする流れは続いている。前回は米国のステーブルコイン最終規則(2027年1月18日施行)で、今回は銀行自身が消費者向けに預金のトークンを出す動きである

要因の連続性

  • 継続要因: ステーブルコインと銀行預金の線引き。前回、銀行業界は報酬を認めるルールが預金流出を招くと批判した。今回はその銀行側が、預金のトークン化で利息を出す形で対抗している(筆者の整理)
  • 新規要因: 消費者向けトークン化預金という、新しい商品形態の登場
  • 解消した要因: なし

市況ひとこと

ビットコインは81,234.00ドルで24時間では4.17パーセント安、イーサリアムは2,376.90ドルで4.57パーセント安だった。数値は10月23日朝(日本時間)に価格サイトで確認した表示値で、いずれも5パーセント未満の変動のため、理由は付けない(CoinDesk: Bitcoin price today、CoinDesk: Ethereum price today)。

社会実装・インフラへの採用

SoFi、消費者向けにトークン化預金を開始

  • 誰が・何を: 連邦の銀行免許を持つ米国のSoFiが、ブロックチェーン上で扱える預金「SoFi Earn」(報道ではSOFIEと表記)の提供を始めた。報道によると、消費者向けの銀行として初めての提供である
  • 技術: 預金を残高の記録としてブロックチェーン上に載せた「トークン化預金」(銀行預金そのものをブロックチェーン上で動かせるようにしたもの)。どのブロックチェーンを使うかは、確認できた範囲では明示されていない
  • 段階: 2026年10月22日に提供を開始した、本番運用の段階。年率はFortuneの見出しでは4.2パーセント、本文の要約では4.4パーセントと食い違いがあり、FDIC(連邦預金保険公社)の保護が付くとされる
  • 規模: 対象となる利用者数や預かり残高は公表されていない
  • トークンの扱い: 暗号資産ではなく預金の記録であり、ステーブルコインのように発行者が裏づけ資産を持つものとは別の仕組みである。CEOのアンソニー・ノト氏は、暗号資産の利用者と企業を主な対象とし、「お金は眠らないので、24時間運用されるべきだ」と説明した。暗号資産の購入や、SoFiの顧客同士の送金に使える(Fortune)

各国の法改正・規制

米国

  • 前回扱った米通貨監督庁(OCC)のステーブルコイン最終規則(2027年1月18日施行)について、新しい続報は確認できなかった。報酬の扱いを巡る銀行業界との対立は、引き続き争点である(Ledger Insights)

日本・EU・その他

  • 新しい制度の動きは、今回確認できなかった。

特集: 新しいビジネスの形

銀行が消費者に出す「利息付きのトークン化預金」

直近2週間の特集には、トークン化預金そのもの(銀行向け・企業向け)も含まれていた。今回は、消費者向けに預金のトークンが出てきた点を続報として扱う。

  • 仕組み: 利用者が銀行に預けたお金を、そのまま残高としてブロックチェーン上で扱えるようにする。銀行の預金口座と、ブロックチェーン上の動きが一体になり、ACHや電信送金のような従来の方法と、ブロックチェーン上の方法を、同じ口座から使い分けられる。SoFiの場合、利息は年4パーセント台で、FDICの保護が付く
  • 誰がどう稼ぐのか: 銀行は、預かった資金を貸し出しや運用に回して収益を得る(一般的な銀行の構図で、SoFiの具体的な収益の内訳は公表されていない)。暗号資産の利用者は、取引に備えて置いておく資金に利息が付く。銀行にとっては、暗号資産の利用者という新しい顧客層を、預金として取り込めるのが利点である
  • 既存のやり方との違い: 従来の預金は銀行の営業時間や処理時間の制約を受けやすいが、トークン化預金は24時間扱えるとうたう。ステーブルコインと比べると、利息と預金保護が付く一方、移せる相手がSoFiの顧客に限られ、使える範囲が狭い(Fortune)
  • 課題・リスク: 送金先が自社顧客に限られるため、決済の広がりに限界がある。前回扱ったステーブルコインの最終規則が、報酬を出す事業者との線引きを個別判断にしたため、銀行預金とステーブルコインの競争の条件は、今後の運用次第で変わりうる(筆者の整理)。ブロックチェーンの種類や、残高の安全性の詳細は、今回の出典では確認できない
  • 具体例: SoFi Earn。報道では、ステーブルコインの是非を巡る議論が続く中で出てきた商品として位置づけられている(同上)

業界トピック

  • 大規模なハッキングや取引所の破綻は、確認できなかった。ビットコインは22日に8万3千ドルを割り込み、背景にはAI関連株への懸念で投資家心理が悪化したことがある、と報じられている(Bloomberg)。